スター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980) | つぶやキネマ

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140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


スター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980)


 デス・スターを破壊された銀河帝国軍の猛反撃に撤退を
余儀なくされた反乱軍は、氷の惑星ホスに基地を移しなん
とか踏み止まっていた。ダース・ベイダー(デヴィッド・プ
ラウズ)は反乱軍とルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミ
ル)の捜索のため銀河系に大量のプローブ・ドロイドを放っ
ていたがホスに着地した一体が基地の存在を確認、プローブ
・ドロイドを破壊に向かったルークは雪原の怪物ワンパに襲
われる。傷つきながらもワンパを倒し脱出したルークは猛吹
雪の中で倒れるが、そこにフォースと同化したオビ=ワン・
ケノービ(アレック・ギネス)が現れ惑星ダゴバでジェダイ・
マスターのヨーダと会うように告げる。惑星ホスに上陸した
帝国軍の猛攻を逃れ、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)とチ
ューバッカ(ピーター・メイヒュー)はプリンセス・レイア(キ
ャリー・フィッシャー)とC-3PO(アンソニー・ダニエルス)を
ミレニアム・ファルコン号に乗せ惑星ホスを脱出し、ハン・
ソロによって雪原から救出されたルークはR2-D2(ケニー・
ベイカー)と共にヨーダに会うため惑星ダゴバに向う...という、
シリーズ第2作であります。前作の大ヒットを受けての続編だ
が、基本的には明るかった前作から一転ダークな雰囲気にあ
ふれていて、先の読めないストーリー展開と新メカや新キャ
ラクターが続々登場して衝撃の真実が明かされる等々、三部
作の中間部で完結編に続くという結末にもかかわらず、続編
はつまらなくなるというジンクスを跳ね返し、面白さてんこ
盛りで前作を越える楽しさと興奮を提供、完結編を期待せず
にはいられないシリーズ中最も完成度の高い大傑作となった。
悲劇的なストーリーと、主要キャラクターをさらに魅力的に
描き込んだ脚本、心理描写を繊細に演出したアーヴィン・カー
シュナー監督の手腕で、若者たちの青春ドラマとしても深みが
増して切ない気分にさせてくれる(注1)。潤沢になった製作費の
おかげでセットは豪華だし、様々なイメージを映像化するため
に新開発された特撮技術を駆使した戦闘シーンも"スター・ウォ
ーズ"の名に恥じない迫力たっぷりの映像の連続で、特撮スタッ
フたちのこだわりや遊び心も楽しい。フィル・ティペットによ
るストップモーション・アニメーションで描かれる雪原を走る
卜ーントーンの繊細な動きや、ホスに上陸した帝国軍のAT-AT
スノーウォーカーのダイナミックさにはホントに息を呑む。設
定やデザインが極秘扱いでファンの間では公開前から最高の話
題となっていたジェダイ・マスターのヨーダは、ラテックス製
の人形とは思えないほど素晴らしい存在感で、コミカルな初登
場シーンからジェダイ・マスターである事を明かした後の変化
は演技賞モノであります。自ら人形を操り声も担当してヨーダ
に命を吹き込んだフランク・オズは最大の功労者と言えるだろ
う(注2)。1997年に公開された「特別編」は第1作のようなスト
ーリーに関わる大きな変更点はないが、全編に渡ってかなり細
かくCGで修正されている(注3)。



●スタッフ
監督:アーヴィン・カーシュナー
製作:ゲイリー・カーツ
製作総指揮・原案:ジョージ・ルーカス
脚本:リー・ブラケット、ローレンス・カスダン
撮影:ピーター・サシツキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ


●キャスト
マーク・ハミル、ハリソン・フォード、
キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、
ビリー・ディー・ウィリアムズ、デヴィッド・プラウズ、
ピーター・メイヒュー、ケニー・ベイカー、
フランク・オズ、アレック・ギネス、
ジュリアン・グローヴァー、ケネス・コリー、
マイケル・シェアード、マイケル・カルヴァー、
ジェレミー・ブロック、ジェームズ・アール・ジョーンズ、
クライヴ・レヴィル


◎注1; ジョージ・ルーカスの書いたストーリーを元に脚
本を執筆したリー・ブラケットは、女性Sci-Fi小説家とし
てスタートし映画の脚本家としてもハワード・ホークス
監督作品「三つ数えろ(1946)」「リオ・ブラボー(1959)」
「ハタリ! (1962)」やロバート・アルトマンの「ロング・
グッドバイ(1973)」等で活躍したベテランだったが、初稿
を書き上げた後に1978年に癌で亡くなってしまった。ルー
カスはこの脚本が気に入らず自ら手直しした後に「レイダ
ース/失われたアーク<聖櫃>」の脚本家ローレンス・カス
ダンが最終的に仕上げたという事のようだがキャラクター
描写や台詞にブラケットらしさがあふれているので完全に
ボツにした訳でもなさそうであります...真相は未だに不明
のままなんだけどね。アーヴィン・カーシュナー監督は、
映画とTVの両方で活躍していた実力派の職人監督だったが、
監督としての能力は評価されていたようだがヒット作品に
は恵まれなかった。本作もそういった実力を評価したルー
カスによる抜擢だったようで、彼のキャリアの中でも最高
の演出力を発揮している。「サウス・ダコタの戦い(1976)」
「ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)」「ロボコップ2(19
90)」等、ヒット作の続編やシリーズ物をまかされる事が多
かったのも演出力を評価された結果だったのだろう。本作
は撮影前後のトラブルも多く、前作の特撮を担当したジョ
ン・ダイクストラは本作も担当する予定だったが、ルーカ
スに無断でTVシリーズ「宇宙空母ギャラクティカ」の仕事
を受註しルーカス所有の特撮工房インダストリアル・ライ
ト&マジックのスタッフを投入した事で解雇され法廷闘争
に発展してしまう。ノルウェーの雪原でのロケは猛吹雪に
遭い撮影スタッフや俳優たちが遭難寸前になっているし、
撮影前にマーク・ハミルが自動車事故を起こし顔を怪我し
てしまった事が原因で作品中でもワンパに襲われ顔を怪我
するというストーリーに変更された...キャリー・フィッシ
ャーが色っぽいオネーさんになっていたのも吃驚でしたが。

◎注2; フランク・オズは、20代の頃に人形使いのジム・ヘ
ンソンと出会い「セサミ・ストリート(1969~)」に参加、
クッキーモンスター、グローバー等の操演と声を担当、
「マペット・ショー(1976~1981)」ではミス・ピギー、バ
ート、フォジー等を演じた...ルーク役でマーク・ハミルが
ゲストで登場する「スター・ウォーズ」のパロディではプ
リンセス・レイア=ミス・ピギーを演じています。本作での
ヨーダの演技はホントに素晴らしく観るたびに感心してし
まう。メイキング映像でリハーサルの風景が観られるのだ
が、そこに登場するヨーダはラテックス製の人形でしかな
いが、本番では生きているようにしか観えないのが凄い。
新三部作ではヨーダは大半がCGで描かれているのでフラ
ンク・オズは声のみを担当しているが、CGヨーダからは
本作のような存在感が感じられない。限られた技術でラテ
ックス製の人形に生命を吹き込もうとしたフランク・オズ
や当時のスタッフたちの情熱によってこそ起こせた奇跡な
のだろう。ヨーダに即されたルークが洞窟内でダース・ベ
イダーに出会い切り落とした首のヘルメットの中に自分の
顔を発見するシーンは、黒澤明監督の 「醉いどれ天使(19
48)」で三船敏郎が海岸に漂着した棺桶を開くと中に死んだ
自分を発見するシーンにそっくりでニヤニヤしてしまう。

◎注3; 「特別編」での大きな変更点は、肉食獣ワンパの全
身が登場、当時も原寸大の着ぐるみが製作され撮影もされ
たが動きが最悪だったためボツになっている。新たに製作
された着ぐるみで肉を食べているシーンや腕を切り落とさ
れた姿が撮影され追加された。ホログラム映像で登場する
パルパティーン皇帝は特殊メイクした特撮スタッフが演じ
イギリス人俳優クライヴ・レヴィルが声を担当していたが、
「特別編」では第3作から皇帝役を演じたイアン・マクダー
ミドで新たに撮影したホログラム映像に差し替えられてい
る。ランド・カルリシアン(ビリー・ディー・ウィリアムズ)
が統治するクラウド・シティの外観や内部の情景が大幅にC
Gで修正・加筆がなされ、CGアニメーションで新たに加え
られたシーンも多い。オリジナル版では、マット・アート
の出来が悪くパースがオカシイ場面も多かったし、室内は
窓が少なく閉鎖的な感じで大都市という雰囲気が希薄だっ
た。ラストで、ダース・ベイダーがクラウド・シティから
スーパー・スターデストロイヤー・エグゼキューターにシ
ャトルで帰艦するシーンが加えられているが、俳優やエキ
ストラが登場するドッキング・ベイのシーンは第3作で撮影
された別テイクが使用されている...第3作ではデス・スター
のドッキング・ベイなんだけどね。個人的には、エンディ
ングでルークとレイアがミレニアム・ファルコンで出発す
るランドを見送る時のまったく動かない医療ロボットを修
正して欲しかった...ヨーダなんかもそうだが動かないとた
だの作り物にしか観えないのだよ。


 

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