ギャラリーエークワッドで「marimekko SPIRIT マリメッコの暮らしぶり」を観た! | とんとん・にっき

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「マリメッコの暮らしぶり」チラシ

ギャラリーエークワッドで「marimekko SPIRIT マリメッコの暮らしぶり」を観てきました。

「marimekko SPIRIT マリメッコの暮らしぶり」
会期:2017年12月15日(金)~2018年2月28日(水)
会場:ギャラリーエークワッド(東京都江東区新砂1-1-1)

会場案内図
左から「茶室」、「ファブリックの森」、「サウナ」

「ファブリックの空」
竹中工務店東京本店1階エントランスホール

ファブリック一覧

ファブリックの「森」



 

 
茶室「真理庵」





「サウナ」
 



「marimekko SPIRIT マリメッコの暮らしぶり」
フィンランドを代表するブランド「マリメッコ(Marimekko)」は、1951年にアルミ・ラティア(Armi Ratia)により創設されました。社名の「マリメッコ」は「マリーのためのドレス」という意味です。当時のフィンランドは第二次世界大戦で国土と経済は荒廃し、国民の経済は困難を極めていました。まだ、女性の起業家も少ない時代でしたが、彼女は、そのような状況を打開すべく、生活をデザインの力で豊かにしたいという思いで「マリメッコ」を始めたことは意外に知られていません。彼女は「マリキュラ(Marikyla)」と名付けられた芸術村を構想し、工場や従業員の住宅を計画しました。その中で人々は生活し、生きる糧を得るために「マリメッコ」をデザインし、生産しました。創業当初からデザインを担当したマイヤ・イソラ(Maija Isola)は、極めてカラフルなデザインを提案し、フィンランドという北欧の文化風土にショックにも近い印象を残しました。どちらかというと、自然豊かな優しいアースカラーのデザインが主体だったフィンランドにとって180度の転換といえます。デザインのモチーフは彼らを取り巻く自然の中の「かたち」からヒントを得たものが多いのも特徴といえます。その表現やモチーフは、自然をリソースした日本のデザインと共通するものがあるのではないかと思います。マイヤ・イソラの活躍の後も、ヴォッコ・エスコリン-ヌルメスニエミ(Vuokko Eskolin-Nurmesniemi)等、多くのデザイナーが育っていきますが、その中には日本人デザイナーのフジオ・イシモト(石本藤雄)の存在もありました。
また、フィンランドにはサウナというライフスタイルに欠かせない文化があります。健康に一生を過ごすための生活習慣ですが、人と人が裸になり対等に向き合える空間は、しばしば外交の舞台としても使われています。日本の茶の湯の歴史を紐解くと、「淋汗茶の湯」というおもてなしがあり、茶事の前に身体を清めていただくという作法がありました。その当時の風呂は、お湯につかるというスタイルではなく、湯気を浴びるというサウナに近いスタイルであったようです。茶室は亭主と客とが直に心を通い合わせ、「おもてなしの心」や「詫び」「さび」文化を感じるいわば日本の文化が凝縮された場所ともいえます。今回の展覧会では、日本初の茶室文化とマリメッコのデザインを向かい合わせてみたいと思います。マリメッコデザインの持つ、「パターン」「カラー」「かたち」と日本の茶室空間を掛け合わせる試みです。
マリメッコは、フィンランド人のみならず、世界中の人々に支持され、布地だけでなくグラスウェアあるいは家具などに活動範囲を広げてきました。それは単に身に付けるファッションアイテムという枠を超えて、真に生活を豊かにするデザインの力を信じ追求したアルミ・ラティアの志にあったことと思います。今回の展覧会を通じて、彼らが目指した「理想の住まいの在り方」やデザインの力を再確認し、未来に求められるデザインとは何かを考える機会になればと思います。

「ギャラリーエークワッド」

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