2022年の秋からオオキンブナを求めて福岡と佐賀をあちこち釣り歩いていた。そして釣れたフナ類のうち、背びれの短さや体高の低さから、これだと思った個体をその場で解剖してみたが、ことごとくメスだった、12月上旬に初物を釣るまでは。

 

そこで、実際にはどれだけオオキンブナが釣ったフナ類の中にいたのかをある程度知りたいと思い、春になったら答え合わせの釣りをすることにしていた。産卵期になり、追星や精液滲出で解剖せずにオオキンブナのオスだとわかるからだ。

 

そんな中、2023年3月17日にちんまり十字路でヤリタナゴ狙っていた時に、思いがけずオオキンブナのオスが釣れたので、4月から始めようと思っていた答え合わせの釣りを前倒しで3月下旬から開始した。なお、この時に釣れたフナ類はこの1尾だけだった。

 

 

釣り方とエサは、いずれのスポットでもヘラ仕掛けのドボン釣りにマッシュ25cc+いもグルテン25cc+野釣りグルテンダントツ1包+水50ccを使った。

 

そうして4月中旬まで、初物を釣った川や新規スポットを含むクリークのあちこちを釣った結果は、以下の通り。

 

[初物を釣った川]

初物スポットはやはり越冬場所だったようで、もぬけの殻になっていて魚影がなかったので周辺や本流を探ったが、コイが3尾掛かってどれもハリス切れに終わっただけだった。

 

[昨秋に釣ったスポット群]

スポット1:佐賀県側クリーク

釣れたフナ類数:3;うちオスのオオキンブナ数:0

 

スポット2:スポット1より南に位置

釣れたフナ類数:26;うちオスのオオキンブナ数:1

 

スポット3:スポット1と2の間に位置

釣れたフナ類数:21;うちオスのオオキンブナ数:0

 

スポット4:佐賀県側の別クリーク

釣れたフナ類数:31;うちオスのオオキンブナ数:2

 

[新規スポット群]

スポット1:福岡県側クリーク

釣れたフナ類数:13;うちオスのオオキンブナ数:2

 

スポット2:佐賀県側クリーク

釣れたフナ類数:27;うちオスのオオキンブナ数:1

 

スポット3:佐賀県側クリーク

釣れたフナ類数:26;うちオスのオオキンブナ数:2

 

スポット4:昨秋スポット1〜3と同じクリークのより南に位置

釣れたフナ類数:20;うちオスのオオキンブナ数:2

 

スポット5:上記新規スポット4のさらに南に位置

釣れたフナ類数:20;うちオスのオオキンブナ数:2

 

まとめ

この答え合わせの釣りで釣れたフナ類は計187尾で、そのうちオオキンブナのオスと考えられるフナ類は計12尾釣れ、その割合は6.4%、およそフナ類16尾に1尾はオオキンブナのオスということになった。

 

この割合は予想外に高かった。昨秋はあまりの釣れなさに、きっとコイとフナの交雑種であるコイフナよりもレアなほど数が少ないと考えていたのだが、この答え合わせの釣りで釣れたコイフナは1尾だけだったので、実際はコイフナよりもずっと多いことがわかった。

 

とはいえ、1/16の確率では昨秋なかなか当たりに出くわさなかったはずだ。しかも、初物を釣るまでは、オオキンブナは体高が低く背びれが短いものだと思っていたが、こうして多く釣ってみると、むしろ体高が高く背びれ分岐軟条数が16以上の個体の方が多数派だった(各個体の詳細については、オオキンブナのページを参照ください)。少数派の方を選んで解剖していれば、そりゃハズレばかり引くことになるわけだ。

 

DNA解析以外でオオキンブナのメスを推定することは今のところ不可能だが、オオキンブナのオスと同数釣れていたと仮定すると、フナ類のおよそ8尾に1尾はオオキンブナだったことになる。

 

この答え合わせの釣りのおかげで、オオキンブナやコイ野生型に近い個体もクリークにいることがわかった。ヘラブナに加えて、クリークの釣りの楽しみがまた増えた。