東京メグレ警視シリーズ
海外の小説を日本のドラマにアレンジした作品というのは結構あると思われるが、ジョルジュ・シムノンのメグレ警視シリーズを日本を舞台にアレンジしたのが「東京メグレ警視シリーズ」(78年)である。主演は愛川欽也で「目暮警視」を演じる。目暮という苗字が存在するかどうか不明だが(日暮ならあるが)、わかりやすい当て字である。他の出演者は佐藤友美、市原悦子、竜崎勝、小阪一也、名高達郎そして中村敦夫などである。自分の記憶では中村敦夫は信夫(しのぶ)という名で、目暮より偉い人だったか同格だったかという役だったと思う。なにしろ本放送をチラッと見た程度なので、ほとんど記憶にないのである。原作について語られているサイトは結構あるが、この番組について語られている記事は見当たらなかった。第1話はゲストが山村聡、岡田英次、高橋悦史、前川清など豪華で視聴率もまあまあだったようだが、以後の放送でこの第1話を超えることはなかったようだ。ようするに下がる一方だったということだ。
ところでシムノンの原作だが、1929年~1972年という40年以上にわたって書かれた人気シリーズである。とはいっても推理小説マニアでもなかった私は一冊も読んだことがない。日本での人気や知名度はどの程度のものなのだろうか。
殺られてたまるか
もう一つ梅宮辰夫、三田佳子コンビによる第二東映の作品から「殺られてたまるか」(60年)を、ピックアップして見る。以前同じようなタイトルのものがあったなあと思ったら梅若正二主演の「殺られるのは御免だ」であった。まあ周りの人間が死んでいくが本人は次々と危機を回避して生き延びるといったところは共通している感じである。とは言ってもこの「殺られてたまるか」は見たことはないのだけれども。
この作品で特筆すべきは梅宮(38年生)と千秋実(17年生)が兄弟役というところである。20歳離れている兄弟もいるにはいるが、どうみても兄弟には見えんだろうと思う。千秋実といえば黒沢組の一人ということもあり東宝のイメージが強いのだが、この頃は東映の作品にも結構出ているのである。ちなみに千秋実は私と同郷であることが判明した。中学生の頃は私の出身地の隣町に住んでいたらしい。
他の出演者は久保菜穂子、花沢徳衛、曽根晴美、安藤三男、山本麟一、そして前項、前々項にも登場する加藤嘉などである。
第三次世界大戦 四十一時間の恐怖
梅宮辰夫、三田佳子コンビによる第二東映作品の中で一際目を引くのが、「第三次世界大戦 四十一時間の恐怖」(60年)である。一度見てみたいなあと思っていたらつい二年前CSで放映されていたことが判明した。一応、自分のDVDを調べてみるとちゃんと録画してあった。ようするに録画だけして見ていなかったのである。早速見てみると、まず前項の作品と同じ60年ながら白黒作品である。長い間所在が不明だったという話もある。
内容は簡単に言えば、米国と今は亡きソ連による核戦争が勃発、日本も米軍基地があるということで、ソ連の核攻撃を受けることになる。基地を狙うと予告しながら核ミサイルは都心にも被弾、全人類28億(当時)のうち20億が死滅し、第三次世界大戦は終結するという救いようのない映画である。これだけ大きな題材ながら、80分弱という短い作品で特撮部分も最低限に抑えてある。ミサイルが発射される場面と国会議事堂が吹っ飛ぶなど、各都市が爆発する場面くらいであり、専ら市井の人々を中心に話は進むのである。
出演者は梅宮、三田の他、加藤嘉、二階堂有希子、亀石征一郎、織本順吉などで、明確に死んだのは天使のような看護婦を演じる三田くらいなのだが、ほぼみんな死んだと思ってよさそうだ。
特撮スタッフでは、矢島信男や田口勝彦などこの後も特撮界で活躍する人の名前も見える。知っている人はあまりいないと思うが、かなり真面目に作られた作品ではある。どこから「四十一時間」なのかわかる人はいるであろうか。
海底の挑戦者
今回もたまたまCSで見た映画「海底の挑戦者」(60年)を取り上げてみる。これは制作がこの60年のみ存在した第二東映(61年はニュー東映と改称)である。主演は梅宮辰夫と三田佳子で、第二東映にはこのコンビの作品が何本かある。梅宮もこの頃はまだまだ細身の二枚目だ。冒頭、海上で梅宮の妹が麻薬組織にビキニ姿のまま拉致される。妹を演じるのは二階堂有希子、峰不二子の初代声優として有名だが、この頃は映画出演が多かった。劇中では二度も拉致される役である。梅宮に協力する友人に今や代表的悪役の一人である今井健二。当時はまだ今井俊二名義で、以前書いたとおり正義役も多かった。この作品でも実は麻薬捜査官というオチがある。麻薬組織のボスは加藤嘉で、その一の部下が映画版月光仮面の大村文武で、この頃はもう悪役の道に入っていたようだ。さて、この加藤と大村コンビだが10年以上をへた「必殺仕掛人」の17話「花の吉原地獄の手形」で柔術梶木流の使い手という強敵コンビで登場している。
古い映画の割にはカラー状態も悪くなく、海が舞台ということもあり三田佳子も水着姿を披露している(あまり見えないけれども)。 さて、二階堂有希子の夫は柳生博なのだが、実は柳生もこの作品に出ているのである(おそらく映画初出演)。かなりチョイ役なのでどこに出ているのか良くわからなかった。この映画の共演?が縁で結婚したかどうかは不明である。ただテレビや映画では他に共演作は見当たらない。ちなみに柳生博は現在、俳優兼「日本野鳥の会」会長だそうである。
スター毒殺事件
アッちゃんのベビーギャング
前項で紹介した「アッちゃん」には2本の映画版が存在する。その第1弾が「アッちゃんのベビーギャング」(61年)である。主演、つまりアッちゃん役はなんと先日勘三郎になった中村勘九郎なのである。その両親役が小林桂樹と淡路恵子、他のキャストが久慈あさみ、浜美枝、有島一郎、児玉清、太刀川寛、若林映子となかなかの豪華キャストである。ところでこのタイトルだが、岡部冬彦の作品には「アッちゃん」の他に「ベビーギャング」というのもあり、この2つを合わせたものなっている。つまり内容もこの2作品を合わせたものになっている…らしい。
続く第2弾 は「ベビーギャングとお姐ちゃん」(61年)で、アッちゃんではなくベビーギャングのほうがタイトルになっている。出演者はほぼ同じだが、東宝の「お姐ちゃんトリオ」こと団令子、中島そのみ、重山規子が登場する。この三人、美空ひばり、雪村いづみ、江利チエミに続く新三人娘的な位置づけであったようだが、結果的には足元にも及ばなかった。団令子の名は出てくるかもしれないが、後の二人は名前も知らない人も結構いるのではないだろうか。まあビジュアル的には新三人娘のほうが良かったかもしれないけれども。
アッちゃん
ケンちゃんチャコちゃんより前に人気を博していた子役が主人公のドラマといえば「アッちゃん」(65年)ということになろうか。自分はケンちゃんシリーズもそうだが、こういった「健全な」少年ドラマというのはほとんど見ていなかった気がする。もっぱらアニメや特撮ばかりだ。この「アッちゃん」に関しては、3歳かそこらだったので見た記憶がないだけかもしれないけれども。主演は蔵忠芳で、小太りな子役である。「コメットさん」や「ミラーマン」にも出ている。両親役が前田武彦に高千穂ひづる、他に進藤英太郎や水森亜土、そして現プロボウラー の松井八知栄などが出演している。松井八知栄が「河童の三平」に出ていたのは割合知られているが、こちらの方は知らなかった(まあ見たことないからね)。さて、この「アッちゃん」は3シリーズ制作されており、「続」、「新」と続くのだが連続して放送され、キャストも変わってないようなので単独シリーズと思っている人も多いかもしれない。
原作は週刊朝日に連載された岡部冬彦のマンガであるが、その長女はやはりマンガ家のおかべりか、次女はイラストレーターの水玉蛍之丞、長男は軍事評論家の岡部いさくである。
ところで主演の蔵は引退後はスナックだかバーだかの経営者になっていた姿が「あの人は今」などで紹介されていたが、すっかり痩せ頭の薄いオジサンになっていた。しかし01年ガンのため45歳の若さで逝去している。合掌。
子連れ狼
久しぶりにメジャーなタイトルに触れてみる。お馴染みの萬屋錦之介主演「子連れ狼」(73年)である。まあ個人的には錦之介時代劇はスーパーヒーロー錦之介が一人でバッタバッタと悪人を斬り倒すパターンが多く、あまり好みではない。好きなのは必殺テイストな「長崎犯科帳」くらいだ。この「子連れ狼」も錦之介パターンに含まれるが今CSで放映中のを見ると思ってたより面白いなあと。というか、よく考えるとほとんどまともに見たことがなかったのである。全部で3シリーズあるのだが、見た記憶があるのはほとんど第3シリーズだったようだ。
まず主題歌は「しとしとぴっちゃん」で有名な橋幸夫の「子連れ狼」だと思っている人も多いかもしれないが、それは76年の第3シリーズだけである。第1、第2シリーズはバーブ佐竹の「ててご橋」だ。柳生烈堂は高橋幸治→西村晃→佐藤慶と何故か毎シリーズ替わる。個人的にはやはり佐藤慶の印象が強い。子供というのは成長するので大五郎も西川和孝から佐藤たくみにチェンジされた。その西川はといえば、市会議員になった後、殺人事件を犯し今や獄中の人である。やはり目の前で、一刀がバッサバッサと人を斬るのを見て育ったからであろうか。第1シリーズの第2話となっている「鳥に翼獣に牙」では、一刀が山本麟一、石橋蓮司、轟謙二など約三十人の賞金稼ぎ軍団と斬りあうが、ここでも石橋蓮司の武器は手裏剣だ。蓮司は「木枯らし紋次郎」、「暗闇仕留人」、「必殺仕置屋稼業」でも手裏剣が武器の悪人を演じているのである。そんなに手裏剣が好きなのか蓮司。さて、第2話となっていると書いたのは、実際には第2話には「乞胸お雪」というエピソードが存在していたからである。このサブタイの「乞胸」という言葉が差別用語にあたるという理由で抹消されてしまったのである。内容自体に問題があるかどうかは不明だが、存在しないことにされてしまったまさしく幻の回であり、陽の目を見ることもないと思われる。ちなみに片桐夕子、加藤武、内田朝雄、浜田晃などが出ていたらしい。
おかしな4つ児
4卵生の4つ子という物凄い設定のドラマが「おかしな4つ児」(71年)である。そのキャスティングがまた凄い。ちあきなおみ、佐良直美、水前寺清子、和田アキ子という似ても似つかない4人が4つ子の姉妹だというのである。歌手としては一流な面々だが、男としては敬遠したくなるタイプばかりである(そうでない人ももちろんいるだろうが)。ドラマ上の設定もちあきだけが女らしくて後は男っぽいという印象どおりの設定だったようだ。水前寺は当時「ありがとう」などでヒロインを演じたりしてたが、あの男っぽい髪型が子供心にも好きになれなかった。三十年以上経た現在も女性のショートカットは好きになれない。
和田と水前寺は現在も活躍中だが、年をとるにつれ女性色が濃くなったような気がする。ちあきは92年に夫の俳優・郷瑛治(宍戸錠の実弟)を亡くしてから引退状態になっている。復帰の噂もあったが、本人にその気はないようだ。ビルのオーナーとして暮らしているらしい。佐良は82年にタレントのキャッシーとのレズ関係が明らかになり、芸能界を遠のいた。キャッシー自身が暴露したようだ。たまに混同する人がいるが無論キャシー中島(現・ 勝野洋夫人)とは別人である。佐良にほとんど女性を感じなかったのはそういうことだったのかなあなどと思ったりする。現在は犬のしつけ教室を主宰し、それなりの地位を築いているようだ。当時はまだ同性愛などは受け入れられない風潮だったのである。
フジ三太郎
新聞4コマの代表といえば、やはり長谷川町子の「サザエさん」とサトウサンペイの「フジ三太郎」ということになろうか。「フジ三太郎」は、65年~91年にかけて朝日新聞に連載されたが、68年に坂本九の主演でドラマ化されている。これは数年前CSで放送したので、何回か見たが普通のサラリーマンコメディといった感じであろうか。九の妻役には後に伊丹十三の妻として有名になる宮本信子、息子役が「仮面ライダー」などにも出てくる矢崎知紀、会社の上司に多々良純といったキャストであった。宮本は26話で降板し、27話より三好美智子が後を継いでいる。ほとんど聞いたたことのない名前だが、まだ現役の女優さんのようだ。全39話の白黒作品なのだが、何故か30話・31話のみカラー放送である。
ちなみに第1話のゲストはコント55号の二人であった。当時、コント55号はこういったドラマのゲスト出演が結構多かったのである。55号の弟分であるコント0番地(車だん吉、岩がん太)も三太郎の同僚役で出演していた。当時の芸名はたんくだん吉、いわたがん太である。がん太が魚屋に転身し引退したため、だん吉はピン芸人となったのである。以上豆知識でした。