無間道 | 日常蹴辺

日常蹴辺

身辺雑記


通勤で利用している御茶ノ水駅で、昨日飛び込みがあったらしい。らしい、というのは、昨夕は早い時間に横浜に行きたかったので、5時20分には駅に着いていたのだ。今日になってネットで知ったのだが、飛び込んだのは中1男子。時刻は午後5時55分。上りの中央線快速に飛び込んだ。普段私が利用しているのは下りの中央線だが、昨日は上りホームから乗車した。同じ時間に、同じホームに立っていたのかもしれない。家に中1息子のいる身としても悲しい。毎日新聞のサイトでは中1で14歳と出ているので、なにか複雑な事情もあったのかもしれないが、なぜこの年で、成績を苦にして自殺しなければならないのだ?

最近では硫化水素という手段の問題にすり替わってしまっているが、本当に問題なのは、毎年3万人を超える人々が自ら命を絶たねばならない状況まで追いつめられていることである。背後にはその予備軍と思しき、メンタルヘルスに困難を抱えた人がもっと大勢いる。これは一体どれほどひどい社会なのだろう。

星野智幸の『無間道』を予備知識なしで読んだとき、あまりに重すぎて、ずっと星野作品を読み続けてきていても、しんどかった。しかし後に、周囲の若者が自殺していく状況で、書かずにはいられなかったという星野のインタビュー記事を目にして、この揺るぎない倫理観を持つ作家の資質に、あらためて共感を覚えたのだった。集団自殺が流行するこの小説の中の社会は、現実と変わらない。