スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015) | つぶやキネマ

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スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015)

 

 遠い昔、はるか彼方の銀河系で...。

共和国軍と帝国軍がエンドアで戦ってから約30年、帝国軍の残党によって“ファースト・オーダー”が新たに組織され、銀河は再び戦火に苛まれつつあった。ファースト・オーダーは姿を消した最後のジェダイ騎士ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)を抹殺するためその行方を追っていた。ファースト・オーダーに立ち向かう新銀河共和国の抵抗組織“レジスタンス”を指揮するレイア・オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)も、双子の兄であるルークの行方を追跡していた。レジスタンスのポー・ダメロン(オスカー・アイザック)は、惑星ジャクーのロア・サン・テッカ(マックス・フォン・シドー)からルークの居場所を示す地図のデータを入手するが、シスの暗黒卿カイロ・レン(アダム・ドライバー)率いるファースト・オーダーの軍隊がジャクーの村を襲撃、Xウイング・ファイターを破壊されたポーは、相棒のドロイド“BB-8”に地図のデータを託し、カイロ・レンと対峙するがフォースによってブラスターを封じられ捕虜となり、無抵抗のテッカはカイロ・レンに殺され、村人たちはストームトルーパーによって虐殺される。ストームトルーパーの識別番号FN-2187(ジョン・ボイエガ)は命令に逆らい村人を撃たなかったために、帰還したスター・デストロイヤーで上官のキャプテン・ファズマ(グェンドリン・クリスティー)にとがめられる。

 ジャクーの砂漠に逃亡したBB-8は廃品回収業者ティードー(キラン・シャー)に捕えられるが、廃品回収をしながら家族を待ち続けている孤独な少女レイ(デイジー・リドリー)によって助けられる。フォースの力でポーを拷問しBB-8が地図データを持っている事を探り出したカイロ・レンはハックス将軍(ドーナル・グリーソン)に惑星ジャクーに隠れているBB-8の捜索を命じる。

 反逆者となったFN-2187と共にTIEファイター奪って脱出したポーはFN-2187を“フィン”と名付けるが、二人の乗ったTIEファイターは追手のミサイル攻撃を受けジャクーへ墜落、生き残ったフィンは砂漠を放浪の末、廃品をジャンク屋アンカー・プラット(サイモン・ペグ)に売りに来ていたレイとBB-8に出会うがBB-8を捜索していたストームトルーパーに発見され、レイたちは廃品置き場のミレニアム・ファルコン号でジャクーを脱出する。

 危機を脱したレイたちのファルコン号は、大型貨物船“エラヴァナ”に捕獲されハン・ソロ(ハリソン・フォード)とチューバッカ(ピーター・メイヒュー)に出会い事情を話してレジスタンスとの合流を目指すが、追って乗り込んで来たバラ・ティク(ブライアン・ヴァーネル)率いる“グアヴィアン・デスギャング”とタス・リーチ(ヤヤン・ルヒアン)率いる“カンジクラブ”にハン・ソロとチューバッカが拘束される。レイの機転でバラ・ティクたちを撃退した4人とBB-8はファルコン号で脱出する。

 ファースト・オーダーを率いる“最高指導者スノーク(アンディ・サーキス)は、カイロ・レンに実の父親ハン・ソロと決別する事を命じ、苦悩するカイロ・レンは自室でダース・ベイダーのマスクに語りかける。

 ファルコン号で惑星タコダナに向かっている中、ルークの居場所を示す地図データが不完全な事を知る。ルークはジェダイ騎士団の再建を試みたが弟子の裏切りで、失意からジェダイ最古の寺院を探す放浪の旅に出たのだった。ハン・ソロは友人でタコダナの酒場の主人のマズ・カナタ(ルピタ・ニョンゴ)に助けを求め、レイは地下の貯蔵室でライトセイバーを見付ける。それに触れたレイはルークや幼少期の両親との別れの幻影を見て困惑、マズ・カナタからライトセイバーを手にする運命であると告げられ動揺したまま森の中へと逃げ込むが、ファースト・オーダーの“スターキラー基地”の超兵器から発射された破壊光線で新共和国の“首都惑星ホズニアン・プライム”と星系内の惑星が破壊され、スパイの通報によってカイロ・レン率いるファースト・オーダー部隊が酒場を襲撃、森の中でカイロ・レンと遭遇したレイは拘束され連れ去られてしまう…というお話。

 

 2012年10月、ジョージ・ルーカスが映画製作から引退し「スター・ウォーズ・シリーズ」のすべての権利を映画製作会社ルーカスフィルムと共にウォルト・ディズニー・カンパニーに売却、同時に新たな3部作「エピソード7・8・9」の製作という発表に吃驚。旧三部作(ルーク三部作)の頃はルーカスはシリーズは全九部作になるとぶち上げていたが、新三部作(アナキン三部作)完結後にルーカスのシリーズ終了宣言で個人的には終わったモノという認識だった。それがディズニーでシリーズ再開、しかもルーク三部作の正統続編になるという、さらにさらに製作・監督・脚本は「ミッション:インポッシブル・シリーズ」「スター・トレック・シリーズ」の復活の功労者でもあるJ・J・エイブラムスで脚本には「スター・ウォーズ エピソード5/ 帝国の逆襲(1980)」「スター・ウォーズ エピソード6/ ジェダイの帰還(1983)」のローレンス・カスダンも、 ルーカスフィルムの社長にはスティーヴン・スピルバーグの片腕的存在のキャスリーン・ケネディと来れば期待するなといわれても無理であります…ルーカスの独りよがり三部作の後だけに期待しないでおこうという気分も半分ぐらいはあったけどね。さらに、製作中には正式タイトルやストーリーが発表され、新世代が物語の中心だがルーク・スカイウォーカー、レイア・オーガナ、ハン・ソロも登場しマーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、ハリソン・フォードの3人が出演という情報にファンは狂喜乱舞(注1)。

 そうやって世界中のファンの期待を爆発させた後に公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015)」は、デイジー・リドリー演じるレイを中心にしたストーリーやキャラクター構成はルーク三部作の要素満載で、冒頭のシリーズ定番の奥へ流れていくタイトルでジェダイマスターであるルークの失踪という大きな謎を掲げて”つかみはOK”、新シリーズのメインのキャラクターたちやエンドアの戦いから30年後の帝国軍の兵器の残骸や戦火の跡がまだ残っている世界を手際よく紹介して、観客を新たなスター・ウォーズ・ワールドに引きずり込むと同時に、おなじみのキャラクターやメカを登場させて往年のファンたちから感涙を搾り取るという展開。作品的にはいくつか気になる場面もあったがシリーズ再開作としては大満足の完成度(注2)。

 新シリーズの主人公であるレイやカイロ・レンの設定やキャラクター造形も面白く演出も的確で、新しく登場するメカや宇宙人やモンスターもCGに依存せず着ぐるみ・マスク・パペット等を使用、デジタル撮影が当たり前の時代にわざわざフィルム撮影を選択し作品のLOOK(作品の顔)をルーク三部作に極力近づけようとしているのも嬉しい(注3)。

 ルーク三部作から様々な要素が踏襲されていて続編である事を強調しファンサービスに努めているが、J・J・エイブラムスとローレンス・カスダン、そしてもう一人の脚本家マイケル・アーントはルーク三部作にワクワクさせられたファンの気持ちをクリエイターであるルーカス本人よりもしっかりつかんでいるように感じたし、シリーズ物とはいえ初めて「スター・ウォーズ」の世界に触れる映画ファンでもちゃんと楽しめるようにも構成され独立した一本の映画として成立しているのが素晴らしい(注4)。

 ストーリーが進むにつれてキャラクターたちがどんどん魅力的になり新たな謎が続々と提示されて、ラストでは「帝国の逆襲」鑑賞後と同じような満足感と期待感に襲われ次回作が早く観たくなってしまう(注5)。

 本作は「帝国の逆襲」同様にいくつかの謎が提示されたまま終わった事でシリーズのファンとしてはどうしても続編に期待してしまう(注6)。

 第1作公開後にシリーズは全九部作になると聞いた時は「完結するまで死ねないねぇ」と友人と話していた…その友人のうち何人かはアナキン三部作も観ずに逝ってしまった。そんな訳でレイ三部作が完結するまでは死ねないなぁと思ったのであります。

 

●スタッフ

製作・脚本・監督:J・J・エイブラムス

製作総指揮:トミー・ハーパー、ジェイソン・マクガトリン

製作:キャスリーン・ケネディ、ブライアン・バーク

脚本:ローレンス・カスダン、マイケル・アーント

撮影:ダン・ミンデル

特撮:ILM

音楽:ジョン・ウィリアムズ

 

●キャスト

デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、

ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、

ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、

マーク・ハミル、アンソニー・ダニエルズ、

ピーター・メイヒュー、ルピタ・ニョンゴ、

アンディ・サーキス、ドーナル・グリーソン、

マックス・フォン・シドー、グェンドリン・クリスティー、

ブライアン・ヴァーネル、ヤヤン・ルヒアン、

ビリー・ラード

 

◎注1; 

 本作が大成功した最大の理由は単純なSci-Fiアドベンチャーではなく青春モノとしても成立する要素、若者たちの喜びや希望、苦悩や恐れ、出会いと別れ、友情、旅立ち等を描き、ルーク三部作と同様にキャラクターたちを自分に置き換え感情移入した多くの観客の共感を得たからだろう。そもそもルーク三部作のストーリーはルーカスの初ヒット作「アメリカン・グラフィティ(1973)」という青春映画の傑作との類似点も多かったのだが、それに加えて若いスタッフによる新たな特撮技法やデザイン・センス、新鮮な異星人のキャラクター表現、そして様々なアドベンチャー映画からの引用等、ハリウッドの黄金期とアメリカン・ニューシネマをつなぐような作品であったのだ。しかし、世界的大ヒット受けて関連グッズが爆発的に売れた事でルーカスはSci-Fi的新鮮さが大ヒットの要因だと勘違いしてしまったようだ…これこそがシリーズの悲劇の始まりなんだよね。

 

◎注2; 

 ルーク三部作からのファンは冒頭のXウイング・スターファイターやTIEファイター、ストーム・トルーパーの登場、さらに砂漠にスター・デストロイヤーの残骸が残っていたりレイがAT-ATウォーカーの残骸で暮らしていたり、カイロ・レンが焼け残ったダースベイダーのヘルメットを保管し崇めていたりというだけで胸が熱くなったが、クリエイターであるルーカスは懐古趣味と批判していた…公開後に撤回したけどね。この批判的な発言の背景には、当初は製作総指揮的な立場として参加する予定だったルーカスが提示した自身のプロットをディズニー製作陣から拒否され離脱した事があると思われる。

 全体的に設定やストーリーはルーク三部作の続編である事を強調し主人公たちによって語られるエビソードもルーク三部作からが中心で、アナキン三部作のエピソードについては不自然なぐらい言及されず、まるで存在しなかったかのようである…アナキン三部作には対ジェダイ兵器が数種登場したが、ファースト・オーダーのストームトルーパーが装備したトンファー状のZ6警棒が唯一と言ってもいいアナキン三部作の要素。ここまで徹底されると、明言はしていないがJ・J・エイブラムスやローレンス・カスダンはアナキン三部作については否定的だったのではと思ってしまう。個人的には、ジェダイ騎士のライトセイバーは無敵であるべきと考えるので対ジェダイ兵器なんかいらないのだよ。

 懐古趣味とルーカスが評したようにルーク三部作をなぞったようなストーリーには批判が集中したが、正統続編なので仕方ない部分もある…ラストがデス・スター攻撃みたいだったのはもう一工夫して欲しかったけどね。

 

◎注3; 

 アナキン三部作は撮影を簡単なセットとグリーン・バックで行いリーアム・ニーソンからは演技に集中出来ないと続編への出演を拒否され、批評家からはCGの箱庭と揶揄されたが、本作はCG依存を否定して可能な限り実写にこだわり、ルーク三部作に近い映像の質感を追求してフィルム撮影を選択、CGやデジタル撮影では得られない空気感や奥行き感を再現している。撮影に先立ってメイン・スタッフたちはミニチュアや小道具等が保管されているルーカスフィルムの倉庫を見学し、当時のスタッフたちの努力の結晶とも言える実物に触れ、J・J・エイブラムスの提案でリハーサルに入る前の雰囲気作りの目的でメイン・キャストによる”本読み”も行われた…本作では台詞のないマーク・ハミルがト書きを読み上げるという豪華さ。

 そんなこだわりがスタッフやキャストに浸透し撮影や特殊効果、編集のタイミングや音響効果がルーク三部作に戻った感じでより映画的になった。特に印象的だったのはライトセイバーの対決で、アナキン三部作ではCG併用でアクロバティックな殺陣にエスカレートし派手にはなったがリアリティが感じられなかったのを、本作では実際に闘っている感じのリアルな殺陣に戻した事で俳優さんたちも演技に集中出来て観客もキャラクターに感情移入しやすくなっている。

 セットや小道具もCGを極力使用せずに実物が作られ細かい所までデザインや造形のこだわりが感じられる素晴らしさで映像的には文句のつけようがない完成度。マズ・カナタのタコダナの酒場の場面に登場する宇宙人やモンスターの数々も画面にほとんど映らないような部分にまでこだわっていて、もっとじっくり見せて欲しいと思ってしまう…そんな気分にさせてくれるのもルーク三部作譲りなのだ。

 本作に登場しキュートな動作や高速で転がり走り回る奇抜さで大人気キャラクターになったBB-8も、シーンに合わせて何種類も作られたパペットで表現され個性を与える事に成功している。シリーズ全作に出演中ながら今回はあまり活躍の場がなかったC-3POとR2-D2に代わって大活躍し、レイに助けられ心を通わせる場面は本作屈指の名場面となっている。

 

◎注4; 

 J・J・エイブラムスは、TVプロデューサーの父の影響で映画製作に興味を持ち8mm映画少年に、その作品を観たキャスリーン・ケネディからスピルバーグのホームムービーの編集を依頼される。高校時代には「魔獣星人ナイトビースト(1982)」の作曲で映画界デビュー、「ファイロファックス/トラブル手帳で大逆転(1990)」の原案や 「心の旅(1991)」 の脚本、「フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白(1993)」の 製作総指揮・脚本、「アルマゲドン(1998)」の脚本、「ロードキラー(2001)」の製作・脚本等で注目され、俳優としても「悪魔のような女(1996)」等に出演し、「フェリシティの青春(1998)」でテレビドラマ製作に進出、2001年に自身の制作会社バッド・ロボット・プロダクションズを設立しテレビ・シリーズ「エイリアス(2001)」「LOST(2001)」を製作し後者では脚本・監督も。トム・クルーズの「M:i:III(2005)」で劇場映画監督としてデビュー、製作者としては「クローバーフィールド/HAKAISHA(2008)」Sci-Fiテレビドラマ・シリーズ「FRINGE/フリンジ(2008)」、監督として「スター・トレック(2009)」「SUPER8/スーパーエイト(2011)」を。本作に参加が決まった事で3本の大ヒット映画シリーズの製作担当するという快挙。製作者としてはキャッチーな企画と予想外の展開の作品が多いのが特徴…途中から観始めると設定がさっぱりわからない。監督としては正統派のかっちりとした演出が得意だし、面白いストーリーの”語り部”というスタンスを常に意識しているようで、自己満足的な複雑で”お芸術”な描写を多用して作品のバランスを微妙に崩して観客を混乱させるような事はない…マニアックな変なこだわりを入れ込んでしまう事もあるけどね。

 ローレンス・カスダンは、大学卒業後にコピーライターをしていたがスティーブ・マックイーンとダイアナ・ロス主演を想定して書いた脚本が売れた事で脚本家に転身、それは後にケビン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン主演で「ボディーガード(1992)」として映画化される。さらに「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1979)」の脚本に参加した事で注目され「白いドレスの女(1981)」で映画監督としてデビュー、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981)」「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983)」とルーカス作品の脚本家として活躍し、製作・脚本・監督として「再会の時(1983)」「シルバラード(1985)」「偶然の旅行者(1988)」「殺したいほどアイ・ラブ・ユー(1990)」「わが街(1991)」「ワイアット・アープ(1994)」「フレンチ・キス(1995)」「ドリームキャッチャー(2003)」等を発表している。監督としてより脚本家としての評価が高く、本作でもその才能を遺憾なく発揮して面白い作品に仕上げている。もう一人の脚本家マイケル・アーントは、ニューヨーク大学のフィルム・スクール卒業、初執筆の脚本「リトル・ミス・サンシャイン(2006)」がアカデミー賞受賞し注目され「トイ・ストーリー3(2010)」の脚本家として抜擢された。

 

◎注5; 

 主人公のレイを演じたイギリス女優デイジー・リドリーは本作が実質的な劇場映画デビュー、初登場の場面から魅力全開で辺境の惑星で逞しく生きる孤独な少女を素敵に演じている。メイキング映像を見ると現代風のキャピキャピ明るいお嬢さんなのだが、作中では強さと弱さや激しさと優しさを併せ持ち運命に翻弄される複雑なキャラクターを上手く演じていて、彼女のキャスティングで新シリーズは大成功するだろうと確信した。

 ダーク・サイドに堕ちたソロとレイアの息子ベン・ソロ(カイロ・レン)を演じたアダム・ドライバーは、「J・エドガー(2011)」「リンカーン(2012)」等の小さな役で注目され、主演した「ハングリー・ハーツ(2014)」ではヴェネツィア国際映画祭男優賞受賞。ダーク・サイドに堕ちたジェダイ騎士の継承者という複雑な役を演じているが、悩める若者ゆえの危うさをきっちり表現していて素敵です。本作の後も巨匠たちの作品に出演し大活躍、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン(2016)

」ではロサンゼルス映画批評家協会賞主演男優賞受賞、マーティン・スコセッシ監督「沈黙 -サイレンス-(2016)」、テリー・ギリアム監督「テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018)」、スパイク・リー監督「ブラック・クランズマン(2018)」ではアカデミー助演男優賞・ゴールデングローブ賞助演男優賞・英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。

 レジスタンスのX-ウイングファイターのパイロットのポー・ダメロンを演じたオスカー・アイザックはグアテマラ出身のアメリカ俳優、「ワールド・オブ・ライズ(2008)」でレオナルド・ディカプリオと共演、リドリー・スコット監督「ロビン・フッド(2010)」、イーサン・コーエン&ジョエル・コーエン監督「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013)」では全米映画批評家協会賞主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞にもノミネートされている。猪突猛進型ながら仲間からの信頼も厚い熱血漢のパイロットを演じていて、デイジー・リドリーやアダム・ドライバーと共に新シリーズの牽引役として大活躍。本作でハックス将軍を演じたドーナル・グリーソンとは「エクス・マキナ(2015)」でも共演している。

 フィンを演じたイギリスの俳優ジョン・ボイエガは、舞台芸術や映画や脚本について学んだ後に数本の映画に出演、脱走したストームトルーパーFN-2187というシリーズ屈指の面白いコメディ・リリーフ的な役ながら、運命に逆らって生存本能だけで行動しているような雰囲気を上手く表現している。本作で大注目され出演オファーが殺到、主演した「パシフィック・リム: アップライジング(2018)」では製作も兼任している。

 30年ぶりにハン・ソロを演じることになったハリソン・フォードについては説明不要だろう。チューバッカ(ピーター・メイヒュー)を連れたハン・ソロがミレニアム・ファルコンに乗り込んでくる本作の初登場場面の撮影にはスタッフも含めた多数の野次馬が押しかけ、監督のJ・J・エイブラムスもシリーズの大ファンを公言しているだけあってこのシーンには感無量だったようだ。

 同じく30年ぶりにレイアを演じたキャリー・フィッシャーは、ルーク三部作の後「ブルース・ブラザース(1980)」「ハンナとその姉妹(1986)」「メイフィールドの怪人たち(1989)」「恋人たちの予感(1989)」等で活躍、女優業の他に脚本家・脚本監修としても活動していて自伝「崖っぷちからのはがき」も発表し自らの脚本によって「ハリウッドにくちづけ(1990)』としてシャーリー・マクレーン、メリル・ストリープ主演で映画化されている。そして娘のビリー・ラードもレイ三部作にレジスタンス兵士の役で出演している。

 本作は失踪したジェダイ騎士のルークを探すというメイン・ストーリーにもかかわらず、ルークは最後に少しだけ登場し台詞も無しというサプライズ(なんだかねぇ)、マーク・ハミルが演じるルーク・スカイウォーカーの活躍は次回作以降にどうぞという反則的な展開だったが、そんな扱いにもワクワクしてしまうファン心理は困ったもんなのだ。マーク・ハミルは大ブレイク後も「コルベットサマー(1978)」「最前線物語(1980」「風の惑星/スリップストリーム(1989)」「光る眼(1995)」等の映画に出演し続けたがルーク・スカイウォーカーとしてのイメージが定着しすぎていて俳優として成功したとは決して言えない。「エレファント・マン(1979)」「アマデウス(1983)」等で舞台俳優として、その後は声優としての活躍が中心になり「天空の城ラピュタ(2003)「風の谷のナウシカ(2005)」の英語版にも参加している。

◎注6; 

 本作では数々の謎が提示され解決されないまま次回作へ続く形になった事で嫌でも期待が高まる。最大の謎はジェダイ・マスターであるルークの指導によってジェダイ騎士の修行をしていたベン・ソロが何故ダーク・サイドに魅了されカイロ・レンを名乗り祖父であるダース・ベイダーを崇めるようになったか、そしてそれを後押ししたスヌークの正体、何故ルークは辺境の惑星に姿を隠すほど己に失望したのか、そしてレイは何故両親に置き去りにされたのか、クラウド・シティで紛失したルークのライトセイバーはどのような経緯でマズ・カナタが保管する事になったのか、そして何故レイを呼んだのか、そして覚醒し強力なフォースでカイロ・レンを追い込んだレイはジェダイ騎士の末裔なのか…これらの謎がレイ三部作の完結編までにすべて解き明かされると期待していたのだが…。他にも小さな謎がいろいろあるが、特にストームトルーパーがクローン兵ではなく人間の兵士に変わったのは何故なのかとかファンなら気になるよね。

 

◎蛇足;

 「スター・ ウォーズ・シリーズ」の熱狂的なファンでJ・J・エイブラムスの古くからの友人でもあり「ミッション:インポッシブル・シリーズ」「スター・トレック・シリーズ」のメイン・キャストも務めているサイモン・ペグが、ジャンク屋アンカー・プラットを演じている。当初は1シーンのみのカメオ出演を希望していたようだが、別の2大シリーズと混同されかねないという理由から顔のわからない特殊メイクでの出演になったらしい…J・J・エイブラムスと同様に3大シリーズに参加する事になった。ちなみにサイモン・ペグは主演したSci-Fiヲタクが聖地巡礼する傑作コメディ「宇宙人ポール(2011)」の脚本も書いています。

 本作はイギリスのスタジオで撮影されたが、同じスタジオで「007 スペクター(2015)」の撮影中だったダニエル・クレイグが見学に訪れ、カイロ・レンに拘束されたレイを見張るストームトルーパー役で急遽カメオ出演する事に…こちらもストームトルーパー姿なので言われてもわからないんだけどね。

 

 

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