皇帝のいない八月 | お宝映画・番組私的見聞録

皇帝のいない八月

「動脈列島」とくれば、次は「皇帝のいない八月」(78年)ということになるだろうか。これもタイトルだけでは、どんな内容か想像できないが、自分は何故か「日本のいちばん長い日」のような、戦時中の青年将校によるクーデター的な映画をイメージしていた(クーデターは正解だったが)。
簡単にいうと、自衛隊のクーデター部隊がブルートレイン「さくら」をジャックし、目的達成のために300人の乗客を人質にするという列車パニック的な要素のある作品である。なんで、ブルートレインなのかはよくわからんが。
そのクーデター部隊の実行隊長が渡瀬恒彦である。その妻に吉永小百合、吉永の元恋人に「新幹線大爆破」では犯人の一人でだった山本圭で、この二人も「さくら」に乗り合わせることになる。元々は渡哲也をキャスティングしたかったらしいが、石原プロがスケジュールを空けてくれなかったので、最も渡に近い男・渡瀬に決まったという。ドラマ「忍法かげろう斬り」で、主演の渡が病気で降板した時、代役を演じたのが渡瀬だったが、ほとんど違和感はなかったし。もし渡だったら、吉永と元日活コンビが松竹作品で主役をはるという形になっていた。
出演者も豪華キャストを揃えている。内閣関係は滝沢修、佐分利信、小沢栄太郎、永井智雄、渥美国泰、松本克平、そして高橋悦史など。ちなみに佐分利信はクーデターの黒幕だ。自衛隊関係は三國連太郎、丹波哲郎、岡田英次、鈴木瑞穂など。鈴木はクーデター首謀者の一人である。クーデター実行部隊、渡瀬の部下となるのが三上真一郎、永島敏行、橋本功、風間杜夫などで、別部隊の隊長に山崎努。報道関係が神山繁、現千葉県知事こと森田健作。「さくら」の乗客に大滝秀治、太地喜和子、中島ゆたか、泉じゅん、そして松竹の顔的存在である渥美清など。渥美清がこういった作品に顔を出すのは珍しいのではないだろうか。「新幹線大爆破」や「動脈列島」とだぶって出演している役者も結構いるが、すべてに顔をだしているのは鈴木瑞穂くらいである。
監督は「白い巨塔」や「戦争と人間」、「華麗なる一族」など、とにかく大作映画の多い山本薩夫である。ところでタイトルの意味だが、クーデターを表す暗号名(作戦名)のようなものだそうだ。