ギャラリーエークワッドで「イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン」を観てきました。イームズといえば、イームズハウスとイームズチェアです。ともにアメリカ的です。イームズのデザインは、日本にも大きな影響を与えました。
展覧会場入口
展覧会場風景
イームズハウス
ケース・スタディ・ハウス#8
竣工年:1949年
建築家:チャールズ&レイ・イームズ夫妻
所在地:ロサンゼルス、パシフィックパリセーズ
規模:約140㎡(住宅棟)+約93㎡(スタジオ棟)
1945年、「アーツ&アーキテクチュア」誌の編集長だったジョン・エンテンザの依頼を受けて、チャールズ・イームズはエーロ・サーリネンとともにこの家の設計を開始した。同誌が主催した「ケース・スタディ・ハウス」企画は、1966年まで継続され、新しい暮らし方を提案するモダン住宅25軒が実現し、イームズハウスはその内の一つである。イームズとサーリネンは、ロサンゼルスのパシフィックパリセーズ地区の丘の上の広大な敷地に、太平洋を一望するL字型配置の住宅兼スタジオ「ブリッジハウス」を計画し、その隣の敷地にケース・スタディ・ハウス#9(編集長エンテンザ邸)を設計した。当初はキャンチレバー(片持ち梁)で丘から張り出す計画だったが、1947年(この頃にはサーリネンは設計から手を引いていた)には、イームズ夫妻が計画を見直し、周囲の環境を有効に使う目的で、ユーカリに寄り添うように直方体を直列に並べた案に変更した。イームズハウスは、夫妻が実際に住むことによって新しい暮らしの姿を浮かび上がらせ、コンセプトが明確化され、住宅建築の可能性を拡大した。1958年に夫妻は、カリフォルニア州ベニス(ワシントン通り901)に仕事場を移した。その時から1988年まで(レイが亡くなるまで)夫妻が暮らしていたそのままの状態が現在も保存されている。本展ではこの状態を基に再現している。
イームズハウス:模型
イームズハウス:平面図、断面図
イームズチェア
戦時中にレッグ・スプリント(添え木)や軍用グライダー部品の製造などを通して培われた成型合板の加工技術が、戦後になって家具に応用された。もともと椅子の背と座の一体成型をめざしていたイームズだが、「背と座を切り分ける」ことに立ち返りこの椅子が生まれた。成型合板とゴム製のショックマウントを用いて、大量生産が実現した。背の高いDCW(ダイニング・チェア・ウツド)や、脚が金属製のものなどバリエーションがある。
このチェアに特徴的な成型合板のパーツを組み合わせた構造は、1945~46年頃にすでに実験がなされていたが、10年の時間を経てラウンジチェア&オットマンとして結実した。組み立て式になっており、その様子がPR映像で紹介されている。それまでの大量生産・低価格をめざした家具から、初めて上流層をターゲットにしたデザインを発表した。日本での愛好者も多く、建築家の清家清は自邸「続私の家」に置いて、ゆったりとした時間を過ごしていた。
イームズと日本
「ギャラリーエークワッド」ホームページ
http://www.a-quad.jp/index.html
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