「坂倉準三/前川國男/木造モダニズム展」を観る! | とんとん・にっき

「坂倉準三/前川國男/木造モダニズム展」を観る!


take10


竹中工務店東京本店ABホールで開催されている「坂倉準三/前川國男/木造モダニズム展」を観てきました。竹中工務店の東京本店は、ここへ移る前は汐留の自社ビルにありましたが、その前は神田美土代町の天理ビルにありました。現在の本店は駅で言えば東陽町、住所は江東区新砂にあります。少しずつ「都落ち」のようにも見えますが、もともと砂町は建設会社の「工作所」、重機や資材置き場のあったところ、地下鉄など交通の便がよくなって新しい土地利用でビルが建ち始めました。あまり一般うけしない「GALLERY A4 (ギャラリーエークワッド)」という名の組織、というか団体が企画し主催しています。大成建設で言えば「ギャルリー・タイセイ」、TOTOで言えば「ギャラリー間」のようなものでしょうが、後発なのであまり知られていません。


今回の「坂倉準三/前川國男/木造モダニズム展」、副題は「昭和初期の住宅にみるものづくりの記憶」とあります。「木造モダニズム展」、あまり聞き慣れない言葉ですが、藤森照信の命名か、レーモンド、前川國男、土浦亀城、坂倉準三、丹下健三、吉村順三などが手がけた、木で作ったモダニズム建築をさしています。世界的には1920年以降のモダニズム建築は鉄筋コンクリートや鉄骨で作られていましたが、日本だけは木造で作られていました。一つには工事費の関係、当時は鉄筋コンクリートや鉄骨は高価でした。もう一つは木造という構造のなかにモダニズム建築の神髄を見出していたことによります。前川國男と坂倉準三はル・コルビュジエで学んだ兄弟弟子です。それぞれ日本の近代建築をリードした建築家ですが、僅かですが住宅も設計しています。



坂倉準三の「今泉篤男邸(旧飯箸邸)は、世田谷の等々力につい最近まであったというが、解体され軽井沢信濃追分へ移設され、フレンチレストランとして使われているという。僕はあまり詳しくは知りませんでした。当初は文化遺産として世田谷区内で移築先を探していたようですが、「せたがや街並保存再生の会」が重要な役割を果たしたようです。「旧飯箸邸記録と保存の会」は坂倉事務所の元所員藤木隆明さんがコーディネーターを務め、坂倉事務所の協力で図面化したようです。前川國男の「前川邸」、元もと品川にあった前川自邸が解体され、たしか前川の軽井沢の別荘に保管されていたのを藤森照信が聞き付けて、「江戸東京たてもの園」に移設したものです。それぞれの図面や写真、そして模型と、坂倉、前川のデザインした、やや無骨な椅子が展示してありました。共に木造住宅としては異常に大きな開口部にコルビュジエ(あるいはレーモンド)直伝の特徴があります。


坂倉事務所の番頭さんで、大阪事務所の西澤文隆の「飯箸邸」のコメント(西澤の後の飯箸邸の担当者、後に観光企画設計者を起こした駒田知彦のコメントも)、今回抜粋したものが展示してありましたがこれが興味深く読みました。初めはバタフライ屋根で計画していたことなど、雑誌「建築」に載っていたのを読んだことがあります。(坂倉さんが大阪事務所のお金を東京事務所に持って行ったなどを西澤がぼやいていた、と言うようなことまで赤裸々に書かれていましたが)









take3

いただいた小冊子(志を入れる)、藤森照信の「木造モダニズム」の解説や年譜、坂倉準三、前川國男の経歴、そして「飯箸邸」と「前川邸」の詳細な解説が載っています。興味を引いたのは「同時代のモダニズム建築10選」でした。東京江戸博物館の米山勇の解説があります。




GALLERY A4


過去の関連記事:
竹中工務店東京本店
「100人の東京駅」展を観る!


神奈川県立近代美術館・鎌倉館
神奈川県立近代美術館・鎌倉
「前川国男建築展」を見た!
「前川国男邸」について