警視庁物語(今井編) | お宝映画・番組私的見聞録

警視庁物語(今井編)

さて、「警視庁物語」もやっとラストである。前項の続きで、22「十代の足どり」(63年)から。
ラストの三本はいずれも、揉み合っているうちに殺してしまったというパターン。
22作は東映のニューフェースが多く出演しており、犯人役の小川守は8期生で、同期に「赤影」の坂口祐三郎や本作にも出演している藤江リカなどがいる。小川の活動時期は60年代前半のみだったようだ。被害者の姉役は新井茂子(6期生)で、その同級生役の田村雪枝(10期生)もクレジットでの扱いが大きく、期待されていたようだが、映画出演はこの年の3本のみに終わっている。同じく10期生の小林稔侍も大学生役で出演しており、当時20歳だけあって一瞬見ただけではわからなかった。同じく大学生役で砂塚秀夫が出ているが、こちらは当時30歳である。
最後となる64年は23「自供」、24「行方不明」の2本。レギュラーは堀雄二(長田部長刑事)、神田隆(捜査主任)、花澤徳衛(林刑事)、山本麟一(金子刑事)、須藤健(渡辺刑事)、南廣(北川刑事)、前年は出演していなかった松本克平(捜査課長)。そして大木史朗に代わり、様々な役で出演してきた今井健二が三田村刑事役で捜査陣に加わった。
23作は犯人役は楠田薫、その娘役が当時人気の本間千代子。お涙頂戴的なラストであった。当時の風俗では血液銀行が登場する。金のために血を売るシステムが存在したのである。しかし、この年のライシャワー事件をきっかけに売血は減っていったという。
そして、最終作。スタートから9年目にして初めて神田隆演じる主任の名前が戸川であることが明かされる。普通「主任の××です」というような場面でも、不自然なくらいガンとして「主任です」としか言わなかったのが、初めて「戸川です」と名乗ったのである。ラストなので名前くらい付けようと思ったのだろうか。
さて、内容だが二人の男が行方不明になり、やがて殺人事件であることがわかる。写真の片方が中野誠也で、捜査陣は中野を被害者と見て捜査していたが、見ている方は直ぐに被害者と加害者が逆だろうということはわかる。ビルの屋上で中野を見つけた瞬間、彼は飛び降り自殺してしまう。結局、中野誠也には一言もセリフはなかった。ゲストは他に加藤嘉、大村文武、水上竜子など。松岡きっこもチョイ役だが、本名の松岡紀公子で出演している。被害者は濃硫酸で溶かされたのだが、実際にビーカーに濃硫酸を入れ、ネズミの死体を漬け込んだりして、本当に半分溶けているところが映し出されたりする。

とまあ、改めて見ると面白いシリーズであった。神田隆、今井健二、山本麟一など自分の世代では悪役でしか見たことがない面々が刑事役なのも面白かったりするのである。