公式初コイ在来型を釣ったのが2024年の12月のことで、佐賀県内のクリークの一角でだった。

 

公式初コイ在来型

 

この初物の他に、同じクリーク水系では計51尾のコイ導入・交雑型を釣ったが、その中の一尾で公式初物の前に釣った個体は、在来型に近い外観的・解剖学的特徴を備えていたので、暫定初物としていた。

 

これら2尾を釣ったのは、この水系の中の同じポイントだったので、在来型と呼べる個体はこのポイントに限られているのか、それとも他のクリーク水系にもいるのかを確かめてみたくなった。

 

そこで、この水系の隣の、直接は繋がっていないクリーク水系にも果たしてコイ在来型はいるのかどうかを、同じエサ(マッシュ25cc+いもグルテン25cc+野釣りグルテンダントツ1包+水50cc)と釣り方(ヘラウキドボン)で釣査してみた。

 

その結果、2025年の7月中旬までに、水系全体をカバーしながら重複なしで100尾を釣ったが、在来型と呼べる個体は一尾も釣れなかった。

 

とは言え、中にはいい線行っている個体もいた。公式初物を釣る前だったら、在来型と判定していたかもしれない。

 

2025年3月初旬に釣った個体。体高はとても低く(体高/体長比26.6%)背びれ分岐軟条数は20だったが、側扁していて頭部も小さくなく、尾びれも大きくなく尖ってもいなかったので、交雑型と判定した。全長は約55センチ。


2025年4月初旬に釣った個体、全長約65.5センチ。背びれ分岐軟条数20、体高/体長比29.8%。頭部がとても小さく、背側の稜線が非常に低くほぼ平らで、ボディは側扁していなかったが、背びれ分岐軟条数が期待値20.65よりも少ないこと、尾びれが尖っていないこと、側線有孔鱗数がアムールゴイ(ニシキゴイ)並みに少ないことから、在来型かどうかの判定は保留とした。

 

2025年5月初旬に釣った個体、全長約42センチ。背びれ分岐軟条数20。頭部が小じんまりしていて尾柄部も細長かったが、背側の稜線の盛り上がりがあることなどから交雑型と判定した。

 

2025年5月下旬に釣った個体。全長約34.5センチ。背びれ分岐軟条数は21で期待値を越え、頭が小さくて眼が大きく、体高はあるもののボディは流線型で、尾びれは尖っていたが、側扁していて尾びれも大きくはなかったので交雑型と判定した。

 

2025年7月初旬に釣った個体。全長約44センチ。背びれ分岐軟条数は21で期待値を越え、頭が小ぢんまりとしていて眼が大きく、体高は低く、尾びれは大きめで尖っていたが、側扁気味なので在来型かどうかの判定は保留とした。

 

2025年7月初旬に釣った個体。全長約47センチ。頭が小さく、体高は低く、側扁はしておらず、尾びれは大きくて尖っていたが、背びれ分岐軟条数が19と期待値よりも少なく、眼も若干小さめでやや上方に位置しているので交雑型と判定した。

 

2025年7月中旬に釣った個体。全長約49センチ。背びれ分岐軟条数が21と期待値を越え、体高は低く流線型なボディで尾びれは尖っていたが、頭がそれほど小さくはなく、尾びれがさほど大きくはなく、側扁気味なので交雑型と判定した。

 

[参考]

明らかな交雑個体の側扁例。第一のクリーク水系で釣った全長約30センチの交雑型個体で、背びれ分岐軟条数は18。頭部は小さいものの体高があり、明らかに側扁している。

 

結論として、この二本目のクリーク水系でも在来型に近い個体は釣れたことから、在来型の存在は一本目のクリーク水系に限られたものではなく、二本目でもいつかは釣れる可能性があるだろう。

 

もし在来型が一本目の水系の一定区間に限られていたなら、近くにある某止水に所有者が琵琶湖産の在来型を放流し、それらがクリークに逃げた、というストーリーを考えていたが、その可能性はほぼ消えた。

 

筑後川で釣られたコイの写真をネット上で検索していると、在来型の可能性の高い個体がヒットしてくることもある(例1例2)。純系とまでは言わないものの、交雑度が有意に低い筑後川系統の在来系のコイがまだ一定数いて、おそらく筑後川とクリークの間を行き来していると思われるので、第一のクリーク水系も含めて、公式二尾目の在来型のハントを続けるつもりだ。

 

今回の100尾の中には色々なタイプの個体がいたが、そのうちの3尾は、側線有孔鱗数が32以下だった。初アムールゴイとして錦鯉を関西某所で釣った際には、いつかは側線有孔鱗数が31以下の野生型のアムールゴイを釣ってみたいと思ったものだが、それが佐賀のクリークで実現するとは全く予想していなかった。側線鱗数だけでアムールゴイだとはとても言えないものの、ひょっとしたら放流された錦鯉を起源とする個体群なのかもしれない。

 

上:2025年4月下旬に釣った、側線有孔鱗数が30か31のコイ属。全長約48センチ、背びれ分岐軟条数17。

下:2025年7月初旬に釣った、側線有孔鱗数が31のコイ属。全長約58センチ、背びれ分岐軟条数19。

似たような体型や顔をしているのがとても興味深い。

 

また、100尾を揃える間には外道もたくさん釣れた。フナ類がほとんどだったが、ある日の外道はなんと70センチクラスのカムルチーと40センチ弱のナマズで、どちらもちゃんとグルテンマッシュエサを喰っていた。ダントツの効果だろうか?

 

外道として釣れたカムルチーナマズ。いずれもこの釣査では初めてとなる外道だったが、それらが同じ日に釣れて驚いた。この日は他にミシシッピアカミミガメとクサガメも釣れた。カメ類といえば、スッポンも時々釣れたが、裏返してもじっとせずハリをなかなか外させてくれず閉口した。他にはヘラブナタモロコニゴイ、テナガエビが外道として釣れた。

昨日は、2018年春に元祖オイリーな茶色いスポットとして紹介したものの、2020年の春を最後にアブラボテを確認できなくなっていたスポットへ、この時期としては初めて訪れてみた。

 

春や秋冬とは違って、見違えるようなアシの生い茂った光景に気後れを感じたが、記憶を頼りに藪漕ぎしていつもの釣り座に着いた。

 

このところ来るたびに気になっていたシルトによる濁りはなく、前のように底が薄らながら見えていた。

 

ボテの魚影は見えないものの、雰囲気はいいので竿を出すことにした。六尺ウキ仕掛けに自家製黄身練りをつけ、岩の間の谷底近くに送り込んでみた。

 

すると、少ししてウキが消し込んだ。上がってきたのは、待望のボテだった!

 

5年強ぶりにこのスポットから釣ったアブラボテ

 

その後も同じスポットや、そこへつながる回遊ルートから、ポツリポツリと釣れ続いたが、やがて弾切れになった。

 

そこで、二尺四寸の脈仕掛けに替え、すぐ前に入れ、黄身練りの明るい色を頼りに見釣りをしてみた。

 

するとすぐに岸近くからボテが現れて釣れ出した。小ぶりな個体が多かったものの、良型も混じった。

 

良型アブラボテ、オス

 

18尾釣れたところで納竿とした。

 

リリース直前の1時間40分の釣果

 

茶色い金曜日とするほどは釣れなかったものの、復活の兆しを感じさせてくれる釣果だった。

ニゴイボラブルーギルバラタナゴヘラブナスゴモロコギギに続く「たまには」シリーズの第八弾は、ワタカ

 

福岡県ではワタカは琵琶湖からのコアユの放流に混じって移入された国内外来種で、遠賀川水系に特に多く見られ、実際、自身の公式初物も遠賀川の支流で釣った。2011年の秋のことだった。

 

その一年後に、同水系でたなご探しをしていた際に、ワタカがたくさんいる水路を見つけていたので、最近になって、いつかはこの水路で専科をやってみたいなと思うようになった。

 

そこで、テナガエビなど以外は釣れないこの時期に果たしてワタカは釣れるのかどうかも確かめるために、昨日、この水路を13年ぶりに訪れてみた。

 

ワタカが群れ泳ぐ水路。環境は変わっていなかった。

 

護岸の一箇所に釣り座を定め、一点での待ちの釣りをすることにした。使ったのは、たなごころ七尺のたなご用ウキ仕掛けで、ハリは秋田狐1号スレ、エサは自家製で未解凍の黄身練りだった。

 

最初は熊本の水路での経験から、水深1.5メートルほどの底近くを流していたが、全くアタリがないので、水面から50センチほど下を流すようにした。

 

すると程なくして、ゆっくりとたなごウキが沈んで行った。アワセると強い引き!

 

上がってきたのは待望のワタカで、15センチ弱ほどだった。開始から1時間強が経っていた。

 

ワタカ一尾目

 

タナを上げた効果でその後もポツリポツリながらワタカが続いたが、ハリを呑まれることが多かったので、途中でホンモロコ用の秋田狐2.5号ハリス0.4号10センチに替えた。

 

ハリを大きくしても特に釣れるテンポは変わらず、良型も混じった。

 

良型ワタカ。遊泳力が高い魚なので元々引きが強いが、軟調竿で釣るとさらに楽しー!

 

午後の一番釣れない時間帯はワタカも沈黙しており、あまりに釣れないので納竿しようかなと思ったところでアタリが出ることが続き、なんとか目標の縁起のいい七尾を揃えることができた。

 

4時間の釣果

 

回遊待ちだったので半時間に一尾くらいのスローな釣りだったが、外道はヌマムツ一尾のみだったので、十分専科と言える内容だった。

 

食味は猫も跨ぐほどの悪さで知られるワタカだが、釣り味はオイカワハスに匹敵すると感じた。撮影前にいつまでも動き続けることがない分、オイカワよりも扱いやすい。 海で釣るマス類のような緑の俯瞰の美しさも際立っており、目の保養にもなる。

 

ワタカ専科、年中行事の一つになりそうだが、次回以降はバケツではなくフラシを使い、ウキも縦の動きがわかりやすいパイプトップのものに替え、さらにエサも色々試してみよう。