大脱獄
前項から連想したわけではなく、たまたまCSで眼にしたのが「大脱獄」(75年)である。主演が高倉健で、冬の網走刑務所を脱走するとなると、どうしても「網走番外地」を連想するが、そちらはまともに見たことがなかったりする(やくざ物や刑務所物は好きではないので)。
七人の死刑囚が脱獄するが、うち五人は仲間割れやら凍死やらで早い段階で死ぬ。ちなみに郷瑛治、室田日出男、伊東辰夫、前川哲男そして加藤嘉である。そして生き残ったのが高倉健と菅原文太で、最終的に二人はつるんだりする。高倉は殺人を犯してないにもかかわらず、強盗の共犯者(田中邦衛、田中浩)の証言で、殺人犯にされてしまっており、彼らへの復讐に執念を燃やす。文太の協力を得てSLの客車の中で邦衛と浩のW田中、そしてその黒幕である須賀不二男を射殺する。しかし田中邦衛がここまで普通に悪役なのは珍しい気がする。一方で文太は高倉の妹夫婦の殺害犯に殺されてしまう。それを演じるのがかつて文太らと共に新東宝のハンサムタワーと呼ばれた中のひとり高宮敬二である(他に吉田輝男、寺島達夫)。高倉は列車から飛び降りた高宮を追跡し、自らも撃たれるがこれを仕留める。高宮敬二は「仁義なき戦い」とかにも出ていたが、この70年代の後半には消えていった役者である。個人的には、ほとんど見たことなかったし。
監督の石井 輝男が脚本も書いており、前編北海道が舞台の東映らしい作品である。
柔道一代 その2
前項の続きである。タイトルはその2としてあるが、特に「柔道一代」の話題はなかったする。たまたまテレビドラマデータベースでこの番組をみつけたのだが、備考として高須賀忍が映画の撮影中に川に流されて行方不明になり、未収録だった最終回のアフレコは高木二朗が代役をつとめたとあった。ちなみに高木二朗は80年代は時代劇の悪徳商人の役などで見かけるが、この頃は「恐怖のミイラ」での刑事役など割合二枚目っぽい感じだった役者だ。
さて、高須賀だが、若松孝二監督の「誤審」という映画で、手錠で繋がれた二人の脱獄囚が川を渡るというシーンでの事故だったそうだ。もう一人が赤尾関三蔵という「隠密剣士」で敵忍者などを演じていたスキンヘッドの役者である。赤尾関が64年に亡くなっていたのは知っていたが、理由までは知らなかった。手錠で繋がれていたので当然二人一緒に流され、結局遺体が見つかることはなかったようである。監督の若松は現在でも活躍中だが、この時はデビュー2年目であった。海外では「マッドマックス」や「トワイライトゾーン」のように死亡事故があっても公開された映画はあるが、この映画はどうだったのだろうか(されていないようだが)。「墓碑銘」というサイトを見ると二人の名が並んで書かれていた。命日は行方不明になった日にされているようだ。高須賀36歳、赤尾関33歳であった。
柔道一代
柔道ドラマといえば「柔道一直線」を想い出す人が多いと思うが、今回はその約6年前のドラマ「柔道一代」(62年)を取り上げて見る。95回も続いた人気ドラマだったようだが、正直一度も見たことがないし、その存在も知らなかった。嘉納治五郎と講道館四天王をモデルにしており、別にそのままでもよさそうな気がするが、嘉納は真野に、四天王の山下は山上にというように名前は変えられていたようだ。
今回これを選んだのは、そのキャストに興味をもったからである。まず主役の真野を演じたのが御木本伸介である。新東宝時代は大役はほとんどなかった御木本が突然の主役である。四天王役その1は高島新太郎(途中で英志郎に改名)。「風雲黒潮丸」や「アタック拳」では主役を演じている。その2は黒丸良。「マグマ大使」の木田記者である。マグマは出演者テロップとかがないので長い間、名前がわからなかった役者だ。その3は友田輝。「隠密剣士」の初期にあまり貫禄がない甲賀忍者の頭領役で出ていた。「黒いパトカー」という刑事ドラマでは主演だったようだ。そしてその4が宇南山宏。高島、黒丸、友田は60年代俳優である。この頃のみの活躍で姿を消しているのだ。宇南山だけはその後もたまにドラマなどでその名を見かけることがある。しかし私はいまだにこの人の顔がわからないのである。きっと地味な人に違いない。そしてもう一人、主人公のライバルを演じたのが高須賀忍という役者である。この人はこの番組の撮影終了直後に亡くなっている、長くなりそうなので、以下事項。
かっこいい若者たち
突然だが、スリーファンキーズである。60年代の人気グループだが、出演映画は少なく(おそらく2本)そのうちの1本が「かっこいい若者たち」(62年)である。スリーファンキーズは「うっかり八兵衛」こと高橋元太郎がいたことで有名だが、当時のメンバーはその高橋と高倉一志(後に藤健次と改名)、そしてリーダーの長沢純である。高橋はこの年脱退しているので、このメンバーでは唯一の映画であろう。その後に加入したのが「矢車剣之助」などを演じた俳優手塚しげおである 。手塚は我々世代では「ワイルド7」の八百や「太陽にほえろ」でジーパン(松田優作)を殺した男として有名になる。
さて映画の方だが、チンピラのリーダー格である長沢を更生させようと高倉と高橋が歌の道に誘い込みトリオを結成し、人気者になるというお話。伊東ゆかりや今は偉い人となった飯田久彦が唄う場面もあるが、クレジット順が一番である水原弘はペット吹きという設定もあり歌わない。三人を見守る兄貴分といった役柄だ。他にもスマイリー小原や当時コンビ的に扱われていた丸井太郎に三角八郎、そして審査員役で渡辺プロの前社長である渡辺晋も出たりしている。
ところでこの映画の監督である弓削太郎は73年に自殺しているが、それは以前取り上げた大辻司郎が自殺した日と全く同じ日であったそうだ。そういえば丸井太郎も自殺(67年)しているが、こちらは結構有名な話ではないだろうか(ようするに大映に飼い殺し状態にされてしまったため)。正月そうそう暗い話になってしまった。
スタジオはてんやわんや
新年を迎え、このブログもスタートしてちょうど1年を迎えた。日記すらつけたことがないので、結構面倒に感じてたりもするが、しばらくは続けるつもりである。
第1発目はオールスターキャストということで「スタジオはてんやわんや」(57年)を取り上げる。これは当時の大映スター総出演のスタジオ紹介映画で、後半はそのスターたちによる歌や踊りなどの「かくし芸大会」というわずか30分弱の映画である。正月のおめでた映画かなと思ったらそうではなかった(公開は1月15日)。この数ヶ月前、やはり同じような構成の「スタジオは大騒ぎ」(56年)という映画があり、これが好評だったようで、今回は「大騒ぎ」には出ていなかった長谷川一夫、京マチ子、市川雷蔵、勝新太郎、中村玉緒、根上淳なども出演している。その他つまり両方に出演しているのは、船越英二、品川隆二、菅原謙次、高松英郎、若尾文子、山本富士子、三益愛子、川口浩、川崎敬三などまさにその後も活躍し続けたスターばかりである。雷蔵が勝新や林成年と日舞を踊ったり、品川隆二や山本富士子、まだ二十歳くらいだった川口浩やその母三益愛子が唄ったりしている。映画というより貴重な映像という感じである。
少年探偵団(テレビ版)
怪人二十面相
少年探偵団とくれば「怪人二十面相」である。今回はテレビシリーズでは最も古い58~60年版を取り上げて見る。私が生まれる前の作品ということもあるが、81回もある割にはその一場面すら見たことがない。映像が残ってないのかも知れない。配役は二十面相が原田甲子郎、明智が佐伯徹、小林少年が桧晋樹となっており、正直いずれも聞いたことがない。原田は主に60年代「新撰組血風禄」など時代劇を中心に活動していたようだ。佐伯は意外なことに、少なくとも90年代の初めまでは地道に役者をやっていたようである。他の出演者で、配役などははっきりしないが、知っている名前を挙げると、南風洋子、田口計、野々村潔、江木俊夫、松村達雄、後に声優となる森功至などが出ていたようだ。ちなみに以前取り上げたのは「怪人四十面相」(65年)である。「怪人二十面相」は77年にも南條豊主演で作られているが、こちらは全く知らない。近頃結婚じた藤谷美和子のドラマデビュー作のようである。
少年探偵団(映画版)
江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズは、戦後まもなくから何度も映画化、テレビ化されているが、今回は56年~59年の東映映画版を取り上げてみる。①「妖怪博士/二十面相の悪魔」②「かぶと虫の妖奇/鉄塔の怪人」③「二十面相の復讐/夜光の魔人」④「透明怪人/首なし男」⑤「敵は原子潜航艇」の5作9本が作られており、最初の4作は1本1時間程度の前後編という形になっている。当時よくあった形式で、前編公開から早くて一週間後には後編が公開されたりしている。少年探偵団といえば当然、明智小五郎と怪人二十面相である。同じ東映制作ながらキャストがころころ変わっている。明智は①と②が岡田英次、③と④が「七色仮面」の波島進、⑤が「遊星王子」の梅宮辰夫とドンドン若返っている。二十面相はというと全作変わっている。①が南原宏治(当時は伸二)、②が加藤嘉、③が小牧正英、④が伊藤雄之助、⑤が植村謙二郎となっており、南原を除いて割合高齢の人が演じている。③の小牧正英って誰だ?と私も含めて思う人もいるであろう。調べてみると俳優ではなく「伝説のバレエダンサー」と呼ばれるくらいバレエ界では凄い人なのだそうだ。その人が何故二十面相役で映画に出たかは不明だが、これ以降映画出演などはないようだ。少年探偵団役の少年たちだが、小林少年役の小森康充をはじめ知らん名前ばかりである。ただその中に秋山勝俊という名前がある。やくざ映画や時代劇で同じ名の俳優を見かけるが、70年代前半の時点で結構年配に見える。正確な年齢がわからないがとても30代前半(少年探偵団の時点から最大でもそれくらいのはずである)には見えないので、同一人物ではないと思うのだがどうだろうか。
風小僧
白馬童子
千葉真一は「七色仮面」、梅宮辰夫は「遊星王子」、そして山城新伍は「白馬童子」と東映ニューフェース出身でデビュー当時にヒーローを演じた役者は随分と長持ちしている(無論例外もあるが)。「白馬童子」(60年)で全国区になった山城だが、この頃は本当に二枚目であった。10年もたたないうちに三枚目路線にいくとは誰が予想したであろう。さて、この作品には劇場公開された「南蛮寺の決闘」というのがあるが、これは映画版というわけではない。テレビ放映したものを劇場公開したものである。自分が子供のころの「東映まんがまつり」ではこのパターンが多かった。あまり名の知れている人が出ていないが、南方英二の名が見える。チャンバラトリオのカシラである。ご存知の方も多いと思うが東映時代劇の斬られ役などをやっていた南方、山根伸介、伊吹太郎の三人で結成されたが、南方が病気で抜け結城哲也が加わり、その後南方が復帰したので四人でもチャンバラトリオなのである。ちなみに現在は伊吹と結城が抜け(伊吹は借金問題で吉本を解雇されている)、やはり東映時代劇出身の志茂山高也と漫才をやっていた前田 竹千代が加わり、相変わらず四人でトリオをやっているようだ。志茂山は志賀勝の弟だと聞いたことがあるのだが、違っているだろうか?途中からチャンバラトリオの話になってしまった。