議長:それでは議題を再開したいと思います。先ほど、8800形が最新技術が導入されているから乗客にとっても快適である、という旨の発言がありました。
技術の向上とともに、快適性が向上されるのは言うまでもありません。そういう部分では旧車両は勝てません。
しかし、スムーズな発車、静かな運転といったところが乗客ははたして気づいているのか?
むしろ、昔の車両に郷愁を感じている利用者の方が多いのではないかと思うのです。
そうした点も含めて、都電荒川線が今後、乗客を増やすにあたってどうしたらいいのか? 車両の立場から発言をお願いいたします。
7022形:乗客を増やす工夫つったって、車両がよくなったからといって乗客が増えるわけじゃねえって。沿線人口は伸び悩んでいるし、そもそも車両目的で乗るのなんて、マニアぐらいだわ。
8800形:先ほどは利用者の利便性について熱くなってしまいましたが、確かに7022形さんの言う通りです。私も今年デビューしたばかりですが、お披露目の日はたくさんのファンが詰めかけましたが、翌日からは平穏な日に戻ってしまいました。
6000形:一日で戻ってしまったのかい? 古い車両が復活運転するとなったら、フィーバーは一週間ぐらい続くもんだよ。やっぱり、新しい車両はだらしがないな。
9002形:古い車両だから人気があるという説には反対しかねます。私の場合、ヘッドマークを工夫したり努力すれば、それを撮りに来るマニアさんもいます。努力なしでは人は呼べんのです。
7000形:そうはいっても、おたくらは貸し切り車両には不向きな構造になっているじゃないか。便利になるのは結構なことだが、仕業ダイヤにも配慮してほしいものですな。
7500形:そうそう、しかもラッピング広告もない。交通局の収入に貢献していないじゃないですか!
8500形:そうした目先の金を負うことで、路面電車の持つ都市効果を失ってしまうこともあるんだよ。景観にも配慮した公共交通、それが路面電車だろ? だから、路面電車にラッピング広告は似つかわしくない。
9001形:まさに、その通りです。伊予鉄さんも、ラッピング車両を導入しない方針というじゃないですか。そういうなんでもかんでも金ではなく、もっと大事なものを守る姿勢は見習うべきところがあると思いますよ。
議長:なるほど。公共交通はあくまで利益優先ではなく、市民の脚としての役割が優先ということですね。
8800形:そう、だから私のような高齢者にも優しく、静かに走る車両が乗客に求められるのです。
7000形:そうはいっても、お金がないことには都電を廃止せよという世論が、また出てきてしまうかもしれないじゃないか? 石原都知事が都電好きなんて聞いたことがないからな。
7500形:あの人は新しいモノ好きだからなぁ。路面電車なんて旧時代の遺物と思っているかもしれん。
9001形:だからこそ、新しい車両をアピールしなければならないんですよ。
8800形:異議なし!
議長:う~ん、なんだかまとまりがつかなくなってきてしまいました。でも、これだけ活発な議論が出てくるようなら、まだまだ都電は安泰な気がします。古い車両の復活、そして8800形に次ぐ新型車両。こうして都電が盛り上がれば、新路線の建設や現在の路線の延伸なんて話も出てくるかもしれません。
そのときを夢見て、みなさん、これからも都電荒川線を支えて、頑張ってください!
(おわり)