ギャラリーエークワッド「アイノ・アールト アルヴァ・アールトと歩んだ25年」を観た! | とんとん・にっき

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ギャラリーエークワッドで開催されている「アイノ・アールト アルヴァ・アールトと歩んだ25年」を観てきました。ギャラリーエークワッドは、東京メトロ東西線「東陽町駅」下車、歩いて5分ほどの所にある、竹中工務店東京本店の1階にあります。


AINO AALTO(アイノ・アールト) Architect and Designer
―Alvar Aaltoと歩んだ25年―
2016.8.12 fri – 2016.10.31 mon 土日・祝日及び8/15〜8/19休館
開館時間 10時〜18時(最終日は〜17時)

入場無料



建築家アルヴァ・アールトはあまりにも有名ですが、妻でありパートナーでもあったアイノ・アールトの仕事はあまり知られていません。アイノは、アルヴァの作品に使いやすく心地よいという「暮らしを大切にする」視線を加え、空間に柔らかさや優しさが生まれたと言われています。彼女は夫や仲間と共にArtekを立ち上げ、デザインに優れ使いやすい家具やグラスウェアやファブリックなどのプロダクトデザインを多く手がけました。彼女の生き方から現代の私たちへの暮らしへのヒントが得られるかもしれません。


Aino Aalto(アイノ・アールト1894-1949):

建築家アルヴァ・アールトの妻としてアルヴァを支え、建築家、インテリアデザイナー、企業家、写真家として、アールトとともにフィンランドの建築界をリードした。アイノはヘルシンキ工科大学卒業後、建築事務所勤務を経て、アルヴァ・アールトの事務所で働き始める。その6か月後にアルヴァと結婚。以来25年間のアルヴァとの協働作業が始まる。几帳面で実直な彼女は、奔放で行動的なアルヴァを支え、建築図面のほとんどを彼女がとりまとめたという。彼女の能力は建築設計にとどまらず、家具のデザインや食器、ファブリックにも発展し、その才能を発揮する。インタリアデザインの代表作としては「ヴィラ マイレア/1939」「レストラン サヴォイ/1937」がある。また、「パイミオ サナトリウム/1933」や「子どものための家具/1929」では家具デザイナーとしての才能を開花させている。1935年、彼女は夫アルヴァと資産家であるマイレア邸のクライアント、マイレ・グリクセン、美術批評家のニルス=グスタフ・ハールとともにArtek(アルテック)家具メーカーを創立する。アルテック設立はアイノのキャリアをさらに飛躍させる最も重要な転機でもあった。アルテックが現在まで引き継いできた品質の伝統は、彼女の力によるところも極めて大きい。ガラス器「ボルゲブリック」は1936年のミラノ・トリエンナーレでゴールドメダルを受賞している。これに関連してアイノがデザインしたフィンランド館の会場構成もグランプリを受賞している。










「アイノ・アールト アルヴァ・アールトと歩んだ25年」
アイノ・マルシオ(後のアイノ・アールト1894~1949)が、まだ無名の建築家アルヴァ・アールトの事務所を訪ねたのは1924年(当時30歳)のことでした。この時から、彼との長いパートナー関係が始まります。彼女が加わったことで、アルヴァの作品は使いやすく心地よいという「暮らしを大切にする」視線が加わり、空間に柔らかさや優しさが生まれたといわれています。そのことが、彼を世界的建築家の道へと歩ませたといっても過言ではありません。彼の作品が、理屈や理論主義的主張が際立つ近代建築の中で、特異な位置を占めるのはアイノの影響が大きかったことは確かでしょう。

1932年、まだ国際的な名声を得る前のアルヴァ・アールトは、あるデザインコンペで妻のアイノに敗北を喫しています。その時の作品「ボルゲブリック」はミラノ・トリエンナーレでもゴールドメダルを得ています。二人は互いの才能を認め合い、影響しあい、補完しながら本当のパートナーとして作品をつくり続けました。

彼女は「日常生活こそデザインされなければならない」という信念のもとに、家具や照明器具、食器やクロスなど多くのデザインを手掛けています。小さな子供のグラスは滑らないように、しかも美しくデザインしました。従って、実用的で簡潔で、しかも安く大量生産ができ、一般大衆も手に入れることができることを目指しました。この考えは1930年代の精神に合致し多くの賛同者を得、モダニズムデザインの本流となり、現代にまで引き継がれています。アイノがアルヴァらと設立した“Artek(アルテック)”も日常生活を豊かにするための家具や照明器具などを作ることが目的でした。シンプルでオーガニックなデザインは、今日でもなお多くの人々の賛同を得ているといえます。また、アイノは写真家としても作品を残しています。身近な被写体を通してその中に潜む本質を見事に引き出している視座は、彼女の非凡さを垣間見せてくれます。

今回の展覧会で、建築家・デザイナー・フォトグラファーとしてのAino Aalto(アイノ・アールト)の生涯を俯瞰するとともに、アルヴァ・アールトの妻として、母としての素顔にも触れたいと考えています。彼女の生きた時代はまさに戦争の世記でした。祖国でもあるフィンランドは、大国ソ連とヒトラーのナチスに挟まれ、資源にも恵まれず決して豊かな国とはいえませんでしたが、その中で本当の豊かさを追い求めた彼女の生きざまは現代の私たちの暮らしにもヒントを与えてくれるものと思います。


「ギャラリーエークワッド」ホームページ   


aino 書 名=Aino Aalto アイノ・アールト
監 修=アルヴァ・アールト財団、
    アルヴァ・アールト博物館
編 集=ウッラ・キンヌネン
定 価=本体3, 800円+税
発行日=2016年7月20日






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手持ちのアールト関連の図書


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「アルヴァ・アアルト」

発行:昭和44年3月5日第1版

著者:武藤章

発行所:鹿島研究所出版会

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「ALVAR AALTO」

Band Ⅱ 1963-1970

Les Editions dArchitecture Artemis Zurich




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「ALVAR AALTO」

アルヴァ・アアルト作品集

第1巻

1979年8月7日発行
第2巻

1979年6月26日発行
第3巻

1979年5月28日発行

編:エリサ・アアルト

  カール・フライク

訳:武藤章

発行者:二川幸夫

発行:A.D.A.EDITA

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「アルヴァー・アールト 1898-1976」

20世紀モダニズムの人間主義

展覧会カタログ

会期:1998年12月19日(土)~1999年2月15日(月)

編集:セゾン美術館/デルファイ研究所

発行・発売:デルファイ研究所

発行日:1998年12月15日