日常蹴辺 -2ページ目

日常蹴辺

身辺雑記

ぼちぼちブログを再開することにします。どうせ三日坊主ですが。

とりあえず自分内で大流行中のAPOGEE「スプリング・ストレンジャー」のPV。



曲も悪くないけど、とにかく映像がすばらしい。
もう2009年1月も半分まで来ていた。この調子でいつの間にか1年が終わっているのだろう。おそろしいことだ。

夏よりは冬のが好きな私だが、1月に限ってはなにが嫌かって、読む本が全部後追いになりかねないことである。年末になると新聞や雑誌で「今年のベストスリー」なるものを否が応でも目にする。見てしまったが最後、ああこれ読んでない、あれも読んでない、ほとんど読んでないということで、年末から年明けはそういう人の紹介した本ばかり読むことになってしまう。これは精神衛生上よろしくない。世の中思うようにならぬことばかり。せめて自分が読む本くらい自分で決めたいではないか。

とか言いながら、これは某所に書いた私の2008年ベストスリー。



◎今年(自分が読んだ本)のベスト3

1.『血と暴力の国』コーマック・マッカーシー(扶桑社ミステリー文庫)
今年になって初めて読んだんですよ、C・マッカーシー……でも山形浩生氏もそんなこと書いてたから、恥ずかしいことじゃないよな……。
『ザ・ロード』が感動作として持ち上げられすぎなことに、実際に毎日自分の息子と顔を付き合わせる立場からは違和感を覚えるけど、こっちは理不尽で乾燥していて暴力的で、文句なしの快作。

2.『厨房の奇人たち』ビル・ビュフォード(白水社)
50近いオッサンが「ニューヨーカー」文芸担当編集長のポストを捨てて、飛び込んだのは頭脳だけでなく肉体もフル回転で酷使しなければならない本格的イタリア料理の世界。
前著『フーリガン戦記』もアホな突撃取材だったが、なに考えているのだろうこの人は。
その過剰な好奇心と情熱に敬服させられます。

3.『〈盗作〉の文学史』栗原裕一郎(新曜社)
こちらもまた労作。
参考文献のない状態から一次資料を発掘するという気の遠くなるような作業を経て生まれた本書は、オビにあるとおり唯一無比の「盗作大全」。
モラルや文学性で語るのではない、事件として盗作をあぶり出す手腕も鮮やかで、読み物としても最高におもしろい。

あと、サッカー本1位は『サッカー戦術クロニクル』西部謙司(カンゼン)。
サッカーにはいろいろな見方があってもいいのだけれど、きちんとチームスポーツとして理解したいのならば、戦術理解は必要。
この本がもっともっと(具体的には『4-2-3-1』よりも)売れてくれることを祈っています。


とりとめはないし面白くもないのに、栗原さんのブログで取り上げていただいてものすごく恐縮した。だから言い訳ではないが、ここには書き忘れていたことがある。1~3は便宜上つけたもので、順位ではないのだ。流れ的にこうなってしまっただけだ。

外文はなんか入れとかなきゃなあということで、第一候補は木村榮一大先生の訳された『狼たちの月』か『バートルビーと仲間たち』だったんだけど、いろんなところで『ザ・ロード』が持ち上げられすぎなのを腐したいというひねくれた気持ちからこのようになった。もっとも、コーエン兄弟の「アナザー・カントリー」(未見)の原作でもある『地と暴力の国』はとても面白い。
日曜日に、はじめて文学フリマ に行ってきた。この手の、同人誌を販売するイベント自体がはじめてである。そういうものがどういう雰囲気かはメディアで流されている程度にしか理解していない(ってことは悪いイメージか?)のだが、今回は仕事でもお世話になったことのある白水Uブックス研究会 (略してU研)が出展しているので、安心して子連れで出向く。

しかし、だ。会場である秋葉原のビルに近づくと、500m手前から視認できる灰色のもんやりとしたかたまりが道を塞いでいる。近くまで寄ってみると、それはゼロアカ道場のための行列だった。5年前に講談社のファウスト刊行記念イベントというのに誤って行ってしまったときと同じ、「場違いな自分」感を味わいつつ、列の横から会場へ。

場内はそんなに広くない上に人でごった返していた。こんな開場直後じゃなくてもっと遅い時間に行くべきだったのだろうが、後に飛田給が控えているので仕方ない。直線的なルートで2FのU研ブースへ。広くないので迷うこともなく。U研のお二方の横にはなぜか某出版のHさんがいて、自分の冊子を販売していた。予想外のつながり、世間は本当に狭い。

で、購入してきた「カラマーゾフ読本」。今回は正規のU研扱いにはならないようだが、クォリティは変わらず高い。『カラマーゾフ』はめちゃめちゃ売れている。萌え要素で『カラマーゾフ』を語ることを思いつく人も多いだろう。しかしそれを高いレベルで形にすることは誰にでもできることではない。

U研

私が『カラマーゾフ』を読んだのは、浪人してS台予備校に通っていたときのことだ。当時S台には奥井潔先生という名物英語講師がいた。英文学が専門の奥井先生の、優雅で柔らかな口調で情感を込めて語る世界文学のすばらしさにやられた10代後半の若者は少なくないだろう。スタンダールもディケンズも魅力を教えてくれたのは奥井先生だが、特にカラマーゾフの3人の兄弟についてさも愛おしげに語るあの声──「ドミートリーが……イワンが……アリョーシャが……」──は、今でも耳に残っている。

だから亀井訳がブームになった時に真っ先に思いだしたのは、奥井先生のことだった。その時になってはじめて、先生が2000年にお亡くなりになっていたことを知った。一方的に尊敬していただけだが、とても寂しく思った。結局、本ばかり読んでいてロクに受験勉強をしなかった私は悲惨な結果を迎えたわけで、たくさん読んだ本だって役に立っていることなんて全くないのだけれど、あの時あの授業を受けて読書に耽ることができたのは至福の体験であったのだな……と今になって思う。
いろいろなことで心が荒んでいる方が多いと思われる昨今ですので、このブログはかわいいもの系に専念してみようかと思います。

プードル

ウィル・スミス の誕生日に生まれたウチの娘が9歳ということで、誕生祝いをしてみました。
今年のケーキは、神田神保町の柏水堂謹製。柏水堂といえばハチクロに登場するプードルケーキで有名ですが(なんか本末転倒か?)、こんな風に犬を飾りにした誕生ケーキも作ってくれるのです。これは5号サイズに犬1匹バージョンで、3465円(だったかな?)。6号に犬2匹というのもアリですが、お値段が4000円台後半になるし、少食の家族4人じゃそんなに食えないし。
今どきの人気パティシエがつくるようなケーキとは全く違う、昔ながらのバタークリームケーキ。まあ年に一度だからいいんじゃないかな……。

ついでに、プレゼントは

羊

Build-A-Bear の羊ぬいぐるみ。
こういう世界があることを、オッサンは知らずに生きてきたのですが、娘のクラスメイトは所有率がかなり高いらしい。
昼休みにぼんやりブログを眺めるのに、Bloglines は必需品なのですが、

bloglines

落ちています。(×_×)

落ちていても画面がかわいい。
マボロシの1枚目「ワルダクミ」は、今でも時々聴くくらいの名作なわけだが、収録曲の中でも特にお気に入りなのが、FUNKY GRAMMAR UNITのラッパー3人をフィーチャーしたパーティチューン「ブレーメン」。『ブレーメンの音楽隊』がライムのネタになっているので、お子さまたちにも人気だったりする。

という前フリは全く関係なく、UCLグループリーグ開幕戦のヴェルダー・ブレーメン×アノルトシス戦を見た。スカパー!の高いセットに入っていないので、普通だったらJSPORTS PLUS放映分しか見られないところだが、開幕戦は全試合無料。どこのチャンネルに合わせてもビッグクラブが出てくるという贅沢を、束の間味わえる。

一昨年JSPORTSがブンデスの放映権を持っていたときは、緑色チームという親近感から、ブレーメンの試合はよく見た。無闇に攻撃的なサッカーは単純に楽しめた。ディフェンシブハーフのフリンクスが好きになった。

ひさしぶりに見たブレーメンは、クローゼがいないぐらいであんまり変わっていなかった。ローゼンベリ、ジエゴ、イェンセン、フリンクス、フリッツ、メルテザッカー、ナウド、ビーゼ。FWにピサロが入って、中盤には若くてセンスのあるオジルが入って、左SBのベーニシュがオーバーラップする。前半は完全にボールを支配していたが、得点できない。そんな試合を最近蘇我の方で見たような記憶も頭をよぎる。

後半は残り時間が少なくなるにつれ、2トップを入れ替えたり(アルメイダが入った時点で、解説の良平さんが「あーだめだ」とガッカリ)、攻め急いでカウンターくらったりとロクでもない展開に。怒りを露わにするジエゴとフリンクス、相変わらず血気盛ん。

やたら攻撃的な選手を投入したがるシャーフ采配も健在だ。でもさ、「ブレーメン」のリリックにもあるじゃないですか、「まわせマイクロフォン 慌てないで行こう マイメン パーティナイト」って。前半のように、慌てないでちゃんと中盤でまわしてゲームつくっていけばいいのに。結局19本のシュートを放ってノーゴール。うーん……素直にチェルシー×ボルドーを見ていればよかった。
休みにじっとしていられないのは貧乏性なのだ。わかっているが、セカセカと動き回る。
洗濯して、片付けして、掃除して、日吉でサッカー見て、秋川でバーベキューやって、調布でサッカー見て、素麺大会やって、さすがにぐったりして昼寝してたら叩き起こされて、スイミングスクールのお迎えに行って、バドミントンやって……。

週明けの今日、猛烈に疲れている。でも今週末はもっとひどいことになりそうだ。

ところで自分的には、連休中の最大のヒットは天ざるだった。

ウチの奥さんはあんまり揚げ物を作らない。フライ類は昔に比べればやるようになったが、天ぷらは10何年生活していて、家でやったのは一回あったかどうか。なので、奥さんが仕事でいないスキに、自分で作ってみた。運良く冷凍庫にブラックタイガーがいらっしゃったが、むき身。尻尾がないので天ぷらっぽくない。でも、ないよりはマシだ。



結構簡単。揚げてるそばから子どもらがつまんでいる。そういうのが楽しいわけだな。
トーハンの「新刊ニュース」は、外見は地味でも内容はなかなか充実していると思うのだが、私が一番好きなのは外見の方だったりする。中里和人がずーっと担当している表紙写真が、いつもいつもヘンなのだ。看板とかキッチュなオブジェとか民家とか、商業誌ではあり得ないようなものを表紙に使えるなんて、すばらしい。そんな中里氏の写真展を経堂のカフェでやっているというので行ってみた。

会場のROBA ROBA cafe(ロバロバカフェ)の場所をGoogleマップで調べていて、そういえばこっちの方にパン屋とかなかったっけ……と思って検索してみたら、La vie Exquise(ラ・ヴィ・エクスキーズ)に行き当たった。まずはこっちに行ってみる。

すずらん通りを過ぎて赤堤通りに入ったあたり、駅から道は一本なので間違えようもないのだが、かなり歩くので、本当にこれであっているのだろうか……と不安になってきたころに小洒落た店が現れた。


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店内もかっこよくディスプレイされていて、ウチの近所では絶対にない。さすがは世田谷区ですなあ。デニッシュ系が充実しているが、そこは我慢して食事パンのみにターゲットを絞る。19時頃だったが、まだ選べるくらい種類が残っていてうれしい。パン・オ・ノアとかパン・ド・ミーとか、歩き食い用のパン・オ・フィグの小さいのなどを買い込む。

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翌朝カットしたノア。フィグもそうだったが、クルミやいちじくがケチらずにたくさん入っている。パン自体は上品な感じ。


同じ道を駅方向に戻って、写真展『SELF-BUILD』に立ち寄る。

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普通のカフェっぽいので、写真だけ見るのは申し訳ないようにも思えたが、お店の人はすごく感じよかった。
写真は日本中のセルフ・ビルド建築を撮ったもの。沢田マンションの本を読んだときもそうだったが、こういう訳のわからない情熱と創造力の発露の仕方には、なぜだか共感を覚えてしまう。中里氏のつくった組み立て小屋も決して広くはない店内に無理矢理(?)展示されている。
サイン本を買いたかったが、情けないことに持ち合わせがなかったので断念。今考えたら、せめてペーパーミニチュアキットだけでも買っておけばよかった。

帰りに古書店の軒先をのぞいてみると、結構趣味の良い本が混ざっている。さすがは世田谷区、か。
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このブログにサッカー話を期待している人はいないと思うが、それはさておき。

私が一番好きなテレビのサッカー番組は、「foot!」と「Jリーグアフターゲームショー」がダントツで双璧なのだが、エンディングのよさでいくと、後者のが抜群である。景気のよいBGMに乗せて、その日の全ゴールがリプレイされる。
サッカーのすばらしさはなにもゴールが全てではないが、そこに込められた様々な感情の爆発は、画面を通して見る者の心までもを揺さぶらずにはいない。
草津をJ初の連勝に導いた松下のゴールなんて、何度見ても貰い泣きする。

そういうインパクトの強い映像に、GSみたいなインストの、ちょっととぼけた曲が被さる。なんて曲だろう?と思ったら、The Go! Teamの「Panther Dash」だという。なんでそんなことがすぐにわかったかというと、妻が好きなので、知っていたのだった。

早速、自分のiPodにも入れた。アートワークはジャケ写ではなくて、番組ロゴ。これを出社前とかに聞くと結構よい。

今日は水曜開催の平塚。たのしみだ。

今振り返ると、自分が育った時代(70~80年代)というのは、まだ新しいものが生まれる希望があった。コドモの生活の中においても、テレビゲームが誕生し、マイコン(昔のPC。テープでロード俺のマイコン。)が家にやって来て、ヒップホップがブレイクした。明日になればまた新しい面白いものが出てくるというオプティミズムを心から楽しんでいた。文学ですら、まだ革新的な作品が出る可能性があるのではないかと思っていたくらいだ。もはやそんな期待はすべくもない。全てはリバイバルで焼き直しで、新しい何かなんて生まれる余地はない。

それでも、若者が作り出すものが、新たな楽しみや喜びをもたらしてくれることはある。昨年からなぜか日本のラップをまたよく聴くようになった。きっかけはKEN THE 390。地元町田出身の若いラッパーの、清々しいとしか言いようのないスタイルは、直で心に響く。そこから降神を聴いて、やはりすばらしいと思った。そんな中で一番はまったのが、GAGLEだ。個人的には仙台は好きな土地ではないが、GAGLEを生み、FreeTEMPOを生み、伊坂幸太郎を育てたのはあの街なのだ。

GAGLEの音楽は新しかったり、革新的だったりするだろうか。現役じゃないので技術的なところはわからないが、何度繰り返し聴いても飽きないし、心地よく、かっこいい。それで十分ではないか。この「3 PEAT」と1枚前の「BIG BANG THEORY」を、毎日毎日、飽きずに聴いている。