影狩り・ほえろ大砲
さいとうたかをの人気劇画を石原プロが映画化したのが「影狩り」(72年)である。主役の室戸十兵衛には当然のごとく石原裕次郎、相棒の日光に内田良平、月光に成田三樹夫という早逝トリオがキャスティングされた。早逝と書いたが内田良平(84年・53歳)、石原裕次郎(87年・52歳)、成田三樹夫(90年・55歳)とくしくも三人とも50代で逝ってしまった役者である。とりあえず合掌。そういえば裕次郎の時代劇というのはあまり多くないのではないか。やはり現代劇の人という感じがする。このシリーズ第2弾が同年の「影狩り・ほえろ大砲」である。主演の三人はそのままで、女優陣は夏純子、伊佐山ひろ子、宮下順子、そしてカルーセル麻紀(女優か?)などが華を添えている。
さて、石原裕次郎で72年といえば何であろう。そう、「太陽にほえろ」がスタートしたのである。その3ヶ月後に公開されたのがこの「ほえろ大砲」である。「タイヨウニホエロ」「ホエロタイホウ」、偶然の一致ではないだろうなやはり。
ザ・ゴキブリ
前項で「ゴキブリ刑事」を取り上げたので、なんとなく想像はつくと思うのだが、いきなりポンとタイトルだけだされてもよくわからんと思われるのが「ザ・ゴキブリ」(73年)である。ひょっとしたら、ヒッチコックの「鳥」みたく大量のゴが…なんて思う人もいるかもしれない。もちろんそんなことはなく、渡哲也のゴキブリ刑事の第2弾である。前作より少し共演者がグレードアップしている。沖雅也に峰岸徹(当時は隆之介)、伊沢一郎、悪役となるのが南原宏治、安部徹、青木義朗そして丹波哲郎と、この顔ぶれを見ているとほんと東映の作品みたいだが、前作同様東宝の映画である。
ところで丹波といえば「キイハンター」。その記念すべき第1話のゲストは南原宏治と青木義朗であった。以前に書いたネタだったらすいませぬ。
ゴキブリ刑事
渡哲也といえば、テレビでは刑事役のイメージが強い人も多いと思うが、映画でも「大都会」の黒岩刑事や「西部警察」の大門刑事でもない刑事を演じるのが「ゴキブリ刑事」(73年)である。原作は漫画なのだが、当 時は「大人の漫画」だったので読んだことはない。渡がまだ若かったこともあるが、角刈りだがもみ上げの長い鳴神刑事は、どちらかといえば渡瀬恒彦っぽいはみだし刑事である。ちなみに「ゴキブリ」とは暴力団のことを指しており、当時本物から嫌がらせを受けたりしなかったのか余計な心配をしてしまう。他の刑事役には地井武男や大門正明など後に刑事役が多くなる面々があったており、苅谷俊介、武藤章生といった「西部警察」ではレギュラーとなる面々の顔を見える。ヒロインは加賀まりこで、最近よく取り上げる右京千晶も出ている。右京千晶は活動期間も短く出演作もあまりないはずだが、自分がここで取り上げる作品にことごとく出ているのに驚く。別にファンじゃないのだが。
お笑い三人組
前項で話題に出したので「お笑い三人組」について触れておこうと思う。前述のとおり一龍斎貞鳳、江戸家猫八、三遊亭金馬の三人を中心としたNHKの人気バラエティで、56年から11年簡続いている。とは言ってもまだ幼少の身であった自分が見た記憶はない。よくある懐かしの名場面で見かけた程度である。映画版のほうは、58年にそのまま「お笑い三人組」というタイトルで、61年には新東宝から「泣き虫弱虫かんの虫の巻」「妖しい奴にご用心の巻」の2本が相次いで公開されているが、こちらもお目にかかったことはない。というよりこれらの作品が存在していたことも最近まで知らなかったのが実状だったりする。58年版のほうは三人の他には柳沢真一、稲垣美穂子らが出ているということくらいしかわからない。61年版のほうはTVでの三人の相手役である桜京美、楠トシエ、音羽美子に加え、関敬六、木田三千雄、武智豊子らも登場。新東宝らしく前項の浅見比呂志や国方伝、扇町景子らも出ているようである。しかしバラエティとはいえ、NHKの番組と新東宝ってなんかミスマッチのような気がしてしまうのは私だけであろうか。
俺は都会の山男
今回取り上げるのは「俺は都会の山男」(61年)という映画だが、タイトルだけ聴くと「クロコダイルダンディ」っぽいものを想像してしまうが、別にそういう話ではない。というか特に内容にはふれなかったりする。主演は吉田輝雄で、共演に三条魔子、万里昌代、星輝美と新東宝映画らしいメンバーが並んでいる。南利明、由利徹、コロムビアトップ・ライトといった当時人気のお笑いタレントや、江戸家猫八、一龍斎貞鳳 、三遊亭金馬(当時は小金馬)といったやはり当時人気のテレビ「お笑い三人組」のメンバーも顔を出す。以前由利徹が主演の映画を取り上げたが(カックン超特急)、このお笑い三人組が主演の映画もやはり存在するのである。しかし、この映画で注目したのは吉田輝雄と並びトップにクレジットされる浅見比呂志なる役者である。コアな新東宝ファンなら知っているかもしれないが、私はその名をあまり見かけたことがなかったので調べてみると、主演はないにしても準主役級の作品なら何本かあることがわかった。しかし、新東宝倒産後はテレビのほうでチョコチョコと出てはいたようだが、やがて姿を消してしまったという感じの人である。99年に石井輝男の監督で「地獄」という作品がリメイクされているが、何とそれにこの浅見と、若杉英二、鳴門洋二、そして前田通子といった「消えた俳優」たちが何十年か振りにスクリーンに顔を見せているのである。前田通子はともかく、よほど通な人でないとわからんメンバーだと思うのだがどうであろうか。(つまり知らないオッサンが出ているとしか思われないのでは?ということ)。
ゼロ戦黒雲隊
愛妻くんこんばんは
今CSでやっている鈴木清順特集で、彼が監督したテレビドラマの1本が放映された。それが「愛妻くんこんばんは」(68年)の第33話「ある決闘」である。これ1本だけでは、どういうド ラマなのかが判断できなかった。出演者は「そーなんです」でざ・ぼんちに漫才のネタにされた山本耕一、ホームドラマのいびり役富士真奈美、そして「ブーフーウー」で狼の声だった永山一夫の三人のみ。そこで調べてみると全40話のオムニバスドラマシリーズだったことが判明した。つまり連続ドラマではなく、出演者も毎回変わるのだ。ちなみに第4話が「離婚代理人」(二谷英明、緑魔子)、第10話「007女房」(葉山良二、山本陽子)、第14話「分割払いの愛」(山内賢、大原麗子)、第17話「キャンパスの恋」(杉良太郎)、第40話「海と空の結婚」(根上淳、河内桃子)といった具合である。それにしても当時は「風」「剣」「お庭番」などオムニバス形式のドラマが多かったりする。ところで、永山一夫だが「ザ・ガードマン」においてもゲストが彼一人などという回もあるくらい、順調な役者生活を送っていたのだが、71年あの帰還事業で北朝鮮へ「帰国」してしまったのである。日本から「帰国」した人々にいい話は聞かないので、永山にもいい運命が待っていたとは思えないのだが。「ブーフーウー」で共演した黒柳徹子が消息を調べさせたそうだが、亡くなっていたそうである。
あしたのジョー(実写版)
「あしたのジョー」といえば、やはりマンガでありアニメであろうが、実写の映画も存在する。70年、デビューまもない石橋正次が矢吹丈を演じる。石橋は新国劇の出身だが、丹下段平役をその新国劇の重鎮・辰巳柳太郎が演じたのである。全然イメージがわかない。アニメで声をあてた藤岡重慶なら実写でもイメージにぴったりなのだが。もっとも辰巳柳太郎については、その弟子である大友柳太郎と混同してしまうくらいの認識だったりするのだが。他のキャストだが力石徹には亀石征一郎。まあなんとなく骨格は似ている。しかし一番似ているのは「マッハバロン」などに出ていた力石考という役者であろう(それを意識してつけた芸名だろうし)。白木葉子には「レインボーマン」でキャシーを演じた高樹蓉子、西には山本正明、青山にはなんと小松政夫といった具合である。まあ人気マンガを実写化してイメージぴったりのキャスティングだ、などという賞賛を聞いたことはほとんどないが、この作品も当時はどうだったのであろうか。個人的には一度もお目にかかったことがないので、やはり見てみたい気がする。
シルバー仮面
放映順では逆になるが、前項で「アイアンキング」を取り上げたので次はその前番組である「シルバー仮面」(71年)を取り上げねばなるまい。正確にはこの2番組の間に「決めろ!スマッシュ」という番組があったのだが、全然記憶にない。主演の春日五兄妹には亀石征一郎、柴俊夫、篠田三郎、夏純子、松尾ジーナといった面々で、本職ではないジーナを除けば、主役の柴俊夫が一番の新人であり、70年の「ゴールドアイ」では柴本俊夫の名で出演していた。まさかこれほど息の長い役者になるとは予想できなかった。裏番組が円谷の「ミラーマン」だったこともあり、低視聴率に悩み11話より「シルバー仮面ジャイアント」と改題され、等身大宇宙人からほとんど怪獣といえる巨大星人と戦うようになった。監督の実相寺昭雄や脚本の佐々木守、上原正三、市川森一と「ウルトラセブン」のスタッフが顔を揃えていたのだが、完敗であった。まあミラーマンも結構地味な作品だったと思うけれども、当時はどっちも平行して見ていたような気がする。兄妹なのに何故一人だけハーフ?とつっこみを入れたくなる松尾ジーナだったが、八話で姿を消す(シルバー仮面大全という本では十話ということになっている)。突然いなくなった印象があるが、その本では知り合いの博士の家に預られたと書いてあった。そんなシーンがあったのかどうか、今は確認できないので何ともいえない。降板の理由は病気ということだったが、我儘で遅刻などを繰り返したため降ろされたという説もある。その後どうなったのかというと、まもなくレーサーと結婚し芸能界を引退したということだ。ところで17話のサブタイトルは「シルバーめくら手裏剣」というのだが、これはCSでもこのまま放映されるだろうか。先日、ジャンボーグAの「きちがい星の~」はそのまま放送していたけれども。
アイアンキング
浜田光夫といえば、我々の世代では日活のスターというよりは、「アイアンキング」(72年)の人なのである。まあ小学生が日活映画のことなど知るわけもなく、変身はするけど三枚目の兄ちゃんぐらいに思っていたものだ。生身の石橋正次が怪獣やロボットを倒しちゃったりする異色のヒーローものであった。二人とも脚本の佐々木守との繋がりによる出演であったようだ。石橋は「佐々木さんが全部書くなら出る」といったそうで、実際全話佐々木が脚本を書いている。佐々木守といえば、あのウルトラセブンの幻の12話や「お荷物小荷物」などの問題作を書いたことでも知られているが、浜田はその「お荷物小荷物」に出演していたことが縁になっていた。本作も敵が少数民族(不知火一族)とか革命集団(独立幻野党)など今から考えると佐々木らしい設定がなされていた。当初のレギュラー森川千恵子が6話で降板したのは、火薬を使った場面で髪の毛が燃えてしまい「こんなのはいやです」と降板を申し入れたからである。一応劇中ではちゃんと死んでいる(変な言い方だが)。彼女が「仮面ライダー」の初期レギュラー(ルリ子役)だった真樹千恵子と同一人物だと知ったのは随分後のことである。中間は日替わりヒロインという感じで、岡崎友紀、テレサ野田、シルバー仮面の夏純子、キカイダー01の松木聖、キイハンターの大川栄子、ウルトラマンAの星光子、そして坂口良子といった人気女優がゲストとして出演していた。そして終盤のヒロインが「高校生無頼控」の項で書いた右京千晶である。
ところで浜田光夫の目のケガだが、日活時代の66年、酒場で酔っ払いが浜田と一緒にいた葉山良二に電気スタンドで殴りかかってきた際に電球が割れ、その破片が浜田の目に刺さったという事件だったようだ。完全なとばっちりだったのだが、復帰に一年を要している。迷惑な話である。