お宝映画・番組私的見聞録 -183ページ目

地下鉄三四郎/浅草三四郎/龍巻三四郎

「警視庁物語」がスタートした56年、それと並行して堀雄二の主演で「龍巻三四郎」「地下鉄三四郎」「浅草三四郎」という「三四郎」シリーズが公開されている。
「地下鉄三四郎」と「浅草三四郎」は登場人物が同じで、堀の仲間が「警視庁物語」でも共演する花澤徳衛、神田隆、そして三條美紀という顔ぶれ。「地下鉄三四郎」って、タイトルだけだと意味がわからないが、堀扮する三四郎が地下鉄でスリにあったことをきっかけに、東京中のスリを捕まえようとするという話のようだ。「龍巻三四郎」では、堀の役名は舘龍二だが、龍巻三四郎の異名をもつ柔道家という設定だ。やはり「警視庁物語」で共演する須藤健が堀の父親役で出演しているが、実際は堀と須藤では6才しか違わない。
原作は城戸禮の竜崎三四郎シリーズで、上記の「竜巻三四郎」や「地下鉄三四郎」など「××三四郎」というタイトルの著書が24作ほどある。主人公はすべて竜崎三四郎だが、話によって柔道家だったり、銃の早撃ち名人だったりと同一人物というわけではないようである。しかも、この城戸禮という人の作品はタイトルに三四郎とついてなくても、主人公名はほとんどが竜崎三四郎だったりするようだ。これは文庫などで再販された際に、改めて主人公の名を竜崎三四郎に統一したという事情もあるようだ。いずれにしろ、余程この名前大好きなのか考えるのが面倒くさいのかどちらかだろう。この竜崎三四郎という名前は日活の「摩天楼の男」(60年)で二谷英明の、「大学の暴れん坊」(59年)で赤木圭一郎の役名としてそれぞれ使われている。どちらも城戸の原作(原案)である。
その三四郎シリーズの一つ「抜き撃ち三四郎」を原作としているのが、赤木圭一郎の「拳銃無頼帖」シリーズである。これは赤木演じる主人公は剣崎竜次だったり、壇竜次だったり三四郎の名は使われていないので、三四郎シリーズが原作とはわかりにくいかもしれない。上記のとおり「龍巻三四郎」では、堀の役名もリュウジであった。
かたやハンサムでスマートな若者(赤木圭一郎)、かたや武骨で貫禄のある三十男(堀雄二)と似ても似つかない二人が、同じルーツの役を演じているのである。
そういえば、堀雄二が「七人の刑事」で演じたのは赤木主任であるというのも何かの因縁であろうか。

七人の刑事(劇場版)

前項のついでだが、松竹版の「七人の刑事」の劇場版についても触れておきたい。二本とも63年の公開で、タイトルはそのまま「七人の刑事」と「七人の刑事・女を探がせ」だ。こちらは前項と違って未見である。
レギュラー陣はテレビと同じ(前項参照)。一作目のゲストは倍賞千恵子、早川保、園井啓介、高宮敬二、富士真奈美、市川好郎らに加えて平尾昌章などが出演している。倍賞千恵子と早川保が恋人同士の役で、早川にコールガール殺しの容疑がかかるというような内容。園井は特ダネを狙って倍賞に近づく新聞記者の役だが、これは当時園井が「事件記者」に出演していたからかもしれない。個人的なイメージでは早川と園井の役が逆なような気もるが、当時の早川はデビューしたばかりで好青年の役が多かった。早川と倍賞は同じ63年の「下町の太陽」でも共演しており、こちらでは早川は倍賞にふられる役である。
殺されるコールガールを演じているのは後に心中死する富永美沙子。やはり自殺した清村耕次も出演している。本作の脚本は「警視庁物語」の長谷川公之である。
「女を探がせ」の方は、四人の非行少女が施設を脱走し、その一人が死体で発見される。その非行少女を演じるのが、香山美子、中村晃子、青山ミチという面々。この中では、やはり香山美子(当時19歳)の非行少女というのがちょっと想像しにくい。「銭形平次」のお静であり、リカちゃん人形のモデルになった人である。青山ともに最後まで逃げ回るようだ。中村晃子は当時デビューまもない15歳。レコードデビューするのは2年後のことである。香山と中村は前作にも出演しており、中村は映画デビュー作になる。青山ミチは黒人とのハーフで当時14歳だが、この前年既にレコードデビューしていたのである。上記の「下町の太陽」にも出演している。覚醒剤などで芸能界を追われ消息不明だったが、近年「あの人は今」に登場し、近況が伝えられた。
彼女らに加え、刑事に協力する非行少女として十朱幸代(当時21歳)も登場する。他にも田村高廣、加藤嘉、高千穂ひづるなどが出演している。ちなみに高千穂は「月光仮面」大瀬康一のカミさんである。
やはり本作は若き十朱、香山、中村といった女優陣がみどころであろう。

七人の刑事 終着駅の女

堀雄二といえば、「警視庁物語」では部長刑事だが、並行してやっていた「七人の刑事」では係長である。「七人の刑事」には劇場版が三本あり、二本は松竹の制作で63年に公開されているが、残る一本は日活で制作された「七人の刑事 終着駅の女」(65年)である。
「七人の刑事」といえば、当時大人気のドラマであり、その劇場版とあれば注目を浴びて当然のような気がするが、実は地方でしか(併映扱いで)公開されなかった作品で、日活本社でも封切日などを把握していなかったらしい。
出演者はテレビと同じで、堀雄二(赤木係長)、芦田伸介(沢田部長刑事)、菅原謙次(杉山刑事)、美川陽一郎(小西刑事)、佐藤英夫(南刑事)、城所英夫(中島刑事)、天田俊明(久保田刑事)の面々。他に笹森礼子、梅野泰靖、平田大三郎、草薙幸二郎などで、庄司永建が駅員、杉山元や沖田駿一(当時、吉田毅)がチンピラで、日色ともえもチョイ役で出演している。当時はまだ悪役の多かった大滝秀治が七刑と行動を共にする所轄の刑事を演じている。丁度40歳の頃だが、見た目は現在の印象とあまり変わらない。
内容だが、上野駅で若い女の刺殺体が発見されるという、前項の「終電車の死美人」と似たようなシチュエーションだが、こちらは電車内ではなく駅のホームが現場である。
本作には音楽が全く使用されておらず、勿論お馴染みのテーマソングも流れない。日活作品に詳しいサイトによると、特撮音楽などで有名な渡辺宙明が音響とクレジットされているのは、著作権料のかからない音楽についてのアドバイスなどをしたためらしい。渡辺自身は本作を見て、内容はすばらしいがやはり音楽がないのはよろしくないと語ったそうである。本作がオクラ入り的な扱いをされているのは、その辺にも原因があるのかもしれない。
笹森礼子はこの65年に結婚引退しており、本作が最後の作品っぽい(違うかも)。赤木圭一郎の相手役をよく務めていたが、赤木とは同じ小学校の出身だそうである。

終電車の死美人

前回まで「警視庁物語」を紹介したが、それの原形となった作品といわれているのが「終電車の死美人」(55年)である。終電車の社内で若い女性が刺殺され、その捜査にあたる警視庁の刑事たち。といように「警視庁物語」と筋立ては同じだが、登場人物は違う(役者は一部同じだが)。
捜査課長に宇佐美諄(淳也)で、「光速エスパー」の朝川博士、「ミラーマン」の御手洗博士である。係長が「警視庁物語」では課長役になる松本克平、主任が山形勲、刑事たちが伊藤久哉、石島房太郎、菅沼正、福原秀雄、そして「警視庁物語」でも刑事役となる花澤徳衛、佐原広二、本作でも主演扱いの堀雄二といったメンバーである。他に山本麟一も出ているがチョイ役であった。
犯人役は南原伸二(宏治)、そして依頼したのが「水戸黄門」東野英治郎である。といっても殺しではなく、金を奪うことだったのだが、南原が独断で殺したのであった。仲間割れして、南原と東野の格闘シーンなんてのもある。
ヒロイン役は南原の女である星美智子。戦前から子役として活躍していた女優で、触れていなかったが「警視庁物語」にも七、八回出演している。個人的には「コンドールマン」の母親役くらいしか知らんが。そして、中原ひとみ。目撃証言をするウェイトレスの役で、たいした役ではないのだが扱いは大きい。中原も南原や佐原広二、山本麟一らと同じ東映ニューフェースの1期生だ。
先に紹介したとおり、本作では犯人役の南原は「警視庁物語」の初期では刑事役に。逆に刑事役の伊藤久哉は第1作、山形勲は第2作のそれぞれ犯人役となっている。「警視庁物語」に比べれば、刑事たちの態度は偉そうで、特に山形と伊藤は高圧的な役柄であった。
ラスト、南原は追い詰められてから逮捕されるまで意外にしぶとい。演出であろうが、最初ヒゲが生えてなかった刑事たちが、ラストのほうではみんなヒゲがかなり伸びていた。逮捕されるまで剃ってはいけないのだろうか。
本作の脚本は「警視庁物語」をほぼ担当した長谷川公之ではなく、元朝日新聞記者だという白石五郎と後に「素浪人花山大吉」などを手がける森田新が担当している。

警視庁物語(今井編)

さて、「警視庁物語」もやっとラストである。前項の続きで、22「十代の足どり」(63年)から。
ラストの三本はいずれも、揉み合っているうちに殺してしまったというパターン。
22作は東映のニューフェースが多く出演しており、犯人役の小川守は8期生で、同期に「赤影」の坂口祐三郎や本作にも出演している藤江リカなどがいる。小川の活動時期は60年代前半のみだったようだ。被害者の姉役は新井茂子(6期生)で、その同級生役の田村雪枝(10期生)もクレジットでの扱いが大きく、期待されていたようだが、映画出演はこの年の3本のみに終わっている。同じく10期生の小林稔侍も大学生役で出演しており、当時20歳だけあって一瞬見ただけではわからなかった。同じく大学生役で砂塚秀夫が出ているが、こちらは当時30歳である。
最後となる64年は23「自供」、24「行方不明」の2本。レギュラーは堀雄二(長田部長刑事)、神田隆(捜査主任)、花澤徳衛(林刑事)、山本麟一(金子刑事)、須藤健(渡辺刑事)、南廣(北川刑事)、前年は出演していなかった松本克平(捜査課長)。そして大木史朗に代わり、様々な役で出演してきた今井健二が三田村刑事役で捜査陣に加わった。
23作は犯人役は楠田薫、その娘役が当時人気の本間千代子。お涙頂戴的なラストであった。当時の風俗では血液銀行が登場する。金のために血を売るシステムが存在したのである。しかし、この年のライシャワー事件をきっかけに売血は減っていったという。
そして、最終作。スタートから9年目にして初めて神田隆演じる主任の名前が戸川であることが明かされる。普通「主任の××です」というような場面でも、不自然なくらいガンとして「主任です」としか言わなかったのが、初めて「戸川です」と名乗ったのである。ラストなので名前くらい付けようと思ったのだろうか。
さて、内容だが二人の男が行方不明になり、やがて殺人事件であることがわかる。写真の片方が中野誠也で、捜査陣は中野を被害者と見て捜査していたが、見ている方は直ぐに被害者と加害者が逆だろうということはわかる。ビルの屋上で中野を見つけた瞬間、彼は飛び降り自殺してしまう。結局、中野誠也には一言もセリフはなかった。ゲストは他に加藤嘉、大村文武、水上竜子など。松岡きっこもチョイ役だが、本名の松岡紀公子で出演している。被害者は濃硫酸で溶かされたのだが、実際にビーカーに濃硫酸を入れ、ネズミの死体を漬け込んだりして、本当に半分溶けているところが映し出されたりする。

とまあ、改めて見ると面白いシリーズであった。神田隆、今井健二、山本麟一など自分の世代では悪役でしか見たことがない面々が刑事役なのも面白かったりするのである。

警視庁物語(南編)

残念ながら「警視庁物語」である。62年度は、18「謎の赤電話」、19「19号埋立地」、20「ウラ付け捜査」の三本であった。
初めて気付いたのだが、今回全作放送されたとばかり思っていたのだが、1話だけ抜けていた。それが「謎の赤電話」である。よく東映チャンネルのHPを見ると、現存する全話を放送と書いてあった。ということは現存してないのか?どうやら誘拐事件を扱ったものらしいが、このシリーズに他に誘拐事件を扱った話はないので、見てみたかった気がする。
さてレギュラーは、お馴染みの堀雄二(長田部長刑事)、神田隆(捜査主任)、花澤徳衛(林刑事)、山本麟一(金子刑事)、須藤健(渡辺刑事)。そしてスクリーンから消えた佐原広二に替わり大木史朗(太田刑事)、若手刑事役は9~11作に山村刑事で出演していた南廣が復帰。しかし役名は北川刑事に変更されている。南廣はこのまま最終作まで出演することになる。大木は実年齢では南より1つ上だが、一番若手刑事という設定のようだ。
さて19作目なので「19号埋立地」なのだろうか。ゲストは新井茂子、岩崎加根子、織本順吉など。このシリーズは単純な強盗殺人がほとんどだったのだが、この辺から可哀相な犯人という要素が入ってくる。争っているはずみで殺してしまったとか、被害者の方がどうしようもない奴というパターンである。本作の犯人となる岩崎加根子はそのパターンであった。
20作目は今までと違うパターンで、無銭飲食で留置されていた男が迷宮入りになっていた殺人事件の犯人が自分だと自供する。しかし、被害者の女性の身元が確認できず奔走するという話。つまり犯人ではなく被害者の捜査、タイトル通り「ウラ付け捜査」なのである。その犯人を演じるのが井川比佐志。当時20代だが、とてもそうは見えない。自供した動機が夢に化けて出てきたからということで、本当に犯人かどうかという展開もあるが、結局井川の自供どおりであった。他に八代万智子、俊二から改名した今井健二など。
63年度は21「全国縦断捜査」、22「十代の足どり」の二本で、メンバーは前年と替わらず。
21作は返還前の沖縄の様子が見れたりする。タイトル通り沖縄、秋田、名古屋などに捜査員が飛ぶ。中野誠也、嘉手納清美、今井健二、室田日出男などが沖縄人として登場する。クラウンが初代(RSD)から二代目(RS41)に変わり、フマキラーのベープマットが当時からあったことがわかる。本作の犯人は、これも初のパターンだが元々指名手配されていた八名信夫であった。ただし、八名は一言もセリフがなく、逮捕時も音楽が流れていた。何も知らず、その八名の子供を生んだのが、特別出演の中原ひとみ。逮捕された事実を知り、赤ん坊を手にかけようとしたりする。
中途だが、以下は次回にまわしたい。

警視庁物語(千葉編)

いい加減あきたかもしれんが、「警視庁物語」である。その61年度は、15「不在証明」、16「十五才の女」、17「十二人の刑事」の三本。
レギュラーは堀雄二(長田部長刑事)、神田隆(捜査主任)、花澤徳衛(林刑事)、山本麟一(金子刑事)、須藤健(渡辺刑事)、佐原広二(高津刑事)で、松本克平(捜査課長)は16のみ出演。そして、若手刑事役として千葉真一(中川刑事)が登場。千葉真一となれば、華麗なアクションが展開されそうだが、そういったシーンは一切なく、走るシーンすらない。
15作のゲストは小沢栄太郎に加え、「月光仮面」大村文武、「七色仮面」波島進の三人が容疑者となる。ちなみに千葉真一は「新・七色仮面」である。大村が一番怪しく、波島が怪しくないという展開。結末はセオリーどおり波島が犯人であった。波島が犯人役というのも珍しいかも。
16作はまたも今井俊二(健二)が容疑者に。被害者役は当時18歳の新井茂子で、とても設定の15歳には見えない。新井は東映ニューフェース6期生で千葉とは同期になる。他に亀石征一郎、太地喜和子、真山知子などがいる。ちなみに新井のダンナは「キャプテンウルトラ」中田博久である。
17作は以前未見の状態で、ここでも紹介したが上記7人に加え、今までこのシリーズで若手刑事を演じてきた波島進、大村文武、中山昭二、南廣が地方の刑事役で登場。波島と大村は宮城の刑事で、何故か(ずっと年下の)大村が部長刑事役。中山は名古屋で、南は静岡だが、登場は時間は短い。もう一人は恐らく、波島と大村の上司である石島房太郎のことのようだ。別に「十一人の刑事」でも良かったと思うが。犯人役は(ラストにしか登場しないが)曽根晴美で、その恋人が佐久間良子というかなりスペシャルな作品。本作のみニュー東映の配給である。
ここまで女性ゲストで一番多く出ていたのが小宮光江だが、15作目が最後となる。この翌年、ガス自殺という最後を遂げている。
最後といえば高津刑事役の佐原広二も17作で退き、波島進、神田隆とともに「特別機動捜査隊」に部長刑事役でレギュラー出演する。しかし20話で降板(神田も26話で降板)し、テレビからも映画からも姿を消す。この人はニューフェース1期生ということ以外詳細が不明だが、この時点で引退したのだろうと予想される。小宮光江みたいに自殺とか、波多伸二のように事故死とかという記録も見つからないので。関係ないが、この人は鳩山由紀夫に似ていると思う。

警視庁物語(南・中山編)

「警視庁物語」は続く。59年度は9「顔のない女」、10「108号車」、11「遺留品なし」の三本。
レギュラーは堀雄二(長田部長刑事)、神田隆(捜査主任)、花澤徳衛(林刑事)、山本麟一(金子刑事)、須藤健(渡辺刑事)、佐原広二(高津刑事)、松本克平(捜査課長)。そして、若手刑事役は南廣(山村刑事)。当時31歳で、この前年にジャズドラマーから俳優に転向したばかりであった。
9作目のゲストは佐久間良子。クレジットも堀や南と並びトップにきているが、あまり筋に関係ないお嬢様の役で、出番も短い。
10作目のゲストは、東野英治郎、曽根晴美。曽根晴美は中盤に逮捕される犯人の一人。曽根も東映ニューフェース4期生で期待の若手の一人だったと思うが、若い時から悪人顔でさすがに刑事役はなかったようだ。
11作目には二度目の木村功。容疑者の一人ではあるが、女たらしな情けない役。なぜ木村がこの役を?という感じである。
三作とも主犯は最後の最後まで顔を見せない。そのゆえか当時は無名だった役者が演じている。9作目は「地獄大使」こと潮健児。今でこそ知られているが当時は大部屋役者。しかし、この年テレビの「七色仮面」にレギュラーで出演している。
10作目はよくわからん高田博という人。11作目は若手二枚目俳優の長谷部健。大映時代は主役級だったが、日活、東映では脇役に周り60年代の初めには姿を消してしまった人だ。
60年度は12「深夜便130列車」、13「血液型の秘密」、14「聞き込み」の三本で、レギュラーは上に同じで、若手刑事役は南廣から中山昭二(山形刑事)に替わった。ウルトラセブン的にいえば、クラタからキリヤマになった。当時32歳で、この前年に新東宝から移籍している。
12作目は80分越えの作品。課長役は本作のみ松村達雄で、加藤嘉や今井俊二(健二)が大阪の刑事を演じている。本作のストーリーはドラマ「特別機動捜査隊」に流用されている。前後編で波島進の立石班と中山昭二の藤島班の合同捜査が行われている。つまり中山昭二はこの両方に出演していることになる。犯人役は「ナショナル・キッド」の小嶋一郎であった。
13作目は三たび東野英治郎が出演。今井健二は今回はどうしようもない女たらし役で登場。今では想像しにくいが、当時はそういう役が似合っていた。今回は二人のどちらかが犯人だと思わせて、最後にどんでん返しで、被害者の女は自殺だったという結末。その原因である今井は反省の色がなかった。
14作目では、その今井が13作と同じ役で登場し、今回は殺人犯となるという意外な展開。前年まで月光仮面だった大村文武がその仲間として登場。他に山村聡などがゲスト。
話には関係ないが、13、14作にはこまどり姉妹が顔を見せている。

警視庁物語(波島・大村編)

さて、前項の続き。今回は「警視庁物語」シリーズの5「上野発五時三五分」、6「夜の野獣」(57年)7「七人の追跡者」、8「魔の伝言板」(58年)である。
固定の出演者は堀雄二(長田部長刑事)、神田隆(捜査主任)、花澤徳衛(林刑事)、山本麟一(金子刑事)、そしてこの四作には全て登場する松本克平(捜査課長)、6を除く三作に登場するのが佐原広二(田中→高津刑事)である。佐原広二は南原宏治、山本麟一と同じ東映ニューフェースの1期生だ。石島房太郎(渡辺刑事)も6~8作に登場。当時50歳を越えていたベテラン役者である。
5、6作の若手刑事役は波島進(山村刑事)。若手といっても、この人は東映の前身である太泉映画のニューフェースで、当時それなりに実績のあった34歳である。同時期に「少年探偵団」シリーズで明智小五郎を演じていた。その後テレビの「七色仮面」や「特別機動捜査隊」の立石主任とヒーロー路線を進んでいく。
5作目の犯人は多々良純。波島に追われて激走する。堀雄二は撃たれて負傷し後半は登場しない。
このシリーズは基本60分程度のSPだが、「夜の野獣」は80分越えの作品で、東野英治郎や加藤嘉がゲスト出演。東野は時計屋のオヤジという役柄。犯人役は1、2作では刑事役だった関山耕司だが、このシリーズはこういうパターンが多い。8作で冒頭で捕まる強盗犯を演じた外野村晋も、「夜の野獣」では早津刑事を演じていた。
7、8作の若手刑事役は大村文武(太田刑事)。東映ニューフェースの3期生で同期に里見浩太郎がいる。前作「夜の野獣」にも、犯人グループのチンピラの一人で出演しており、この時点ではほとんど無名だったと思われるが、この直後に映画版「月光仮面」を演じて、一気に有名となっている。当時24歳とここまで刑事を演じてきた面々では一際若い。
7作目は小沢栄太郎が犯人と思わせておいて、実は高木二朗だったという展開。ちなみにタイトルの七人の追跡者とは神田、堀、花澤、山本、石島、佐原、大村のことを言っている(はずだ)。
8作目は直ぐに外野村晋と織本順吉が逮捕された中、逃げ回るのが三井弘次(松竹)。このシリーズで犯人は、最後の最後まで中々その顔を見せない。本作もわざわざ松竹から三井を呼ばなくても、という風に思えてしまう。
三井も含めて、外から呼ばれる役者は黒沢映画に出ている面々が多い気がする。そういえば、前項の木村功、稲葉義男、山形勲、そして多々良純、東野英治郎はみんな「七人の侍」に出演している。

警視庁物語(南原編)

月が替わったので新しいネタをと思ったが、特にないので、大分前にここでも取り上げた「警視庁物語」シリーズが最近、東映チャンネルで全作放送されたので、改めてピックアップしてみたい(ネタは多少重複するかもしれないが)。
「警視庁物語」は56~64年にかけて、年3本くらいずつ全24作が制作された。全作に同じ役で出演しているのは主演となる堀雄二(長田部長刑事)と神田隆(捜査主任)のみ。山本麟一(金子刑事)も全作に出演しているが1,2作目のみ役名が違う。花澤徳衛(林刑事)は22作に出演。若手二枚目刑事はほぼ一年ごとに交替している。
1「逃亡五分前」、2「魔の最終列車」、3「追跡七十三時間」(56年)4「白昼魔」(57年)の初期4作に若手刑事として出演したのは南原伸二(宏治)。東映ニューフェース1期生だが、それ以前は船上爽という名で大映に在籍していた。山本麟一もニューフェース同期生で当時はともに29歳だが、どうみても悪役顔で共に20代には見えない。見えないといえば、神田隆(スタート時38歳)、堀雄二(スタート時34歳)も貫禄がありすぎて実年齢に驚く。花澤徳衛も定年間近というふうに見えるが、実はスタート時は45歳であった。
1,2作の刑事メンバーは、神田、堀、花澤、山本(役名は吉岡刑事)、南原(宮川刑事)の他に、やはり悪人顔の関山耕司(金子刑事)、そして捜査課長で松本克平という顔ぶれ。
3,4作の刑事メンバーは、神田、堀、南原、山本(ここから金子刑事)、前二作は鑑識課長役だった須藤健(林刑事)で、この人は後半はレギュラー刑事となる。そして捜査課長この二作のみ永田靖という顔ぶれ。花澤徳衛は3作目は何故かモグリの医者という役で4作目は唯一の不出演。スケジュールの都合だろうか、5作目より復帰する。
犯人役では1作目の伊藤久哉。東宝の脇役俳優のイメージが強いが、この56年までは東映に在籍しており、クレジットも堀、南原と並んでトップに来ていた。
2作目は山形勲。大物悪役のイメージだが、本作では拳銃をぶっぱなして逃げ回る。
3作目は今井俊二(健二)。このシリーズでは犯人から刑事まで、何度も登場する。
4作目は木村功。黒沢組で東宝のイメージが強いが東映や松竹にも並行して出演していた。本作では結核を患った強盗犯という役。「七人の侍」から三年ほどしかたっていない。「七人の侍」といえば稲葉義男も6作目に登場するが、そっちはスリの役である。
次回に続く。