前々回クラッピーを狙ってロックバスに終わったわけだが、クラッピーへの思慕やみがたく、グランドリバーの同じ鉄橋橋桁周りに後日、仕事が終わってから再びやって来た。今回はミールワームではなくドバミミズ (ナイトクローラーまたはデューワームと呼ばれている) を使った。

だが結果的にはまたクラッピーは釣れず、大きなパンプキンシード1尾と、カガミゴイ (mirror carp) が1尾釣れた。このカガミゴイはカナダ初のコイというだけでなく、人生初のカガミゴイとなった。カガミゴイは分類上は真鯉と同じ種ということになっている。英語ではコモンカープ (common carp) だ。

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人生初のカガミゴイ、約 30 センチ


カナダのコイは、19 世紀の後半、アメリカの養殖池から五大湖に逃げ出したコイが分布を広げたものだ。そして現在、コイはカナダで最もたちの悪い外来魚というレッテルを貼られている。

理由は、通常コイはエサを探すために底の泥を吸っては吐き出すことを繰り返すが、これが水の濁りの原因となり、水生植物の生育に必要な日光が遮られることが一つ。そして小さな湿地帯などでは水生植物を根こそぎ食べ尽くしてしまうことが二つめ。さらに旺盛な繁殖力がこれらを増幅している点が三つめだ。その他、他の水棲動物への食害も案じられている。水生植物が無くなってしまった水域では、新たに植えた植物の周りを金網で囲ってコイに食べられないようにしている。

ところで、キッチナーに引っ越して釣りを始めた頃、私は情報収集のため釣り雑誌を探した。カナダでは日本のように釣り雑誌が百花繚乱ということはなく、書店で見つけて手に取るとアメリカの釣り雑誌だったということがよくあった。そんな数少ないカナダの釣り雑誌の一つがオンタリオ・アウト・オブ・ドアーズという、オンタリオ州の釣りとハンティングの雑誌だ。この雑誌を何度か購入後に定期購読し始めた。

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ある号でコイ釣りの特集が組まれていて、その時に初めてボイリーというエサの存在を知った。ただその時の印象は、日本には吸い込み仕掛けなどのもっと優れたエサや釣り方があるのに、やっぱりカナダは遅れているなあ、というものだった。それにハリの外側にわざわざニードルを使ってエサをつけるとは、なんて変竹林な仕掛けだろうと思った。

そしてあれから10 年が経ち、ボイリー全盛の今、自分の認識がとんでもなく間違っていたことを思い知らされた。いやむしろ、日本ではようやく最近になってボイリーを使ったカープフィッシングが紹介されるようになったのに対して、カナダではすでに10 年前に紹介されていたということに、感嘆の念を持っている。

ちなみに、コイといえば日本では真鯉と錦鯉の両方の意味があるが、英語ではコイ (Koi) といえば錦鯉のことを意味する。日本人にとっては妙竹林な話である(2020年6月現在、Koi はCyprinus carpio とは別種(Cyprinus rubrofuscus)であることが遺伝的に解明されている)。

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グランドリバーで2005 年7月に釣ったコイ

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2012 年7月にオンタリオ州シャロンクリークレザバーで釣ったコイ

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2013 年10 月にテキサス州で釣ったコイの幼魚


コイのハビタット、ブリティッシュコロンビア州内陸部





2022年11月初旬に佐賀平野のクリークの一角で釣れたコイ属、全長約23センチ、背びれ分岐軟条数17とその腸管、左第一鰓弓、左第一鰓把数20。フナ類と比べると腸管はかなり短く、また鰓把も短く、少ない。


石狩川水系の水路でマルキューの鯉ごころを使ってウキの底釣りで釣った尺もののコイ飼育型。北海道には元々在来型(野生型)のコイは分布していないので、コイ野生型との比較対照として用いた。