白頭巾参上
今回は時代劇に戻るのだが、大瀬康一、古川ロック繋がりで「白頭巾参上」(69~70年)である。
放送時間はTBS系日曜夜6時半ということで、前回の「バックナンバー333」や「わんぱく砦」と同じなのだが、山崎プロは絡んでいない。朝日放送と松竹の制作だ。
本当はこの前番組である「黒い編笠」(68~69年)にしようかとも思ったが、あまりにも情報がないので見送った。大瀬康一主演時代劇というのは一緒で、トレードカラーが黒から白になったというわけである。また、「黒い編笠」までは、長年続いたダイハツ一社提供だったのだが、「白頭巾」はタイガー魔法瓶一社提供となっている。ちなみに、裏番組として「サザエさん」がスタートしている。
この「白頭巾参上」だが、つい先ごろCSで初放送されたのである。おそらく、30~40年は陽の目を見ていなかったと思うのだが、映像は綺麗で驚いた。主演は前述のとおり大瀬康一で、彼が扮するのは町医者・八代道伯。「ヤブの先生」などと言われているが、腕は確かなようだ。そんな彼のもう一つの顔が、悪に立ち向かう謎の剣士・白頭巾である。真っ白い着物に身を包んでおり、時代劇でこういう場合、実は将軍の血筋とか身分が高かったりすることが多いが、特にそういうバックボーンはないようである。金を貰うわけでもないので、完全に正義感からの行動らしい。「破れ傘刀舟悪人狩り」や「あばれ医者嵐山」とかも平素は医者というのは同じパターンである。
他のレギュラーは古川ロック扮する同心・水上新二郎。道伯とは親しいが、彼が白頭巾であることは知らない。その妹が小橋玲子扮するきくである。クレジットでは、大瀬に続く二枚目に二人の名が並ぶのだが、大方小橋、古川の順になっており、小橋の役名は「妹きく」となっているので、最初は道伯の妹かと思ってしまった。せめて「水上きく」とかにしろよとかどうでもいいことを思ったりした。小橋は当時16歳で、歌手デビューもするなどアイドル的な人気があった。この前年の「怪奇大作戦」でのさおり役が有名であろうか。後は水上付きの目明しである河上一夫扮する文吉がほとんどの回に登場する。
また、レギュラーというわけではないが、毎回のように違う役で登場する大部屋役者たち。黛康太郎、丸尾好弘、山内八郎、藤原英昭、田代進など。この中では黛、丸尾、山内は「必殺シリーズ」等でその名をよく見かけるであろう。丸尾は殺陣に定評があり、浪人などの役が多いが印象には残りにくい顔だと思う。山内は屋台の親父、そばや、牢番などザ町人という役が多い役者である。黛は大瀬の付き人出身であり、「康」の一文字は大瀬から得ている。眉が太いので「黛」なのかもしれない。藤田まこと扮する中村主水が初登場する「必殺仕置人」で彼に一番最初に斬られたのが黛である(次が大滝秀治)。後に芸名を黛康三→筑波健と変えている。
ところで白頭巾だが、頭と顔の周辺を覆っているだけで、顔の下半分を隠してはいない。つまり、ほぼ素顔をさらしているようなものだが、水上やきくが彼を見ても道伯だと気づくことはない。まあ、そこはお約束というものだが。
次回に続く。
バックナンバー333
しばらく時代劇が続いているが、話の流れで今回は現代劇である。だいぶ前に取り上げたことはあるのだけれども。話は前後するのだが、「わんぱく砦」の前番組だったのが「バックナンバー333」(65~66年)だ。つまり、日曜の夜6時半から放送されていたわけである。この番組に関しても「わんぱく砦」「無敵わんぱく」と同じく、朝日放送と山崎プロダクションの制作で、ほぼ再放送されることもなく、過去にソフト化されたこともない(はず)である。
ただ、本作に関しては見た記憶はあるのだ。内容も出演者も一切覚えていなかったが、タイトルにもあるナンバー「333」のダイハツ製のスポーツカーが走り回っていたことだけ記憶にあった。「ベルリーナ」だと思っていたが正解は「コンパーノ・スパイダー」であった。日曜の夕方だったような気がするのだが、さすがに本放送ではなかった気がする。
本作に関してもこの時から一切映像を見たことはなかったのだが、「わんぱく砦」「無敵わんぱく」同様にYouTubeにOP(+ED)が挙がっていたのである。2種類存在しており、放送期間はぴったり1年(全53回)だったようだが、前期と後期で出演者が違っているようだ。
主演は「月光仮面」「隠密剣士」でお馴染みの大瀬康一だ。当時は3年に渡る「隠密剣士」が終了して4カ月が経過しているタイミングであった。彼が扮する鶴見大介はレンタカー会社を経営しているのだが、ひとたび事件が起こると、探偵でも何でもないのに「ナンバー333」の車に飛び乗って事件解決に乗り出すのである。
前期のレギュラーが、原田糸子(江川光子)と神戸瓢介(丸山鯛郎)で、助手というか、レンタカー会社の社員ということになるのだろうか。この映像には名前が出てないが、三ツ矢歌子も前期のレギュラーだったようだ。OP映像は高速を走るコンパーノである。後期はサーキットを走るレースカーの映像に代わっている。後期レギュラーと思われるのが、古川緑九=古川ロック(杉山六九)、浅野公恵(明子)、二瓶康一=火野正平(元太郎)である。この後「わんぱく砦」で活躍することになる古川と火野がここから登場していたのである。浅野公恵は詳細不明だが、関西を拠点にしていた女優で「部長刑事」へのゲストで出演が多かったようだ。当時は子役だったのかもしれない。その「部長刑事」を演じた一人で、wikiに名前のある飯沼慧(大東勉)もレギュラーだったのかもしれない。やはり挙がっている映像には名前はないが、子役時代の麻丘めぐみが本名の藤井佳代子で出演していたという。、
あと、映像にクレジットはないが、OPの「スリースリースリー」という歌と演奏はシャープ・ホークスによるものだと言う。シャープ・ホークスと言えば安岡力也だが、確かに安岡の声に聞こえる。バックバンドを含めて一時期10人の大所帯になったというが、バックバンドは「ザ・シャープ・ファイブ」として独立する。これが本作が放送されている時期のようで、10人体制の時の演奏が使用されているのかもしれない。
無敵わんぱく
「わんぱく砦」の終了から約10カ月を経てスタートしたのが「無敵わんぱく」(68年)である。放送時間も日曜から火曜の夜6時に移っているが、こちらも個人的には一度も見たことはない。前作と出演者も製作スタッフもほぼ一緒であり、(おそらく)一度もソフト化されていないのも一緒である。本作もYouTubeでOPのみ見ることができた。今回は実写とアニメを合成させたような、なかなかファンキーな作りになっている。七人のメイン出演者の顔がよくわかる。
前作で主役だった竜之介(佐藤正三郎)のみ降板しているが、一人だけしかも主役を切るとは考えづらいので本人の意思ではないだろうか。スケジュールの都合かもしれないし。というわけで繰り上げ主役となったのが伴刀(二瓶康一=火野正平)である。十杯(古川ロック)、ドロン(宇野正晃)、学者(加島こうじ)、ベソ(加賀爪正和)はそのまま登場。ちなみに、古川の芸名が緑九からロックの表記に変わっている。そして新顔が栗若(保積ペペ)である。当時10歳で、「わんぱく砦」と同時期に放送されていた「丸出だめ夫」(66~67年)で主役をやっていた人気子役だ。さらに、前作では風来和尚役だった里井茂が本作では丸之介役に替わっている。OPを見る限り7人でワイワイやっているので、今回は里井も少年役のようである。大柄で丸い感じは古川ロックと何となく似ている。そう言えば、この時点では普通にチビの子供だった保積ペペだが、この5~6年後には180cmまで伸びるのである。
監督に仲川利久という名が見えるが、この時点では朝日放送のディレクターだったようだが、後にプロデューサーとなる。必殺シリーズでその名を見かけた人も多いのではないだろうか。火野正平が「新仕置人」「商売人」「うらごろし」でレギュラーになったり、古川ロックが「仕留人」で主水(藤田まこと)の同僚で出演していたり、よくゲストで出演していたのは、仲川との縁が大きかったのではないだろうか。
脚本はほとんどの回を「ガメラ」シリーズで知られる高橋二三が手掛けたようだ。ちなみに「にいさん」と読む。2月3日生まれだからのようだ。
宇野、加島、加賀爪は子役のうちに、そのキャリアを終了したようである。里井も70年以降の活動記録は見当たらない。保積ペペは「飛び出せ青春」「われら青春」といった青春もので活躍。「飛び出せ」の時はまだ13~14歳で、高校生役をやっていたのである。2013年以降はテレビ・映画とも出演記録はない。「われら」の時は留年して高校5年という役柄だったが、実際はまだ16歳であった。古川ロックも97年に糖尿病で亡くなっている。57歳であった。ちなみに父の古川ロッパも糖尿病を患い、61年に肺炎と全身衰弱で亡くなったが、やはり57歳であった。火野正平によると、佐藤正三郎も里井茂も亡くなったとのこと。そう語っていた火野も昨年亡くなっている。75歳であった。合掌。
わんぱく砦
今回は、前回までとガラリと変わり、時代劇ではあるが少年向けの「わんぱく砦」(66~67年)である。ここで取り上げたことはあるかもしれないが(忘れた)、一度も見たことがないという状況は変わっていない。本作は「テレビ探偵団」で紹介された際も、超マイナー番組と言われ、見ていた人が少ないのは確かなようだ。理由として、放送時間が日曜の夜6時半からだったということが挙げられていた。この時間帯で真っ先に思い浮かぶのは「サザエさん」だろうが、まだ始まっていない(69年から)。「わんぱく砦」はTBS系での放送だったようだが、裏には「シャボン玉ホリデー」「バットマン」などがあったらしい。考えて見ると我が家も当時は「シャボン玉ホリデー」を見ていたはずで、自分も子供ではあったが、裏で何を放送しているかとか、この時間帯では気にしていなかった気がする。
おそらくだが、再放送もほとんどされておらず、現在に至るまでそのビデオやDVD等のソフトも発売されたことはないと思われる。本作は朝日放送に加え、山崎プロダクションが制作していたが、この山崎プロがらみの作品はほぼ、事実上の封印状態になっているようなのだ。つまり、当時にリアルタイム視聴していなかった人は一度も見たことのない作品ということになってしまう(再放送にも巡り合わなければ)。丁度入れ替わるように始まった「仮面の忍者赤影」(67~68年)が超メジャーな作品であるのとは対照的だ。
映像そのものが存在しないかもと思っていた中、OPだけではあるがYouTubeで見ることができた。ただ、OPはアニメなので、知らない人が見たら普通にアニメ作品と思うかも。まあ、わんぱく繋がりで「ワンパク番外地」やその前番組「ハレンチ学園」も中身は実写でもOPはアニメだったりするので、結構あるのかもしれない。
さて、「わんぱく砦」の内容だが、戦国時代を舞台に六人の孤児たちがさまざまな困難や事件を乗り越えていく、ということである。というわけで必然的にレギュラー陣はほぼ子役になるのだが、リーダーのたつまき竜之介が佐藤正三郎、いつも算盤を持っている伴刀左衛門(二瓶康一=火野正平)、忍術少年ドロン(宇野正晃)、発明少年の学者(加島こうじ)、泣き虫のベソ(加賀爪芳和)、大食漢の力持ち十杯(古川緑九=古川ロック)。ほぼと書いたのは古川は当時すでに27歳である。名前から分かると思うが、古川ロッパの次男。火野が10歳下の17歳で、芸能活動を長く続けたのはこの二人くらいで、撮影当時は同じ家に住んでいたという(山崎プロ社長の別宅らしい)。古川は見た目通りの大食漢で、付き合って食べていた火野は胃拡張になったと後に語っている。あと、風来和尚(里井茂)もレギュラーのようだ。和尚といっても本人は年寄ではない。まあ30代くらいだろうか。里井茂は50~60年代にかけて活躍した喜劇畑の人らしいが、詳しいプロフィールはわからない。それは主役の佐藤正三郎も同様で、火野と同じように50年代終盤から子役として活躍。映画出演もあり、大映の「続・高校三年生」(64年)では、倉石功の弟役(中二設定)で出演。劇団ひまわりの所属だったようだ。69年には大映で4作品に出演。「ある女子高校医の記録 続・妊娠」では、生徒ではなく浪人生の役をやっている。火野より1~2歳年上だったのではないだろうか。佐藤は映画もテレビも70年以降の主演記録はなく、この辺りで引退したと思われる。全45話ということで、それなりに人気はあったのだろう。
十手無用 九丁堀事件帖
今年に入ってからは、ここで取り上げたことのない(はず)の時代劇を取り上げたきたが、今回のはやったことがある。もう10年くらい前だよな、と思っていたら4年前だった。当時と違うのは、2話分だけだけど見て書いたので、少しは違ったことが書けるかもしれない。
というわけで、高橋英樹としては異色なドラマ「十手無用 九丁堀事件帖」(75~76年)である。何が異色化と言えば、本作は高橋版「必殺」なのである。だから、高橋英樹にしては斬る人数は少ないのである。この当時は本作や「影同心」「長崎犯科帳」など必殺の亜流番組が登場していた。結局、本家には叶わなかったと思うのだが、印象には強く残っている。
英樹扮するのは元同心の榊夢之介で、彼を中心にそのグループは既に結成されている。本職は屋根職人の鉄平(桜木健一)とその妹おくみ(栗田ひろみ)、年老いた女形の菊造(木田三千雄)、寡黙なヒゲ男・マサ(下之坊正道)、そして元は盗賊で現在は植木屋のからくり仁左衛門(片岡千恵蔵)である。ちなみに、千恵蔵の本名は植木正義だ。この中ではおくみはサポート役で、マサはめったに殺しには参加しない。記憶では3~4回程度だったような。何のためにいるのかよくわからない。
他にもレギュラーはおり、夢之介の元同僚である秋山久蔵(深江章喜)、メンバーのたまり場である飯屋の伝八(桂小かん)、女金貸しのおしん(児島美ゆき)、15話から登場する芸者おさよ(丘さとみ)など。深江や桂小かんなどは英樹とは日活繋がりであろう。丘さとみは東映のお姫さま女優の一人で、東映ニューフェース2期生。高倉健や今井健二が同期となる。65年に結婚して引退したのだが、75年に離婚し女優に復帰したばかりの頃である。
第1話のゲストは真野響子、柴田侊彦だが、メイン悪役は汐路章でピンでクレジットされており、中々ないことである。汐路を頭に盗賊15人くらいだろうか。菊造とマサは一人づつで、鉄平が四人くらいで、後は夢之介がぶった斬る。ちなみに鉄平の殺し技は小判投げで、のどを切り裂くというもの。後で回収するのだろうか。江戸の後期でも1両は3~5万円程度の価値はあったようなので。
2話では悪役も川辺久造、浜田寅彦、中井啓輔、近藤宏、横森久と名のある役者がずらり。1話では殺しに参加しなかった仁左衛門が賭場で、毒針が飛び出す仕組みの煙管入れで、近藤と横森に針を討つ。首に刺さった近藤は数分平気だったのに、手の甲に刺さった横森がすぐに苦しみだすと同時に近藤も苦しみだすのだった。残る三人は座敷の一室で、鉄平は何故か天井から川辺の御猪口に毒を垂らすのだが、気づかれてしまう。しかし夢之介が現れ、「貴様らのような悪党には十手無用」と三人を斬る。菊造もいたが、逃げようとした中井の前に立ちはだかっただけ。鉄平と菊造は何しに行ったのか謎であった。
前述のように2話まで改めて見ただけで、残りはほぼ忘れているが、4話のゲストを見ると金田龍之介、今井健二、中田博久に加え、小田部通麿、有川正治、山口幸生の名が並ぶ。「仮面の忍者赤影」の第2部卍党編でその卍党忍者を演じていたのが小田部、有川、山口だ。前述の汐路は「赤影」では、1,3,4部にそれぞれ敵役で登場している。ちなみに、その主演であった坂口祐三郎(当時は徹)は11話、白影役の牧冬吉は7話、甲賀幻妖斎役の天津敏は10話にゲストで出演している。
隼人が来る
高橋英樹は嫌いではないが、高橋英樹主演の時代劇はあまり好みではない。「桃太郎侍」に代表されるように、英樹扮するスーパーヒーローな主人公が斬って斬って斬りまくる、というパターンが多いからである。
「隼人が来る」(72年)も、そのパターンに当てはまってはいるのだが、多少毛色が違うが気がする。英樹が扮するのは諸国見廻役・秋月隼人。幕府から任命された権力を持った人物ではあるのだが、通常は浪人の恰好をしており、「水戸黄門」における印籠のような身分を示すものを所持しているわけでもない。お供するのは密偵役の河童の喜八(左とん平)一人だけ。第一話の時点で、隼人の存在は既に諸国に知れ渡っており、彼がどういう背景を持つ人物なのか詳しいことは不明なのである。ある程度身分が高く、もちろん腕が立つので選ばれたのだろうがけれども。「隼人が行く」ではなくて、悪人側からの視点で「隼人が来る」なのである。
前述のとおり、レギュラーは二人だけなので、その分ゲストは豪華にできるという感じだろうか。第1話は犬塚弘、大信田礼子、沢井桂子、戸浦六宏、吉田義夫、メイン悪役は大木実である。デビューまもない片桐竜次が片桐竜二とクレジットされている。第2話も大原麗子、山形勲、南原宏治、佐藤允などで、南原と佐藤、大前均、賀川雪絵、阿波地大輔は村を牛耳る犬神兄弟という役。南原、佐藤はそれぞれ、隼人と地決するのだが、どちらも一瞬で勝負がついてしまうのである。「花吹雪抜刀流」というお目出たそうな名前の付いた剣法なのだが、要するに花を散らしながらぶった斬るのだ。ちなみに、とん平扮する喜八は情報収集能力は一流と言って良いが、基本殺陣には参加しないので、そっちの方は駄目なのだろうと思われる。
例によって2話までしか見ていないのだが、全て一瞬で勝負がついてしまうので、少しは鍔迫り合いでもしろよ、と思ってしまう。
3話以降は未見なので、ゲストだけ並べて見ると、3話は内田良平、郷鍈治、高品格、南利明、浜美枝。4話は名和宏、天本英世、河津清三郎、山本麟一、桜木健一。5話は丘みつ子、金田龍之介、天津敏、桜町弘子、近藤正臣というように複数の有名俳優が一話ごとに登場しているのだ。以下は間単に並べるが、水原弘、松原智恵子、江原真二郎、大友柳太朗、辰巳柳太郎、悠木千帆(樹木希林)、財津一郎、大辻伺郎、嵐寛寿郎、天知茂、江守徹、浜木綿子、山城新伍、吉沢京子、芦屋雁之助、島田順司、加賀まりこ、長門勇、渡瀬恒彦、中村竹弥、夏八木勲などだ。
監督は田中徳三、工藤栄一、松尾正武などで、脚本は第1話が結束信二なのだが、その一本だけで、他は宮川一郎、野上龍雄、高岩肇などである。この辺の時代の時代劇ナレーションと言えば、芥川隆行のイメージが強いが、本作は納谷悟朗が担当している。納谷の時代劇ナレーションはあまりなく、本作と「新五捕物帳」くらいのようだ。
駆けろ!八百八町
「五街道まっしぐら」が75年いっぱいで終了し、その年明けから始まったのが「駆けろ!八百八町」(76年)である。「五街道~」が打ち切りで、急遽の立ち上げということもあったのだろうが、割合オーソドックスともいえる新米見習い同心が活
躍する捕物帳スタイルにシフトチェンジされている。メインレギュラーメンバーは契約の都合もあってか「五街道~」と同じである。
第1話で、北町奉行所の同心二人(小田正作、和田昌也)が日比木という浪人(石橋雅史)に斬られて殉職する。その二人のそれぞれの息子が風早市之進(村野武範)と山吹小太郎(桜木健一)である。二人は父の意志を継ぎ、北町見習い同心となる。
二人が斬られるのを目撃したのが八百屋の政吉(田中邦衛)である。八百屋というのは昼の顔で、夜の顔は錠前破り、つまりは盗人だ。下手人も目撃しているのだが、盗みの後だった為、申し出ることもできない。その政吉の下に「弟子」として転がり込んでいるのがお雪(安西マリア)である。役柄のせいか出番は多くないようだ。
今回は江戸に舞台が定着するため、他にもレギュラーは居る。二人の上司となるのが(おそらく与力)の川上甚左衛門(小林昭二)で、先輩同心の山村兵馬(汐路章)は川上の前では優しいが、いないとコロッと態度が変わる。もう一人長谷川文助(山本清)というのもいるが、2話には登場しないので、それ以降出てくるかは不明だ(3話以降は未見)。そして北町奉行役が平塚八兵衛(役名も同じ)である。本職の役者ではなく、元警視庁の刑事で「帝銀事件」や「吉展ちゃん誘拐殺人事件」で活躍。「三億円事件」の捜査主任を最後に退職した。最終的な階級は警視。ちなみに「三億円事件」は退職の9か月後に時効が成立した。
本編におけるセリフは口の動きと合ってはいるが、おそらく吹き替えである。
他にも風早父の岡っ引きだったのが勘助(北村英三)で、小太郎の姉お園(堀越陽子)もレギュラーである。
ゲストに目を向けると1話では長門勇が特別出演として登場。2話は遠藤真理子、勝部演之で、3話以降は火野正平、正司歌江、矢吹二朗(千葉治郎)、長谷川明男、北原義郎、青木義朗、テレサ野田など。実は本放送は8話を持って終了。実際は10話まで制作されており、残る2話に関しては再放送で初披露されたらしい。ゆえに、9話「仇討姉妹」と10話「娘が知らない父の過去」については、サブタイ以外のことは不明のようである。誰がゲストなのかも現状ではわからないのだ。
後番組とされるのは、松方弘樹主演の「人形佐七捕物帳」だが、それは4月からの放送で、76年3月の1カ月に関してはぽっかりと空いた形になっている。恐らくドラマとかではなく、特別編成のスペシャル番組等が放送されたのではないだろうか。
近年では(と言っても30年前)、山崎努版の「雲霧仁左衛門」(95年)がオウム事件等の影響で地上波(フジ)では12話までしか放送されず、次の番組も決まっていたため、そのまま終了。残り3話についてはCSで99年に初放送されたということがあった。
でも、この「駆けろ!八百八町」に関しては、打ち切り感が強い気がする。
五街道まっしぐら
今回は、東映の時代劇いうこと以外に前回とは関連はほぼないが、「五街道まっしぐら」(76年)である。
忍者の活躍の場がほぼなくなった元禄時代が舞台で、伊賀の三人の忍者とその頭領の娘つまりくノ一の合わせて四人が諸国を旅して、先々で事件に遭遇するという話である。
伊賀の里で忍びの技を磨く御堂の小次郎(村野武範)と下柘植の木猿(桜木健一)は、頭領の一心斎(進藤英太郎)に武者修行の旅に出ることを命じられる。その娘であるかがり(安西マリア)も同行し、結果いかんで、どちらかが彼女と結婚を許され、跡目を継がせてもらえるというものであった。そこに、先輩忍者である音羽の重蔵(田中邦衛)まで便乗し、四人連れの気ままな旅という感じになってしまう。
しかし、行く先々でオカルトチックな事件が起こり、それに巻き込まれていく。大体が、妖怪が現れたり、妖術使いが関わっているのだ。「西遊記」とかなら本物の妖怪だったりするのだが、主人公たちは「化け物なんかいるわけない」と常にクール。実際には、全てにおいてタネがあり、幻灯機を使って妖怪(のようなメイクをして)を大写しにしたり、怪しげな薬を使って、催眠術のように人を操ったりとかしているのである。
村野は「飛び出せ青春」(72~72年)で一躍有名になったが、時代劇は「狼・無頼控」(74年)で主役を張ったこともある。そこでは剣の達人だったが、本作でもそのイメージに近い。、桜木は「柔道一直線」(69~71年)や「刑事くん」(71~76年)のイメージが強いが、時代劇も「熱血猿飛佐助」(72~73年)で主役の佐助をやっていた。今回も小柄で俊敏なイメージが生かされている。安西は当時22歳で、73年にアイドル歌手としてデビューしたが、次第に女優業に重きを置くようになっていた。外国人っぽい顔立ちだが、8分の1だけドイツの血が入っているという。この2年後には失踪事件を起こすのだが、これは移籍した事務所の社長が元暴力団の組長だったことがわかり、実際に暴力もふるわれ怖くて逃げたというものだった。これをきっかけに芸能界を一度引退している。
田中邦衛は本作では、思いっきり田中邦衛である。どういうことかというと、セリフ回しがモノマネでよくされている通りの喋りなのである。本人が誇張したモノマネをしているのかと思ってしまう。小堺一機はまだデビューしておらず、当時田中邦衛のマネをしていた人がいたかどうかは不明だ。
話が逸れたが、第1話の悪人ゲストは名和宏、原良子、千葉敏郎。第2話では沼田曜一、田中浩、大前均。大前は時代劇でもスキンヘッドのイメージだが、今回は普通にカツラをしている。
OPは「いっしょに小石を拾いませんか」という不思議なタイトルの曲だが、作詞は「子連れ狼」などの原作で知られる小池一夫。EDと合わせて峰ひろみという(おそらく)演歌歌手の人が歌っているのだが、3話から堀江美都子(ほりえみつこ名義)に替わるらしい。2話までしか見てないので、聞いたことは無いのだけれども。
とまあ話のネタにはなる本作だが、なんと11話で打ち切りになってしまう。実は本作の放送時間も土曜日の夜8時から。お馴染み「8時だヨ!全員集合」にプラスして「欽ちゃんのドンとやってみよう!」が裏番組では太刀打ちできるはずもなかったのである。しかもわずか11話では存在すら知らない人も多いのではなかろうか。
世なおし奉行
「軍兵衛目安箱」の翌72年、おそらく片岡千恵蔵御大最後の連続主演ドラマとなったのが「世なおし奉行」である。千恵蔵で奉行と言えば、やはり東映映画の遠山金四郎で、「いれずみ判官」シリーズは18作に及んでいる。それが10年ぶりに復活したわけではない。テレビシリーズでは既に中村梅之助による「遠山の金さん捕物帳」(70~73年)が人気を呼んでいた。
もう一人の名奉行といえば「大岡越前」だが、こちらも加藤剛主演によるシリーズが既にスタートしており、知っている人も多いだろうが、千恵蔵はその父・大岡忠高役で出演していたのである。
というわけで、今回千恵蔵が演じたのは二大奉行ではなく、跡部能登守である。創作上の人物と思いきや実在した人物なのである。にもかかわらずほとんど知っている人がいなさそうなのは、後にも先にも跡部を主人公にしたドラマは本作以外にないからだろう。主役でないドラマでも、跡部が歴史上の人物として登場することはほぼなかったようである。
跡部良弼は、水野忠邦の実弟である。30歳で駿府町奉行に就任したが、その後堺奉行、大坂東町奉行を経て、大目付に就任。そして42歳の時に勘定奉行となり、公事方を担当し道中奉行を兼務している。本作はその勘定奉行時代のことを描いているのである。勘定奉行とは、幕府の財政を担当した役職だが、それは勝手方であり、公事方というのは関八州取締出役の総元締だったのである。八州廻りというのは時代劇によく出てくるが、それが勘定奉行の配下だというのは初めて知った。
本作は、千恵蔵演じる跡部が長崎奉行から公事方勘定奉行に就任するところから始まる。実際には跡部が長崎奉行に就任していた事実はないが、大坂奉行からというよりはインパクトが強いかも。その部下として関八州取締出役に任ぜられたのが早瀬主水(田村正和)と仲沢要介(石山律)である。そして、密偵役としてちょぼいちの辰(砂塚秀夫)とお染(赤座美代子)が同行し、関八州各地を旅して廻るわけである。田村正和演じる早瀬は普段は浪人の姿をしており、あの眠狂四郎に近い。実は本作終了後に田村が主演の「眠狂四郎」がスタートする。石山律は石山健二郎の息子で、石山律雄を名義のイメージが強い。石山律名義だったのは短期間で、後には本名でもある石山輝夫を名乗るようになる。この人の場合、善人顔だが実は悪党だったというようなイメージの悪役が多い。数多くの時代劇に出演しているが、今回のようなレギュラー出演自体が珍しい。他のレギュラーには跡部の妻おくに(小山明子)、跡部家に仕える井上三太夫(木田三千雄)などがいる。
第1話のゲストは池部良だが、珍しくも悪役である。第2話も伊吹吾郎がが姫(東三千)を暗殺しようとする浪人に一人として登場し、腰元を斬ったりはするが、結局姫は斬れず、密かに匿ったりするのである。
さて、実際の跡部だが、勘定奉行の後は江戸南町奉行に就任する。兄の忠邦が失脚した後も、政治命脈を保ち続け講武所総裁、江戸北町奉行を歴任し、69歳で若年寄になるが一週間で罷免。翌年明治元年に70歳で亡くなっている。
軍兵衛目安箱
前回、名前をちょっと出しので「軍兵衛目安箱」(71年)である。
主演は片岡千恵蔵御大で、当時68歳。67歳となっている資料もあるが、1903年3月30日生まれというのが正しければ、放送開始時点(4月)では68歳ということになる。いずれにしろ千恵蔵初の主演連続ドラマということになるのだ。
原作・脚本は結束信二。まあ千恵蔵主演ということで書いたのだろうから、栗塚、島田、左右田といったいつもの結束キャスティングではなく、ほぼ新たな顔ぶれとなっている。
時代は8代将軍吉宗の頃で、タイトルにもある「目安箱」がキーワードとなっている。目安箱は吉宗が江戸庶民の訴訟の為に設置したものだが、実際に取り上げられるものは少なかったという。その目安箱を担当するのが老中・大久保加賀守で、その江戸上屋敷に詰める馬廻り役番頭・黒田軍兵衛が主君の命を受け、そうした訴えを公的な職分から離れ、部下たちと共に解決していくというお話だ。勿論、その軍兵衛を演じるのが千恵蔵御大で、大久保加賀守を演じるのが柳生博である。当時44歳で、特に重厚感があるわけでもないので意外な気がする配役である。ただし、登場回数は多くない。
千恵蔵演じる軍兵衛自身は身分が高いわけでもなく役人でもないので、その立ち位置が当初わかりづらいのだが、老中に仕えているというだけでも、奉行所の役人よりは大きな顔はできるといった感じだろうか。その軍兵衛の部下となるのが、渡辺篤史(宮田兵助)、亀石征一郎(榊原伝四郎)、倉丘伸太郎(三浦和馬)である。亀石と倉丘は共に東映ニューフェイスの6期生で、千葉真一や大地喜和子などが同期である。三人の中では、実年齢も一番上の亀石演じる榊原がリーダー格のようだ。軍兵衛は中間部屋に入りびたり将棋などをしていることが多いが、その中間頭が遠藤辰雄演じる亀蔵で、西田良(虎吉)が小頭である。この辺は結束時代劇ではお馴染みの顔。彼等はいずれも軍兵衛のことを「親分」と呼んでいる。
後、屋敷には永野達雄(江戸家老・藤田)や海老江寛(御用人・白木)、そして大坂志郎(筆頭側用人・梅田宗右衛門)がおり、特に大坂演じる梅田は暴走しがちな軍兵衛たちのよき理解者という感じである。
他のレギュラー陣だが、珠めぐみ(お容・軍兵衛の娘)、磯野洋子(おゆう・料理屋の看板娘)、岡田由紀子(おぼん・大久保家の女中)、東竜子(おはま・料理屋の女将)、松田明(善兵衛・黒田家の使用人)、波多野博(山田・大久保家家臣)、香月涼二(大村文平・評定所番同心)、小山田良樹(島崎・奉行所同心)などがいる。岡田由紀子はもちろん、岡田有希子とは別人の女優。香月は結束時代劇でお馴染みの顔だが、今回は同心を途中で退職している。
そして、もう一人セミレギュラーとして登場するのが若山富三郎(伴大五郎)。1話で軍兵衛だちと親しくなる謎の浪人だが、裏の正体のような設定はない。娘のお容に一目ぼれし、軍兵衛を「お父さん」と呼んだりすることもある。
ゲストに目を向けると、1話の森次康嗣を皮切りに天知茂、中村玉緒、蜷川幸雄、中野誠也、前田吟、中村敦夫、伊吹吾郎、野川由美子、赤座美代子、河津清三郎、永山一夫など。