2015年9月にアメリカはイリノイ州で、長年追いかけていたクイルバックを初めて釣って間近で見た時に感じたことは、背びれの高いコイフナだな、ということだったが、そのコイフナ、つまりコイフナの交雑種が偶然釣れたので、ご紹介したい。

 

場所は佐賀平野のクリークの一角で、十二尺のヘラブナ用ドボン仕掛けにエサはマッシュ:いもグルテン:野釣りグルテンダントツ:水=25cc:25cc:1包:50ccを使っていた。

 

掛かった際の引きは強く、取り込む際にはずいぶん長いフナだなと思った。

 

タモに入れて背びれを立てて見るとコイの背びれにそっくりで、そこではたとコイフナじゃないかと気づいた。

 

初めて釣ったコイフナ、全長約32センチ、メス。

 

背びれはコイのそれのようで長く、分岐軟条数は20

 

初コイフナの俯瞰

 

初コイフナの腹側

 

初コイフナの近影。肉眼レベルではヒゲは見られなかった。

 

初コイフナの斜め正面

 

初コイフナの左第一鰓弓。鰓把はコイにしては長く、キンブナ以外のフナにしては短く、フナのように多かった。

 

初コイフナの左第一鰓把数は47。親コイの鰓把数を標準的な25とし、交雑で単純に中間的な数になるとすると、親フナの鰓把数は69となり、同所的に棲息しているフナ類の中でこれに当てはまるのはギンブナだけということになる。だがギンブナは三倍体なのでコイと交雑してもギンブナしか生まれない。ごくまれに四倍体のオスのギンブナが生じることがあるとされるが、そのオスがコイと交雑する可能性となると、限りなくゼロに近いだろう。そうなると、単純に中間値になるわけではなく、かつ、ヘラブナか二倍体のフナ類が親フナだった可能性が高い。

 

腸管の長さを腸管の先端から肛門までの距離で割った値は約7倍でコイの約4倍とフナの約10倍のちょうど中間を示した。

 

同時・同所的に釣れたコイ(上)と同所的に過去に釣れたギンブナ(中)とヘラブナ(下)

 

自然下でコイフナが生じることはとても稀のようで、それが偶然釣れるなんて、キンブナやナガブナがチャレンジ初回で釣れたことと合わせて、今年はフナ運がつきまくっているような気がする。この運がなくならない内に、フナ類コンプリートといきたいものだ。

 

初コイフナからわずか2週間余りで、同じ佐賀平野の直接は繋がっていない別のクリークで釣れた二尾目のコイフナ。背鰭分岐軟条数20。生殖巣は見当たらなかったのでおそらくオスだろう。また、コイのように胆嚢が目立っていた。

 

二尾目のコイフナの1週間後に、福岡県側の筑後平野のクリークで釣れた三尾目のコイフナ。コイのようによく引いた。吻には非常に小さいながらもヒゲが確認できた。背鰭分岐軟条数19。なお、二尾目も三尾目も釣り方とエサは一尾目と同じ。

 

コイフナは霞ヶ浦でも時々 釣られているようだ。

 

2023年4月上旬に初コイフナと同じスポットから釣れた24センチのコイフナ、その別影およびヒゲ(矢印)。仕掛けやエサは初物と同じ。

 

石狩川支流で釣れた全長30数センチのコイフナ。鯉ごころ使用。