○まとめ
1.概要
トヨタでは報告の際、会議の際にA4やA3で1枚のまとめを用意している。多忙を極める上司や上役に物事を伝えるためには、できる限り内容をまとめ短い時間で内容を把握してもらう必要がある。
1枚にまとめるメリットは非常に大きい。1つ目は1目で全体を見渡す事が出来るため内容を把握しやすい事。2つ目は必要な内容を吟味するため、内容が深くなりやすく、相手に論点が伝わりやすい事。ときには自分がいなくても仕事が進む事もあり、情報の共有も行いやすい。3つ目は、1枚の報告書のテンプレートを作っておく事で、自分の説明の流れがパターン化され一貫性のある順序立てをしやすく、自分では考え方が整理され、周囲にも考えを理解してもらいやすくなる。
2.1枚報告書
1枚報告書のテンプレート例は、①背景or前提or目的、②現状or概要、③課題、④対策、⑤スケジュールの5つに分け、各々の下に空欄のフレームを作る。フレームを作る事で、そこに目がいきやすくなるし、埋めようという意識が生まれる。
3.エクセル1
1枚に報告書をまとめるためには、頭の中が十分整理されている必要がある。そこで頭の中を整理するためにエクセルの様な表を活用する事を勧めている。8、16、32マス程度のマスを作成し、左上にテーマと日付を書く。その後はそのテーマに沿ったキーワードをひたすら埋めて行く。8マスで1分、16マスで2分、32マスで5分が目安。時間制限を設けるのは、手軽に頭の中を整理するためのものなので時間がかかってしまっては本末転倒だからである。キーワードを書き終わったら、そこから取捨選択に入る。1番重要な物を見つけたい場合は、必要ないものに×を、いくつか順序を付けたい場合は順番を付けていけばよい。枠とテーマは緑、キーワードは青、○×は赤とペンの色を変える事で分かりやすくなる。手書きの方が頭が整理されやすいためお勧めである。
4.ロジック3
頭の整理、報告書の作成が終われば人に伝える方法を身につける。人に分かりやすく物事を伝えるためには、「一言でいうとどうか?」と考えるとよい。そしてその一言から連想できる質問に対して答える事ができるようにする方法で考えるようにする。
ここでもエクセル1を応用した表の作成をする。16マスの表を使用し、1番上に日付とテーマその右と下2マスを使って、そのテーマを一言で説明する。残りのマスは4マスごとに分解し、1マスに想定される質問、3マスにそれに対する回答を書き込む。質問はなぜ、なに、どうやって、の3つを中心に考えると分かりやすい。
○評価
1.本を選んだ理由
人への物の伝え方が上手くないため、改善するために読んだ。選んだ理由は、トヨタの社員はやっているうたい文句があったため。
2.評価(各5段階、30点満点)
項目 |
説明 |
点数 |
目的との合致度 |
目的と合致しているほど高い |
3 |
わかりやすさ |
わかりやすいほど高い |
5 |
内容の質 |
質が高いほど高い |
3 |
内容の量 |
量が多いほど高い |
2 |
所要時間 |
所要時間が短いほど高い |
5 |
専門性 |
専門性が高いほど高い |
1 |
合計 |
|
19 |
3.感想
3つの方法論に話が終始していることから非常に分かりやすい。言っている内容も誰もが実践可能で、すぐ取り組める内容となっており、学ぶべきところはあった。テンプレートを作る事で、考える時間を減らして効率化をするという考えは持つ方が良いだろうと感じた。これはこれから実践して行きたいし、色々な物事に応用して行きたいと思う。
全体のページ数も少なくあっと言う間に読み終わるのだが、まとめてみればそれ以上に短くまとまるほどで、量については物足りない。
本筋とはあまり関係ないが、トヨタの社員は皆やっている…と言う触れ込みは、逆を言うとそういった触れ込みが無いと売れないという自信のなさや、本人の実力では勝負ができないと考えている様に感じてしまい、あまり印象は良くない。本の中に出て来る著者の成功体験も余計である。
4.学んだ事
(1)上司は多忙であり、時間が無いと考える必要がある。
(2)紙に1枚でまとめるという目標をたてる事で内容を凝縮させる。
(3)自分だけの1枚のテンプレートを作る。
(4)1枚報告書、エクセル1、ロジック3