お宝映画・番組私的見聞録 -180ページ目

柳生旅日記 独眼流参上

宮本武蔵ネタはまだ引っ張れないことはないが、そろそろ次に移ろう。武蔵に並ぶ有名な剣豪といえば柳生十兵衛だろうか。ちなみに十兵衛は通名で、本名は三厳(みつよし)である。
その柳生十兵衛を演じた役者といえば、やはり近衛十四郎、もう少し後の時代では千葉真一あたりのイメージが強いのではなかろうか。映画の世界では大正初期に尾上松之助が演じたのが最初のようだが、テレビの方では、わかっている限りでは意外にも外山高士が最初だったようである。
外山高士といえば、自分の世代でも時代劇の悪役俳優のイメージしかないのだが、以前ここで取り上げた「牛若天狗いざ見参」(61年)でも主演だったように、この60年前後に外山は何本かの主役を得ている。まず59年に「怪傑黒頭巾」の主演を若柳敏三郎から引継ぎ、翌60年の「柳生旅日記 独眼流参上」で柳生十兵衛を演じているのである。この十兵衛がどうやらテレビ初の十兵衛だったらしい。内容は隠密旅行を道中記的に描いたもののようで、62年まで断続的に放映されたとのこと。他の出演者は松島トモ子、小沢智代、河村久子など。松島トモ子はミネラル麦茶やライオン(に噛まれた)でお馴染みであろう。小沢智代は「怪傑黒頭巾」、本作、「牛若天狗」と外山とともに全てに出演していたようだ。
この頃、映画では「柳生旅日記 天地夢想剣」(59年)、「柳生旅日記 竜虎活殺剣」(60年)が近衛十四郎の十兵衛で公開されていた。その近衛の十兵衛がテレビに進出したのは65年の「柳生武芸帳」が最初であった。
外山は「牛若天狗いざ見参」のに続いて、その続編と思われる「白面剣士牛若天狗」(62年)という日曜の昼間に放送されたドラマでも主演。その後徐々に悪役に転じていったようである。善玉から悪玉に転じた役者は多いが、この人の善玉役は見た記憶がない。ここに挙げたドラマの映像って、個人的には1カットすら見たことがないはずだが、やはり残ってないということだろうか。

真剣勝負

ちょっと前に「佐々木小次郎」の方が映画化が早かったと書いたが、それは間違いのようだ。「宮本武蔵」というタイトルの映画は実は大正時代からあったりするのだが、吉川英治を原作とした映画は36年の「宮本武蔵・地の巻」が最初のようである。武蔵はアラカンこと嵐寛寿郎で、共演は志村喬や杉山昌三九などであった。その昭和10年代は毎年のように武蔵映画があり、片岡千恵蔵や近衛十四郎、辰巳柳太郎などが武蔵を演じていた。
戦後ではやはり東映の中村錦之助主演の5部作(61~65年)が有名だろうが、この監督である内田吐夢が70年に、やはり錦之助主演で武蔵が主役の映画を撮っている。それが「真剣勝負」という作品で、東映ではなく東宝の作品である。
基本な出演者は四人だけで、武蔵(錦之助)と鎖鎌使いの宍戸梅軒(三國連太郎)とその妻(沖山秀子)、赤ん坊(松山秀明)である。東映5部作には宍戸梅軒は登場していないので、今回の相手に選ばれたのであろうか。ちなみに三國は東映版では沢庵の役であった。沖山秀子は、個人的にはあまりよく知らなかったのだが、自殺未遂やら恐喝事件やらを起こしたり、精神病院の入退院を繰り返していたとか、とにかくスキャンダラスな人のようである。ジャズシンガーとしての一面もあり、CDなんかも出している。黒沢映画「どですかでん」にも出演しており、三國とは「神々の深き欲望」(68年)という作品でも共演している。
勿論、四人だけではなく梅軒の仲間である八人衆が登場。田中浩、上西弘次、浅若芳太郎、当銀長太郎、岩本弘司、荒木保夫、木村博人、伊藤信明といった面々で、顔も名前もよく知られているのは田中浩くらいか。浅若芳太郎は時代劇ではよく岡っ引きを演じていたイメージで、上西弘次は「スペクトルマン」の文字通り中の人である。当銀、岩本、荒木、木村は東宝のバイブレイヤーで、顔と名前は一致しないが、数多くの映画に出演している面々だ。ちなみに全員武蔵に斬られたりしている。
他にもイデ隊員(ウルトラマン)こと二瓶正也や山中隊員(ウルトラマンA)こと沖田駿一なども顔をみせている。
ちなみに、監督の内田吐夢は撮影中に倒れ、入院したりしながらも撮影を続行した。結局、本作が遺作となっている。

腰抜け巌流島/さいざんす二刀流

宮本武蔵といっても、シリアスなものばかりではなく、喜劇仕立てのものも存在する。
その代表的なものに52年の大映作品「腰抜け巌流島」がある。宮本武蔵役は、先日亡くなった森繁久弥(当時39歳)であった。対する小次郎はあの大泉滉(当時27歳)。戦前は、割合普通の子役だったようだが、この前年の「自由学校」という作品でのイカレた青年役が大当りし、「トンデモハップン」などの流行語も生み出したということで、当時は旬な役者だったといえる。それからというものイカレポンチな役ばかりになってしまったらしい。お通には三條美紀、長岡佐渡に伴淳三郎、沢庵に横山エンタツ、伝七郎に山茶花究、他にも坊屋三郎、益田キートン(喜頓)、清川虹子、丹下キヨ子といった当時の喜劇人が顔を揃えていた。山茶花、坊屋、益田は「あきれたぼういず」(第2次)のメンバーだが、この52年に解散している。山茶花究は、個人的には黒沢映画「用心棒」や「天国と地獄」などから、悪役的なイメージが強い。森繁は自分の劇団を持ったとき、山茶花をよく重用していたようだ。山茶花は56歳で亡くなったたが、益田は84歳、坊屋は92歳と長生きした。そして森繁は96歳まで。とにかく合掌。
監督は戦前から時代劇を中心に活躍していた森一生。「座頭市」シリーズや「眠狂四郎」シリーズなど大映正統派時代劇の監督というイメージが強いが、こういったコメディ作品も何本か撮っている。
喜劇武蔵をもう一つピックアップすると、55年の東映作品「さいざんす二刀流」というのがある。
「さいざんす」といえば、トニー谷。彼が一応武蔵ということになるのだが、話自体は巌流島から30年後という設定なので、武蔵や小次郎の息子が主役となる。つまり、全員オリジナル登場人物のコメディ作品といえる。その武蔵の息子双六は当然、トニー谷の二役。佐々木小次郎とその息子・大次郎の二役を千秋実が演じている。他の出演者は千原しのぶ、藤里まゆみ、須藤健、杉狂児、清川荘司、幸代の父・十朱久雄、そしてここにも大泉滉が登場。また、アメリカの女子プロレス選手たちも何故か顔を見せている。
本作を企画した松崎啓次は後に松崎プロダクションを設立し、実写版の「鉄腕アトム」「鉄人28号」を制作している。また、監督の丸根賛太郎は実写版「鉄人28号」の監督も務めている。

紫頭巾/二人の素浪人/おとこ鷹

今月最初に取り上げた團十郎版「宮本武蔵」がCSでの放送を終了したが、そこで敗れた小次郎を演じていたのが浜畑賢吉である。俳優座の15期生で、同期には原田芳雄、夏八木勲、前田吟、地井武男、林隆三、栗原小巻といった蒼々たるメンバーがいた。日テレの青春ドラマシリーズ「進め!青春」(68年)で脚光を浴びた(11回で終了したが)彼だが、この70年代は時代劇づいていた。
特に72年は2月まで「女人平家」(主演・吉永小百合)に出演。4月からは「紫頭巾」がスタートし、主役を演じている。共演は和田浩治、東八郎、新藤恵美、大友柳太朗などである。ちなみに14話からタイトルが「紫頭巾事件帖」に変更されている。個人的には紫頭巾というと「江戸を斬る」で松坂慶子が演じていたやつのほうが印象に深い。
その「紫頭巾事件帖」が放映中の9月2日からスタートしたのが「二人の素浪人」である。浜畑と主役コンビを組むのは、こちらも当時は主演時代劇の多かった平幹二朗であった。この二人に加えて、品川隆二が「月影兵庫」「花山大吉」における焼津の半次のような役で絡んでいたらしい。ゲスト出演者は、津川雅彦、園井啓介、中村竹弥、丹波哲郎、菊容子、松山容子、高橋元太郎、坂口祐三郎、麻田ルミ、目黒祐樹といったところである。この「二人の素浪人」と同じ日にスタートしたのが「必殺仕掛人」であった。園井啓介はこちらでは8話、「仕掛人」では10話にゲスト出演しているので、「仕掛人」が最後のテレビ出演となったようである。
先の「紫頭巾」が9月28日に終了し、その3日後にスタートしたのが「おとこ鷹」である。原作は勝海舟を描いた子母沢寛の小説だが、浜畑はここでも主役の海舟を演じている。他の出演者は若林豪、小林千鶴子、木内みどり、田村高廣、本郷功次郎、村井国夫、高松英郎らに加えて、今話題の前田五郎、坂田利夫のコメディー№1などもゲスト出演したようだ。あと、関口宏が番組の「解説」を務めていた。
浜畑は現在、俳優業の傍ら大阪芸大の教授などを務めているらしい。ちなみに、「太陽にほえろ」の第1話のゲスト出演していた浜畑賢次はその名のとおり実弟である。

弥次喜多隠密道中

前項で尾上菊之助(現・七代目菊五郎)の名が出たところで、彼が目黒祐樹と組んで主役を演じたドラマが「弥次喜多隠密道中」(71年)である。公儀隠密に任ぜられた弥次郎(尾上)と喜多八(目黒)が各地を旅して悪人を退治していくというお話。
これは少し前にCSでも放映されたのだが、単純な勧善懲悪ものかなあと判断し、ほとんどスルーしてしまったのだが、今調べてみると出演者は中々豪華な顔ぶれであった。
他のレギュラー陣は岡田可愛、八木孝子、中村敦夫、大友柳太朗など。岡田可愛は前年までの「サインはV」で人気の高かった頃。くノ一の役だが、19話で殉職し、替わりに土田早苗が登場する。中村敦夫は隠し目付の役。本作の放映中にあの「木枯し紋次郎」がスタートし、一気にブレイクしていく。その「紋次郎」のライバル番組となったのが「必殺仕掛人」だが、その一人である林与一が最後の4話だけ<小判鮫>でレギュラー入りしている。
ゲスト陣も力が入っており、第1話の坂上二郎、永山一夫、今井健二を皮切りに、高城丈二、里見浩太郎、ピーター、津川雅彦、江戸家猫八、沢村精四郎、高松英郎、北上弥太朗、郷鍈治、永井秀和、その父・永井秀明、女優では江美早苗、由美かおる、奈美悦子の西野バレエ団トリオや梶芽衣子、園まり、菱見百合子、そして尾上と同じ小次郎役者の東千代之介、後に武蔵を演じ目黒と共演する市川海老蔵(現・團十郎)、主題歌「隠密大作戦」を歌う水原弘、大御所の嵐寛寿郎、品川隆二、目黒の父・近衛十四郎に加え、兄の松方弘樹、目黒の妻となる江夏夕子も顔を見せている。
本作のタイトル題字は何故か長嶋茂雄&王貞治が担当。「月光仮面」や「隠密剣士」、「マグマ大使」などの監督として知られる船床定男が19話と21話の監督を務めているが、これが遺作となっている(享年41歳)。
とまあ、話題は結構満載であるが、知名度は低い作品だと思う。しかし、意外といってはなんだが本作のDVD-BOXが発売されていたりするのだ。需要があったということだろうか。もし、また放映されることがあれば、今度はちゃんと見てみようかなと思ったりするのである。

佐々木小次郎(映画版)

ついでなので、映画版の「佐々木小次郎」についても調べてみた。原作が書かれたのは、吉川英治の「宮本武蔵」の方が早かったようだが、映画化は村上元三の「佐々木小次郎」の方が早かったようだ。
まずは50年~51年版。東宝で3部作構成で映画化されている。小次郎役はこれが映画デビューとなる大谷友右衛門。以前、ちょこっと触れたことがあるのだが、名前のとおり歌舞伎役者で50年~57年頃まで映画界で活躍した。その後は中村雀右衛門(4代目)として歌舞伎界で活躍している。
他の出演者は東馬役には前項のテレビ版にも出演していた徳大寺伸、島兵衛に藤原釜足、十兵衛に月形龍之介、伴内に山本礼三郎、奈美に高峰秀子、とねに山根寿子、出雲お国に村田喜久子、他に東野英治郎、柳谷寛、清川荘司、上田吉二郎などで、月形と東野という後の水戸黄門役者が共演している。完結編はやはり巌流島での決闘のようで、武蔵役は三船敏郎が演じた。54年に「宮本武蔵」が映画化されるが、武蔵を演じたのはやはり三船であった。この完結編には森繁久弥や田崎潤も出演、そして白影でお馴染みの牧冬吉(当時21歳)も顔を出していたらしい。
次の57年版は東映の制作。前後編の2部構成であった。小次郎役は前項でも触れた東千代之介。この人は元々日本舞踊界の人である。東馬役は50年版と同じ徳大寺伸で、島兵衛役は原健策。東、徳大寺、原は前項の65年テレビ版にも出演しており、同じ役なのかもしれない。他の出演者は十兵衛に沢村宗之助(伊藤雄之助の兄)、伴内に加藤嘉、奈美に三條美紀、とねに千原しのぶ、出雲お国に花柳小菊、あと岡譲司、加賀邦男(志賀勝の父)、五味勝之介(現・龍太郎)、そして宮本武蔵には東映の顔・片岡千恵蔵であった。
67年版は東宝の制作で、小次郎役は尾上菊之助、現在の菊五郎(7代目)である。東馬に中丸忠雄、島兵衛に長門勇、十兵衛に三橋達也、伴内に市川中車、奈美に司葉子、とねに星由里子、出雲お国に三益愛子、他にも土屋嘉男、平田昭彦、大空真弓、沢井桂子、藤田進、そして武蔵役は仲代達矢がつとめた。
これ以降は、やはり小次郎ではなく武蔵を主役に据える話が主流となっている。美青年であった(らしい)ということを強調するためか、ここで挙げた三本では歌舞伎界や日本舞踊界(出身)の人が小次郎役を演じている。

佐々木小次郎/それからの武蔵(テレビ版)

宮本武蔵とくれば、佐々木小次郎である。実際、「佐々木小次郎」というタイトルのドラマ、映画は数本存在している。吉川英治の「宮本武蔵」に比べ、あまり知られていない気がするが、これらは村上元三の「佐々木小次郎」が原作となっている。
その中からテレビ版の「佐々木小次郎」についてピックアップしてみたい。
まずは、62年版は読売テレビ系で放送。小次郎役は入川保則(当時22歳)である。自分が入川を知ったときは完全に悪役という感じだったが、60年代は松竹映画などでの二枚目役も多かった。あの長寿番組「部長刑事」の初期(59年頃)によくゲストで出演していたようだが、84年に八代目の部長刑事に就任している。対する武蔵役は天知茂で、他の出演者は天野新士、山吹まゆみ、三田登喜子など。
65年版は毎日放送系で放送。小次郎役は映画でも同役を演じていた東千代之介(当時39歳)である。東千代之介が映画スターとして活躍していたのは、丁度この頃までで、この65年に東映を退社している。対する武蔵は近衛十四郎(当時51歳)で、62年版に比べるとかなり年齢層が高くなっている。他の出演者も原健策、徳大寺伸といったやはり貫禄のある役者に加え、雪代敬子、桃山みつるなどが出演していたようだ。
なにしろ、原作を全く知らないので、登場人物やストーリーも当然よく知らない。琉球の王女とか出雲の阿国とかが出てくるようだが。ラストはやはり巌流島での武蔵との決闘ということになるのだろうか。
この二作の間に「それからの武蔵」(64年)のテレビシリーズが放送されている。ここでも小次郎役は東千代之介が演じている。主役の武蔵は当時すでに還暦を過ぎていた月形龍之介であった。龍之介の体調が悪い時は息子の哲之介が吹き替えで演じることも多かったという。月形哲之介は妙に頬が膨らんでいるイメージがあったのだが、どうやら宍戸錠と同じで頬にシリコンを入れる手術をやっていたようである。成長した伊織を河原崎長一郎が、悪役となる松山主水を内田良平が演じている。他にも嵐寛寿郎、宇佐美淳也、石山健二郎、中山昭二、梅宮辰夫、石浜朗、島崎雪子などが出演していた。ちなみに、このドラマのフィルムは消息不明だそうだ。
この「それからの武蔵」は81年には、12チャンネル(テレビ東京)の新春12時間ドラマとして萬屋錦之介の主演で放送されている。

宮本武蔵(丹波、北大路、高橋版)

前項の市川團十郎以前にも「宮本武蔵」は、ほぼ5年に一度くらいの割合でドラマ化されており、60年から70年の間にも61年、65年、70年と三度「宮本武蔵」というタイトルの連続ドラマが放送されている。
まず、61年版はフジテレビ系で放送。武蔵は丹波哲郎(当時39歳)である。小次郎は仲谷昇(当時32歳)で、又八が加藤武(当時32歳)、あと判明しているのが、お通に谷口香、朱実に丘さとみ、沢庵に多々良純といったところ。他の出演者は坪内美詠子、岡譲司、目方誠(後の美樹克彦)、楠侑子、てんぷくトリオ(三波伸介、戸塚睦夫、伊東四朗)など。丹波と仲谷は65年から「キイハンター」でも共演することになる。
65年版は日本テレビ系で放送。武蔵は北大路欣也で、当時22歳とかなり若い武蔵である。小次郎は風車の弥七でお馴染みの中谷一郎で、当時35歳と北大路とは年齢差がある。ちなみに仲谷昇は「なかや」でこちらは「なかたに」である。又八には当時映画版の武蔵を演じていた錦之助の実弟・中村嘉津雄、吉岡清十郎に江原真二郎、吉岡伝七郎に工藤堅太郎、お通に桂麻紀、朱実に野川由美子、宍戸梅軒に内田朝雄、沢庵に山形勲、伊織に菅野直行→中村光輝となっている。他の出演者は宍戸錠、山村聡、佐藤慶、淡路恵子、東野英治郎など。お通役の桂麻紀はデビューまもない新人女優で、詳しいことは不明だが73年頃まで活動していたようだ。
70年版はNET系で放送。武蔵は高橋幸治(当時35歳)である。当時の高橋は「丹下左膳」やNHKの大河など時代劇での活躍が目立っていた。小次郎は山崎努(当時34歳)で、又八が岸田森(当時31歳)とほぼ同世代で、中々渋いキャスティングである。後は吉岡清十郎に石浜朗、吉岡伝七郎に山本紀彦、お通の梓英子、朱実に加賀まりこ、沢庵に松村達雄、伊織に佐山泰三、宍戸梅軒は小池朝雄で、前項の團十郎版でも小池が梅軒を演じている。他の出演者は三益愛子、仲谷昇、藤原鎌足、岡本富士太など。
こうやって見るとヒロインのお通役の女優より朱実役の女優の方が後々のネームバリューが大きいのがわかる。
三作とも見た記憶はないが、團十郎版以上に長く再放送などされていないのではないだろうか。

宮本武蔵(市川團十郎版)

月も替わったので、話題も変えてみたい。唐突だが「宮本武蔵」である。といっても、何度も映画化やテレビ化されている題材なので、その中から75年のテレビ版を取り上げたい。理由は簡単、現在CSで放送中だからである。
武蔵役は市川海老蔵、もちろん先代つまり現・海老蔵の父、現在の市川團十郎である。現・海老蔵も大河ドラマで武蔵を演じていてややこしいので、ここでは團十郎にしておく。
で。團十郎版「宮本武蔵」だが、何故かずーっと再放送されることがなく、幻の番組と化していたのである。おそらく、30年ぶりくらいの放送ではないだろうか。
配役だが、佐々木小次郎に浜畑賢吉、又八に目黒祐樹、吉岡清十郎に宗方勝巳、吉岡伝七郎に長谷川明男、宍戸梅軒に小池朝雄、柳生但馬守に御木本伸介、伊織に佐藤宏之、沢庵に田村高廣、お通に小林由枝、朱美に沢かをりとなっている。小林由枝って聞いたことがないが、顔は見たことがあるなあと思っていたら、「必殺仕事人」で伊吹吾郎演じる左門の奥さんをやっていた小林かおりであることに気がついた。由枝からまもなく改名していたのである。この時共演していた沢かをりからとったのかどうかは知らないが。
自分は特に宮本武蔵ファンというわけではない。原作は読んでないし、「バガボンド」も読んでいない。何度も映像化されているが、中村錦之助の映画版とこの團十郎版くらいしか見た記憶がない。ゆえに、ストーリーも大ざっぱなにしか知らない。
この團十郎版で唯一記憶に残っていたのが「死闘!七対一」(16話)という回であった。逆にこの回がなかったら記憶に残っていなかったかも。武蔵が身を寄せていた村に野武士たちがやってきて、村を守るため武蔵は単身、野武士たちと戦うというミニ「七人の侍」のようなエピソードである。相手も刀だけではなく、鞭、弓矢、斧、槍などいろんな武器を持っていて、いつか見たいと思っていたのだ。まあ、原作にあるのかオリジナルのエピソードなのか知らないが、「七人の侍」がベースにあるのは確かだろう。ちなみに鞭使いの野武士の頭が川合伸旺で、その弟が北野拓也、槍使いが西田良であった。
あと、佐藤允演じる唐人・高子竜や内田勝正演じるその弟子と戦う「対決!唐人剣」(18話)など、本筋から離れている話の方が好きである。
あと数話だが、興味ある人は見てみよう。

高校大パニック

パニックにも、いろいろあり勿論災害だけではない。タイトルにも入っててわかりやすいということで「高校大パニック」(78年)をピックアップしてみたい。
この映画といえば、このセリフ「数学できんのが、何で悪いとやぁ」。CMの影響もあり、当時このセリフが流行ったものである。博多の進学高校で、担任の数学教師のキレた生徒が、その教師を盗んだライフル銃で射殺し、女生徒を人質に立てこもり、警官隊と攻防を繰り広げるというお話。
主役の学生を演じるのが山本茂。映画出演はこれ1作のようなので、詳細は不明だが、テレビの方ではこの78年から81年くらいまで活動しており、「必殺仕事人」などにゲスト出演したことがあるようだ。そして、人質となる女子生徒が当時17歳の浅野温子である。人質といっても泣いたりわめいたりはせず、どこまでもクールである。これがデビュー作というわけではないが、注目されただしたのは本作からだろう。ちなみに浅野をスカウトしたのは山前五十洋。あの倉木麻衣の父親である。
射殺される教師には久富惟晴。エリート官僚的な役のよく似合う人である。校長先生には内田稔、教頭は江角英明、同僚教師に河原崎長一郎、山本茂の両親に梅津栄と赤座美代子、浅野温子の母親に宮下順子。警官隊を指揮するのは青木義朗で、この頃はとにかく刑事の役が多かった。他には片岡五郎や石山雄大など、やはり悪役っぽい面々が刑事役を演じている。話にはあまり関係ないが泉谷しげるも顔を出している。
元々は石井聰瓦が学生時代に撮った20分に満たない8ミリ作品を、リメイクしたのが本作である。そのせいか、詳しい背景のようなものは、あまり描かれず銃撃戦がメインとなっている。
この山本演じる学生は、久富先生だけに怒りを感じていたはずなのに、最初の一発でクラスメートの女生徒を撃ってしまうわ、生徒たちを人質にとるわ、説得にも銃弾で答えるし、刑事ドラマだったら射殺されるのが当然という奴である。実際、警察も狙撃部隊が射殺しようとするのだが、間違えて浅野温子が撃たれてしまい、彼女は死ぬが山本は逮捕されておしまい。見てるほうはスッキリしないかも。
この進学校が、いかにもという形で描かれていたが、こんな学校あったのかねえと実際に当時、高校生だった(一応進学校)自分は思ったりするのである。(学校の)レベルが違っていたといえばそれまでだが。