日本沈没(テレビ版)
06年にも再映画化されたばかりだし、内容は誰でも知っているだろうと思うので、ここでは触れない。
大ヒットした映画は73年に公開されたが、小林桂樹のみ映画版と同じ田所博士の役であったので、小林桂樹のイメージが非常に強い。映画版では藤岡弘といしだあゆみが演じた主演の若い二人は、村野武範と由美かおるが演じている。同じ74年の「エスパイ」では藤岡と由美が主演だったので、多少ごっちゃになって村野のことを忘れていた。村野といえば「飛び出せ青春」とか「食いしん坊万歳」のイメージが強いが、本作も含め「狼無頼控」とか当時は主演も多かった。
他の出演者は細川俊之(途中降板)、黒沢年男、小川知子、佐原健二、マリ・クリスティーヌ、仲谷昇、沢田亜矢子、鳳啓助・京唄子、中村鴈治郎、「若物たち」で主役の兄弟を演じていた田中邦衛、山本圭、橋本功がそろい踏み、そして総理大臣役は山村聰であった。ノンクレジットだが、予告ナレーションは岸田森が担当していた。
マリ・クリスティーヌって、そういえばどうしているかなと思いきや、現在は異文化コミュニケーターという肩書きを持ち国連ハビタット親善大使だそうである。ちなみに、英国のマイケル王子夫人殿下も同じマリ・クリスティーヌという。
ゲストに目を向けると、主題歌を担当した五木ひろしを初め、浜美枝、土屋嘉男、根上淳、夏純子、大和田獏、阿川泰子(当時・麻里とも恵)らに加え、大村崑、牧伸二、林家木久蔵(木久扇)といったお笑い系や、レインボーマン水谷邦久、バロム1高野浩幸、「飛び出せ青春」つながりか、穂積隆信、柳生博、穂積ペペなどが出演。とにかくキャスティング費用で1億円くらい使われたそうである。
脚本は長坂秀佳、石堂淑郎らが担当していた。
「日本沈没」の当時の人気は凄いもので、映画やテレビドラマに加え、ラジオドラマというのも73年に放送されている。ちなみにキャストは江守徹、太地喜和子、加藤武、高橋悦史、角野卓造といった豪華なものであった。
そういえば、小林桂樹が演じた田所博士は06年の映画では豊川悦司が演じている。設定を若くしたそうだが、両方見た人は違和感ありまくりだったのではないだろうか(自分は見てないけど)。
地震列島
これはタイトルどおり東京直下型地震パニックの映画だが、脚本があの新藤兼人だったりする。そのせいかどうか、地震云々よりもドロドロな男女関係に比重がおかれている気がする。簡単にいえば、主演の勝野洋、永島敏行、多岐川裕美、松尾嘉代の四角関係である。永島と多岐川はビルで、勝野と多岐川は地下鉄で災難に巻き込まれるわけで、当然その2ヶ所が中心で描かれる。その分地震の全体像は「日本沈没」の流用だったりするようだ。よく言われているのが「タワーリング・インフェルノ」と地下鉄だけど「ポセイドン・アドベンチャー」を併せたものという意見。この2作を合体させたら、それはもう面白い作品になるはずだが、「地震列島」は…。まあ、個人の好みである。
他の出演者は松原千明、岡田英次、佐藤慶、滝田裕介、草野大悟、大滝秀治、三木のり平、山崎努、佐分利信、そしてここにも登場の鈴木瑞穂といった面々だ。
話は変わるが、この年テレビドラマにおいても東京直下型地震を描いたものがあった。それが木曜ゴールデンドラマ「東京大地震M8.1」である。出演は千葉真一、竹下景子、柴俊夫、岡田英次、江木俊夫、中島ゆたか、木内みどり、穂積隆信、赤塚真人、織田あきらといった面々。特技監督はやはり川北紘一で、スピードカメラによる特撮はなかなかリアルだったそうな。実はこのドラマに関しては、リクエストをもらったのだが、自分も未見だしこの程度しかわからなかった。二時間ドラマのような1回きりのドラマはやはり難しい。
ついでだが、それから十年、90年にも予言ドキュメンタリードラマ「M8.5直下型東京大地震」という似たようなタイトルのドラマがあった。こちらは誰が主役なのかはよくわからないが、「地震列島」と同じ勝野洋も出演している。他にも佐藤慶、竜雷太、長門裕之、中尾彬、天本英世、岸部一徳、高松英郎にくわえ、やはり鈴木瑞穂が顔を出していたようだ。おそらく無名だったろう豊川悦司の名もある。
今世紀に入ってからもシミュレーションドラマのようなものをやっているようだし、地震を題材にしたものは今後も続くのだろう。
ノストラダムスの大予言
というわけで、通常では現在見ることができないのだが、不思議とこういった封印映像は流出するのが常である。本作も例外ではなく、ノーカット版のビデオなども出回っているらしいが、自分は今のところ未見である。
主演は丹波哲郎で、なんと一人三役である。親子三代の役だけれども。黒沢年男、由美かおる、司葉子らにくわえ、東宝作品らしく平田昭彦、小泉博、志村喬、総理大臣役には山村聡、官房長官に内藤武敏、そしてここにも登場の鈴木瑞穂は環境庁長官の役だ。青木義朗は憲兵の役で、前項の「東京湾炎上」にも出演していた下川辰平、武藤章生、佐々木勝彦。ちなみに佐々木勝彦は千秋実の息子である。その佐々木と竜崎勝はニューギニアの調査隊員である。ちなみに竜崎勝は高島彩アナの亡父である。ニューギニア調査隊の他隊員は外人で、当時のドラマによく登場していたフランツ・グルーバーや、やはり「東京湾炎上」にも出ていたウィリー・ドーシーなどである。
他にも「大都会」シリーズや「西部警察」で活躍する苅谷俊介、麻里とも恵こと後の阿川泰子。またニュースキャスター役で銭形警部やショッカー首領でお馴染みの納谷悟郎、司会者役でスーパージェッターの市川治といった声優として知られる面々が顔出しで登場する。替わりに岸田今日子は「予言」の声を担当、監督の舛田利雄も「受話器からの声」を担当しているという。あと、制作の田中友幸も公害問題諮問委員という役で出ているらしい。
前述のようにカット版なら、DVD化しても問題ないと思うのだが、その気配はなさそうだ。どうせなら予言されていた99年に出していれば、新たなヒットを生んだかもしれないと思うのだが。
ちなみに公開当時の併映は「ルパン三世 念力珍作戦」であった。
東京湾炎上
これも未見だなあと思ってあらすじを見てみると、地上波でちらっと見たことがあるのを思い出した。
「ダイハード」のように、タンカーの中に刑事が乗り合わせているはずもないが、そういった役割を担うのが主演の藤岡弘で、本職は石油の採掘人である。船長役が丹波哲郎。この時代になると基本的に動かない役や、出番の少ない役が多い丹波だが、本作ではそうもいかない。あと乗組員には宍戸錠、内田良平、下川辰平、金井大といったベテランに加え、当時は若手の北村総一郎、「ライオン丸」の潮哲也、「流星人間ゾーン」の青山一也、小原秀明、「飛び出せ青春」の剛達人といった面々である。
対するゲリラたちは六人の外国人。といってもその一人は水谷豊であり、ケン・サンダースだったりする。ケン・サンダースは黒人とのハーフだが、日本育ちで本名は上岡肇という。いずれにしろあまり強そうには見えない。ウィリー・ドーシーはテレビでもよく見かけた黒人俳優で、後の三人はよく知らない。
もちろん舞台はタンカーだけではない。対策本部長にはまたもや登場の鈴木瑞穂。最近ここで取り上げた四作品の全てに出演している。そして記者役の渡辺文雄も丹波哲郎と並び三作品に出演している。TVディレクター役では佐藤慶、アナウンサー役に「仮面ライダー」や「特捜最前線」のナレーションでお馴染みの中江真司が扮している。他にも佐原健二、武藤章生、佐々木勝彦、そしてどこから見ても悪人顔の三重街恒二が刑事役を演じていたりする。
女性は一人もいないかと思いきや、かろうじて金沢碧が藤岡の恋人役で出演している。
特撮が得意な東宝作品でありながら、特撮部分はかなり不評のようである。中野昭慶とか川北紘一とか、この分野では有名な人だと思うのだが。まあ、そこを気にしなければさほど長い作品ではないし、面白く見れるのではないだろうか。
ちなみに当時は、草刈正雄の「がんばれ!若大将」との併映であった。
新幹線大爆破 その2
当時からヒットしていたような気がしていたが、実は制作が遅れあまり宣伝もできず、しかもただでさえ長い映画なのに「ずうとるび 前進!前進!大前進」との併映だったり、当時の反響はイマイチなものであったようだ。
特徴としては、東映映画初出演の役者が多いこと。宇津井健を始め、山本圭、竜雷太、福田豊土、黒部進あたりがそうである。宇津井健などは、自分の所属会社以外の作品には全く出演しない人だったので、大映倒産以降は大映テレビ一筋で、映画出演自体が五年ぶりであった。知ってのとおり「ザ・ガードマン」では高倉キャップ役だったが、神山繁演じる榊のフルネームが榊繁だったので、その法則に従えば高倉健だったということになる。宇津井は運転指令室にずっといる役なので、高倉と直接顔を合わせることはなかったが。
その高倉健、山本圭、織田あきらという悪役っぽくない面々が犯人グループを演じる。まあ山本圭は元過激派という役がよく似合っていた。織田あきらは当時の若手スターだが、いつの間にか消えてしまった。87年ころまでは活動していたようだが、この織田とか星正人とかは消えた俳優の代表的存在だろう。対照的に刑事役は三船主任こと青木義朗は別としても、黒部進、田中浩、浜田晃、片岡五郎など専ら悪役の面々が演じた。まあ、青木義朗も元は悪役の多い人だったが。
運転士が千葉真一。だた座っているだけではないアクティブな運転士だ。その横にいるのが副運転士の小林稔持。当時はチンピラ悪役専門から「バーディ大作戦」の刑事役など徐々に名も売れてきた頃である。国鉄関係者役ではチラっとしか出てないが中田博久、佐川二郎と稔持を加えてキャプテン、ハック、キケロのジョーの「キャプテンウルトラ」トリオが揃っていたりする。
乗客役では護送中の郷鍈治(計画を知っていた)、刑事役の近藤宏、デビューまもない岩城晃一や林ゆたか、大映時代劇の伊達三郎、妊婦役の田坂都、女医役の藤田弓子など。
警察関係、国鉄関係の偉い人には丹波哲郎、鈴木瑞穂、渡辺文雄、永井智雄、志村喬などいかにもという面々。
ちょっことしか出ていない、セリフすらない面々もいる。北大路欣也、田中邦衛、川地民夫、多岐川裕美、志穂美悦子、千葉治郎などで、多岐川や志穂美なんかは予告編ではでかでかと出ているのに、エキストラ的な顔出しである。
まあ色々ツッコミどころもあり、上映時間も150分を超えるが(海外版では40~50分カットされているらしいが)、退屈をすることはない作品である。CSでは、明後日に放映されたりするので、まだ見ていない人はどうぞ。
皇帝のいない八月
簡単にいうと、自衛隊のクーデター部隊がブルートレイン「さくら」をジャックし、目的達成のために300人の乗客を人質にするという列車パニック的な要素のある作品である。なんで、ブルートレインなのかはよくわからんが。
そのクーデター部隊の実行隊長が渡瀬恒彦である。その妻に吉永小百合、吉永の元恋人に「新幹線大爆破」では犯人の一人でだった山本圭で、この二人も「さくら」に乗り合わせることになる。元々は渡哲也をキャスティングしたかったらしいが、石原プロがスケジュールを空けてくれなかったので、最も渡に近い男・渡瀬に決まったという。ドラマ「忍法かげろう斬り」で、主演の渡が病気で降板した時、代役を演じたのが渡瀬だったが、ほとんど違和感はなかったし。もし渡だったら、吉永と元日活コンビが松竹作品で主役をはるという形になっていた。
出演者も豪華キャストを揃えている。内閣関係は滝沢修、佐分利信、小沢栄太郎、永井智雄、渥美国泰、松本克平、そして高橋悦史など。ちなみに佐分利信はクーデターの黒幕だ。自衛隊関係は三國連太郎、丹波哲郎、岡田英次、鈴木瑞穂など。鈴木はクーデター首謀者の一人である。クーデター実行部隊、渡瀬の部下となるのが三上真一郎、永島敏行、橋本功、風間杜夫などで、別部隊の隊長に山崎努。報道関係が神山繁、現千葉県知事こと森田健作。「さくら」の乗客に大滝秀治、太地喜和子、中島ゆたか、泉じゅん、そして松竹の顔的存在である渥美清など。渥美清がこういった作品に顔を出すのは珍しいのではないだろうか。「新幹線大爆破」や「動脈列島」とだぶって出演している役者も結構いるが、すべてに顔をだしているのは鈴木瑞穂くらいである。
監督は「白い巨塔」や「戦争と人間」、「華麗なる一族」など、とにかく大作映画の多い山本薩夫である。ところでタイトルの意味だが、クーデターを表す暗号名(作戦名)のようなものだそうだ。
動脈列島
前項でちょっこと触れた「動脈列島」(75年)だが、昨日の時点で未見だったし、特にピックアップする予定もなかったのだが、転がっていた動画をうっかり見てしまったので、取り上げることにした。
「動脈列島」というタイトルだけ聞いても、どんな映画かよくわからんと思う。自分など政財界を舞台にした作品だと思っていたくらいである。
簡単にいえば、新幹線事故を引き起こそうとする男と防ごうとする警察が対決する話である。こういうシチュエーションだとどうしても「新幹線大爆破」を思い出す人も多いと思う。しかも、この両作同じ75年で、故意か偶然かは不明だが公開日も2ヶ月しか違わないのである。「新幹線大爆破」はパニック映画で「動脈列島」は社会派映画という違いはあるが、後れをとった「動脈列島」は2番煎じの印象を持たれたのではないだろうか。もっとも、「新幹線大爆破」も公開当時はたいしてヒットしていないのだが(後から人気が出た)。
東宝の作品だが、監督(脚本)は大映出身の増村保造なので、出演者にも主演の田宮二郎をはじめ旧大映の役者も多い。その田宮が演じるのは、この事件の捜査責任者で犯罪科学研究所所長の肩書きを持つ。犯人の若い医者を演じるのが近藤正臣。新幹線の振動と騒音を除去しなければ10日後に列車を転覆させると予告する。田宮と各お偉いさんで構成される捜査チーム(小池朝雄、近藤洋介、渥美国泰、勝部演之、井川比佐志)は、今でいうプロファイリングであっという間に犯人を絞り込み、正臣を指名手配する。しかし、巧みに捜査の手をすり抜け、ついに実行の日。正臣はブルドーザーをリモコン操作で線路上に落とそうとするが、田宮らによって封じられ、正臣は投降するというお話。
正臣は単独犯ではあるが、恋人の関根恵子にニトロを盗ませたり、知り合った梶芽衣子に手伝いを頼んだりはする。女性出演者は実質この二人だけである。他には山村聰、小沢栄太郎、佐原健二、平田昭彦、峰岸徹、橋本功、そして「ザ・ガードマン」の神山繁、中条静夫、稲葉義男らも顔を見せている。
増村保造は「ザ・ガードマン」の監督・脚本も担当することがあったので、田宮の演じた役はより付き合いのあった宇津井健にやらせたかったのではと勝手に思ったりもする。しかし、宇津井はご存知のとおり「新幹線大爆破」に初の東映出演となったので、田宮になったとも考えられる。まあ、役柄的には田宮の方が合っていたと思うが。
逆に梶芽衣子は当時は東映出演が続いていたが「新幹線」ではなく、こちらに出演。その後、増村作品に出演するようになっている。
決して、面白くないわけではないが、現状では「新幹線大爆破」の陰に隠れてしまった感がある。本質は違うので比べてはいけないのかもしれないが。
豹は走った
主役は一応、加山雄三だが、豹(ジャガー)とは田宮が扮する殺し屋のことを言う。
加山は当時33歳だが、若大将シリーズはまだ継続中であった。30過ぎた頃から爽やかな役ばかりではなく、「狙撃」とか「弾痕」とかハードボイルドものに挑戦し始めていた。それらではスナイパーだった加山だが、本作では警部の役で田宮と対決する。
田宮はたまたま知り合った外人娘(ナンシー・サマース)と関係をもったりするが、加山は誤って彼女を射殺してしまい、田宮は復讐に燃える。そういえば、加山は「恐怖の時間」(64年)でも、誤って女性を射殺してしまい、山崎努に恨まれる刑事役をやっていた。
加山は逆に部下の刑事(高橋長英)を田宮に殺され、いよいよ二人の死闘が始まるといったお話。
他の出演者で名の知れた人といえば、神山繁、草野大悟、中村伸郎、そして加賀まりこくらいだろうか。後は東宝らしく勝部義夫とか小川安三とか知っている人しか知らない役者が並んでいる。
加賀まりこといえば、田宮が大映を追われた要因にもなって いるのだが、加賀に罪があるわけでもないし、変なこだわりはなさそうである。この後田宮が自分の会社(田宮企画)で作った「3000キロの罠」にも加賀は出演している。
前項で、東宝での田宮出演作品は2本と書いたが、もう1本「動脈列島」(75年)という作品があった。監督は大映時代に田宮主演の映画も撮っている増村保造であった。
喜劇 三億円大作戦
本作も三億円事件をコミカルに描いたものである。脚本は当時は若手のジェームス三木と特撮ものや「特捜最前線」で知られる長坂秀佳である。
田宮二郎は鰐淵晴子のヒモだったが、ある日三木のり平から現金強奪計画を持ちかけられるというような展開。で、六人の男が強奪計画に参加することになる。田宮、三木の他に、江戸家猫八、三田松五郎、立花直樹、青山啓といったメンバーだ。江戸家猫八あたりは説明不要だろうし、立花直樹も当時は無名の若手だったが後に「ジャンボーグA」や「ザ・カゲスター」などの特撮物で知られるようになる。三田松五郎は「レインボー戦隊ロビン」とか「未来少年コナン」とかで声優を務めていた人で、顔出しの映画出演はこれ一作のようである。しかし、NHKの大河ドラマには結構出演しているようだ。
青山啓という名は聞いたことがないので、調べてみるとやはり映画はこれ一作のようで、歌手であることがわかった。実は青山啓というのは改名後の名で、以前の名は臼井啓吉といい、GSカーナビーツのボーカルであったこと判明した。カーナビーツのボーカルってドラムのアイ高野っていうイメージが強いのだが、ちゃんとボーカル専門もいたのである。正直自分も記憶になかったけれども。ちなみに青山啓名義では「セックス氏の休日」という怪しげなタイトルのシングルを出している。
女優陣では鰐淵の他に、応蘭芳や江美早苗が、落語会からも春風亭柳朝や古今亭志ん朝が顔を出している。藤村有弘や大泉滉が例によって怪しい外国人を演じている。
田宮二郎は前項の「喜劇 泥棒学校」の次の作品(「不信のとき」)を最後に、永田社長の怒りを買い大映を追われており、これは「豹は走った」に続く二度目の東宝出演である。というよりこの二本だけである。古巣の大映はこの71年に倒産している。
喜劇 泥棒学校
牧伸二で辿っていくと「喜劇泥棒学校」(68年)という作品を見つけた。タイトルの頭に「喜劇」とついてるのは大抵の場合、松竹か東宝の作品だったりするのだが、これは大映の作品だったりする。しかも主演は田宮二郎である。無論、田宮二郎だってコミカルな役もやることはあるが、ほとんど喜劇のイメージはない。
田宮が演じるのは、表向きは大学講師だが実は怪盗一味の首領という男。五人の手下がおり、ドンキーカルテットの四人(小野ヤスシ、ジャイアント吉田、猪熊虎五郎、祝勝)と青山良彦が扮している。青山良彦は大映の若手二枚目俳優で時代劇、現代劇両方に出ていたが、それほどメジャーにはならなかった役者だ。しかし、今も現役で活動中ある。
牧伸二は警察署長の役で、伴淳三郎が一味を追う刑事の役、その娘役が梓英子である。梓英子については以前触れたことがあるが、「どてらい男」での西郷輝彦の奥さん役が有名である。67年に大映と契約し清純派路線を進んだようだが、デビュー当時は森美佐(美沙)名義で、「青い乳房の埋葬」とか「日本拷問刑罰史」なんていう作品に出演していた。
他にも藤岡琢也、春川ますみ、大信田礼子、「ドクトルG」こと千波丈太郎なども出演している。牧伸二とドンキーカルテット、春川ますみなどは前項で取り上げた松竹の「社員遊侠伝」シリーズに出演していたメンバーでもある。あと、今話題の前田五郎という名前がクレジットされている。この前年にコメディ№1は結成されているが、他の映画でもこの名があるので、ただの同名である可能性が高い。
特にこの60年代後半はタイトルに「喜劇」とつく映画が沢山あったが、大映ではこの1作しか見当たらなかった(70年にはある)。内容的に喜劇作品はあると思うけれども。そういう意味では貴重な作品かもしれない。