お宝映画・番組私的見聞録 -251ページ目

新十郎捕物帖・快刀乱麻

知らない人は、タイトルだけ聞くと十手持ちの時代劇を想像するかも知れないが、これの舞台は明治時代で謎解き推理物というようなジャンルに属するといえる。この番組も本放送以来、お目にかかっていないので記憶と資料をたどってみる。内容は事件(だいたい殺人事件)が起こると虎之助(花紀京)や因果(植木等)、そして何故か勝海舟(池部良)が真相を推理する。そのたびに再現ドラマが行われる。しかしその推理はまず間違っている。そこで主役の新十郎(若林豪)が登場し、見事事件の真相を解き明かすというのがだいたいの流れである。新十郎は警察関係でも探偵でもない謎の男という設定であった。再現ドラマを何度も繰り返しながら事件の真相に迫っていく過程が面白く、当時(73年)小学生ながら楽しみにしていた記憶がある。出演は他に新十郎の仲間の若者に尾藤イサオと沖雅也、事件経緯を説明する警官に河原崎長一郎と中々豪華なキャストであったといえる。同時代の「明智探偵事務所」もそうだったが、タイトルバックが横尾忠則の絵であったのは記憶に残っている。この手の番組には妙にフィットしているのだ。前項の「あなたは名探偵」もそうだが、推理ドラマはこの辺の時代のが一番面白かったなあと思う。「金田一少年」も「コナン」もまだまだ甘い(ほとんど見てないけれども)。必殺シリーズで有名な山内久司がプロデューサーなのだが、最終回以外の映像は残ってないという。ビデオ撮りだったので、テープを上書きしていったということであろうか(高価だったので)。もう一度見たい番組ランキング(私個人)の第3位には入るのだけれど事実とすれば悲しい限りである。

あなたは名探偵

これはドラマというよりクイズ番組のジャンルに入るのかもしれない。ようするにVTRのドラマを見て、スタジオのゲストが犯人が誰かというのを推理するというものである。よくありそうな企画ではあるが、当時(70年)では結構斬新だったと思う。ドラマも本格的につくられていて、番組の大半はドラマパートではなかったかと思うのだが。小学校低学年だった私がワクワクしながら見ていたような記憶がある。とはいえ、長い間タイトルすら思い出せなかったが過去の番組を調べているうちにたどりついた。誰が出ていたとかは、全く覚えてないが、ドラマ部分には清水まゆみや西尾三枝子など名のある役者が出ていたようだ。ちなみに司会は川崎敬三と武原英子という俳優コンビだったようだ。川崎はワイドショーのヤラセ事件以来、姿を見なくなってしまった。司会をしていただけなのに気の毒な話だ。武原も女優としては順調で、にしきのあきらと結婚したが、96年に50才の若さで他界した。悲劇のコンビである。それにしてもこれと似たような番組は他にもあったはずだが(82年の「私は名探偵」など)、35年たった今も自分の中ではこれが一番面白かったと思う。まあ推理マニアにはならなかったので、他に見ていないだけかもしれないが。

ガッツ・ジュン

最近「H2」が今になってドラマ化されたりしているが、野球ドラマといえば、我々の世代には「ガッツ・ジュン」(71年)であろう。野球はやはり思い通りには球が飛んでくれないこともあって、以外にドラマ化されていない。このドラマもある意味では特撮であるといえる。レインボーボールだのZシュートだのスローモーションのボールが炸裂する。主役の沢村純には藤間紫の息子である藤間文彦、その姉に丘みつ子、平賀野球部長に隠密同心こと嵯川哲朗、萩原監督に「マスターアジア(の声)」こと秋元羊介、チームメイトの先輩ピッチャー大野に「月光仮面」にも子役で出ていた日吉としやす、キャッチャー野島にキレンジャーこと畠山麦、ファースト川越に「ワイルド7」の小野進也、サード進藤にウルトラマンタロウこと篠田三郎など、後に有名になる面々がバックを固めていた。藤間文彦は18才であったが、日吉、小野、篠田は23才、畠山に至っては既に27才である。しかしゲストで登場した近藤正臣など29才と実にフケた高校生である。日吉は後にやはり野球物の「レッドピッキーズ」などに」出演、小野は現在「小野聖心」という女子大のような名前に改名している。篠田はタロウのほか「二人の事件簿」でも主役の刑事を演じていた。畠山はキレンジャーで有名になったものの34才の時、自ら命を絶っている。アカレンジャーこと誠直也が出演している「特捜最前線」にゲスト出演している最中だったそうである。藤間文彦は引退して、市川猿之介のマネージャーとなった。その猿之介は61才の時、文彦の母である藤間紫(なんと78才)と入籍した。つまり文彦は継父のマネージャーということになったのでる。人生いろいろだなあと感じてしまう。

刑事物語 星空に撃て

タイトルからしてこのドラマも「太陽にほえろ」を意識していることが明らかである。しかし、結果的にはあまり記憶に残らないマイナーな存在になってしまった感がある。そう昔でもないのだが(76年)メンバーもはっきりとは思い出せないぐらいだ(ほとんど見てないけれども)。出演は江藤潤で確か星刑事という役名だったと思う。ライバル的な若手がぷっつりと消えてしまった織田あきら(伊達刑事)、近頃はナレーター兼お宅訪問者の渡辺篤史(矢田刑事)、姑息な悪党をやらせれば右に出るものはない江幡高志(出目刑事)、あとは役名は覚えてないが当時は専ら司会者という感のあった山城新伍、そして前述の「七人の刑事・特別編」にも出ていた地井武男と高松英郎というメンバーであった。この中でやはり異色なのは江幡である。ほぼ悪役なので刑事役は非常に珍しかった。それにしても出目という役名はあまりにも本人と一致していてふざけてるなあと当時は思ったものだ。(まあ出目昌伸という映画監督もいるけどね)。それに山城も「正義の味方」という役は多いが、刑事役というのはあまりないのではないだろうか。内容で覚えているのは1話だけで、星の先輩刑事(山口崇)が殉職してしまい、その墓に立派な刑事になることを星が誓うといったような話だったと思う。しかし向こうが「太陽」ならこっちは「星空」だ、というタイトルはちょっと単純だよなあ。

七人の刑事・特別編

実は「七人の刑事」には旧作と新作の間に3話かぎりの特別編が存在する。放送時のタイトルは「新・七人の刑事」なのだが、ややこしいので「特別編」とさせてもらう。なにしろ3話かぎりなので、メンバーすら完全には思い出せない。顔である芦田伸介以外は新メンバーだったのである。覚えていたのが「仮面ライダーX」の速水亮で、当初は炎三四郎などという芸名だったそうだ。それと前述した「はぐれ刑事」でも刑事役の伊東辰夫も記憶にある。ちなみに伊東は波田陽区をハンサムにしたような顔だ。そして数少ないこの番組に関する記述から地井武男と綿引洪(勝彦)を思い出した。地井は確か嵯峨山という役名だったと記憶しているのだがどうだったか。見るからに悪役顔の綿引はやはり鬼刑事という感じの役柄であったと思う。残る二人だが、どうやら「車周作」こと高松英郎と「念仏の鉄」こと山崎努らしいのだ。当時(75年)だったら、二人のことも当然把握していたはずだが記憶にない。「必殺仕置人」などで山崎は好きな俳優だったのになぜであろう(仕置人では高松もセミレギュラーだった)。この場合高松と芦田はどちらが上司なのだったのだろうか。年齢は当然芦田が上だが、「特捜最前線」の大滝秀治や「大都会」の高品格のように年長の部下というのも大いにありえるからだ。おそらく主役の芦田が一番偉い役だとは思うのだけれども。この番組について詳細に知っている人がいたら教えていただきたいものである。

新・七人の刑事

八年間続いた「七人の刑事」終了から九年たった78年、それが復活した。しかも当時大人気だった「太陽にほえろ」の裏番組として。当然のごとく刑事ドラマ対決として騒がれた。有名なハミングのOPはそのままで、前作から引き続いて登場するのは芦田伸介(沢田警部)、佐藤英夫(南警部補)、天田俊明(久保田部長刑事)の三人で、それぞれ昇進している。新メンバーが鬼軍曹的な存在の中山仁(姫田刑事)、前作では少年犯などを演じた樋浦勉(佐々木刑事)、インテリっぽい若手の中島久之(岩下刑事)、そしてこのメンバーでは地味過ぎると思ったのか、リーゼントでバイクを乗り回す若者三浦洋一(北川刑事)の四人である。三浦は「はぐれ刑事旅情編」ではすっかり落ち着きのある中堅刑事だったが、当時はまだ族のあんちゃんという感じであった。記憶にも新しいが00年に46才の若さで亡くなっている。ビートルズの曲がよくBGMとして使われており、第4話などは「ひとりぼっちのビートルズ」という話であった。この回のゲストは沢田研二で、「太陽にほえろ」にもゲスト出演している。エピソードもやはり地味なものが多くテコ入れがはかられた。第43話で佐々木が殉職し、南も移動で去った。翌44話から登場したのが、なんと輪島功一(立岡刑事)とこれがデビューだった宅麻伸(中野刑事)であった。輪島はもちろんボクシングが得意という設定だったがセリフは少なかったような気がする。まあ当然といえば当然だろうが。宅麻に関してはその後の活躍など予想できるはずもなかった。この時OPもテーマ曲をリズミカルにアレンジしたものに変更となった。結局、放送時間も金曜から日曜と変更され、刑事ドラマ対決はやはり「太陽にほえろ」の勝ちということになり、「新・七人の刑事」も69回で幕を閉じた。しかし「太陽」を脅かす存在はその二週間後に始まった。「3年B組金八先生」である。

日曜8時笑っていただきます

タイトルだけ聞くとお笑い番組?とか「笑っていいとも」みたいなバラエティを想像する人が多いと思うが、れきっとした?ドラマである。タイトル通り70年の日曜8時から放送されていた堺正章主演のコメディで、冒頭で必ずマチャアキが「日曜8時、笑っていただきます~!」と叫ぶのである。このパターンは「おかみさん、時間ですよーっ!」と一緒だと思ったら、「時間ですよ」の第1シリーズ終了直後にこの番組はスタートしている。さて内容はと言われても、毎度のパターンで恐縮だが全く覚えていないのである。「そういえばこんな番組があったよな」と唐突に思い出して調べてみたのだが、確かに存在していたことだけは確認できた程度である。他の出演は、水前寺清子、和田アキ子、五十嵐淳子、十勝花子などらしいが、覚えているのは五十嵐と十勝くらいで、ヒロインと思われる水前寺などまったく記憶にない。五十嵐淳子はこれがデビュー作で、当時は五十嵐じゅんと名乗っていた。奇麗な人だと子供ながらに思ったものだ。しかし、アクションドラマや時代劇などと違ってこういう番組は記憶に残りづらいものである。再放送もされていないし(どこかの地方でされたかもしれないが、タイトルの「日曜8時」がひっかかってやりづらいと思われる)、雑誌や懐かしの番組特集などでも取り上げられたことがないのではないだろうか。私自身約35年思い出すことも無かったし。視聴率は最高で25%はあったというから、結構人気のある番組だったはずだが、覚えている人は少ないだろうなあ。

特命捜査室

これまたOP・EDを見ただけなのだが、「ブラック・チェンバー」の続編である。中山仁の役名も鏡俊太郎と一緒なのだが、雰囲気はガラリと一変しており、OP曲も「♪パヤパパヤパッパー~」と陽気なものになっている(ED曲も一緒である)。秘密捜査官のメンバーも中山に加え桜町弘子(桜弘子)、賀川雪絵(南恭子)の女性二人と、大橋一元(星一郎)そして高城丈二(旭吾郎)の五人となっている。桜町は東映のお姫様女優の一人で、50年代後半から数々の時代劇に出ていた人で、こういう番組に出たのは珍しかったと思われる。ちなみに東映ニューフェース3期生(同期に里見浩太朗など)で、当時は32才くらいである。賀川はもっぱらピンク映画路線の人で「徳川女刑罰史」とか「ずべ公番長」シリーズとかで活躍していた。やはりこういったレギュラーは珍しい。大橋は主に60年代後半から70年代前半に活動しており、「ジャンボーグA」の岸隊長や「009の1」での準レギュラーが目立つくらいで、ぷっつりと姿を消してしまった。高城については、すでに取り上げている通りだがOPでは最期に、EDは最初に名前が出ており、中山とのW主役という扱いである。メンバーではないが千葉治郎も引き続き登場している。ところで女性二人を含む陽気な捜査官という設定は同時期に放映されていた「キイハンター」を意識していたのかもしれない。かたや五年、こちらは1クールで終了しているけれども。

ブラック・チェンバー

これは生島治郎のハードボイルド小説「ザ・シャドウ刑事」をドラマ化したものである(69年)。正直、OP・EDしか見たことがないのだが、それだけでもだいたいの雰囲気は把握できる。誇張されたハードボイルドぶりに思わず吹き出しそうになってしまうのだ。主演は牧コーチこと中山仁(鏡)と70年代のアクションドラマや時代劇には必ずといっていいほど顔を出す内田良平(轟)のコンビである。OPでは、マシンガンで撃たれたと思ったら次の瞬間起き上がる中山、「わーっ」とビルの上から転落したと思ったら次の瞬間立ち上がる内田。文字通り不死身なのだ(ウソつけ)。EDの会話も、内田「ちょっといい女だったな」中山「(鼻で笑い)関係ねえよ」、そして中山の決して上手とはいえない、つまりヘタな歌が流れるといった次第である。誇張もここまでやれば立派という感じである。ちなみにこの番組で、千葉真一の弟・千葉治郎がデビューしている。治郎という名は原作の生島治郎からもらったということらしい。ところで「ブラック・チェンバー」で検索しても、この番組についてふれているサイトはほとんど見当たらない。まさしく忘れられた番組の一つといえよう。

電撃!ストラダ5

そのタイトルだけは知っていたのだが、誰が出ていたとか内容がどうとか、先日まで知らなかったのがこの「電撃!ストラダ5」(74年)である。まず制作が日活で、おそらく唯一のテレビ特撮ではないかと思われる。先日からCSで放送が開始されたのだが、その出演者に驚いた。「仮面ライダーアマゾン」の岡崎徹(ペガサス)、「ワイルド7」の小野進也(ルナ)、「飛び出せ青春」の剛達人(アポロ)、紅一点に日活女優の山科ゆり(アンドロメダ)。もろにロマンポルノ路線の人で「昼下がりの情事」とか「濡れた荒野を走れ」とか沢山の映画に出ていた人である。そして地井武男(オリオン)。当時すでに32才で、それなりに地位を築いていた(シャレではない)彼がなぜ若手に混じって出ていたのか謎だ。以上の五人に指令を与えるのが「エースのジョー」こと宍戸錠(ジュピター)である。とまあ当時すでにそれなりに名前の売れていた俳優ばかりなのである。ただし岡崎が「アマゾン」を演じるのは翌年なので、当時は無名だったと思われる。このメンバーでは一人だけ演技のヘタさが目立っており、日本語が不自由な「アマゾン」と同じような演技なのだ。だからアマゾンに選ばれたのか?これほどのメンバーでなぜ幻の番組扱いされるようになってしまったのか。一言でいえば人気を得られなかったからであろう。特撮と書いたがとくに特撮と言われるような場面はない。変身するわけではないし(服のみ変わる)、乗り物は四台の車だし(どうせなら五台にすればよいのに)、怪人がでるわけでもない。敵の首領であるアスモディが安っぽいマスクをかぶっているだけだ。変身ブームの中では子供が喜ぶような要素がなく13話で幕を閉じ(予定通りか打ち切りかは不明だが)、再放送もほとんどされることがなかった。それにしても小野のコードネームであるルナにはやはり違和間を感じてしまう。他にもあるだろうに。ルナで思い出したが2話のゲストは「プレイガール」で庭ルナ子を演じた高毬子である。作戦に失敗し、あっさりと殺される。前後するが1話のゲストは小松方正で、岡崎の父親役(刑事)だ。出たとたんに殺されてしまう役である。内容自体は面白いとは言えないが、別の意味で面白い番組であるといえよう。