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日常蹴辺

身辺雑記


通勤で利用している御茶ノ水駅で、昨日飛び込みがあったらしい。らしい、というのは、昨夕は早い時間に横浜に行きたかったので、5時20分には駅に着いていたのだ。今日になってネットで知ったのだが、飛び込んだのは中1男子。時刻は午後5時55分。上りの中央線快速に飛び込んだ。普段私が利用しているのは下りの中央線だが、昨日は上りホームから乗車した。同じ時間に、同じホームに立っていたのかもしれない。家に中1息子のいる身としても悲しい。毎日新聞のサイトでは中1で14歳と出ているので、なにか複雑な事情もあったのかもしれないが、なぜこの年で、成績を苦にして自殺しなければならないのだ?

最近では硫化水素という手段の問題にすり替わってしまっているが、本当に問題なのは、毎年3万人を超える人々が自ら命を絶たねばならない状況まで追いつめられていることである。背後にはその予備軍と思しき、メンタルヘルスに困難を抱えた人がもっと大勢いる。これは一体どれほどひどい社会なのだろう。

星野智幸の『無間道』を予備知識なしで読んだとき、あまりに重すぎて、ずっと星野作品を読み続けてきていても、しんどかった。しかし後に、周囲の若者が自殺していく状況で、書かずにはいられなかったという星野のインタビュー記事を目にして、この揺るぎない倫理観を持つ作家の資質に、あらためて共感を覚えたのだった。集団自殺が流行するこの小説の中の社会は、現実と変わらない。
先日のWIRED VISIONの記事、「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』 はすばらしかった。日本のカレーを偏愛する米国人のバカっぷりに、大笑いしながらも、深い共感を覚えた。
かく申す私も、一時期週に10食食べていたくらいのカレージャンキーである。カレーを愛する気持ちは人種も国境も超えるのだ……と感動するとともに、たまにはこういうバカっぽいカレーを食べなければいけない、と刺激を受け、早速このゴーゴーカレーに行ってみた。

以前金沢でチャンピオンカレーには入ったことがある。カレーがかかった状態の上にカツが載っていて、フォークで食べるスタイルだ。これが今では「金沢カレー」と呼ばれ、一ジャンルを形成しているというのだが、絶対ウソだと思う。
それにしても「ゴーゴー」は安直だろ。金沢=松井秀喜=55番というイージーな発想に加え、ロゴマークのゴリラ だって、本当はゴジラにしたかったんだけど、使用料が高かっただけだろう。

どこに店があるのか調べてみると、全然知らないうちに、いつも使っている御茶ノ水駅の近くに出来ていたことがわかった。隣はラーメンの博多天神。濃い並びだ。
午後1時近くだったにもかかわらず、カウンターのみの店内は満席。結構流行ってるようだ。注文したのはロースカツカレー・ビジネスクラス(大盛)、750円。カウンターから眺めていると、カツは注文が入ってから揚げている。なので多少混み合うのだろう。まんてんだったら昼は見込みでガンガン揚げてるもんな。でも、調理担当のおじさんはテキパキと手際よい。ネームプレートには「かつ」と書いてある。冗談かと思ったら、店の人に「かつさん!」と呼ばれていた。

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出てきたカレーは、なかなかのボリューム感。かかっているカレーの量が十分なのがうれしい。カツは薄め。全体的には南海のカツカレーと似てるかもしれない。
ただ自分の好みとしては、辛さが全く足りない上にカイエンペパーが卓上にないし、塩気が強くて、旨いという感じではなかった。量があって値段も妥当なのだが、ここから徒歩5分にまんてんがあることを考えると、リピートはしないかな。アメリカ人よ、これにクラックは入ってないぞ。一度、メジャーカレー を試してみたいとは思うが。

ゴーゴーカレーお茶ノ水駅前店
東京都千代田区神田駿河台2-1-17
営業時間10:55~22:55(←ここまでゴーゴーにこだわるかね)
定休日:不明
人生にはコーヒー枠というのがあるらしい。山形浩生がそう言うのだから、そうなのかもしれない。

http://cruel.org/other/rumors2008_1.html#item2008050101

思い当たる節ならある。私の場合のそれは、梨枠だ。子どもの頃、一番大好きな果物は梨だった。多摩川に近いところに住む神奈川県民にとっては、梨狩りというのはポピュラーなレジャーであったので、人一倍梨は食べていたはずである。

ところが、20代半ばくらいから、梨を食べると吐き気を催すようになった。原因はさっぱりわからない。なにかの食べ合わせが悪いのかと思ったが、どういう状況で食べてもだめ。味が嫌いな訳ではないのだ。食べた後で気持ち悪くなって、吐いてしまったこともあり、今では全く食べなくなってしまった。なぜか洋梨は大丈夫なので、そっちで我慢している。

梨も悲しかったが、コーヒーを旨いと感じられないのは嫌だなあ。
昨日はサッカー(T1)に行くか、マイク・ミルズのイベントに行くか、すごく悩んでいた。
給料が入っていたら本買えるからイベントにしよう、入ってなかったらまた駒澤……というつもりでいたら、24日朝に振り込まれていた。会社ありがとう!

というわけでABC本店で行われたマイク・ミルズ のトーク&サイン会へ。作品自体昔から大好きだし、立ち位置とか姿勢にも共感するところが多いのだが、本人がまためちゃめちゃいい人!
前半はプロジェクターを使って初期から最近までの作品を、マイク自身が説明しながら見ていき、質疑応答を挟んで、最近の映像作品であるBlonde Redheadのプロモを鑑賞。
作品解説の時も、どうでもいい質問に丁寧に答える時も、いい人オーラが出まくっていて、それだけで幸せな気持ちになれてしまう。

その後はサイン会となったのだが、これまた一人一人丁寧にサインして、話して、写真も撮ってで、えらく時間がかかるのだが、ここまでやってくれるのなら何時間でも待ちますよ!

ポスターと本を買ってサインしてもらって、たまたま居合わせた同僚に写真も撮ってもらって、ウチの娘が赤ん坊のころにButter08のCDジャケットを食べてしまった話をしたらウケてくれた。 実は最近はちゃんと活動を追いかけていなくて、「サム・サッカー」も観ていなかったりするのを深く反省した。

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握手してもらってこんなに嬉しかったのって、イビチャ・オシム氏以来だな。


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今年は山形に行くことがないのだな、と思うと少し寂しい気持ちになる。以前仕事で行っていたときから、山形は大好きだ。ウチの娘は将来山形に移住するそうだ。理由は、玉こんにゃくが好きだから。……そんな人生もよいかもしれない。

そんな山形への思いが募っていたからではなく、前を通りかかって気になっていたのが、会社から近い神田錦町の警察通りにある、「河北や」という店。山形県河北町名物・肉そばを売りにしている。
最初に入ったときに注文したのはつけ蕎麦。つけ麺好きなのでついそっちに流れてしまったのだが、これ、かなり珍しい形態。

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蕎麦は日本蕎麦。で、付け汁が担々麺みたいな唐辛子系スープなのだ。メニューには「でっちり」とある。すごい名前だ。「一番でっちり」がベーシックで、「二番でっちり」には豚角煮が入っている。蕎麦の盛りがよいのがうれしいし、味も悪くはないんだけど、普通に鶏ベースの付けだれの方がよいような気がする。

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二度目に入ったときはシンプルに肉そばで。やっぱり鶏出汁の利いたスープがいい。具の鶏も脂っぽくなくて、噛みごたえがある。これで380円という立ち食いそば並な値段もうれしい。
自分が生まれ育ったのが貧乏地域だということが人間形成に与えている影響は大きいと思う。大人になった今でも、親近感がわくのは生活臭がにじみ出ているような下町だ。神戸という都市から受ける印象は、横浜にすごく近い。頭でそう考えつくというよりも、皮膚でそう感じる。なので、横浜に対しルサンチマンを抱える身としては、積極的に好きとは言いにくかった。

でもそれは、神戸の観光地と中心街しか見たことがないからであろうことはわかっていたので、海沿いにあるホムスタ(ヴィッセル神戸のホームスタジアムであるところのホームズスタジアム)に行くついでに、地下鉄で二駅ばかりの長田に足を伸ばしてみることにした。

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ある程度ネットで下調べしていたのだが、全く期待を裏切らないアーケード街があり、さらにその奥には丸五市場というどう見ても闇市系な市場がある。早い時間だったので開店前の店が多いのが残念。特に狙っていた鉄板焼ホルモン・ユキヤが休みなのにはがっかり。

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でも、そこにはすばらしいお肉屋さんが。その名も「肉の名門マルヨネ」。充実の惣菜類! 時間が早いから揚げ物はまだなのかと思いきや、その場で揚げてくれるのが神戸スタンダードらしいから感激。早速、オリジナルのぼっかけ入りコロッケを揚げてもらった。ぼっかけとは、牛すじとこんにゃくを甘辛く煮たもので、うどんなどに載せて食べるのがポピュラーらしい。なのでソースをかけなくても十分味がついている。揚げたてだからホントにおいしい! お店の方と話ながらいろいろつまんでいたら、お茶まで出してくれた。最初の一件目、しかもお肉屋さんの店先で満腹になってしまいそうだ。

近隣には韓国食材の店も多く、そこも鶴見出身者には親近感のわくポイントである。しばらく歩いていると、和菓子屋さんに行き当たった。お店の前でみたらしを売っている。これは長居の商店街でも見かけたパターンだ。

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こちらのお店ではお団子を湯煎していて、熱いのが食べられるようになっている。冷えていても好きだけど、これはよい。

天気がよくて暖かくて、つい自販機で発泡酒なぞを買ってしまう。そういえばウチの近所じゃ酒の買える自販機が全くなくなってしまった。コンビニで買えばいいとはいえ、不便を感じることがある。
さらに歩いて行くと、つまみにちょうどよさそうなものがあった。

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いろんな種類の天ぷらがあるのだが、このカワエビのかき揚げみたいなのは、特に発泡酒にぴったり!
しかし、この辺でかなりお腹の方の余裕がなくなってきた。でも調べてきたところはチェックしたい。まずは果物屋さんの一角にイートインのあるvery・berry・YOSHIDAで出汁に入ったたこ焼きを食す。

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10個入って200円。あっさりしていて、これならサクサク食べれてしまう。
ここの斜向かいには、コロッケで有名な千鶴屋精肉店が。

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ここでもコロッケ購入。食べるのは後にして、メインディッシュのそばめしを食べるためにお好み焼・ゆきへ。

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思いっきり昭和な店構えだが、店内も有線のチャンネルは演歌で、モロ昭和。

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すじ焼きとそばめしで満腹に。ビールが欲しかったが、ここで飲んでしまうともう試合に行く気力はなくなるので思いとどまった。
もう少しゆっくり回りたかったところだが、また機会はあるだろう。というか、次回神戸に来る時も、三宮はスルーしてこっちに来てしまうと思う。
今年はどうしようもなくダメダメな読書生活を送っている。
年々頭が悪くなっていくのは仕方のないことだとして、その進行を抑制する努力をしないのはまずいのではなかろうか。

恥を忍んで3月の読了本リスト。



『イッツ・マイ・シング~20イヤーズ・オブ・ヒップホップ』
沼田充司(シンコーミュージック)



『裏方の流儀』
小宮良之(角川SSC)



『SPEEDBOY!』
舞城王太郎(講談社)



『RUN~流浪のストライカー、福田健二の闘い』
小宮良之(ダイヤモンド社)



『わたしたちに許された特別な時間の終わり』
岡田利規(新潮社)



『死神の精度』
伊坂幸太郎(文春文庫)



『きのう何食べた?(1)』
よしながふみ(モーニングKC)



『沢田マンション超一級資料~世界最強のセルフビルド建築探訪』
加賀谷哲朗(築地書館)




『グレート生活アドベンチャー』
前田司郎(新潮社)



『社会科見学に行こう!』
小島健一編(アスペクト)

3月のナンバーワンは、『イッツ・マイ・シング』と『RUN』。
ヒップホップとサッカーというフィールドの違いこそあれ、単身で外国に渡り、日本人が認められていないジャンルでの成功を手にした男のノンフィクションで、そこに絡んでくる家族の問題が、各々の人間性に陰影を与え、本自体に奥行きを作り出していて読み応えがある。
『イッツ・マイ・シング』に登場するレコードは当時聴いていたものが多くて、今でもかなりiPodに入っている。
小宮良之は文章がうまい上に取材の丁寧さが伺え、サッカーライターの中でも信頼できる。今後も期待。
先日、4か月ぶりに大阪に行ってきた。
前回はまったく時間がなく、今回もそれほど時間がなかった。
なので帰り際にミナミに行って、道頓堀今井できつねを食べ、たこ焼き屋をはしごし、おみやげは蓬莱の豚まんと本福寿司。
食い倒れるまでには至らなかったのだが、やっぱりたのしいぞ、大阪。

粉もの好きには全く飽きることのない世界だ。
私はご飯よりパンのが好きで、1週間米を食べなくても平気だが、1日パンを食べないと機嫌が悪くなる。

弁当のない時の昼食はパンかカレーか麺類が定番で、定食類はめったに食べない。
最近気になるのが立ち食いそば。
東京新聞夕刊に今柊二が連載している「立ちそば大好き!」の影響だ。
近所の立ち食いそば屋を検索してみると、神田のかめやという店が高評価なのがわかった。
製版屋さんに出力依頼に行くついでに、神田まで足を伸ばしてみる。
検索して出てきた目的地は神田駅東口だったが、西口の外語学院近くを通りかかると、同じ店があることに気付いた。

東口店について書かれた有名ブログには「ダークで」(注・カウンターに正対するのではなく、斜めに角度をつけることによって、より多くの人間の入店を可能にする、立ち呑み屋における基本マナー)との記述があったが、こちらにはちゃんと椅子がある。
カウンターの中では、アルバイト的な風貌ではない、年季の入った男性店員3人が働いている。
そばに生卵を落とすのはあんまり好きじゃないのだが、ここの看板メニューは「天たまそば」らしい。
生ではなくて温泉卵だというので、素直にそれを注文。
厨房の3人が、流れるような手際でそばを用意してくれる。
いいよな、こういうの。
ちゃんとしたものが食べられそうな期待が、ますます膨らむ。


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出てきたそばはネギが高く添えられ、盛り付けも美しい。
かき揚げも評判通りサクッとしていそうだ。
実際に囓ってみると、よくある立ち食いのボテッとしたかき揚げとは一線を画す、ちゃんとした天ぷら。
春菊ベースなのもうれしい。
そばも汁も、味も盛りも悪くなくて、トータルとしては非常によい部類に入る。
味に飽きてきたら温泉卵を崩す。
汁を吸ったかき揚げ+とろりとした卵にそばを絡めるとまた旨し。
お腹も気持ちも充実して、400円なのだからすばらしい。
足りなければ、おいなりさんやおにぎりも追加できる。
これは通ってしまいそうな予感。
今年はロクすっぽ本を読んでいなくて、1月もミルハウザーの『ナイフ投げ師』、松浦理英子の『犬身』、『黄色い雨』の3冊というこっ恥ずかしい状態であります。

Boy's Surface
円城塔(早川書房)

大量虐殺の社会史
松村高夫、矢野久編著(ミネルヴァ書房)

パワー系181
墨谷渉(集英社)

恋愛の解体と北区の滅亡
前田司郎(講談社)

TOKYO YEAR ZERO
デヴィッド・ピース(文藝春秋)

夜露死苦現代詩
都築恭一(新潮社)
今日はヘンリー・ロリンズの誕生日である。
林家ペーでもあるまいし、なんでそんなこと知ってるかというと、


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昨年、「予定日はジミー・ペイジ」カレンダーなるものを作ったからだ。

主人公がジミー・ペイジの誕生日の1月9日に出産予定という設定の小説で、それにちなんで365日をミュージシャンの誕生日で埋めたカレンダーという暇なものを作った。
誕生日365日調べ、しかもミュージシャン縛り、というのはすごい面倒だった。
当初担当W氏が知り合いに頼んで用意してもらった元データは、グレイトフル・デッドのメンバー全員とか、ラモーンズ全員とか、スーパー・フューリー・アニマルズ全員とか、誰だよそれみたいな名前が大量に混入していたため、大部分を調べ直す羽目になったのだ。
英語版ウィキペディアをずーっと睨みながら。
私の手が入った結果、ハードコア系やラッパーが増えてしまったが、それくらいは許してくれということで。

で、ヘンリー・ロリンズ氏だが、1961年生まれなので、今日で47歳ということになる。
最近の活動は全然チェックしていないが、きっと今でも筋肉ムキムキなのだろう。
昔行った来日公演は、モッシュ&ダイブで大変楽しかったが、ありゃ15年くらい前になるのか。
その頃のアルバム、「The End of Silence」。

The End of Silence/Rollins Band
今聴いても古びていない。ヘンリー・ロリンズがこめかみに青筋立てて歌う姿が目に浮かぶ。