量子コンピュータの話 | 凝り性 勝之進のこだわり日記

凝り性 勝之進のこだわり日記

★Livin' On A Prayer★Once upon a time Not so long ago・・・ 
 

10月になりました。
 
近々、ある方と宴会に行く予定が
あるのですが、そのお相手は、
大学時代、量子力学を専攻されて
いました。

実は、システム部門にいた勝之進は、
量子コンピュータと量子暗号に
関心があって、かねてより
実用化動向をフォローしてきました。

そこで、宴会に備えて、最新の
量子コンピュータ事情について
アップデートしたいと思います。

今回は個人的な備忘録ですので、
無理な方はスキップして頂いて結構です

◆NISQとは
Noisy Intermediate-Scale Quantumの略。
いわゆる「ノイズ」がある量子コンピュータ。

計算過程で生じる誤りを訂正できず、
実用的な問題が解けない。

◆FTQCとは
Fault-Tolerant Quantum Computerの略。
「誤り耐性量子コンピュータ」のこと。

量子計算上の誤りを訂正する仕組みを持つ
量子コンピュータ。

◆量子コンピュータの基本原理
「量子重ね合わせ」と「量子もつれ」
を利用する。

「量子重ね合わせ」とは、
1つの量子ビットで
0と1を同時に表現できる性質。

「量子もつれ」は2つ以上の量子ビットが
相互に関連した状態をいい、
1つの量子ビットを「観測」すると、
他の量子ビットの状態も即座に
確定する性質。

◆量子ビットの誤りとは
計算中の量子が、温度など、
環境の影響を受けて、
計算を誤ってしまうこと。

FTQCは、冗長構成を組み、
多数の量子ビットで計算することで
エラーを検出し、

誤った量子ビット以外の量子ビットを使って、
誤りを補正・訂正することを目指している。

◆FTQCの実現に必要な量子ビット数は?
NISQは数百ビット。
FTQCは数百万ビットが必要。
FTQCの実用化は2030年
と予測されている。

◆EarlyーFTQCとは
数千から数万の量子ビットを扱うコンピュータ。
現在の研究では、1000個あれば、
エラー率はかなり下がることが判明している。

◆量子コンピュータの方式
初期は「量子ゲート方式」、
その後に登場したのが「超電導方式」。

最近の研究において有望な方式として
「冷却原子方式」「光方式」
「イオントラップ方式」「シリコン方式」
などがある。

◆超電導方式とは
「ジョセフソン接合」という超電導状態
の回路の中に電流を流し、2量子ビット間で
コヒーレンス状態を作り出す方式。

ただし、コヒーレンス状態をキープできる
時間はミリ秒単位といわれている。

◆冷却原子方式とは
真空中に浮かぶ「ルビジウム原子」を
量子ビットとして使い。冷却して
制御する方式。

因みに、ルビジウムは原子番号37、
元素記号Rb、
原子核は2,8,18,8,1の元素。

冷却原子方式の仕組みは以下の通り。

①Rb原子にレーザー光を当てて
運動エネルギーを奪い、冷却して
超低温にする。

②「光ピンセット」と呼ばれる
特殊レーザー光を当てて、
原子を格子状に並べる

③格子状の原子に、
別のレーザー光を当てて
原子を励起(れいき)状態にする。

励起とは、原子核の周りを回る安定的な
基底状態の電子にエネルギーを与えて、
外側の軌道に移動させることを指す。

原子核と電子の励起状態と基底状態が
「重ね合わせ状態」となる。

④この状態の原子を、再度、
光ピンセットでつまみ、
6.5ナノ秒で、量子ビット間の距離を
2.5マイクロメートルまで近づける。

⑤ここで、超高速パルスレーザーを
照射すると、量子ビット間に「量子もつれ」
が発生する。これを「リュードベリ状態」
という。

⑥ここに「近共鳴光(エネルギーを与えて
量子が何度も共鳴する状態を作る光)」
を当てると、格子状にもつれあった量子が、
光を放って一斉に確定するため、
これを写真に撮影する。
その画像が計算結果となる。

冷却原子方式は、レーザー光で超低温を
作るため、室温で動作する。

超電導方式は超低温を作り出す冷凍装置が
必要となるため、それと比べると、
冷却原子方式の方が、コストが安く済む
メリットがある。

また、同方式は、コヒーレンス時間を
1秒以上にすることもできるうえ、

さらに、格子状の量子ビット処理が
できることから、計算量を増やせる
拡張性が高く、有望な方法といわれている。

推進の中心は、
分子化学研究所の大森研究室と
米国クエラ・コンピューティング社。

(格子のイメージ画像)
(家にあったコースターです)

◆光方式とは
既述の冷却電子方式とは全く違い、
「光子」を0と1として使う方式。

光方式の中にも様々な分類があるが、
有望な方法として、
「クラスター状態」と呼ばれる
「複数の光パルスの量子もつれ状態」
を作り出して計算を行う方式がある。

この方式を研究している東大の
武田研究室の説明では

「量子ビットの情報を乗せた多数の
光パルスを時間的に一列に並べ、
大きなループ(情報を蓄えるメモリ
の役割)の中に閉じ込めた上で、

その中に1個の計算回路
(光量子プロセッサ)を組み込む
というアイデアである」

と書いてありましたが、
勝之進の理解が及ばず、
今日はここでギブアップです。

またの機会に解明を試みます。

◆最後にリュードベリについて
書いておきます。

リュードベリとは、
ヨハネス・リュードベリ
(1854~1919)という
スウェーデンの物理学者の名前が
由来です。

励起状態の原子のスペクトル波長が
整数の組み合わせで表わされることを
発見したことで知られています。

さすがに難しくて頭が疲れたので、
今日はここまでにします。

    不確定性原理は深遠だ。。。勝之進