今週の闇金ウシジマくん/第164話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第164話/楽園くん⑧



G10(ゴト)に連れられて「パラダイスギャラクシアン」にむかう中田。

ゴトは、それっぽいけど、決してイロモノとか、オサレ皇帝たちのギャグ担当とかではなく、人気者らしい。並んで歩く中田は優越感を覚えている。


ふたりはタクシーを拾って六本木へ。驚いたことに運転手はケツアゴ諸星である。100万ボルツカッコイイ。このおはなしがスーパータクシーくんの前か後か、判定はできないが、まあ、あとな気がする。そういえばスーパータクシーくんの最初にも、ものすごい美來にそっくりな女が出てきた。諸星の推測通りなら彼女はホステスということらしいので、ミコがそうなるとはなかなかおもえないから、断定はできないけれども、まあ、こうしたことが物語を立体的にしていることはまちがいない。ちなみに「G」はアルファベットでは七番目にあるので、「G10」もある意味では「710」である。童子じゃないけど。


中田は東京タワーを間近で見てわくわく。どこかの高そうな飲食店に入っていく。

なかでは、先ほど大看板で見かけた中田もファンらしい上原憂という女優が、年収10億、通販サイト「グータラ」の小野社長にもみもみされている。


そこに店を出禁にされている女がやってきて、社長にお金を要求する。



あれ、吉永美代子さん…?

諸星の再登場に便乗して登場ですか。



女はどうしてもお金が必要らしく、鼻水とよだれをたらしながら社長の返事を待たずにイイコトを試みるが、キミノリ似の店長に追い出される。女はマミというらしく、二年前までグラビアアイドルだったそうだ。ちなみに清潔な印象の店長・キクチはゴトと知り合いだ。


ゴトを見つけた社長は「冷たいもの」と「燃やしもの」を10万円ぶんお願いする。ゴトはすぐに携帯電話を取り出して、先週中田が食料を届けた蛇の刺青の男に電話する。

男・飯匙倩(ハブ)は、顔の見えないなにものかを拷問中である。ガムテで固定した指に表情ひとつ変えず金槌を振り下ろしてつぶしている。すごい痛そうだ…。指をつぶされたその誰かの血液で汚れた携帯をとり、ハブはやはり無感動な表情で電話をうける。ゴトがお願いをするとハブはあっさり承諾し、近くにいる子分を行かせるという。ゴトにいわれるままライターを手に外に出た中田は、きわめてさりげなく知らない男にタバコの箱を渡される…。一連のやりとりにたったの一度も麻薬を明示するようなことばや描写がないのが不気味である。手短もいいところのやりとりで“ネタ”を渡してしまうところを見ると、ゴトはパートナーとしてかなりハブからの信頼を得ているようである。あるいは弱みがあるとか…。しかしゴトにはとくべつ萎縮してるとかいう感じはなかったので、たぶん見たまんま、ハブはゴトのカリスマを利用し、ゴトは金をもらってるというところなんだろう。


外に出ていた中田はついでにさきほどの“マミ”をみかけ、ハブの家の前で遭遇した家出少女だと気づく。社長にイイコトをして金をもらおうとしたが失敗したマミは、見たことのある車に近寄り、なかにいる丑嶋におそるおそるその旨を伝え、どこかへ連れていかれる。


もどってきた中田とゴトのところに、店長のキクチがやってくる。キクチは四人のオサレ皇帝の最後のひとりだ。愛想もよく、如才ない感じだが、それだけになにか油断ならないところもあり、つねに勝者側である要領のよいタイプの残酷さが感じられる。


自信がないくせにプライドばかり高い成金。

金のある男を徹底的に利用しようとするハングリーな女。

キクチがいうには、この店はそうした需要と供給のバランスをとる潤滑油みたいなもんだそうだ。



「U。


この店でどんどん顔売っチャイナ。


サクセスの近道へアクセスだポォ~」




つづく。




第158話、楽園くん②で中田はこんなふうに言っていた。



「“オサレ皇帝”になればこの街で有名になれる!


顔が利く人間はオサレ女が寄ってくる」


「若くてキレイな女に金持ちも有名人も群がってくる。


金持ちと有名人と仲良くなれば旨い話にありつける」


「なんの取り柄もねェーオレのサクセスはそれしかねェーんだ!!」



これが、中田のあたまのなかにある“サクセス・ストーリー”だ。

オサレ皇帝になることがサクセスへの方途でしかないのが、意外なところだった。

そしてこの中田の涙混じりの咆哮を耳にしたことではじめて、「オーラ出てる」と、ゴトは彼に目をつけたのだった。


じっさい、今週ゴトが中田に見せたものは、ほとんど中田が夢想していたストーリーそのままという感じである。顔が利くオサレ皇帝の店、キレイな女がいて、金持ちや有名人がうろついている。

ただ、うえの考え方でもっとも甘いのは、やはり「旨い話」云々のおしまいのぶぶんだろうか。このストーリーでは、キレイな女を介して金持ちたちと知り合うことで、そうしたはなしにありつけるということになっている。もちろんそんなふうにうまくはいきません。中田の「サクセス」が厳密になにをさすのかはよくわからないが、金持ちの知り合いがすべて金持ちなら、六次の隔たり を持ち出すまでもなく世界中の人間は金持ちということになり、この世から金持ちはいなくなる。ウシジマ・ワールドならなおさらだ。



あのヤクの売人は「ハブ」でしたか。物語の構造的必然から蛇系の名前だろうとはおもっていましたけれど、じつはすでに肉蝮という、悪夢の住人的なキャラが「ウシジマ」には登場している。しかし、今回のハブもなんだかすごい。ヤンキーくん編の愛沢はトラックにダイブする直前、丑嶋と滑皮を「別世界の人間」としていたけど、なにか彼らとおなじ気配すら感じられる。



明日は闇金ウシジマくん⑮巻が発売されるそう。

テレクラくんの考察は、例によって単行本を手に入れ次第、テレクラくんの感想カテゴリで更新します。といっても、これもまたいろいろ考えつくしている感じがあるので、ほとんど内容のないものになるとおもうけど。



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