夏よりは冬のが好きな私だが、1月に限ってはなにが嫌かって、読む本が全部後追いになりかねないことである。年末になると新聞や雑誌で「今年のベストスリー」なるものを否が応でも目にする。見てしまったが最後、ああこれ読んでない、あれも読んでない、ほとんど読んでないということで、年末から年明けはそういう人の紹介した本ばかり読むことになってしまう。これは精神衛生上よろしくない。世の中思うようにならぬことばかり。せめて自分が読む本くらい自分で決めたいではないか。
とか言いながら、これは某所に書いた私の2008年ベストスリー。
◎今年(自分が読んだ本)のベスト3
1.『血と暴力の国』コーマック・マッカーシー(扶桑社ミステリー文庫)
今年になって初めて読んだんですよ、C・マッカーシー……でも山形浩生氏もそんなこと書いてたから、恥ずかしいことじゃないよな……。
『ザ・ロード』が感動作として持ち上げられすぎなことに、実際に毎日自分の息子と顔を付き合わせる立場からは違和感を覚えるけど、こっちは理不尽で乾燥していて暴力的で、文句なしの快作。
2.『厨房の奇人たち』ビル・ビュフォード(白水社)
50近いオッサンが「ニューヨーカー」文芸担当編集長のポストを捨てて、飛び込んだのは頭脳だけでなく肉体もフル回転で酷使しなければならない本格的イタリア料理の世界。
前著『フーリガン戦記』もアホな突撃取材だったが、なに考えているのだろうこの人は。
その過剰な好奇心と情熱に敬服させられます。
3.『〈盗作〉の文学史』栗原裕一郎(新曜社)
こちらもまた労作。
参考文献のない状態から一次資料を発掘するという気の遠くなるような作業を経て生まれた本書は、オビにあるとおり唯一無比の「盗作大全」。
モラルや文学性で語るのではない、事件として盗作をあぶり出す手腕も鮮やかで、読み物としても最高におもしろい。
あと、サッカー本1位は『サッカー戦術クロニクル』西部謙司(カンゼン)。
サッカーにはいろいろな見方があってもいいのだけれど、きちんとチームスポーツとして理解したいのならば、戦術理解は必要。
この本がもっともっと(具体的には『4-2-3-1』よりも)売れてくれることを祈っています。
『ザ・ロード』が感動作として持ち上げられすぎなことに、
2.『厨房の奇人たち』ビル・ビュフォード(白水社)
50近いオッサンが「ニューヨーカー」
前著『フーリガン戦記』もアホな突撃取材だったが、
その過剰な好奇心と情熱に敬服させられます。
3.『〈盗作〉の文学史』栗原裕一郎(新曜社)
こちらもまた労作。
参考文献のない状態から一次資料を発掘するという気の遠くなるよ
モラルや文学性で語るのではない、
あと、サッカー本1位は『サッカー戦術クロニクル』西部謙司(
サッカーにはいろいろな見方があってもいいのだけれど、
この本がもっともっと(具体的には『4-2-3-1』よりも)
とりとめはないし面白くもないのに、栗原さんのブログで取り上げていただいてものすごく恐縮した。だから言い訳ではないが、ここには書き忘れていたことがある。1~3は便宜上つけたもので、順位ではないのだ。流れ的にこうなってしまっただけだ。
外文はなんか入れとかなきゃなあということで、第一候補は木村榮一大先生の訳された『狼たちの月』か『バートルビーと仲間たち』だったんだけど、いろんなところで『ザ・ロード』が持ち上げられすぎなのを腐したいというひねくれた気持ちからこのようになった。もっとも、コーエン兄弟の「アナザー・カントリー」(未見)の原作でもある『地と暴力の国』はとても面白い。