お宝映画・番組私的見聞録 -11ページ目

天を斬る 

用心棒シリーズ 俺は用心棒」の後番組となったのが「天を斬る」(69~70年)である。
本作からこの時間帯(NET、月曜夜8時)はカラー放送となっている。出演者は前作までの栗塚旭、島田順司、左右田一平で変わらないのだが、人物設定は用心棒でも新選組でもなく、何とお役人なのである。
島田は京都東町奉行所与力・桜井四郎、左右田は京都西町奉行所与力・権田半兵衛、そして栗塚は元江戸講武所頭取・牟礼重蔵となっており、彼等三人が幕末の京都を舞台に公儀の密命により、悪人を取り締まるという内容になっている。「非常火急の場合、各自の判断でこれを処理すべし」という権限、つまり斬っても構わないということである。一貫してアウトローを主人公としてきた結束信二が、ある意味王道な時代劇を描いたということになろうか。ただ本作は用心棒シリーズでも新選組関連でもないので、意外と知られていないのでは、と思っていしまう。
栗塚演じる牟礼の経歴である江戸講武所とは、幕末に幕府が設置した武芸訓練機関である。その「頭取」だったという設定だが、今や銀行の社長にあたる人物を表すくらいしか使われないが、幕末や明治初期は様々な機関の名称に使用されていたようだ。ただ、講武所においては、上が総裁で、各部門に師範、教授方が置かれていたとあり、頭取の文字は出てこないが、まあ正確なところはわからない。
その牟礼が江戸で何かをやらかし閉門の身であることは明かされるが、何をしたのかは不明だ。今までのような無口なキャラではなく、他の二人と違い江戸から来たばかりで顔を知られていないことも武器になる。桜井は堅物で正義感が強く、権田は万平に近いキャラで刀を抜かずに戦う。彼等に加え、レギュラーとなるのが、用心棒シリーズではお馴染みの三人。香月涼二演じる西町奉行所の同心・大沢孫兵衛小田部通麿演じる東町奉行所の目明し・万五郎、二話からの登場になるが、西田良演じる無宿人の百太郎である。
第1話のゲストは前作でも初回のゲストだった桜町弘子。冒頭でうどん屋を開く場面があるが、それから30分以上出てこない。やはり序盤で西町の目明し(波多野博)が御用盗の浪士に斬られて命を落とすのだが、その女房が桜町だったのである。その事件の犯人たちは三人によって成敗されるが、桜町は亭主の後を追っていたという空しい結末だ。
第2話でも冒頭で京へ向かう旅の父娘(柳川清、桂麻紀)がいるが、その後出てこない。刀剣屋で桜井は同僚である井上永井秀明)とその息子に会うのだが、その夜、井上親子の首なし死体が発見される。その犯人の浪士たちの居場所である旅籠を突き止め牟礼らが乗り込むのだが、浪士の一人(蔵一彦)が旅籠の客を人質にする。その人質が冒頭の父娘だったのである。娘が背後から浪士を押さえつけ、牟礼が浪士に一太刀浴びせるが、浪士が倒れ込む際に娘は斬られてしまうのだった。二話見ただけなのだが、基本的にこういう空しい結末を迎えるのだろうなという気がした。
ちなみに、OPの歌唱は栗塚、島田、左右田の三人が担当している。結構、上手である。

用心棒シリーズ 俺は用心棒

「帰って来た用心棒」の翌週から始まったのが「用心棒シリーズ 俺は用心棒」(69年)である。「俺は用心棒」だと、シリーズ1作目と同じタイトルなのだが、第2作「待っていた用心棒」からタイトルバックに「用心棒シリーズ」の但し書きが付いているので、本作の正式タイトルは「用心棒シリーズ 俺は用心棒」ということになっているのである。出演者もメインの三人は同じだし、1作目と4作目を混同している人も多いかもしれない。
帰って来た用心棒」の最終回で、動乱の京都を捨て旅に出た謎の浪人栗塚旭)、田島次郎島田順司)、品田万平左右田一平)の三人だが、各地を旅するロードムービー形式になるため、レギュラーもこの三人だけである。時代設定も幕末の動乱期ではなく、1作目「俺は用心棒」より前の安政年間ということになっているらしい。まあそこまで気にしている視聴者はあまりいなかったと思うけれども。ちなみに、主題歌、挿入歌は4作とも全て同じフォーコインズ「おとこ独り」「野良犬がゆく」なので、このエピソードはどの作品だったかと思い出すのも難しい気はする。
第1話の時点で三人は別行動となっている。工藤堅太郎がゲストだが、彼の場合大概は被害者側であったり、善人役だったりするのだが、今回は江戸で高官を殺害し、逃走中の浪士という役。農家に旅人二人と子供二人を人質に立てこもる。目付役(小美野欣二)は、人質を無視して踏み込もうとするが、そこへ田島が通りかかる。丸腰で、家へ入り込み、何とか人質の救出に成功。浪士も捕方たちに捕まる。この事件はストーリー的にはメインではなく、人質になっていた二人(早川純一、松川純子)と今回のメイン悪役である目付が重要だったのである。小美野欣二は、60~70年代の時代劇の悪役としてたまに見かける程度だが、俳優座養成所の10期生で、中野誠也や長谷川哲夫が同期だという。
結束信二時代劇は主人公たちが、沢山の悪人たちを斬りまくるという王道イメージだったのだが、第2話で斬られるのは三人だけである。田島が森でこれから1対1の果し合いに臨むという山田水木達夫)という侍に出会う。結果的に山田は死亡するが、それは明らかに複数の人間に斬られたものだった。妹のさと岩井友見)は藩の目付役(外山高士)に仇討を申し出る。こういう役での外山高士は大体悪人なのだが、今回は実にまともな人物だったのである。真相は決闘相手の佐藤成田次穂)が頼んでいないにも関わらず、井田道場の井田源三郎穂高稔)と門弟二人が山田を殺害したのである。真相を知った栗塚扮する浪人と田島がその三人を斬り捨てる。その事を知らない妹のさとは下男と共に仇討の旅に出ていくのである。
このシリーズにおいては、大物と言われるようなゲストはあまりいないようである。男優では河原崎建三、坂口祐三郎、森次康嗣、亀石征一郎、柳生博、近藤正臣、石橋蓮司、女優では花園ひろみ、磯村みどり、長内美那子、岩本多代、八木昌子、三原有美子、河内桃子といったところ。
用心棒シリーズは本作を持って終了となったのだが、次回作はまたしても栗塚、島田、左右田のトリオによるものである。

帰って来た用心棒

「待っていた用心棒」の後番組が用心棒シリーズの第3弾「帰って来た用心棒」(68~69年)である。何が帰って来たのかというと栗塚旭がこのシリーズに復帰したのである。
実はこの時点で、栗塚が主演していた松竹、TBS系の「風」はまだ放送中であった。というより放送期間延長によって終わらなかったのである。これは、TBS側の妨害とも言われているが、栗塚の掛け持ち出演によって事なきを得ている。
栗塚は今回、「俺は用心棒」時の「野良犬」ではなく「謎の浪人」が役名となっているので、呼び名がないのである。前作と衣装も同じで同一人物にしか見えないが、別人という設定のようだ。左右田一平は今まで通り品田万平役なので、面識があるはずだが、この第1話で初めて会ったということになっているのだ。もう一人のメイン島田順司沖田総司から「捨て犬」と来て、田島次郎という爽やかで生真面目な性格の若い浪人を演じている。
第1話は田島が京都にやってくるところから始まる。ものを尋ねた女性(尾崎奈々)が、彼が探している浅川永田靖)の娘だったのだが、その時点ではわからない。田島が出会った浅川はただの飲んだくれ老人と言った感じで一旦別れたが、夜中に寺の境内に浅川が四人の侍に追われ逃げ込んできた。すぐに田島がその間に割って入り、にらみ合う。そこに現れたのが栗塚扮する「謎の浪人」である。「おぬしらにその若侍は斬れん。何なら助成するぞ」と侍たちに言うが、一人が「素浪人の助けなどいらん」と答えているうちに、他の三人は田島に斬られ、残る一人は逃げてしまう。田島がその浪人に向かって「何なら相手をするぞ」と息巻くが、「もう終わった、それより介抱してやれ」と浪人が指さすと浅川が苦しんでいた。とまあ、田島と謎浪人の出会いは最悪のものだったのである。
田島が町に医者を呼びに行くと、そこに現れたのが万平であった。医者自身がケガをして万平が介抱していたのである。田島が万平を連れて戻ると寺の周辺は侍たちに取り囲まれていた。二人は様子を窺うが、浅川は倒れたままで、浪人の姿はなかった。
田島は浪人を疑うが、実は彼は浅川の遺言を聞き、一人で問題を解決していたのであった。初回の悪役は遠藤辰雄(太津朗)織本順吉だ。
第2話は田島と松山容子との出会いから始まるなどメインゲストが女性であることが多いようだ。本作は2クール26話ではなく、全36話となっている。ゲスト女優陣は鳳八千代、小山明子、桜町弘子、富士真奈美、牧紀子などで、男優陣は月形龍之介、里見浩太朗、中野誠也、近藤正臣、青木義朗、細川俊之などで、ほとんどが二回は出演している。
レギュラーは三人以外に、香月涼二演じる同心・青木与兵衛が三たび登場し、小田部通麿、西田良がそれぞれ目明しの千造、十吉として登場することになる。

待っていた用心棒 その2

前回に続いて「待っていた用心棒」である。
前回のような事情により急遽作られた第1話が「剣を抱いた十人の客」である。以下、ネタバレ。
とある城下の旅籠に十人の浪人が集まってくる。九人は二階の大部屋に通され、その中の一人が島田順司演じる「捨て犬」だ。ちなみに他の八人は河上一夫、伝法三千雄、月形哲之介、山本弘、平沢彰、波多野博、宮城幸生、五里兵太郎だ。いずれも「くに殿」の依頼で、数両の手当を条件に集められたものだった。八人は仲間意識を持つようになるが、「捨て犬」だけは離れたところで背を向けて寝転がっていた。そして、十人目としてやって来たのが伊藤雄之助演じる「野良犬」だった。彼のみすぐ向かいの小部屋に一人で入ったのである。
一階には旅籠の主人と女房とその子供、番頭と女中がいるが、客として泊まっていたのが左右田一平演じる品田万平である。旅籠の子供が怪我をしたので、万平はその治療にあたっていた。浪人たちを集めた小島という侍は中々現れず、じびれを切らした野良犬捨て犬を除く八人が小島の屋敷に行ってみようと部屋から出たところに現れたのが高橋俊行演じる「狂犬」である。狂犬は小島某が死に、計画はすべて水に流れたので、そのまま解散してくれという小島の最後の言葉を伝えに来たのであった。その後、狂犬は一階の台所に行き、酒を飲み始める。これで主役の四人がその旅籠に集結したのだが、それぞれ別の場所にいて顔を合わせないのがミソ。
この話は9割がた旅籠の中で繰り広げられる密室劇のようになっているが、後の1割が前述の小島某の屋敷である。屋敷には彼の妹(佐々木愛)が一人で居たのだが、その前に謎の浪人(中野誠也)が現れる。彼もまた、小島の死に際に立ち会い、妹を藩外に脱出させて欲しいと頼まれていたのである。
旅籠の八人の浪人は居る理由もなくなり、三組に分かれて旅籠を出て行こうとするが、最初の三人(河上、伝法,波多野)は豹変し、金品を奪おうとする。そこに野良犬が立ちふさがり、二人を斬り捨てる。残る一人は子供のいる部屋に逃げ込むが万平が現れ浪人を投げ飛ばす。一方で二人(月形、宮城)は台所で女中と番頭に襲い掛かるが、傍にいた狂犬に斬られる。二階の残る三人は行がけに捨て犬の高価だという刀を奪おうとするが、察知した彼にあっという間に斬られてしまうのだった。
夜が明けると、主役の四人は一人ずつ旅籠を出ていく。結局、それぞれ一度も直接顔を合わせることはなかったのである。次回が初顔合わせする話なので、ここで会うわけにはいかなかったのである。首謀者の「くに殿」も小島某も画面に登場することはないという、非常に変わった構成の話だと感じたので紹介してみたのだ。
第五の浪人として「俺は用心棒」でもセミレギュラーだった中野誠也が登場するが、彼もレギュラーかと当時思った人もいたのではないだろうか。あくまでも今回のみのゲストだ。
浪人たちは決して悪人というわでけはなかったのだが、最後に魔がさして斬られてしまったという感じだ。
目立つのは月形哲之介だろうか。名前が示す通り月形龍之介の息子だが、東映の大部屋俳優である。悪人にしか見えないし。膨らんだ頬はどうやら宍戸錠と同じで、シリコンを入れる手術をしたものらしい。

待っていた用心棒

「俺は用心棒」に続く用心棒シリーズの第2弾が「待っていた用心棒」(68年)である。前回少し触れたとおり、三カ月間「みんな世のため」というドラマを挟んでからの再開だったため、みんなが「待っていた」という意味でこのタイトルになったかどうかは知らない。
東映とNET(現テレビ朝日)の制作サイドは恐らく前作同様にに栗塚旭島田順司、左右田一平を中心にやりたかったと思うが、栗塚が出演できなくなってしまったのである。松竹、TBS製作の時代劇「風」の主役に抜擢されたためである。
代わりに主演に抜擢したのは何故かベテランの伊藤雄之助であった。当時48歳で、長い顔が特徴の怪優だ。三兄弟の真ん中だが、兄の沢村宗之助と弟の沢村昌之助(伊藤寿章)は丸顔なのに雄之助のみ突然変異的な顔立ちなのだ。悪役、脇役のイメージが強いが、映画では「プーサン」(53年)「気違い部落」(57年)等で主演の経験もある。
栗塚の代わりとしては、あまりにも違い過ぎると感じていたのか、もう一人新人である高橋俊行が抜擢された。高橋は41年生まれで、実は高城丈二ならぬ高城裕二の名で64年にデビューし、東映東京の作品数本に脇役で出演している。一度役者から離れたが、67年に復帰し、本名の高橋俊行で活動再開したところに今回の出演となったのである。
この二人にお馴染みの左右田と島田を加えたカルテットが本作の主役なのである。左右田は前作と同じ品田万平だが、島田が演じるのは通称「捨て犬」。結束信二時代劇では、好青年をを演じることの多い島田だが、本作ではいつも金儲けの事を考えているような浪人である。高橋が演じるのは通称「狂犬」。その呼び名に反して、割合冷静で無表情な浪人だ。
そして、伊藤は前作を受け継いでか「野良犬」を名乗る。つまり、三人は正体不明な謎の浪人なのである。ただ、伊藤に関しては1話と2話で明らかに性格というか演技が別人なのである。ファンの間では割合、有名な話のようだが、第2話として放送された「町の中の野火」は本来は第1話の予定だったのだ。2話での伊藤は腕は立つが、語り口は優しい感じだ。ただ、これを試写で見たスポンサーが「弱弱しくて優しい感じの主人公ではシリーズのイメージが狂う」とのクレームを入れたのだ。そこで、この話は2話に回して急遽代わりの第1話を製作したのである。見た目が十分怖い伊藤だが、「野良犬」のキャラも不敵で厳しい語り口のキャラへと変更を余儀なくされているのだ。当然伊藤は激怒し、折角の主演なのに早期の終了を望んだという。実際、18話限りで舞台の仕事を理由に降板してしまうのである。
局側は「集団ドラマなので四人が三人になっても影響はないでしょう」と呑気なものであった。19話に若山富三郎演じる夏山大吉朗という浪人が登場するのだが、彼は25~26話にも登場。事実上、伊藤の代役だったわけである。

また、前作に登場した香月涼二演じる同心・青木与兵衛西田良演じる目明し十吉小田部通麿演じる飯屋の主人・作次郎が数回づつ登場している。以下次回に続く。

俺は用心棒 その2

前回に続き、「俺は用心棒」(67年)である。
2話から沖田総司役で登場する島田順司は38年生まれ、当時は東京芸術座に所属していた。栗塚旭と1歳しか違わないのだが、もう少し年下に見える。やはり「はぐれ刑事純情派」における藤田まこと安浦刑事)の上司・川辺課長役が現在のイメージであろう。
本作は沖田総司以外にも実在した新選組の面子や幕末の志士と架空の人物が入り乱れる形となっている。ちなみに3話から登場する遠藤辰雄(太津朗)演じる芹沢鴨と沖田のみ「新撰組血風録」(65年)と同じキャストなのである。
そして、4話より登場するのが左右田一平演じる柔術使いの品田万平である。左右田はこの「用心棒シリーズ」すべてにこの万平役で登場し、ナレーションも兼任するのである。左右田一平は30年生まれで、栗塚と同じ札幌の出身である。当時の所属は島田と同じ東京芸術座であった。つまりメインとなる三人は、いずれも東映の所属ではなかったわけである。この4話には高杉晋作が登場するが、演じるのは菅貫太郎。基本二枚目役者(60年代に高杉を演じたのは宗方勝巳、山本学、和田浩治など)が演じることが多い高杉にスガカンというのは異色である。特異とする「バカ殿」役のイメージを付けたのが「十三人の刺客」(63年)なので、当時既にそのイメージが強かったはずである。
10話からは、これも同シリーズに同じ役で出演することになる香月涼二演じる同心・青木与兵衛小田部通麿目明し千造が初登場。共に東映の役者だが、香月に関しては詳細は不明だ。どうやら70年代前半までの活動だったと思われる。小田部は「仮面の忍者赤影」の敵忍者役で知ったと思う。また、本シリーズのみの準レギュラーである、中野誠也演じる渡世人の新太もこの回より登場。その正体は桂小五郎舟橋元)に雇われた刺客である。
香月、小田部とくれば西田良なのだが、11話より新選組の山崎烝役で登場。「新撰組血風録」では坂口祐三郎が演じていたが「仮面の忍者赤影」の主演抜擢で出られなくなったと思われる。その「赤影」に西田はクレジットもされない下忍役で何度か出演している。
13話では芹沢が暗殺されるようだ。史実では土方や沖田の手にかかって果てたという。「銭形平次」では万七親分を演じている遠藤辰雄だが、基本的には悪役である。芹沢は太っていたらしいので、そういったイメージから遠藤がキャスティングされたのだろうか。
19話はこのシリーズで唯一のカラー作品。芸術祭参加作品だったからであろうか。桂小五郎役の舟橋元が桂に似ている男として登場し、間違われて殺害されるという話のようだ。
そして、最終話。鳥羽伏見の戦いが勃発。ヒロインとして扇千景が登場し、沖田を匿ったりするが、結局は命を落とすようだ。彼女が後に国会議員となり国土交通大臣までになるとは予想していた人はいないだろう。ちなみに扇の本名は林寛子で、70年代アイドルと同名なのである。
本作は人気となり30%超えの高視聴率であったことから、シリーズ化されることになる。ただ、後番組は「みんな世のため」というオムニバスドラマで、これを三カ月挟んで「待っていた用心棒」に続くのである。

俺は用心棒

以前から見づらいだろうなとは思っていたのだが、UPするので精一杯だった。年も変わったことだし、せめて太字下線マーカー機能くらい使うことにした。あまり変わらないかもしれないが。

さて長いことやっていて、一度も当欄で触れたことがなかったのが一連の栗塚旭主演時代劇である。別に栗塚が嫌いとかいうわけではなく、結束信二(原作脚本)の作風が自分の好みではないと思っていたからなのだ。部分的にしか見たことがなかったし。そんな中、東映が公式でYouTubeに挙げている一作品二話づつの動画を何げなく見てしまったのだが、結構面白いではないかと思ってしまったので、ここでも取り上げることにした。栗塚=土方歳三のイメージを抱いている人も多いと思うのだが、新選組ものではなくまずは用心棒シリーズから始めたい。
栗塚旭は37年北海道札幌生まれ。ちなみにアキラではなくアサヒである。中学卒業までに両親を亡くし、兄夫婦のいる京都に移り住んだ。高校時代は放送部で、その活動行事で毛利菊枝に出会う。彼女が主宰していたのが劇団くるみ座で、高校卒業後に受験浪人を辞めて研究生を経て、58年に正式な劇団員となった。
60年代からはテレビドラマにも出演するようになり、前回取り上げた松山容子主演の「琴姫七変化」等の日本電波映画製作のドラマによく顔を出していた。
そして、64年には東映から声がかかり「忍びの者」に明智光秀役で出演した。これをきっかけに東映京都テレビプロ作品に立て続けにゲストで出演し、65年「新撰組血風録」で主役の土方歳三役に抜擢され、一気に人気者なったのである。基本自社のスターを主役に起用していた東映では異例のことだったと思われる。そして67年「俺は用心棒」がスタートし、姓名出自不明の謎の浪人を演じることになり、これも人気を呼んだのである。
本作で彼の役名は「野良犬」となっているが、「俺は野良犬だ」名乗るわけではない。ナレーション(左右田一平)によると彼は名乗る名を持っていないらしく、「何者だ」と問われると「俺か…俺は用心棒」と番組タイトルを言うのがパターンである。この辺は黒澤明の「椿三十郎」や「用心棒」からインスパイアされたものだろう。主役の三船敏郎がその時に目に入ったもので「椿三十郎」とか「桑畑三十郎」とか名乗るやつである。

時代背景は幕末で倒幕派佐幕派が入り乱れている時代。第1話のサブタイは「天を斬る」だが、これは後に別番組のタイトルにもなる。第1話のゲストは市川好郎、吉田義夫、岸正子、丹羽又三郎、昨年亡くなった仲宗根美樹、そして特別出演の近衛十四郎だ。市川演じる啓助は飯屋の息子だが、刀を持ち倒幕派に参加している。その飯屋でタダ酒を食らった栗塚はその対価として彼の用心棒を買って出る。しかし最後に啓助は死んでしまうので「責務」は果たせず終わってしまう。近衛も栗塚とは別タイプの用心棒として登場し、豪快な殺陣を披露する(峰打ちだが)。二人は間接的に味方なので、斬り合うことはなくラストに言葉を交わすだけである。
このシリーズでは栗塚と島田順司、左右田一平のトリオが有名だと思うが、1話では栗塚以外のレギュラーは登場せず、島田は第2話より登場する。本作で島田は「新撰組血風録」と同じ沖田総司役なのである。
以下、次回に続く。
 

めくらのお市

新年である。今年は予告どおり、とりあえず1つの番組(あるいは映画)を取り上げるスタイルで行きたいと思う。で、新年一発目に全くふさわしくないであろう「めくらのお市」(71年)である。
実は5~6年前に取り上げたことはあるのだが、その時は全く見たことのない状態で少ない情報から記事にしたのだが、今回はその1話と2話を見ることができたので、改めて挙げることにした。そのタイトルが仇となり地上波は勿論、衛星波でも放送が難しそうである。ただ、映画版が4作品あり、そちらは衛星波で放送されたことがあるようだ。 「めくら狼」という映画も放送されたことがあるし。
原作は「週刊漫画TIMES」に連載していた棚下照生「めくらのお市物語」。タナカテルオと読み、本名は普通に田中輝夫と書く。元々は少年漫画の人で、寺田ヒロオを上京に導いたのも彼だという。60年代後半に大人向け漫画に転向し「旅がらすくれないお仙」「ハンターお竜」「モナリザお京」といった女性を主人公とした剣戟がいずれも映像化されている。ただ、この時代の大人向け漫画を入手するのは中々難しいと思う。自分もこの時代は子供だったので、棚下の作品を見たことは一度もないかもしれない。
前述のとおり、映画版4本の後、ドラマ化されたのだが、放送時間は月曜夜7時から7時半まで。夜10時くらいからと思っていたが、ゴールデンタイムの放送とは意外。そのせいか割合明るいタッチで描かれている。主演は映画版から一貫して松山容子で当時34歳。57年に松竹からデビューするが、59年辺りからテレビにも顔を出し始め、60年に「琴姫七変化」の主演に抜擢される人気を得た。このスポンサーが大塚製薬で松山を大塚の顔として起用し始めた。ボンカレーのパッケージや琺瑯看板はお馴染みであろう。
ストーリーだが、お市の母おとよ(有沢正子)はお市が小さい頃に盗賊に連れ去られる。その際に落雷があり、お市は視力を失った。以来、彼女は母を探して旅を続けているのである。レギュラー陣だが、旅に同行するのが鈴木やすし(とちりの三次)と少年・矢崎知紀(ちょん松)で、コミカルなやり取りで雰囲気を暗くさせない。そして同行というわけではないがいつも行く手に現れる浪人・藤岡弘(桧左近)もレギュラーのようだ。ここで注目なのだが、本作のスタートは71年4月12日で、「仮面ライダー」のスタートも同じく4月3日なのである。まあ全部撮り終わってから放送開始というケースもあるが、普通に考えると両作を掛け持ちしていたということになる。ご存知のとおり、藤岡は「ライダー」の撮影中に大けがを負い約10カ月の休養を余儀なくされた。10話辺りで一時降板となり、14話から佐々木剛の登場となっている。並行して出演していたとすれば、当然「お市」の方も序盤で降板したと思われる。テレビドラマデータベースの出演話数情報からは鈴木やすしも13話で降板し、14話から曾我廼家一二三が登場したように思われる。そういえば、矢崎知紀は「仮面ライダー」で、復活した藤岡と後に再会することになる。藤岡と松山は、共に松竹出身で同じ愛媛県出身という共通点がある。

第1話のゲストは丹波哲郎平手造酒を演じ、お市に剣を教えたりする。お市の武器は勝新の座頭市と同じ仕込み杖だが、基本目を閉じている勝新に対し、松山は目を見開いたままである。視線を動かさないことで見えないことを表現している。長く剣戟をやっているだけあって殺陣には定評もあった。
悪役は第1話は玉川良一で、2話は上田吉二郎とどこかコミカルな役者を使っている。ケーシー高峰なども登場し、殺伐となりすぎないようにしているようだ。
ちなみに、本作放送直前に松山と原作の棚下は結婚している。「くれないお仙」も松山の主演だし、映画版の「お市」に棚下が出演したこともある。ちなみに年齢差は3つ(棚下が上)で、バランスも良かったようだ。

2024年回顧録 その3

回顧録のラストである。
漫画界に目を向けると、やはり鳥山明(68)だろう。元々画力はあったようだが、ちゃんと漫画を描いたのは23歳になってからだという。長期連載は「Dr.スランプ」と「ドラゴンボール」のみで、後者終了後は読み切りや短期集中連載をたまにする程度だったが、その存在感は消えなかった。彼の死の3日後にTARAKO(63)の訃報が続いた。楳図かずお(88)と言えば「おろち」「漂流教室」など恐怖・怪奇マンガの印象が強いが、本人は「まことちゃん」ばりの陽気なキャラだった。つい一週間前だが森田拳次(85)の訃報もあった。「丸出だめ夫」や「ロボタン」など60年代にドラマ化、アニメ化などされていた。ジョージ秋山は彼のアシスタントだった。他に高橋春男(76)、丸川トモヒロ(53)、芦原妃名子(50)も印象に深い。特に芦原の原作ドラマ化に関しての改変問題は大きな波紋を呼んだ。原作ファンは大きな改変は望まないだろうし、原作者は完全おまかせという人もいれば、そこは変えてほしくないという人もいる。脚本家は原作をなぞるだけなら脚本家などいらないとなるので、改変を加えようとするのかもしれない。
その脚本家では小山内美江子(94)、江連卓(82)、作家では宗田理(95)、宇野鴻一郎(90)、利根川裕(96)、谷川俊太郎(92)、小中陽太郎(90)、評論家では福田和也(63)、白井佳夫(92)、コラムニスト唐沢俊一(66)など。小山内美江子と言えば「三年B組金八先生」が有名だが、「キイハンター」や「アイフル大作戦」などのアクションドラマも結構手掛けている。「帰ってきたウルトラマン」では第48話のみ担当しているが怪獣の名前が決っていなかったため自分の本名(笹平)からササヒラーと命名している。利根川裕は深夜番組「トゥナイト」の司会を15年に渡って務めた。谷川俊太郎は詩人、絵本作家として有名だが、映画「東京オリンピック」「股旅」「火の鳥」などの脚本を担当したりもしている。福田和也は、つい最近まで多くの著書を出していたイメージがあるが、その肩書は文芸評論家である。
歌謡界では、元日の冠二郎(79)から、小金沢昇司(65)、クールファイブの小林正樹(81)、仲宗根美樹(79)、園まり(80)、敏いとう(84)、ヒロシ&キーボーの黒沢博(75)、佐川満男(84)など。小金沢昇司はフィニッシュコーワのCM「歌手の小金沢君」で一躍有名となった。それまで無名であったが、たまたま宣伝部に送られてきた資料からイメージにあいそうということで起用された。本人は一言も発さず、歌も流れていないので「誰?」ということで話題になった。コロナ感染をきっかけに体調を崩し始め、師匠(北島三郎)より先に逝ってしまったのである。黒沢博は黒沢年男の実弟。「三年目の浮気」が大ヒットしたが、ヒロシ&キーボーは三年足らずで解散している。ちなみにキャロライン洋子の兄は黒沢浩だ。佐川満男は80年代からは主に俳優として活動。85年頃からカツラを着用しなくなった。丁度一年前、つまり正確には2023年なのだが、八代亜紀(73)もここに加えておく。
海外ではアラン・ドロン(88)、デビット・ソウル(80)、ドナルド・サザーランド(88)、つい先日にはオリビア・ハッセー(73)の訃報もあった。改めて合掌。

本年の更新はこれで終了である。来年は「〇〇の出演映画」スタイルではなく、当面は個々のテレビドラマを取り上げて行きたいと思う。

2024年回顧録 その2

今回は回顧録の声優部門である。今年もレジェンド声優が多く亡くなったが、中でも藤子不二雄原作アニメの主役が目立つ。
まずは「ドラえもん」と言えばの大山のぶ代(90)である。主役のドラえもんを26年間演じていた。顔も意外と知られていると思うが、元々は顔出し女優で、俳優座養成所7期生であり、露口茂、田中邦衛、藤岡重慶などが同期である。夫の砂川啓介とは実写ドラマの「サザエさん」で知り合っている。江利チエミ演じるサザエの友人役でその夫役が砂川だったのである。
その「ドラえもん」でのび太を演じていたのが小原乃梨子(88)であった。彼女ものび太を26年間演じ続けた。73年の日テレ版「ドラえもん」では、のび太の母を演じていた。「海底少年マリン」のマリン役など少年役が多いが、「タイムボカンシリーズ」の女ボス役、また洋画でもブリジット・バルドーやミレーヌ・ドモンジョなど多くの女優を担当している。
このコンビは「ハリスの旋風」(66年)「国松さまのお通りだい」(71年)でも共演しており、大山が主演の国松役、小原が後輩のメガネ役である。長年共演していた二人だが奇しくも二カ月違いで亡くなっている。
「パーマン」の主役であるミツ夫役を67年版、リメイクの83年版と共に演じているのが三輪勝恵(80)である。藤子アニメ旧作新作通じて同キャラだったのは彼女くらいであろうか。「怪物くん」(80年版)ではヒロシ、「オバケのQ太郎」(85年版)で正太役も彼女が演じている。
「オバケのQ太郎」は三度アニメ化されており、その二作目である「新オバケのQ太郎」で主役のQ太郎を演じたのが堀絢子(89)である。ちなみに初代は曽我町子、三代目は天知総子だ。堀は「忍者ハットリ君」(81年)でも主役のハットリカンゾウ役を演じている。「オバQ」1作目(65年)にドロンパ役だったのが喜多道枝(89)である。俳優座養成所5期生出身で、「フランダースの犬」で主役のネロを演じている。
赤塚不二夫原作「天才バカボン」(71年)でそのバカボンを演じたのが山本圭子(83)だ。ベテラン声優の大半は副業的に声優業を始めた人が多いが、彼女は当初からほぼ声優に専念している。「戦え!オスパー」「もーれつア太郎」「赤胴鈴之助」と主役の少年を演じることも多かった。また「サザエさん」では花沢さん役を50年に渡って務めていた。ちなみに初代のカツオ役が大山のぶ代だったのは意外と知られてないかも。自分も高橋和枝だと思っていたが、スタートから約3カ月だけ大山だったのである。
話を戻すと「バカボン」でそのママ役だったのが増山江威子(88)である。「バカボン」は5度アニメ化されているが、ママ役は一貫して増山だった。これは原作者である赤塚の意向もあったという。また増山といえば「キューティーハニー」や「ルパン三世」の峰不二子役も有名だろう。
もう一つ国民的アニメとなった「ちびまる子ちゃん」のTARAKO(63)も今年亡くなっている。原作者のさくらももこに声がそっくりだった為まる子役に選ばれたという。彼女の初レギュラーとなった「戦闘メカザブングル」で共演していたのが役山下啓介(82)だった。「仮面ライダー」等で怪人の声を担当することも多かった。また「攻殻機動隊」の草薙役・田中敦子(61)や「美少女戦士セーラームーン」のジュピター役・篠原恵美(61)、「金田一少年の事件簿」の金田一一役・松野大紀(56)なども記憶に新しい。
80歳以上の大ベテランと60前後のベテラン、誰もがその声を聴いてるであろう声優が多く亡くなった年であった。合掌。