お宝映画・番組私的見聞録 -254ページ目

殺されるのは御免だ

以前少しだけ触れたが、50年代の赤胴鈴之助といえば梅若正二であった。スターになって増長したため、ほされたと言う話をどこかで聞いたが、真偽のほどは不明である。鈴之助降板後も、時代劇に出ていた彼がおそらく初の現代劇が新東宝の「殺されるのは御免だ」(60年)である。タイトルからも察することができると思うがアクション映画である。梅若扮する主人公がアルバイトで友人たちとやった運送の仕事が、実は麻薬の密輸であった。組織は証拠隠滅のため彼らを抹殺しようとする。みんな殺され一人残った梅若の運命は、というような話である。恋人役が三ツ矢歌子、その父親が殿山泰司、殺される友人役に杉江弘太郎、関敬六、堀勝之祐、他に近藤宏や新東宝お馴染みの松本朝夫らが出ている。時代劇とは違った雰囲気で頑張った梅若だが、60年代前半には見かけなくなってしまった。今も昔も長いことスターでいるのは難しいということであろう。

番外編・円谷プロ三面記事

前項でちょっと円谷プロのことを調べはじめたら、ここ数年の一連の騒動をほぼ初めて知った次第である。このブログの趣旨とは違うので、今回は番外編ということでよろしく。簡単な人間関係は前項で書いたとおりだが、まずは歴代の社長を追ってみる。初代は当然円谷英二。ちなみに本名は英一だ。二代目はその長男一、三代目はその弟・皐、四代目がその息子・一夫である。ここまでは、その死における就任である。03年にその経緯はわからないが、一夫は会長に就任し(まだ41才だったが)、一の長男昌弘が五代目となる。ここから一連の騒動が起きる。昌弘はウルトラシリーズの特技監督を務め当時は専務職であった高野宏一を「乗っ取りを画策した」として解任、しかしその昌弘は女性社員にセクハラ訴訟を起こされ、一年あまりで社長を退く。六代目にはその弟英明が就任するが、今度はパワーハラスメントで訴えられる。くわえて「ウルトラマンネクサス」不振の責を問われて、やはり一年足らずで専務へ降格となる。そして現在は七代目、外部から招かれた大山茂樹という円谷一族でない人が就任している。しかし実際は会長の一夫が取り仕切っているものと思われる。関連会社の円谷エンタープライズの社長も一夫である。さて、英二の三男・粲は円谷映像の社長を務めていたのだが、04年にアートポートという会社に営業譲渡し、会社名も円谷エンタテイメントと改称され、粲はそこの副会長になったそうである。もう一つ昌弘や英明が社長を務めたキャラクターグッズ関連の会社である円谷コミュニケーションズは潰れて、やまなやという有限会社が引き継ぐ形になっている。それぞれの肩書きやら会社名やらがコロコロ変わるので、正確に把握するのは困難である。まあ英二の三人の息子それぞれの家族による派閥争いのようなものもあったようで、一連の騒動もその辺の対立が根底にはあるのではないだろうか。

恐怖劇場アンバランス

円谷プロは怪獣物だけでなく、特に初期は怪奇・恐怖物に力を入れていた。「怪奇大作戦」は勿論のこと、「ウルトラQ」だってもともとは、怪奇・恐怖物として作られている。しかし、一番怖いのは「恐怖劇場アンバランス」であろう。この作品は69年から制作されながら、放映は73年という数年間オクラ状態であったという、いわくつきである。13話のオムニバスで、ホスト役が青島幸男。中でも妙に印象に残っているのが、第2話の「死を予言する女」である。監督が藤田敏八、脚本が「金八先生」の小山内美江子、主演がいまや名演出家の蜷川幸雄というメンバーだけ聞くと円谷プロとは想像できない回だ。簡単にいうと、蜷川扮する作詞家が見知らぬ女(楠侑子)に「明日の12時13分に死ぬ」と宣告され、結局その時間通り死んでしまうという話。数年前CSで放映された際、この回だけは記憶に残っていた。話は変わるが、円谷一族について人間関係が良くわからんので、ちょっと調べてみた。円谷英二の長男が一、次男が皐(のぼる)、三男が粲(あきら)である。長男が棒一本なのに、何故弟二人はぱっと見読めない難しい漢字なのだろう。そして一の長男が昌弘、次男が英明、三男が「宇宙刑事シャイダー」こと浩、長女が又紀仁美こと一美である。一美は後妻の子供らしい。そして皐の長男が現・円谷プロ会長の一夫、粲の娘が歌手だった憂子である。10枚目のシングル「Confused Memories」がアニメ「金田一少年の事件簿」の主題歌になり、ヒットしたのだが、それが最後のリリースとなったようだ(結婚して引退)。円谷一族というと早逝のイメージがあるのだが、一が41歳、浩が37歳で亡くなっているからだろう。皐もCDを出してまもなく亡くなったため(享年60歳)、そういうイメージを強めている。長引きそうなので以下次項。



いまに見ておれ

前項の「今に見ておれ」と同じタイトルのドラマがあった。「シャボン玉ホリデー」つながりとでも言おうか。主演が前都知事・青島幸男の「いまに見ておれ」(64年)である。こちらは木下藤吉郎にような歴史上の偉人ではなく、汽車好きの青年が国鉄に入って活躍するさまを描く、まあ立身出世物には違いない。青島といえばスタートは放送作家だが、「シャボン玉ホリデー」には自ら登場するようになり、人気を得てドラマにもでるようになっていた。そして初の主演作がこの「いまに見ておれ」なのである。この作品でもうひとつ注目すべきはウルトラマン好きなら知っている、監督に円谷一、脚本に金城哲夫の名があることだ。この作品は円谷プロが初めてかかわったテレビシリーズなのである(らしい)。ちなみに「ウルトラQ」はこの翌年の作品だ。数年前にCSで放映されたのだが、私は第1話しか見なかった。何故かといえば、面白くなかったから。しかしこの後、関東大震災が起こったり、青島が満州鉄道に飛ばされたりと波乱万丈な展開があったようだ。しかもその際、円谷プロお得意の特撮も発揮されていたらしい。もう少し見ておけばよかったと今になって思うのである。

青春太閤記・今に見ておれ

前項までのクレージーキャッツつながりで、確かハナ肇の付き人をやっていたのが、なべおさみである。「シャボン玉ホリディ」で人気を得た彼も、今はテレビで見かけることはあまりなく、なべやかんの父といったほうが若い人にはわかりやすいかもしれない。こんななべも70年前後は「スター」だったのである。この頃彼が主役のドラマが何本か作られている。「新婚さん、旧婚さん」(69年)、「独身のスキャット」(70年)、そして「青春太閤記・今に見ておれ」(70年)である。最近CSで放映されたのを、多少見た程度なのだが、ようするに木下藤吉郎の出世物語である。共演が大原麗子、里見浩太郎、ウルトラセブンこと森次晃嗣などで、こういった連中をおしのけて主役をはっていた時代があったのである。そういえばこの年、公開された映画「ハレンチ学園」でもたいした役でもないのに、クレジットが宍戸錠についで2番目であった。もっともこの翌年くらいからはレギュラーはあっても、主役というのはなくなっていったようだ(あるかもしれないけど)。私の子供の頃の認識もコントをやっているおっさんという感じである。しかし、この70年はなべブームだったのであろうか。そんな記憶は全然ないけれども。

あひるヶ丘77

一連のクレージー映画を見てもわかるとおり、クレージーキャッツというと、どうしてもハナ肇、植木等、そして谷啓の三人が前面に出て後の四人は完全なワキ役である。しかしその中で、桜井センリが主役のドラマがあった。それが「あひるヶ丘77」(69年)である。原作は「仙人部落」「ヒゲとボイン」でお馴染みの小島功のマンガで、77はセブンセブンと読む。なんで77なのか良くわからんが、おそらく60年代に人気のあった外国ドラマ「サンセット77」から取ったのではないだろうか。主役は2DKの団地に住む夫婦で、それを桜井と広瀬みさが演じ、一人息子を当時9歳の下沢広之つまり現在の真田広之が演じている。これが彼のテレビデビュー作である。他の出演者は山城新伍、大原麗子、清川虹子、そしてクレージのワキ役、安田伸、石橋エータローも出ていた。 ちなみに主題歌は桜井と広瀬のデュエットである。ところで私より下の世代、つまり30代の人はクレージーキャッツは6人組というイメージが強いのではないだろうか。石橋エータローは70年代早々に脱退しているので、私はぎりぎり7人の時代を知っているという感じである。とはいっても映画はほとんど7人組の時代に撮られているので、そうでもないのか。もっとも今は、ハナ、安田、石橋と亡くなり4人になってしまったが。

天下の若者vs若い季節

60年代、クレージキャッツの人気は凄まじいものだったが、この「天下の若者」(64年)もクレージーの面々が主演のドラマである。メインは映画のように植木等ではなく谷啓である。その谷啓と梓みちよが芸能プロに入社して、その活躍と騒動を描いたドラマである。渡辺プロのタレント総出演という感じで、同時期にやっていたNHKの「若い季節」の対抗番組と言われていた。こちらは化粧品会社が舞台で、ジェリー藤尾、横山道代、水谷良重、黒柳徹子、坂本九、渥美清そしてクレージキャッツがこちらにも出演していた。まあどちらも見たことはないのでなんとも言えないが、似たような作りだったようである。対抗番組といっても、両方とも渡辺プロがかんでいた。ちなみに「天下の」の脚本は池田一朗つまり後の時代作家隆慶一郎が書いている。この番組で子役デビューしたのが中丸新将で、大勢の中からオーディションで選ばれたそうである。しかし「若い季節」が話題になることはあるが、「天下の若者」が語られることはほとんどない。正直なところ私も知らなかったし。ということで、この勝負「若い季節」の勝ち、などと言うのは短絡的であろうか。

騎馬奉行

CSで「騎馬奉行」(79年)が始まった。これも本放送以来初めて見るので、かなり忘れている部分が多かった。というかほとんど覚えてなかった。まず主演の市川染五郎(現・松本幸四郎)演ずる黛内蔵助が何の奉行だったか忘れていたが、火盗改メであった。火盗改メと言えば長谷川平蔵、つまり鬼平と同じ身分である。でも「奉行」ではなく「長官」なのだが。そして五人の部下たちで、記憶にあったのが、その中ではマイナーな存在の「笛吹童子」こと岡村清太郎と「はぐれ刑事純情派」の大場順で、加藤武、伊東四郎、大出俊のメジャー俳優のことは何故か忘れていた。他にも内蔵助の妻役でまだまだ元気だった夏目雅子、中尾彬夫人の池波志乃、悪役一辺倒ではなくなっていた志賀勝、そして老中役で丹波哲郎といったメンバーが出演している。久しぶりに見た感想を一言で言えば「けっこう面白い」である。だから当時見ていたのだろうが、時代劇の中では「正義のお役人」ものは、あまり好きなジャンルではないのである。役人が悪党でないと「ぬるい」話になりがちなのだが、これは途中で大出俊が殉職するなど、けっこうハードな展開もあるようだ。意外だったのが、これが東映の作品だったこと。染五郎が主役で丹波や志賀くらいしか東映っぽい役者がいないので、そう思ってしまったが、「水戸黄門」だって東映の作品だし、意外なこともないか。

赤いダイヤ

「土曜日の虎」もそうだが、やはり梶山季之の小説が原作になっているのが「赤いダイヤ」(63年)である。ちなみに赤いダイヤとは、最近ではサクランボのことをさしていう場合もあるようだが、ここでは小豆のことである。簡単にいえば小豆の先物取引で一発あてようとする男の物語である。主演はこれが出世作となる大辻司郎とNHKのアナウンサーから転身し、これが女優デビューとなる野際陽子である。大辻といえば、個人的にはどうしても「ハレンチ学園」のヒゲゴジラのイメージが強いのだが、ちゃんとシリアスな役柄もやっている。52年に飛行機事故で亡くなった漫談家(活弁士)だった父と同じ名前を名乗っているので、少しややこしい。そんな彼も73年に仕事の行き詰まりと借金苦から自殺してしまった。38歳であった。真面目な話、ヒゲゴジラのイメージが強すぎたのではと思ってしまう。一方の野際はこの作品で悪女を見事に演じ、この後の「キイハンター」など順調に出世していった。他の出演者は中村鴈治郎、柳永二郎、潮万太郎など爺さん俳優が名を連ねている。翌年公開された映画版はそれぞれの役を藤田まこと、三田佳子が演じている。共演者に藤田佳子もいて、なんかややこしい。

まぼろし城

同じ作品のリメイクというのは現在でもよく行われるが、60年代に2回リメイク、つまり3回作られたのが「まぼろし城」(60、64、68年)である。原作は「怪傑黒頭巾」や「恐怖のミイラ」なども手がけた高垣眸で、この作品も少年向けの時代活劇である。60年のはNTVでの放映で、出演者は和田孝、藤山竜一、影万理江とよく知らない名が並んでいる。64年版はCXの放映で、出演者は花柳寛輔、伊吹友木子、千葉敏郎などである。個人的には三船敏郎、千葉敏郎のW敏郎は腕のたつ浪人をやらせれば右に出る者はいないと思うくらい浪人が似合う役者だとおもっている。まあ国際的大スターの三船に比べれば、千葉を知っている人は時代劇通くらいかも知れないが、「必殺シリーズ」などで良く見かけることができる。ちなみに60、64年版の主題歌は「鉄腕アトム」でお馴染みの上高田少年合唱団が唄っている。68年版はMBSでの放映で、主演は「新隠密剣士」の項でも触れた林真一郎で、共演が中村晃子、ジュディ・オング、谷幹一、原建策とわかりやすい名前が並んでいる。監督は「月光仮面」「隠密剣士」などでお馴染みの船床定男である。この68年版はCSで放映されたのをチラッと見たが、今の子供はこんな番組みないだろうなあと思った。少年向け時代活劇といったジャンルの番組が消えてどれぐらいになるだろうかと、しみじみ考える今日この頃である。