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終了報告 その他

4/18 ヨコハマ快晴 実に気持ちのよい日です.いいね.

写真はネック交換、サドル交換調整作業が終了した大阪のIさんのフェンダー製ストラトです.
70'sのストラトらしさも残しつつ、ずっとバランスしたサウンドに仕上がっています.更にバランスさせるにはポールピースのG線が高いままの現オリジナルPU からtmp 製への交換をお勧めします.

Iさん、お待たせを致しました.到着希望日時をお知らせ下さいませ.お待ち致しております.

もう1枚の写真は驚くなかれ、1937年カラマズー工場で製作された正真正銘のギブソン製ヴィオラです.詳しい事は定かではありませんが世界に数十本しか現存しないそうです.
無骨な作りは明らかにギブソンの職人の手作業だという事が見て取れます.でも微笑んでしまう自分が居ます.確かにギブソンの職人さんの仕事だわ、と.
あのレスポールが誕生する20年近くも前に製作された貴重な楽器ですしね.

しかし、ギブソンと言えども古典楽器の世界では存在価値は薄いのです.実際この作りではクラッシックの第一線の世界では通用しないでしょうね.
以前、ヴィオラもやってみようと決心をしたタイミングで、たまたまUSAで売りに出されていたのです「良かったら手元に置いて欲しいんだけど・・」と、このヴィオラに訴え掛けられた様な気がして高値ではありましたが思い切って購入したものです. 「いいよ、側に居なよ」と言う想いです.

暇を見てあえて作り替えをせずに燻煙と調整をして、ワタクシのヴィオラの練習に付き合って貰おうと思っています.  何と言うか、不思議な縁みたいなものを感じています.(^ ^)

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個別報告 大阪のIさん

4/17 ヨコハマ曇り空 雷も少々

な~んだかハッキリしない天気.湿度が高めだから燻煙も塗装も出来ませんね.
今日は午前中いつも通り仕事してから歩くのが不自由な方をボランティアで品川のI先生の治療院までお連れてして、治療が終わるのを待ってから再び工房に舞い戻っての作業.けっこう慌ただしい.

作業自体は大阪のIさんのフェンダーUSAストラトにtmpのSH試作ネックにネックごと交換して、サドルもブロックサドルに変更と言う作業.今週中に仕上げる予定です.

もう1枚の写真は基本的に時間外で作業を進めている最中のヴィオラの作り替え作業で、本日はペグのロケーション変更の為に埋木加工をしておいた状態から新たな設定位置にペグホールの開け直し直前のショット.
このヴィオラのペグロケーションもひとつとしてワタクシの設定と同じものは無いので全て一旦埋木してからの位置変更作業です.各弦の音のコア位置がバラついてバランスしてませんでしたから面倒ですがやり直すしかありません.
このペグロケーションに留まらず様々な設定差を知る為に、年代違い、製作者違いで各項目を確認する為にある程度の本数を入手して確認しているのですが、ペグロケーションも見事に設定がみ~んなバラバラです.同じ楽器で同じ様な弦を張るのに、それではおかしいのです.
例えて言ってみれば、それぞれレスポールモデルなのに設定がみな違うのと同じです。

こうした作業はヴァイオリンでは既に終了しています.
1800年代、1900年代、2000年代、イタリア製、ドイツ製、フランス製、中国製など総数で20本以上に及びます.今では残骸しか残っていないものもあります.現在はヴィオラで同じ事をやっているのです.
数年後に還暦を迎えるのにワタクシに貯金が無いのは全てこんな理由からです.
どーだ、ワイルドだろ~う? (/ω\)いやん

これらの設定の違う個体を出来る限り同じ条件で響き方の特徴をチェックして「これは無いな」「この楽器はG線だけはいい」「これはスクロールヘッド角が強過ぎてオーバーテンションでダメ」「これはまずネックの仕込みが強過ぎ全体定位が上がっちゃってる」など、本当に様々な特徴を掴むのです.

そんな検証を繰り返し、じゃあこの楽器のこの悪い部分はどうすれば解消出来るのかを作り直す事で検証出来ます.
ダメな楽器はダメな楽器なりに「どうして、ダメなのか」と言う事を教えてくれます.
部分的にいい楽器も「なぜその部分だけはいいのか」を教えてくれるのです.
検証をするのもそれを繰り返すのもワタシ、作り替えて検証するのもワタシ、だからその人間には結果的に独自の設定が沈殿物の様に残るのです.しかもトータル的に.もうこの設定以外無いね、って.
勘違いしておる方も多いのですが、楽器製作に一番重要なのは他でもない物理特性です。

一度ストラディバリかグアルネリをバラしてチェックしたいのですが (^ε^) それには数億円の予算が必要なのでコピーモデルでやってます.(ノ゚ο゚)ノ ふ~ん、そうなのか
 
もし実際にその機会があったらワタクシ平気でストラディバリをバラしますよ.
だって、その楽器が何を教えてくれるかが楽しみなだけですもん.(^O^)



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終了報告 その他

4/16 ヨコハマぼんやり晴れてます.

大変お待たせを致しました.写真のAさんご依頼 t.m.p ストラトのスロープヘッド化とブロックサドル交換及び調整作業が無事終了致しました.Aさん、到着希望日時がございましたらご連絡下さいませ.

指に絆創膏を付けているだけでも作業がしずらいです.今日はヴィオラの裏板接合も行なったのですが、ニカワも指だけでなく絆創膏にもまとわり付いて・・このヤロ (-。-;)ちっ

古典楽器をバラしての作り直しでひとつ問題なのが、表板、側板、裏板それぞれがひとつにされていた時点では本体として一体化している為に判りにくいのですが、一旦バラしてしまいますと材は拘束から解放されておのおの変形を始めます.
製作時点で非常に材が安定化していた上に精度の高い加工作業がなされていればそれも少ないのですが、多くの場合は多少なりとも変形は起こります.
このブログで何度も公開しておりますが、トップもバック板も歪みの少ない素直な形状加工にし直せば変形は収まるのですが、側板の変形修正は結構難しいのです.基本的に外周は形状ラインに沿っているだけですが、その垂直面に狂いが出ている場合が多いのです.
それは側板も変形したがっている状態で表板と裏板と接合されているという事ですから、それも内部歪みの一因となっているわけです.

側板を表板と裏板から解放して上げた状態って言うのが本来の側板の自然な姿であるわけですから、その状態で上下の板と接合し直して上げるのが一番側板自体は歪みの無い状態という事になり、表板と裏板にも歪みを与えない状態と言えますのでなるべくその様にしてあげるのがベストですが、形状規格からすれば、そうして組み上げ直した個体の側板は垂直になっていないワケです.
では側板に出ている歪みを削り修正した場合、削った分の厚さに側板幅全体を整えなくてはいけませんから胴厚自体が全体的に薄くなってしまうわけで、それはなるべく避けなくてはいけません.

側板自体を全て作り直すわけにもいかないので、音を最優先させる為に側板の垂直精度に多少の誤差が出てもそれでよしとしています.こうした問題部分の判断も難しいものです.
但し、こうして作り直しされた楽器は無理の無い力配分でバランス出来ておりますので最終的な響きはナチュラルで歪みが少ない個体となります.と言う事は奏者が意図的に強いアタックを架けた場合にはその強さ加減に応じた歪み反応もちゃんとしてくれると言う事なのです.
奏者の意図する強弱に素直に反応する、これもまた非常に重要な要素です. 

ね、本当に奥が深いでしょ? これが現実なんです.

だからこそ、楽器は形だけは皆同じに見えても出音には格差が歴然と存在するのです.
鳴らない楽器、歌わない楽器、それらには必ずそれなりの原因が存在するのです.必ずです.

楽器製作家を目指す若者達、よ~く聞きなさいね. 
キミ達はそーとう面倒な事に首を突っ込もうとしているのだ. 覚悟して掛かりなさいね.o(^ ^)o 

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休日ですが

4/15 日曜のヨコハマ 穏やかに晴れてます.

明後日が、またボランティアでおばあちゃん達のタクシー代わりの外出のお伴なので本日は休日ですが、その埋め合わせに休日ですが仕事をしておりました.

指を切った影響で今日も大事を取って軽量なヴァイオリンとヴィオラの作業と燻煙処理に留めています.
明日からはもうエレキ関係の作業も大丈夫でしょう.

「そんなに何度も作り替えしなくちゃダメなんですか?」ってブログの記事を読んだ方から質問されましたが、失敗だったから作り替えてるのではなくて、正確には意図した検証を行なっているって事です.

古典楽器はご存知の通り、求められるサウンドも楽器の形状も作者の自由さは殆ど無いのようなものです.
新しいジャンルの楽器じゃないですからね.伝統的な響きから外れたら、それだけでもうアウトです.

現代の製作家のワタクシとしては、じゃあ古典楽器のその作りや設定が本当にベストなのか?って話ですが、「いや、そんな事はないぞ」と.

以前に同じ工房で製作された全く同じクオリティの個体を数本購入して1本づつ削り内容を変更して組み上げました.その組み上がったものを同じ弦を張り同じ弓で弾いて、その響きの違いを検証し、その中でベストに近い評価が下せる設定でそれ以降は削りを施していくわけです.

例えば今回掲載した写真では古いヴァイオリンと最近製作されたヴィオラですが、バスバーの作り替えを行なった時のショットですが、多くの場合、バスバーのサイズは余計な質量があり形状も変更する必要があるから行なっているわけです.
バスバー変更はバラさない事には出来ませんからね.写真1、2はヴァイオリンのバスバー作り直し、
写真3がヴィオラの削り修正後のショット.結果的に元とは違う形状処理になっています.

特に t.m.p ではご存知の通り、燻煙処理で材の繊維強度が20%以上上がっています.レスポンスも格段に向上しますが、燻煙前よりも繊維が強くなっている為に楽器自体の質量を下げても強度不足にならないところまでは削り込みが可能だという事でもあるのです.
バランス良く的確な削り修正を行なえば、以前より楽器の質量は下がっているのに強度は高く、楽器が軽くなった分、微妙な振動にも的確に反応しますし音量も上がります.発声量が高まるんですね.

その要因の一部として、従来のバスバー設定は無骨に補強され過ぎている場合が多いんですね.
余分な肉がついている為にブーミーだったり高域側とのバランスが悪くなっているのです.
そうなると燻煙処理を行なった場合、内部の余計な肉付けを落としてあげないと、単に材強度が上がった、反応が良くなった、それだけになってしまうのです.

ギター関係でもそうでしたが「燻煙だけお願いします」とおっしゃる方が出て来ますが、それだけでは更に鳴るようには出来ないのです.様々な要素、設定要因で楽器の出音が複合的に決まっている以上、素材部分だけがクオリティが上がっても設定上の鳴りがバランスよく向上出来るように作り替えなくては非常に勿体ない事になってしまいます.

その為には様々な部分の検証が必要なんです.例えばバスバー設定のベストとは、ヴァイオリンではこう、ヴィオラの場合は・・と言った具合にです.
一旦修正し直して組み上げた楽器をチェックして再度バラしてバスバーに手を加えてまた組み上げて、音を出す、そしてその違いを元に更に手を加える為にまたバラす.また修正して組み上げる、
こうして検証結果を精査して行くのです.
2回やって答えが出ないのなら3回、3回でもよく分からないのなら4回、と.結論が見えるまで終わらないのです.と同時に面倒でもその作業を繰り返しますと単に検証事項のデータがアタマで理解出来たりノウハウを得られるだけでなくて自分の身体もまるでハードディスクレコーダーみたいにその体験を記憶していってくれるのです.
そうしますと、それ以降はいい結果が出ないであろう設定には身体が拒絶するみたいに動かなくなります.要するに、鳴らない設定で楽器を作ったり手を加えたりする事を身体が拒み出すのです.
そしてその逆にベストな設定になるように身体が勝手に作業するって事です.驚きでしょ?

それが楽器職人にとっては何よりも財産であり宝物になるのです.だから何度も何度も自らに検証経験を積ませて自分の中から湧き出す様な純粋なる技術を身につけるのです.そうした経験がこそが自分を更に成長させ、演奏家の方々にとって存在価値の在る技術屋に成長していけるのだと思っています.

だって、ストラディバリもガルネリも優れた製作家だったのは事実でしょうけど、とうの昔に死んじゃった人でしょ? 今や誰のオーダーにも応えられないじゃないですか.もう存在しないのですから.

少なくとも人間は今生きている人が一番価値があるんじゃないでしょうか? 
演奏家の皆さんを感動させるのが我が運命と思ってマツシタは頑張っているのでございますよ.(^~^)

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不覚にも

4/14 ヨコハマ雨降り

気付けば土曜日じゃありませんか.
今日は雨で燻煙も塗装も出来ないのでセットアップ系を済ませようと思っていたのですが、不覚にも鋭い小刀で親指の先を突き刺してしまったので重さの有るエレキ関係の作業は避けました.
AさんのSH化+ブロックサドルへの変更作業を終える予定でしたが誠に申し訳ない.

久々に怪我を負ってしまって恥ずかしいですねえ.昔は今以上に未熟モンでしたからよく刃物で切り傷を負いました.刃物が切れると痛くは無いんです不思議と.その代わりスパッと切り裂かれた肉の間から白い骨が見えたりして.( ̄□ ̄;)

そんな訳で急遽、重さの軽いヴァイオリンとヴィオラの作業に振替.

1900年製のイタリア生まれのヴァイオリンはバスバーも剥がして作り替えの準備.複雑に湾曲したバスバーとトップ板を密着させるのは結構難しいんですよ.ここをうまくやらないとその楽器の低域は間違いなく死にます.
片や、ヴィオラの方もバラして根本的な作り替え作業もだいぶ進み、裏板を接合出来るところまで来ました.深いチェロの響きにしなやかなヴァイオリンの響きを融合させたトーンが t.m.p製のヴィオラに与えたい基本特性です.その為だったら必要な作業は全て行ないます.

しかし、案外、古典楽器達は見た目は格式があるゴージャスなルックスですが、見えない内部の仕上げや精度は今イチなのが多いですね.写真の個体は手を加えまくったから美しく見えますが最初はぜんぜんでしたよ.
それにしても古典楽器達をこんなにも様々な部分を作り替える事になるとは数年前は思っていなかったですね.それこそオリジナリティーなんか入り込む余地なんか無いだろうと思っていましたから.

今ではここまでやって大丈夫?ってくらい新しい要素を入れまくってます.(^o^;)

さっ、ミサイルも海に落ちたし来週も頑張って行きましょう.


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夜間部

4/13 久々の夜間部でございます.

最近、ヴァイオリンやヴィオラを購入した海外の業者さんからメールが度々届く.
オークションでの購入は品質が信用出来ないので、コストは高く付きますが、なるべく古典楽器専門の業者から買うようにしているのです.
たまたまこのショップの品は信用出来そうだなと思って実際届いたものも良かったので頻繁に利用するようになったのですが、
「このジャパニーズはホンマよ~買うてくださるわ」ってな感じなんでしょう、購入する度に「この前買ってくれた1900年のイタリア製のヴァイオリン、どうやった?気に入って貰えた?あの値段はかなりスペシャルやで」みたいなメールが来る.(勿論 関西弁の英語ではない)いっつもビルって男性から.

で、先月そこからヴィオラの弓のそれなりにいいヤツを奮発して購入したら、や~っぱり来た.
「この前送ったヴィオラ用のボウはどうだった? 気に入って貰えた?あれは実にいい買い物だ」みたいな内容. でも一度も返事を返した事が無い.なぜなら・・それは、皆さんはご存知ですよね.

写真のバラッバラになったヴァイオリンが、そのビルのショップから買った1900年イタリア製のストラディバリのコピー.うはは.さすがにバラバラにして作り替えてるとは言えませんしねえ.(^O^)>

だってねえ、実物見たらネックの仕込み角も仕込み高設定も変えなくちゃいけないし、ペグロケーションもこれじゃバランス崩れてるし、表面はきれいなシェイプだけど内側はまだまだ雑だし、ぜ~んぶ削り直し.バスバーだって作り変えなくちゃダメだしね.しかも側板幅がちょっと薄いし.
これじゃあ t.m.p 仕様に作り替える工賃だけでも30万を軽く越えますね.

ワタシがこの製作者の師匠だったら「てめ~仕事なめんじゃねえ顔洗って出直してこい!」みたいに言うかな.ぶはは (^ε^)

まあ、かなり手間が掛かりそうな作業ですが、素材は悪く無いんです.酸性雨にやられてないから材自体が強い.1900年に製作されて日の目を見なかったであろうこの個体を美声で歌えるヴァイオリンに変身させましょう.

明日も晴れるのなら、また燻煙ですなあ~ 

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終了報告 Hさんのストラト

4/13 ヨコハマ晴れ.昨日に引き続き今朝も早くから燻煙処理中.眠い.
寝ぼけ眼で燻煙処理を見守っている最中に北朝鮮のミサイルは発射後すぐに落下した様子。
この騒動の対応でどれだけ我々の税金が使われたんでしょうねえ。困ったもんだ。

写真はHさんご依頼のチューンで、SH化、RHRマウント、PG作製、リヤー座グリ加工、LCV回路を含む再配線処理、ブロックサドルに変更、トレモロフローティング設定加工調整etc 全て終了致しております.Hさん長らくお待たせを致しました.

この個体はご要望によりトレモロのアップダウン調整にて仕上げてあります.
お客様から「シンクロトレモロのアップ時に狂いが生じ易いのはなぜですか?」とのご質問が以前ありました.ここで2枚目の写真をご覧頂きたいのですが、この写真のスクリューがシンクロトレモロをマウントしている6本のスクリューです.

写真でお分かり頂きにくいかもしれませんが、基本的に全体形状は円錐のねじ込みスクリューで丸い頭の部分からネジ山が切っていない部分がありますね.一見ここの部分はストレートに見えますが、やはり頭の下から徐々に径は細く変化していっております. 
t.m.p で採用しているのは幾つもの業者さんにオーダーして一番形状精度が良いものを採用しております.規格品ですから本当はどこに発注しても同じ精度の筈ですが実際には違うんです.芯がブレていたり円柱部分が楕円形上であったり様々なのが実情です.

ここでこのスクリューの形状を考慮に入れてトレモロをアップした場合の事を考えてみて下さい.
トレモロダウンでは徐々に細くなっているスクリューに支えられているのでスムースに下がりますが、反対にアップする場合は徐々に太くなるスクリューに沿って接触部分が移動しますので当然ながら抵抗がダウンの場合より大きいのです.この極僅かな径の違いもアップダウンの双方向では狂いに繋がり易いのです.(勿論他にも様々な要因があってアーミングの狂いが出易いのが実情ですが)
じゃあ、垂直な円柱形状のビスを使えばいいじゃないの、ってお思いでしょうが、そうするとトレモロのシャシーとスクリューの接触部分で上下のガタ付きが出易くなるんです.あくまで接触部分が下に向かって細くなっている為にそこで安定しているからです.

シンプルな構造なんですが弦自体も不安定な要素を含んでますので難しいのが実情ですね.
それにアーム自体が1弦側に取り付けられる為にアームを上下させた場合、まずトレモロ本体の1弦側から先に上がったり下がったりしているのでフラットに動作していないのも調整が難しい理由です.

とは言え、2点支持タイプのトレモロは6点留めのシンクロタイプより動作安定してますが、その構造上音のミッドが痩せます.2点支持のスクリューが両サイドの1、6弦に離れて支えていますのでその傾向が出易いのです.6点留め構造のシンクロは各弦に対してスクリューが支えていますので2点支持タイプよりも音痩せが少なくダイナミクスが出易いのです.
基本シンクロはヴィブラートトレモロ効果の為のシステムという事をお忘れなく.

まあ、答えとしましては大雑把にはこんな感じです.

Hさん、ご希望の到着日時がございましたらお知らせ下さいませ.
明日はAさんのストラトのセットアップを予定しております.
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見切った感あり

4/12 ヨコハマ晴れ 少し湿度が高めです.

貴重な晴天ですので今日は全てを塗装関係の作業に集中致しました.吐きそうになるくらい吹きました.

その他チューンナップやセットアップの上がり待ちの皆さんには申し訳ない.t.m.p の作業は基本、天候次第なのでお許しを.m(_ _ )//

その他では燻煙処理も並行して行なっています.昨晩から早朝には、あらたなヴァイオリンとヴィオラの作り替えで集中しまくり.今回初めてヴィオラの作り替えを行ないましたが、既に見切った感がありました.いつの間にか古典楽器に対しても今までに無かった感性や感覚、そして判断力が備わった気がします.迷いが無くなりましたね.
散々投資してヴァイオリンやヴィオラを入手しバラしては作り替えての繰り返しでしたが、その甲斐はどうやら有った様です.

その代わりそんな集中作業時には足下に甘えて来る飼い猫ですら邪魔なくらいです.

ワタクシは基本一人で作業する環境下でなくてはダメな人間なのでしょうね.誰かが側に居るだけで気遣いしちゃって疲れちゃうんですよね.製作中はそのエネルギー消費が勿体なくて.( ̄ー☆

う~ん、そー言えば、昨年生まれた孫にもまだ誕生以来2回しか会ってませんねえ.
我が子も我が孫も楽器も同じ愛情感覚なんですよね.困った事に.(;^_^A

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内部歪みって?

4/11 ヨコハマ雨 風も強め

またしても天候が崩れました.風も舞って春の嵐っぽい日です.

現在進行中の作業の多くが塗装途中か塗膜の硬化待ちなので、本日は中断していたヴァイオリンの作業を行っておりました.
もうヴァイオラも2本買っちゃったしね.、既にヴィオラの弦も弓も入手済みでヴィオラに於ける張力設定出しも終わっているので今後はヴァイオリンと同じくバラバラにして全てt.m.p 仕様に作り替えます.
やはりとても興味深い弦楽器ですねえ.個人的にはヴァイオリンよりも好きかも.

チェロの製作も希望を頂いてますが、アレやっぱちょいとデカ過ぎ.ましてやコンバスなんかこの狭い工房では論外のサイズ.扱い楽器を増やすと一人での製作には無理が出ますからヴァイオリンとヴィオラどまりにしておきます.

何名かの方から「ブログに書かれていた内部の歪みってどういう事なんですか?」みたいな質問を頂きましたが言葉だけで答えるのは難しいので今回は丁度バラして削り修正を加えたヴァイオリンの写真がありますので簡単に説明致します.興味の無い人は遠慮なくAKBのメンバーのブログに飛んで下さって構いません.
(^ε^)アイウオンチュ~

写真の1枚目が今回バラしたヴァイオリンのバック板です.
平らな所に置くとあぶったスルメみたいに両側や前後も反ってめくれあがっています.この原因について古典楽器の製作家先生方がどうおっしゃるかはこの際別として、ワタクシはそもそもヴァイオリンの典型的な削り形状設定に問題があると判断しています.

側板から剥がしたとたんにこうして変形してしまうというのはヴァイオリンの場合ではネック仕込み部、左右のウエストの4カ所在るブロック部、そしてボディエンドのブロック部の各周辺部だけ材厚が厚く、その他のアーチ形状との材厚繋がりに無理が有る場合に変形が起こっていると判断しています.
材の乾燥が進み収縮が起きますとブロック周辺の材厚のある部分がその他の部分を引っ張る為に結果的に変形を起こしていると考えられるからです。

この状態というのは分かり易くお話しする為にドラムに例えて説明しますと、ドラム本体のリムには幾つもの皮の張り具合を調整出来るチューニングキーが備わっている事は皆さんもご存知かと思いますが、このチューニングキーの数カ所だけ強く引っぱりを強めてテンションを上げますと当然ながら響き方もそれ相応の響きが出ます.しかもバランスよくチューニングされた場合よりも歪みが大きい鳴り方をします.
これは張られた皮が部分的に張力が高い部分と低い部分が在る為に皮の表面が波打ってしまう為です.
これと同じ状況がヴァイオリンのトップ板とバック板で起こっているのです.勿論これはヴァイオリンに限らずアーチ構造の箱モノ弦楽器では共通で言える事です.

その結果、整数倍音/奇数倍音のバランスも崩れ歪みが有るクセの強い鳴り特性が与えられてしまうのです.デッドな部分やピーキーな耳障りなレンジが出たりするのも設計上与えられた特性に問題があるからこそ、それがまんま音に出るわけです.

写真2枚目はその問題の在る削り構造に修正を加えて削り直しを行なっているショット.
そして3枚目の写真が修正を加え終えて再び平らな面に置いたショット.
結果的に素直にほぼフラットな状態に戻ったことがお分かり頂けると思います.

こうした自然な構成のアーチ板は基本的に素直な響き方を致しますので、非音楽的なクセのある響きはしずらいものなのです.たぶん巨匠が製作した名器と言われる個体は見た目は同じ様な形状で製作されている様に見えても全体が恐ろしくバランスした厚形状で削り処理が行なわれているのだろうと予測しています.それに張力設定も多くの個体はぜんぜんバランスしてませんが名器は違う筈です。

まあ、あの900本も製作したストラディバリですら本当に素晴らしい楽器は10本程度と言われてますしね.そもそも二枚と同じ木は有りませんから、その素材毎に毎回形状数値も変化させて製作するわけですから1本1本感性を研ぎすませて作り上げて行くしかないのです.
ですから逆に巨匠の設定数値を真似てドンズバで製作しても毎回素材特性が異なるのが現実ですから毎回同じ設定で製作してしまってはダメなのだと言う事です。多くの製作家がその過ちを繰り返している様にワタクシは感じています。
写真の右側に映っているのは材の厚さを測るゲージですが、これをいくら駆使して同じ厚さで削ってもタップしたら響き方は微妙に違うんです。だからワタクシはあんまりこのゲージで計測しないんですね。重要なのは数値でなくて実際の響き方ですから。だからこうした計測数値よりも自分の感覚を優先します。それはギターでも同じです。
量産品だけです、材の個体差を無視して同じ規格で作られているのは。なぜならそれは楽器である前に製品だからです。

そもそも本当にスバラシイ楽器とは誰にでも作れる筈など無いのでして.選ばれた者のみが出来うるものなのでしょう。
もし努力さえすれば誰にも出来るのであるなら世の中にはもっと名器が溢れている筈です。長年の努力など通用しない「何か」 スバラシイ楽器製作にはそれが不可欠なんだと思います。
音楽だってそうでしょ?皆さんの様にギターも音楽も大好きだからって素晴らしいアーティストになれるかどうかは全く別問題。才能が有る事が「最低条件」なのだと思います。

う~ん、こんな説明でお分かり頂けたかどうかは少々疑問ですが、これでご勘弁を.


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個別報告 さいたま市のMさん

3/10 ヨコハマ晴れ あたたかい.

写真は先日作業見積もりをお出ししたMさんの某工房製FRTストラトのボディです.
いっしょに写っているのはリヤーPUの移動に伴う埋木材として引きずり出したメイプル材です.
この板材から埋木部分の木目に合った部分を切り出して接合加工するのです.

このボディはラミネート構造のボディですが、とにかく軽量です.同じサイズの良質なバスウッド材の方がぜんぜん重いです.こう軽いとダイナミクスが得にくいのでこの作業は苦労させられそうです.

ここでMさんにアドバイスですが、今回は元のPUは採用せずtmp製のRHRハムをご指定頂いておりますが、特にこの個体に対してハムバッカーをダイレクトマウント致しますと確かに音は締まるのですが、別な意味ではレンジが狭まり音の広がりが押えられてしまうんですね.
ですからここでワタクシからのご提案なのですが、単にベストポジションにPUを移動するだけでなく、ピックアップのダイレクマウント自体をやめて、エスカッション・マウントに変更した方が音楽的な表現力やダイナミクスやレンジ感の面でも良い結果が得られますよ、と言う提案なんです.
このボディのカラーリングを考慮するとアイボリー・エスカッションにRHRを吊るしマウントするのが一番良いと思いますが、いかがですか? お返事頂けるまではペンディングにしておきますね.

ちなみに、この写真から皆さんがお気付きになるかどうか分かりませんが、ボディといっしょに写っているメイプル材がこのボディのトップ材と同じ木目傾向にあるんです.まあ、ですから今回使うわけなんですが、この板材が表皮部分である事と側に枝が生えていた節目があることがお分かり頂けると思います.

これが典型的なソフトメイプル部分なんです.ですからtmpでは使うことなく庭に出してあったものです.でも家具や工芸品によく採用される日本人が大好きな木目ですよね~.
実は、なぜこうしたウジャウジャの木目が出るかがこの1枚の写真が示しているんです.

木には枝が生えます.それは当然木の表面から突き出して生えるわけですが、その枝部分は丁度歯の様に根っこがあるんです.写真の丸く黒っぽい部分がその部分を切断した木口なんですが、こうした木の表面で枝が生えている周辺にはこうしたウジャウジャ木目が出易いんです.(勿論材種によって異なりますが)そして枝が生える部分ですから木の高い部分に出易いということになります。

こうした頭上に位置する木の高めの表皮部分は日光を沢山受けています.特に生息する山の手前で日光を遮るものの少ない場所にこうした材が育ち易いのですが、同時に山の最前線に生える木は奥に生えている木より風の影響も強く受けます.当然突き出して葉を付けている枝は風を受けてゆさゆさ揺すられます.
その為に木はその風に耐え、折れない為に、木の枝の生えている周辺部分がフリフリ腰を振る様に捩じれる事で枝が折れてしまうことを自ら防ぎます.
その結果、その周辺にはこうしたツイストしたような複雑怪奇な木目が現れたりするのです.更にはこうした表皮部分のすぐ内側を根っこから吸い上げた養分を含んだ水分が吸い上げられる通り道になっています.これらの影響で木の表皮部分は柔らかく柔軟に育つのです.

木の根っこや芯の部分は木を支えている為に硬く、木の高めに位置する表皮部分は日光を受けたり風雨にさらされている為に柔軟な特性を備えていると言う訳なんです.そして本当にハイクオリティな楽器にふさわしい素材はこのいずれにも属さない密度の高い中間部分だけに育つのです.

その意味で多くの楽器には見た目優先で工芸品用みたいな木目の派手な素材が採用されているものにかえって高値が付いたりしているのが実情です.

家に飾って楽しむのでしたらそうした楽器でもいいのでしょうが、音楽が演奏されない観賞用楽器にどれほどの意味や価値があるでしょうかね~? ワタクシにはそんな楽器は気の毒に感じますね.

今回は分かり易い様にあえて大ざっぱな解説でしたが、少しは勉強になりましたか?(^ ^)

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