月光仮面(映画版)
阿修羅のごとく
男たちの旅路
鶴田浩二といえば任侠映画というイメージが強いが、個人的には「男たちの旅路」の吉岡司令補がもっとも印象深い。「男たちの旅路」はNHKの土曜ドラマ枠で、第1部から第4部まで(76年~79年)まで年3話づつプラス82年にスペシャル版の計13話が作られている。脚本は山田太一である。警備会社に勤める特攻隊の生き残りである鶴田と若い警備員たちとの対立を中心に描かれる。若い警備員役は水谷豊、桃井かおりを筆頭に柴俊夫、森田健作、五十嵐淳子、清水健太郎、岸本加代子たちが演じている。中学から高校にかけての頃、毎年楽しみに見ていた記憶がある。個人的な好きな話は「シルバーシート」(3部1話)、「別離」(3部3話)、「流氷」(4部1話)というところだ。「シルバーシート」は当時の爺さん俳優総出演といった感じである。志村喬(72)、藤原釜足(72)、加藤嘉(67)、殿山泰司(61)、佐々木孝丸(78)、そして笠智衆(73)とよくぞまあ集めたものである(年齢は当時、多少の誤差はあるかも)。当時52歳だった鶴田に「あんたはまだ若い」と言ってしまうところが凄い。その鶴田を含め全員が亡くなってしまっている。「別離」は病に倒れた桃井と鶴田が恋に陥る話。桃井の死後、鶴田は姿を消してしまう。この話は何度見ても涙が出る。さあ泣けそら泣けどんと泣けというくらい見事に泣ける話だ。「流氷」は姿を消した鶴田を、社長(池部良)の命を受けた水谷が釧路の街を探し回る話。再会したが「帰らん」という鶴田を、いつも説教されていた水谷が逆に長ゼリフで説得する場面に感動する。とまあ純粋に感動すること間違いなし(たぶん)。DVD化もされているようなので、見てない人は今すぐ見なさい。
大空港
非情のライセンス(第2シリーズ)
前々項で「天知茂の妻・弓恵子」と書いてしまいコメント欄の方で訂正したが、正しくは「天知茂の弟子である宮口二郎の妻・弓恵子」でありました。まあ天知と宮口が兄弟と書いているサイトなどもあるし、その辺はご勘弁を。ちなみに弓恵子は潮万太郎の娘で、柴田昌宏・侊彦の姉である。さて、天知と宮口と言えば、やはり「非情のライセンス」であろう。以前にも取り上げたが、今回は73年からの第2シリーズを取り上げてみる。殉職といえば「太陽にほえろ」のイメージがあるが、この「非情のライセンス」も負けていない。第1シリーズでは誰も死なないが(正確には一回かぎり登場の黒木憲や内田勝正が殉死している)、今シリーズではレギュラー陣が次々死んでいく。まず高城丈二(大門刑事)、第1では1回ゲストで出ただけだったが、本シリーズではセミレギュラー入り。しかし新婚旅行の最中(妻はひし美ゆり子)、拉致されて殺害されるというあっけない最期を迎える。続いて第1からのレギュラー葉山良二(四方刑事)、会田(天知)とは同年代で同格であったが(実際天知と葉山は1歳違い)、こちらも結婚式の最中背後から佐藤京一に撃たれあっけなく死亡。そして本シリーズより登場の紅一点・江波杏子(江沢刑事)、いつの間にか殉職したようだ(録画しているはずだが見るの忘れていた)。そして宮口二郎(坂井刑事)、自分の後輩(和崎俊哉)に撃たれ死亡。殉職らしい殉職であった。その数回前に平田昭彦に3,4発浴びても死ななかったのだが、今回は一発で致命傷となり、第1話から約3年の出番を終えた。その翌々週には左とん平(右田刑事)、第1のクリーニング屋でも数発の銃弾を浴び死亡したとん平だが、今回も蜂の巣状態で殉職する。まあ第3シリーズではまた違う役で復活するのだが。そして、坂井と右田が相次いで死んだ後サブタイトルから恒例の「凶悪」の文字が消えてしまう。「やさしい凶悪」とか「凶悪の接吻」とかわけがわからんと思うときもあるが、なければないで寂しいものである。
銭ゲバ
マコ愛してるゥ
緑魔子といえば、テレビの方ではアクションものや時代劇などでゲストで出ていることが多いが、主役を演じたドラマもある。それが「マコ愛してるゥ」(67年)である。自らが主題歌を唄うOPしか見たことはないのだが、緑の役はユーレイで、亭主役の沢本忠雄、霊界の監視人であるE.H.エリック(岡田真澄の兄)との三角関係を描いたコメディということらしい。主役が死んでいるゴーストものというのは結構昔からあるようだ。沢本忠雄というと、「あかんたれ」のドラ息子の役ぐらいしか私には思いうかばない。出演は他に「タコ社長」こと太宰久雄や浅香光代のダンナである世志凡太、天知茂の妻である弓恵子などが出ている。しかし緑魔子、名前がタイトルに使われるくらいだから、当時はかなりの人気だったようだ。しかし、やはりアングラとか悪女とかのイメージが強く、あまりお茶の間向けの人ではないと思うのだが。
非行少女ヨーコ
ストーリーどうのこうのより、いろんな意味で見どころが多いのが「非行少女ヨーコ」(66年)である。当時は二十歳前後だった出演者が多いが、今でも活躍している人ばかりである。主演のヨーコ役には緑魔子。どうせなら「非行少女マコ」にしたほうが良かったのではないだろうか。その相手役がこの作品が東映デビューとなる谷隼人(新人表記)でさすがに若い。谷隼人といえば、その後の「キイハンター」や「不良番長」など東映のイメージが強いが元々は日活のニューフェイスである。64年の日活映画に「岩谷肇」の名で数本出ている。翌年はほとんど出ていないところを見るとすぐに日活をやめて、東映から再デビューという形のようだ。彼らの仲間としては当時は不良っぽい役の多かった大原麗子や「キャプテンウルトラ」のアカネ隊員こと城野ゆき、東野英治郎の息子である英心(当時は孝彦)が何とボクサーの役、やせているのである。そして後に緑魔子のダンナとなる石橋蓮司、ヒゲもなくパーマ頭でもない短髪の蓮司である。他にも荒木一郎や大坂志郎、岡田英次そして、あの寺山修司もチラッと登場する。さて、緑魔子や石橋蓮司といった出演者からは悲劇的な結末を予想してしまうのだけど、みんなに見送られ、谷と魔子は外国へ旅だって行くのでした、めでたしめでたしという結末。意外や意外と思うには私だけではあるまい。
追跡(中村敦夫)
話題が出たついでに、テレビドラマの「追跡」(73年)について触れておこう。主演中村敦夫、監修市川昆、制作CALと「木枯し紋次郎」の後番組だったようだ。実際に見た記憶はないが、予告だか番宣だかで中村がスクーターに乗っている姿を見た気がする。ゴタゴタがあって打ち切りになったのも覚えている。小学生だった私に詳しいことなどわかるはずもないが、発端となった「汚れた天使」というサブタイトルは覚えている。要するに局側(関西テレビ)が第10話「汚れた天使」を放送中止にしたのである。その理由が「わけがわからん」「登場するオカマが気持ち悪い」というようなものであった。なにせこの回の脚本は唐十郎(大鶴義丹の父)、出演も身内の李礼仙、根津甚八などで、アングラ魂炸裂といった感じっだたようだ。唐はもちろん主演の中村もその決定に怒り番組を降板し、打ち切りということになったらしい。そのせいか再放送もされていない(と思う)幻の番組となっている。しかし関係者の誰かが勝手に「汚れた天使」のフィルムを持ち出し上映会をやったそうである(つい最近も30数年ぶりに上映されたらしい)。それにしても中村敦夫、この頃から「議員」の顔を見せていたようだ。