お宝映画・番組私的見聞録 -247ページ目

鉄砲玉の美学

再び渡瀬恒彦関係の話に戻るが、彼が主演のATG映画というのがある。それが「鉄砲玉の美学」(73年)で、正確には東映が出資して、ATGが配給したということらしいが、詳しいことはわからない。先日東映チャンネルで放映されたが、例の東映の三角マークがでない映画なのである。監督の中島貞夫も東映のやくざ映画路線で活躍している人だが、この映画に関しては東映っぽくない感じがする(とはいってもその路線の映画には疎かったりする)。出演者も渡瀬の加えて杉本美樹、荒木一郎、小池朝雄、広瀬義宣など東映っぽい顔ぶれなので、東映の映画だと思って見ればそう見えるかもしれない。単純なイメージでは「娯楽の東映」、「芸術のATG」という感じなのだが、非常にミスマッチな取り合わせといえるだろう。あのけなしてばかりいる井筒和幸も、この作品はお気に入りだそうである。


三日月情話

佐々木守が脚本を担当したドラマで、密かに話題になっていたのが最近CSで放送されていた「三日月情話」(76年)である。正直いうと私はこのドラマの存在を知らず、単なる昼メロだろいと思い(実際昼メロの時間帯で放映されたのだが)今回の放映でも第1話を試しに流し見ただけで、以降は見なかったのである。しかしそこは佐々木守、しかもスタッフは「シルバー仮面」「アイアンキング」の日本現代企画のメンバーとくれば普通の昼メロであるはずはなかったのである。ヒロイン藤田弓子の夫(中山仁)が突如「竜宮城へ行く」と言い残して失踪。やはり妻が同じようにして失踪した男(有川博)と出会い三日月村を舞台に怪しげな物語が展開されるというもの。浦島太郎伝説とか怪しげなカルト教的集団とか、昼メロとして放送するには少しキツかったようである。とにかく怖い婆さんに村田知栄子、有川の妻に「仮面ライダーV3」の小野ひづる、他に水上竜子、内田稔、ゴールデンハーフのエバ、日本現代企画御用達の伊海田弘などが出演している。それにしても三日月村といえば木枯し紋次郎の生地として知られている名前だ。前項の「君たちは魚だ」がやられた紋次郎の生地の名前を腹いせに使った…わけではなさそうだ(実際は佐々木と真船監督との会話の中から三日月という言葉がキーワードになったらしい)。4月からCSで再放映されるという情報があるが、されたら今度はちゃんと見てみようと思う。

君たちは魚だ

最近、ここで取り上げたばかりの脚本家・佐々木守が亡くなった。それで追悼というわけではないが、彼の作品の中からかなりマイナーな部類に入るであろう「君たちは魚だ」(72年)を取り上げてみる。タイトルだけだと何のドラマだかよくわからないが、ミュンヘンオリンピックを目指す水泳選手たちのスポ根ドラマである。当時はオリンピック前になるとこういったスポ根ドラマが多く見られたものである。出演者の顔ぶれは結構豪華である。「柔道一直線」の桜木健一、「仮面ライダー」の佐々木剛、「アイアンキング」の石橋正次、「新・必殺仕置人」の河原崎健三というメンバーが水泳選手で、他にも范文雀、林隆三、佐藤慶なども出ていた。

しかしこのドラマは視聴率わずか3%という体たらくで、15話で打ち切りという結果に終わってしまった。その大きな原因は裏番組が「木枯し紋次郎」であったということに尽きる。このドラマのプロデュサーであった山内久司は「紋次郎」を超える時代劇を作るよう迫られ、そこで生み出されたのが「必殺仕掛人」である。この「君たちは魚だ」が成功していたら「必殺シリーズ」は誕生しなかったのかもしれない。

あまくちからくち

「忍法かげろう斬り」で間接的に共演した渡・渡瀬兄弟だが、兄は日活から石原プロ、弟は東映と違う路線を歩んでいるせいか、一緒の画面にいるのを見た記憶がない。共演ドラマがないか調べると、ちゃんと存在した。しかも双子の兄弟役である。それがNHKのドラマ「あまくちからくち」(71年)である。脚本は「どてらい奴」や「あかんたれ」などで有名な花戸筐で、二人は造り酒屋の双子兄弟という設定だ。共演は浪花千栄子、十朱幸代、そして二人とは共演の多い范文雀などである。とはいっても当然見たことはないし、この時代のNHKドラマというのは残っていないケースが多いので、この作品もそうである可能性が高い。

ちなみに昨年でた「日テレ半世紀」という本には、このドラマが77年に日本テレビで放映されたとあるらしいのだが、それは間違いであるようだ。(テレビドラマデータベースより)。

忍法かげろう斬り

石原裕次郎は日活時代、沢山の映画に出ているが、小林旭のようなシリーズものは1本もなかった。前項で取り上げた「影狩り」が唯一のシリーズもの(といっても2本だが)だったようである。会社の方針か本人の希望なのかはわからないが、本人の意思だとしたら「太陽にほえろ」で同じ役を14年もやったことが信じられん話である。

さて、裕次郎とくれば渡哲也である。彼も頑丈に見えるが裕次郎と同じように大病に冒されることが多い。最近では、直腸がんになり、人工肛門の身になりながら復活したりしているが、70年代にも2度病気で番組を降板している。1本は74年の大河ドラマ「勝海舟」で細菌性肝炎および肺炎になり主役を降板(後任は松方弘樹)。そしてもう1本がその2年前のドラマ「忍法かげろう斬り」である。原作は早乙女貢の小説で、ここでの渡は主役の「鷹」と呼ばれる松平家の雇われ忍者を演じている。渡には珍しい東映の時代劇だ。共演には九の一役で、范文雀と太地喜和子がミニスカ網タイツ姿で出ていた。しかし太地はあまり登場しない。そして松平伊豆守が高橋悦史と、皮肉にも病気がちだった渡以外の三人は既にこの世にない。さて渡だが、20話にて肋膜炎のため降板。残り6回代役を演じたのが実弟・渡瀬恒彦である。顔だけでなく声もよく似ているということもあり、ほとんど違和感を感じることはなかった。ちなみに渡瀬はこの時、大原麗子と結婚した直後であったようだ。

影狩り・ほえろ大砲

さいとうたかをの人気劇画を石原プロが映画化したのが「影狩り」(72年)である。主役の室戸十兵衛には当然のごとく石原裕次郎、相棒の日光に内田良平、月光に成田三樹夫という早逝トリオがキャスティングされた。早逝と書いたが内田良平(84年・53歳)、石原裕次郎(87年・52歳)、成田三樹夫(90年・55歳)とくしくも三人とも50代で逝ってしまった役者である。とりあえず合掌。そういえば裕次郎の時代劇というのはあまり多くないのではないか。やはり現代劇の人という感じがする。このシリーズ第2弾が同年の「影狩り・ほえろ大砲」である。主演の三人はそのままで、女優陣は夏純子、伊佐山ひろ子、宮下順子、そしてカルーセル麻紀(女優か?)などが華を添えている。

さて、石原裕次郎で72年といえば何であろう。そう、「太陽にほえろ」がスタートしたのである。その3ヶ月後に公開されたのがこの「ほえろ大砲」である。「タイヨウニホエロ」「ホエロタイホウ」、偶然の一致ではないだろうなやはり。

ザ・ゴキブリ

前項で「ゴキブリ刑事」を取り上げたので、なんとなく想像はつくと思うのだが、いきなりポンとタイトルだけだされてもよくわからんと思われるのが「ザ・ゴキブリ」(73年)である。ひょっとしたら、ヒッチコックの「鳥」みたく大量のゴが…なんて思う人もいるかもしれない。もちろんそんなことはなく、渡哲也のゴキブリ刑事の第2弾である。前作より少し共演者がグレードアップしている。沖雅也に峰岸徹(当時は隆之介)、伊沢一郎、悪役となるのが南原宏治、安部徹、青木義朗そして丹波哲郎と、この顔ぶれを見ているとほんと東映の作品みたいだが、前作同様東宝の映画である。

ところで丹波といえば「キイハンター」。その記念すべき第1話のゲストは南原宏治と青木義朗であった。以前に書いたネタだったらすいませぬ。

ゴキブリ刑事

渡哲也といえば、テレビでは刑事役のイメージが強い人も多いと思うが、映画でも「大都会」の黒岩刑事や「西部警察」の大門刑事でもない刑事を演じるのが「ゴキブリ刑事」(73年)である。原作は漫画なのだが、当時は「大人の漫画」だったので読んだことはない。渡がまだ若かったこともあるが、角刈りだがもみ上げの長い鳴神刑事は、どちらかといえば渡瀬恒彦っぽいはみだし刑事である。ちなみに「ゴキブリ」とは暴力団のことを指しており、当時本物から嫌がらせを受けたりしなかったのか余計な心配をしてしまう。他の刑事役には地井武男や大門正明など後に刑事役が多くなる面々があったており、苅谷俊介、武藤章生といった「西部警察」ではレギュラーとなる面々の顔を見える。ヒロインは加賀まりこで、最近よく取り上げる右京千晶も出ている。右京千晶は活動期間も短く出演作もあまりないはずだが、自分がここで取り上げる作品にことごとく出ているのに驚く。別にファンじゃないのだが。

お笑い三人組

前項で話題に出したので「お笑い三人組」について触れておこうと思う。前述のとおり一龍斎貞鳳、江戸家猫八、三遊亭金馬の三人を中心としたNHKの人気バラエティで、56年から11年簡続いている。とは言ってもまだ幼少の身であった自分が見た記憶はない。よくある懐かしの名場面で見かけた程度である。映画版のほうは、58年にそのまま「お笑い三人組」というタイトルで、61年には新東宝から「泣き虫弱虫かんの虫の巻」「妖しい奴にご用心の巻」の2本が相次いで公開されているが、こちらもお目にかかったことはない。というよりこれらの作品が存在していたことも最近まで知らなかったのが実状だったりする。58年版のほうは三人の他には柳沢真一、稲垣美穂子らが出ているということくらいしかわからない。61年版のほうはTVでの三人の相手役である桜京美、楠トシエ、音羽美子に加え、関敬六、木田三千雄、武智豊子らも登場。新東宝らしく前項の浅見比呂志や国方伝、扇町景子らも出ているようである。しかしバラエティとはいえ、NHKの番組と新東宝ってなんかミスマッチのような気がしてしまうのは私だけであろうか。

俺は都会の山男

今回取り上げるのは「俺は都会の山男」(61年)という映画だが、タイトルだけ聴くと「クロコダイルダンディ」っぽいものを想像してしまうが、別にそういう話ではない。というか特に内容にはふれなかったりする。主演は吉田輝雄で、共演に三条魔子、万里昌代、星輝美と新東宝映画らしいメンバーが並んでいる。南利明、由利徹、コロムビアトップ・ライトといった当時人気のお笑いタレントや、江戸家猫八、一龍斎貞鳳、三遊亭金馬(当時は小金馬)といったやはり当時人気のテレビ「お笑い三人組」のメンバーも顔を出す。以前由利徹が主演の映画を取り上げたが(カックン超特急)、このお笑い三人組が主演の映画もやはり存在するのである。しかし、この映画で注目したのは吉田輝雄と並びトップにクレジットされる浅見比呂志なる役者である。コアな新東宝ファンなら知っているかもしれないが、私はその名をあまり見かけたことがなかったので調べてみると、主演はないにしても準主役級の作品なら何本かあることがわかった。しかし、新東宝倒産後はテレビのほうでチョコチョコと出てはいたようだが、やがて姿を消してしまったという感じの人である。99年に石井輝男の監督で「地獄」という作品がリメイクされているが、何とそれにこの浅見と、若杉英二、鳴門洋二、そして前田通子といった「消えた俳優」たちが何十年か振りにスクリーンに顔を見せているのである。前田通子はともかく、よほど通な人でないとわからんメンバーだと思うのだがどうであろうか。(つまり知らないオッサンが出ているとしか思われないのでは?ということ)。