お宝映画・番組私的見聞録 -13ページ目

舟木一夫の出演映画 その2

引き続き、舟木一夫である。64年の続きからだ。
まず東映での二本、堺正章のところで取り上げたているのだが、どちらも舟木が主演なので改めて。
「君たちがいて僕がいた」が初主演ということになるようだ、これまではスケジュールの都合もあり、助演に留まっていたのである。ヒロイン役は本間千代子で、共に高校三年生の役だ。舟木はここまでその名をもじった役名ばかりだったが、今回は何故か「佐藤洋」という一般的な役名になっている。堺正章や新井茂子が同級生役で、千葉真一が先生の役。他に宮園純子、須藤健、佐野周二、高峰三枝子などが出演している。
「夢のハワイで盆踊り」も舟木と本間のコンビ。今回は大学生の役である。タイトル通り長期のハワイロケを敢行しているが、実は東映初の海外ロケ映画だという。他に堺正章、高橋元太郎、大村文武、風見章子、加藤治子、笠智衆など。映画タイトルと同名曲が主題歌だが、舟木に加え本間、高橋、そして出演もしているコロムビア・ローズによって歌唱されている。
二作とも好評だったため、東映サイドは舟木・本間コンビの三作目を企画したのだが、舟木の事務所がギャラのアップを要求。実は前二本も150万円と東映生え抜きスターより高額で、これを耳にした高倉健が不満をぶちまけ、安すぎる自分のギャラも上げるように迫った。東映は仕方なく舟木の出演をあきらめ、舟木・本間のコンビは二本で終了することになり、本間の相手役は西郷輝彦にチェンジされた。
この後大映で「続・高校三年生」が製作された。主演は前作同様、姿美千子と倉石功で、舟木は倉石の友人だが、高校三年生ではなく製鉄所の工員という役柄だ。高三役には渚まゆみ、東京子で、東の母親役が根岸明美。根岸が営むバーの客が成田三樹夫だが、二人は深い関係にあるらしい。成田が青春映画に出ているのは珍しい気がする。他に滝田裕介、内田朝雄、松村達雄、早川雄三らで、工藤堅太郎や堺正章も高校生役だが、堺の役は「男子生徒A」で今回はチョイ役扱いである。東京子は倉石と同期の大映ニューフェイス16期生で、当初は高山京子を名乗っていたがこの64年に改名。東京出身かどうかは不明だ。50年代にも同名の人の出演記録があるが別人であろう。
もう一本は日活で「あゝ青春の胸の血は」に出演。主演は山内賢、和泉雅子の「二人の銀座」コンビ。舟木は和泉の幼馴染で、クリーニング店の店員という役。結局、東映の二本以外はいずれも助演のポジションであった。他の出演者は小高雄二、平田大三郎、進千賀子、二本柳寛、菅井一郎、東野英治郎などである。
ここでテレビドラマに目を向けると舟木はNHKの大河ドラマ「赤穂浪士」に四十七士のの一人、矢頭右衛門七役で出演。主演は長谷川一夫(大石内蔵助役)で、「一夫共演」は話題になったようだ。本作は大佛次郎の小説を原作としており、その主人公は堀田隼人という各空の浪人で、それを演じたのは林与一。長谷川一夫は義理の大叔父にあたる。舟木と林は年齢が近いこともあり、この共演で親しくなり、長い付き合いが続くことになったという。

舟木一夫の出演映画

西郷、橋と来たので、大方の予想通り今回からは舟木一夫である。
舟木一夫は44年愛知県生まれで、本名は上田成幸という。中学の頃から歌手を目指し歌謡教室に通っていたりしていた。高二の時、名古屋で行われた「松島アキラショー」を見に行ったところ、松島が観客に一緒に歌いたい人を募り、立候補した舟木が(実際は隣にいた友人が彼の手首を掴んで挙げたもの)松島と「湖愁」を一緒に歌いあげた。それを取材に来ていた週刊明星の記者が見ており、東京でホリプロ会長の堀威夫に話したところ興味を持った堀が、舟木に歌のテープを送らせたのだった。それを聞いた堀は翌年彼を上京させ、遠藤実のレッスンを受けさせ、橋幸夫の対抗馬として63年にデビューさせたのである。与えられた芸名は舟木和夫だったが、本人の希望で「一夫」になったという。
63年6月のデビュー曲は「高校三年生」。3月に高校を卒業していたが、学生服姿で歌うことになった。これが大ヒットし、11月には映画化もされている。これが映画デビュー作でもある。
「高校三年生」から数本の舟木が出演している映画にはほぼ堺正章も出演していたので、堺正章の項に紹介してしまっており、だぶる記述もあるが了承願いたい。これは共にホリプロ所属だったからであろう。堺は既にスパイダースに加入はしていたが、レコードデビューはしていない時期で役者として活動していた。
「高校三年生」は大映作品。主役扱いは舟木ではなく、姿美千子、倉石功である。姿は元々、ライバルである橋幸夫の相手役として公募デビューした女優である。倉石も「ミスター平凡」グランプリから大映ニューフェイスとなり、この年デビューした期待の新人であった。「ザ・ガードマン」で活躍するのは周知であろう。同級生役だが、クレジット的には二番手が高田美和で、舟木は四番手である。堺や渚まゆみも同級生の役。中条静夫が姿の家(織物問屋)の従業員役で出演している。
63年はもう一本、日活の「学園広場」がある。舟木の三枚目シングルタイトルでもある。こちらでも舟木は主演ではなく、山内賢と松原智恵子が主演扱いだ。二人は高二の役だが、舟木は勿論高校三年生の役。主題歌は「学園広場」だが、「高校三年生」も挿入歌として使用されている。ちなみに舟木の役名は二作とも船田一夫である。高校生役では堺もそうだが、かまやつひろしや田代みどり、市川好郎、西尾三枝子、谷隼人(当時岩谷肇)、沖田駿一(当時吉田毅)らが出演。舞台は東京の高尾高校となっているが、ありそうで実在しない。ちなみに谷隼人は高尾(八王子)にある高校を中退している。他に桂小金治、清川虹子、トニー谷、佐野浅夫、安部徹、殿山泰司、ミッキー安川(当時安川実)など。
64年は東映、日活、大映各社の作品に出演。「仲間たち」は日活で、舟木の4枚目シングルタイトルでもある。こちらの主演は浜田光夫と松原智恵子で、高校生ではなく、浜田はトラック運転手、松原はバスガイド、舟木は中華料理店の店員である。堺は浜田の助手で、藤竜也(新人)は運転手の一人。まだヒゲはないので、一瞬誰だかわからないが、妙に目立っている。他に松尾嘉代、内藤武敏、桂小金治など。林家三平が本人役で、かまやつひろしが「田辺昭知とザ・スパイダース」のメンバーとして歌っているが、他メンの顔はわからない。単独で「井上高之」のクレジットもある(正しくは孝之/当時、後に堯之)。、

橋幸夫の出演映画 その6

橋幸夫の最終回である。今回も全て松竹作品である。
67年の続きだが、もう一作品「男なら振り向くな」がある。石原慎太郎の「人魚と野郎」が原作だという。タイトルは珍しく橋のシングルタイトルではなく、本作用の新曲もないようだ。橋と田村正和が友人でもありライバルでもあるオートレーサーで、ヒロイン役は由美かおるが三作続いていたが、本作では初共演の加賀まりこである。他に小沢昭一、左時枝、渥美清など。ポスターにも名のある石坂浩二は、一瞬だけの登場のようだ。
68年は「夜明けの二人」一本だけのようである。橋の96枚目シングルタイトルでもある。本作は「ハワイ日本人移民百年祭記念映画」と銘打たれており、オアフ島、マウイ島、ハワイ島などハワイロケも敢行されたようである。今回のヒロイン役は黛ジュンで、日系三世の役だ。共演は竹脇無我、生田悦子、山口崇、香山美子、花沢徳衛、長門裕之、小沢栄太郎、伴淳三郎などで、他にも高見山や音楽担当の中村八大なども出演している。ちなみに本作での橋の役名は中野秀夫といい英雄ではないようだ。
69年は二本あるが、まずは「恋の乙女川」。101枚目シングル「乙女川」が主題歌となっている歌謡映画である。今回のヒロインも初共演となる尾崎奈々だが、橋の義理の妹という役柄なので、二人の恋物語というわけではないようだ。共演は永井秀和、宗方勝巳、入川保則、若柳菊、田村奈巳、松村達雄、黛ジュンなどで、ピンキーとキラーズが本人たちの役で登場するようだ。
若柳菊は本名を鹿内寛子といい、フジサンケイグループの鹿内信隆の長女である。芸名は日本舞踊・若柳流の師範でもあったことからで、翌年には菊ひろ子に改名している。父母の後押しもあり、フジテレビの番組にもよく出演していたが「社長の娘が自社の番組に出演するのはあらぬ誤解を招く」という鹿内の側近である石田達郎の進言を鹿内が受け入れ、71年に彼女を引退させた。彼女は結婚離婚を経験した後の80年に奈月ひろ子としてカムバックし、舞台やドラマで活動している。
話がそれたが、69年のもう一本は「ひばり・橋の花と喧嘩」である。タイトル通り美空ひばりとの映画初共演。この二人だとひばりが格上のようで、名前もひばりが先だ。時代劇っぽいタイトルだが、山口瞳原作の現代劇である。ひばりが三役、橋が二役を演じている。主題歌は橋の104枚目シングル「荒野のまごころ」が使われている。共演は財津一郎、長門裕之、佐藤友美、西村晃、真家宏満、左時枝、石井均、渥美清などで、エノケンこと榎本健一も顔を出している。翌70年に亡くなっているので、映画としては本作が遺作となるようだ。
70年は西郷輝彦のところでも紹介した「東京⇔パリ 青春の条件」に出演。橋、西郷、舟木一夫の御三家が揃った唯一の映画である。「橋幸夫芸能生活10周年記念映画」と銘打たれているので、橋が主役である。三田明、黛ジュン、森田健作、ピーターなども共演している。主題歌は橋の106枚目シングル「東京-パリ」。舟木が橋の「霧氷」を歌ったりする場面もある。何故か本作を最後に現在まで橋の映画出演はパッタリとなくなっている。

橋幸夫の出演映画 その5

またしても橋幸夫である。今回も全て松竹作品である。
66年に入るが、まずは「雨の中の二人」。橋の75枚目シングルタイトルでもあるのだが、本作の主演は橋ではなく、田村正和と中村晃子である。橋は橋幸夫本人として出演しているのだ。橋が主演でないのは、久しぶりである。二人が働く「魚源」(魚屋ではなく仕出し弁当屋)には多くの店員がおり、その中に藤岡弘や新藤恵美もいる。共に前年のデビューで、本作では二人で駆け落ちする役だ。やはり店員役の田中晋二は子役出身で55年木下惠介が監督した「野菊の如き君なりき」の主演だったこともある。他に曾我廼家一二三、葵京子、佐藤英夫など。
「汐風の中の二人」も、橋の80枚目シングルタイトルではあるが、主演は竹脇無我と田代美代子で、橋はやはり本人役で出演している。田代は前年にデビューした歌手でマヒナスターズとのデュエット「愛して愛して愛しちゃったのよ」が大ヒット。しかし、65年の紅白歌合戦にマヒナスターズは出場したが、田代は出場できなかった。これは、当時男女混合グループの出場ルールがなかったためである。田代のドラマや映画出演は少なく、松竹ではこの一作のようだ。共演は早瀬久美、細川俊之、柳沢真一、宇佐美淳也、ナンセンストリオなどである。
「恋と涙の太陽」は橋の81枚目のシングルでもあり、本作は橋が主演で、相手役もお馴染みの倍賞千恵子であるが、このコンビでは最終作となる。やはり橋映画お馴染みの香山美子もセットのように出演しており、この二人と初名美香、山東昭子、呉恵美子らが橋を巡る恋愛合戦を繰り広げるといったストーリーだ。他に早瀬久美、柳沢真一、待田京介など。待田はヤクザの役だ。
この年84枚目シングル「霧氷」が発売され、レコード大賞を受賞するのだが、この曲は10月の発売である。で、12月には大賞となるのだが、どうやらこの曲というよりは積み重ね実績(66年はシングル11枚)のような理由だったらしい。「霧氷」も68年には100万枚を突破したようだが、個人的には出だしから先は今だに覚えていない。
67年に入るが、まずは正月映画「シンガポールの夜は更けて」。橋の85枚目シングルでもあり、主演は橋と初共演となる由美かおるだ。ちなみに当時16歳で、映画は前年に日活で初出演を飾っている。この年の橋は由美とのコンビが続くことになる。ジャンルは歌謡ロマンスとなっているが、あらすじを見る限りではサスペンス的な面もあるようだ。共演は菅原謙次、園井啓介、金子信雄、待田京介、ロミ山田、園江梨子などで、藤岡弘も「陳」という役で出演。ポスターに名前もある。菅原文太も「丁」というバーテン役だが、こちらは名前がない。
「バラ色の二人」は、橋の88枚目シングル「夜は恋する」のB面に位置する曲のタイトル。前述のとおり、こちらも橋と由美のコンビが主演で、桑野みゆき、香山美子、岡田英次、石井伊吉(毒蝮三太夫)らが共演。由美の母親役で「カルメン故郷に帰る」の小林トシ子が顔を出している。
橋の89枚目のシングルが「恋のメキシカン・ロック」だが、映画のタイトルは「恋のメキシカン・ロック 恋と夢と冒険」となっており、ポスターを見ると「恋と夢と冒険」がメインタイトル的な扱いになっている。こちらも橋と由美が主演。メキシコではなくグアム島が舞台で、由美の役はマリコ(混血娘)となっており、現代ではハーフと書かないと怒られそうである。共演は広瀬みさ、藤村有弘、亀石征一郎、園江梨子、藤ユキなどで、前に書いたが藤ユキはアン真理子のことである。

橋幸夫の出演映画 その4

引き続き、橋幸夫である。
64年に入るが、ここから先は松竹作品となる。まずは「花の舞妓はん」。橋の48枚目シングルにあたる。
映画としては前年の「舞妓はん」の続編で、主演も橋幸夫と倍賞千恵子だ。ただ、演じる人物は前作とは別人だ。まあ、展開も前作と似たような感じで、他の出演者は香山美子、浪花千栄子、五月女マリ、水島道太郎など。このシリーズは翌65年の「月の舞妓はん」に続くのだが、これは映画ではなく舞台作品で、やはり橋と倍賞のコンビで上演されている。
64年のもう1本は「孤独」である。初めて映画タイトルが橋のシングルタイトルではない作品となっている。ちなみに本作の主題歌は54枚目シングル曲の「恋をするなら」である。ヒロインは倍賞ではなく桑野みゆきで、共演は高城丈二、早川保、菅原文太、真理明美、藤原釜足など。高城と橋が腹違いの兄弟という設定で共にボクシングに打ち込んでいる。橋はデビュー前にボクシングに打ち込んでいた時期があったりするのだ。
65年に入るが、まずは正月公開の「涙にさよならを」。橋の59枚目シングルとなるが正確なタイトルは「チェッ・チェッ・チェッ-涙にさよなならをー」である。倍賞千恵子とのコンビが復活するが、本作は橋が麻薬組織と戦うことになるアクション映画となっている。共演は香山美子、藤原釜足、入川保則、夏圭子、石黒達也、佐々木功など。
「すっ飛び野郎」は久しぶりの股旅もの。橋の64枚目のシングルにあたる。ヒロイン役は倍賞千恵子、香山美子。いつもメインが倍賞で、香山は橋の妹みたいな役が多いのだが、本作ではライバル的な存在になるようだ。丹波哲郎が初共演で、彼の演じる浪人と橋の演じる旅鴉は共にその正体が公儀隠密という設定だ。他の出演者は宗方勝巳、山路義人、菅井一郎、高野真二、明智十三郎など。本作は松竹京都撮影所最後の作品となっている。
現在も松竹京都撮影所が太秦に存在し、ややこしいのだが、この65年に閉鎖された松竹京都は75年に京都映画に譲渡され京都映画撮影所になるのだが、08年に松竹京都撮影所に再度改称しているのである。つまり、太秦の松竹京都は一旦閉鎖されたものの、また名称が復活した形になっているのだ。
話を戻すが「あの娘と僕-スイム・スイム・スイム-」は、橋の68枚目のシングルタイトルでもある。舞台は葉山マリーナで、モーターボートや水上スキーの指導にあたる橋が新入社員の香山美子に当地での想い出を語るという構成になっているようだ。香山が橋映画初のメインヒロインと言っていいのか微妙ではある。過去エピソードとして夏圭子や桑野みゆきが登場するが、悲劇色の強い桑野のメイン感が強いかもしれない。他の共演者は宗方勝巳、五月女マリ、富永ユキ、大泉滉、河津清三郎など。
「赤い鷹」は、65年の大晦日の公開。「赤い鷹」という映画タイトルは橋のシングルタイトルではなく、主題歌は「残侠小唄」が使われている。橋は新聞の社会部記者の役で倍賞千恵子がライバル記者。危険を伴う取材を行い暴力団追放キャンペーンを行おうとする。共演は菅原謙次、金子信雄、河野秋武、山東昭子、北条きく子、市川瑛子などで暴力団組長役が待田京介。イメージでは金子、待田は日活、菅原は大映、北条は東映、河野は東宝なので一見どこの映画だかわからなくなりそうな作品だ。、

橋幸夫の出演映画 その3

引き続き、橋幸夫である。
62年は、あと1本あり、初の東映出演となる「花の折鶴笠」である。橋の29枚目のシングルのタイトルでもある。実は大映との契約はまだ残っていたというが、ここらで将来のため他社の作品に出て見ようということになったらしい。橋の曲の多くの作詞を担当する佐伯孝夫の親族が東映にいるということで、今回の出演となった(企画に佐伯明の名がある)。
大川橋蔵主演の喜劇チックな時代劇で、「両橋」共演と言われた。他の出演者は北条きく子、桜町弘子、品川隆二、多々良純、佐藤慶、千秋実、吉田義夫などである。東映は結局、この1作だけであった。
翌63年は日活の「いつでも夢を」に主演。ご存知、橋と吉永小百合のデュエットによる大ヒット曲の映画化である。これは吉永と橋のビクターレコードでのディレクターが同じであるところから実現した企画だった。橋にとっては27枚目のシングルで、前述の「花の折鶴笠」がその2か月後の発売だったが、どうしても「いつでも夢を」の陰に隠れてしまった感があったという。吉永が日活の所属なので、橋も初の日活出演という形になった。共演は浜田光夫、松原智恵子、信欣三、内藤武敏、野呂圭介、子役時代の市川好郎など。本作では挿入歌として橋の「潮来笠」や「おけさ唄えば」なども使用されている。日活への出演も結局、この1本だけのようである。
話が前後するが、62年の後期に橋はテレビドラマ「若いやつ」の主演を務めている。どうやら橋が扮する主役の浪人生?が上京して、その慣れない都会での生活を描いている話らしい。共演は左とん平、舟橋元、山東昭子、瀬戸麗子、朝霧鏡子など。
そのドラマ「若いやつ」が、終了から3カ月後に松竹で映画化されたのである。橋のシングルとしては23枚目にあたる。以降、橋は松竹での出演が続くことになった。ドラマの映画化と言っても橋が演じる主人公の名前(浅倉哲夫)が一緒であること以外、関係性はない。出演者も橋以外は違っており、設定も大学卒業を控えているということになっている。ヒロイン役は倍賞千恵子で、以降も彼女との共演が多くなる。他の共演者は山本豊三、小坂一也、瞳麗子、沢村貞子、河津清三郎、志村喬など。
続く「舞妓はん」も橋と倍賞千恵子の主演で、橋は流しであり板前の修業中でもある青年、倍賞はタイトルにある「舞妓はん」だ。橋のシングル31枚目にあたる。二人は愛し合うのだが、結局は結ばれないという悲恋ものである。共演者は志村喬、千之赫子、五月女マリ、万代峯子、浪花千栄子、細川俊夫など。
「月夜の渡り鳥」も橋・倍賞コンビが主演の時代劇である。長谷川伸の「瞼の母」が原作になっており、橋は番場の忠太郎を演じる。共演は高峰三枝子、香山美子、名和宏、志村喬などである。

橋幸夫の出演映画 その2

引き続き、橋幸夫である。61年の続きだ。
出演6作目は「すっとび仁義」で、橋の11枚目のシングルタイトルでもある。本作はシングルリリースと同時に映画製作も開始されており、橋が二役を演じる主演作品である。相手役は一般公募されることになり、「橋幸夫の相手役・姿美千子コンテスト」が開かれた。つまり、芸名が先に決まっていたのである。これで選ばれたのが札幌の高校1年生橘郁子だった。そのままでも芸名っぽいが、有無を言わず姿美千子としてデビュー。無論学校も日大二高へと転校している。実妹の橘和子は後に日活からデビューする。共演は中村玉緒、小林勝彦、鶴見丈二、真城千都世、益田喜頓など。
7作目は「明日を呼ぶ港」で、橋の12枚目のシングルのタイトルでもある。今までの6作は全て時代劇であったが、本作は初の現代劇出演となった。主演は橋と本郷功次郎で、兄弟の役である。本郷の務める海運会社に潜む陰謀を兄弟で暴くというような話である。ヒロイン役は叶順子、姿美千子で、姿は前作で橋の相手役としてデビューしたこともあるので、共演が続く。他に北条寿太郎、十朱久雄、三国一郎、八波むと志、大辻伺郎などで、悪役として藤山浩二、三角八郎、橋本力などが出演。橋本は後に大魔神を演じることになる役者だが本作では「地獄の政」という役名だ。
8作目は再び時代劇で「花の兄弟」。橋の16枚目シングルのタイトルでもある。主演は「おけさ唄えば」でも共演した市川雷蔵で、橋と兄弟役を演じる。この二人は顔が似ていると言われており、兄弟役が合っているという評判だった。共演は水谷良重、姿美千子、森川信、若水ヤエ子、茶川一郎、千葉敏郎、石黒達也、伊達三郎など。
62年に突入する。61年は大映で8本もの映画に出演した橋だが、この年は本業が忙しくなったせいか、全部で4本に出演。引き続き大映で3本出演している。
その1作目が「江梨子」であり、17枚目シングルのタイトルでもある。今までは全て大映京都製作であったが、本作は大映東京製作である。当時、各社で流行った青春歌謡路線と言われる作品だ。主演は橋で、ヒロイン江梨子を演じるのは新東宝から移籍してきた三条魔子である。覆面をしているわけでもないのに「シークレットフェイス」の名でデビューした女優だ。本作のヒットにより、三条江梨子に改名するのだが、この時点では魔子である。共演は船越英二、渚まゆみ、岩崎加根子、浦部粂子、村田知栄子など。
次は「悲恋の若武者」で、再び大映京都に戻っている。橋の18枚目シングルのタイトルでもある。今までの時代劇と違い本作は西南戦争の頃が舞台となっている。橋の相手役は前作から引き続きの三条江梨子と「江梨子」には出ていなかった姿美千子である。共演はやはり新東宝から移籍の天知茂で、他に中村豊、浜田雄史、伊達三郎など。
そして「あした逢う人」は、25枚目シングルのタイトルでもある。これも青春歌謡路線の作品で「明日を呼ぶ港」でも共演した本郷功次郎、叶順子、そして三条江梨子らがメインだ。本郷と三条、叶と橋がそれぞれ兄弟で、三条と橋が本郷と叶を結びつけようとする話だ。他に大瀬康一、潮万太郎、中条静夫、早川雄三、広瀬みさ(当時小牧洋子)など。橋の大映出演は本作までで、以降は他社に移ることになる。

橋幸夫の出演映画

今回からは、御三家繋がりで橋幸夫である。
橋幸夫は43年東京生まれで、本名は橋幸男。ほぼ本名である。芸能人は「夫」を使うケースが多い。
学生時代はボクシングに熱中し、それを心配した母親が遠藤実の歌謡教室に通わせたのが歌手になったきっかけだとか。
60年に「潮来笠」でデビューしたが、これがヒットし、同年のレコード大賞新人賞を受賞したのである。
あっという間に人気歌手となり、翌61年からは映画に進出しており、この年だけで8本もの映画に出演している。いずれも大映作品である。
映画デビュー作となるのが、歌手デビュー曲タイトルでもある「潮来笠」。橋は当初「潮来」を知らず「シオクル」と読んだそうな。本作の主演は橋ではない。潮来の伊太郎役は小林勝彦で、共演は近藤美恵子、小桜純子、丹羽又三郎、藤原礼子、香川良介など。橋は「川千鳥の新助」という役名はあるが、ストーリーに絡むわけでもなく、ラストの方に現れて「潮来笠」を歌うだけのようである。小林勝彦は本郷功次郎の時に触れたが、当初は主演、準主演もあったが、次第に脇に回り、大映を離れてからは専ら時代劇の悪役として活動した。また、声優としても多くの作品に出演しており、洋画における三船敏郎を吹き替えたりもしている。
続く「木曽ぶし三度笠」は、橋の5枚目のシングルのタイトルでもある。
こちらも主演は小林勝彦で、共演が三田村元、井上明子、伊達三郎、藤原礼子、杉山昌三九など。橋は渡世人ではなく飛脚の参平という役。ストーリーには絡むようだ。
続く「おけさ歌えば」は、橋の3枚目のシングルのタイトルでもある。
こちらの主演は市川雷蔵で、橋はその弟分である「おけさの半次」を演じており、準主役と言える。クレジットも2番目だ。共演は水谷良重、三木裕子、小桜京子、島田竜三、中村鴈治郎など。雷蔵は橋を気に入り、何かと面倒を見ていたという。前述の「潮来笠」に出ていたのは小桜純子で、こちらは小桜京子だ。京子の方は金語楼劇団出身の女優で、当時29歳。柳家金語楼は叔父にあたる。後に引田天功(初代)と結婚する(後に離婚)。純子の方は詳細不明だが、60年代前半に大映で活躍していた女優だ。
「喧嘩富士」は、橋の4枚目シングルのタイトルでもある。
こちらの主演は勝新太郎で、橋は早々と大映時代劇の2大スターとの共演を果たした(勝とは本作のみ)。ヤクザに憧れる勝と橋、小林勝彦が石黒達也の一家に世話になり、山路義人の一家を倒すというような話。本作も橋はクレジット2番手だ。共演は浦路洋子、宇治みさ子、弓恵子、小桜純子など。
「磯ぶし源太」は、橋の6枚目シングルのタイトルでもある。
橋はタイトルにもある源太役で、初の主演作ということになるが、上映時間は64分と短い。共演は鶴見丈二、三田村元、弓恵子、小桜純子、近藤恵美子、須賀不二男など。鶴見は川口浩、品川隆二、川崎敬三と同様に「京浜東北線」の駅名を芸名にするくらいに期待されていたが、主演となることはほぼなかった。

西郷輝彦の出演映画 その5

西郷輝彦の最終回である。
70年代に入り、前回の「東京⇔パリ 青春の条件」以降は、映画出演がとぎれる。まあ日活や大映が潰れたことも影響しているのだろう。かと言ってヒマだったわけではない。本業の歌の方でヒット曲がそれなりにあり、また72年には辺見マリと結婚している。
そして、73年あのドラマの前に「まごころ」という大映ドラマに出演。この枠(金曜21時)は「シークレット部隊」「燃える兄弟」という宇津井健主演のアクションドラマが続いた後で、本作の」主演である竹脇無我の役は刑事なので、アクションと思いきやホームドラマの部類に入るらしい。西郷はその弟で社会部記者という設定。父が伴淳三郎、母が加藤治子(途中から風見章子に交代)、他に大原麗子、富士真奈美、前田吟、吉沢京子、進藤英太郎など。番組主題歌は西郷が歌っていた。
で、このドラマが終了した翌週からスタートしたのが「どてらい男(やつ)」である。本作は人気を呼び、約3年半全180回まで続くことになる。これ以降は歌手の副業というよりは、俳優イメージの方が強くなっていった印象がある。
この間に約4年ぶりの映画出演があった。74年松竹の「狼よ落日を斬れ 風雲篇、激情篇、怒涛篇」である。
何とか篇というのが3つ付いているが、昔の様に3回に分けて上映したわけではなく、160分一挙上映である。テレビの1時間ドラマ3回分といったところだ。原作は池波正太郎で、四人の幕末志士を中心に描かれた時代劇だ。高橋英樹(杉虎之助)、緒形拳(中村半次郎)、近藤正臣(伊庭八郎)、西郷輝彦(沖田総司)である。杉は架空の人物だが、後の三人は実在した人物。西郷の演じた沖田は説明不要だろうが、中村半次郎は後に桐野利秋を名乗り、明治の新政府では陸軍少将を務めている。伊庭八郎は隻腕の剣客として知られる人物だ。他の出演者は辰巳鉚太郎(西郷隆盛)、和崎俊哉(近藤勇)のような実在人物もいれば、松坂慶子、田村高廣、佐野浅夫などは創作の人物を演じている。監督は三隈研次だが、翌75年にガンで亡くなった為、本作が映画での遺作となった。54歳の若さであった。
75年に入り、人気放送中だった「どてらい男」が東宝で映画化された。西郷演じる猛造が16歳で丁稚入りした初期のエピソードを描いているようだ。ちなみに西郷も当時28歳で16歳役はどうかと思うが、余程子供時代でなければ、過去エピソードは本人が演じるのが普通ではあった。本作は西郷と幸夫役の田村亮以外はテレビシリーズとは異なる役者が演じている。正直、映画もドラマもほとんど見ていないので資料を見比べての突合せだが、前者がテレビ版、後者が映画版である。前戸弥生役:由美かおる→小柳ルミ子、竹田一夫役:高田次郎→津川雅彦、前戸文治役:沢本忠雄→曾我廼家明蝶、岡田弥太郎役:大村崑→内藤武敏、糸路役:扇千景→浜木綿子、芋生役:岸部シロー→田中邦衛、大石善兵衛役:笑福亭松鶴→伴淳三郎といった具合である。監督はクレージー映画などで知られる古澤憲吾である。
また、この75年からは「江戸を斬る」シリーズがスタート。西郷初のテレビ時代劇主演で南町奉行遠山金四郎を演じた。「遠山の金さん」と言えば桜吹雪の刺青だが、本作では差別化の為か、めったに刺青を見せない金さんである。
「どてらい男」が終了した翌78年には東映の大型時代劇「柳生一族の陰謀」「赤穂城断絶」に出演。前者は駿河大納言忠長、後者は浅野内匠頭とそれぞれ著名な人物を演じている。、
 

西郷輝彦の出演映画 その4

引き続き、西郷輝彦である。69年の作品からだ。
まずは、松竹「霧のバラード」。これは前項の「釧路の夜」と同じ栗塚旭主演のアクションものである。この「霧のバラード」も美川憲一のシングル曲のタイトルであり本人も出演しているので、所属のクラウンレコードが制作に関わっている。その関係で西郷と笹みどりも本人役で出演しているのだ。笹みどりは美川と同期の演歌歌手。「下町育ち」などテレビ主題歌を多く歌っており、当時は「テレビ主題歌の女王」と呼ばれていた。76年にクモ膜下出血で倒れるが、83年にカムバックを遂げている。スナックのママ役の朝丘雪路も当時はクラウンの所属だった。
本作は主人公の栗塚が朝丘雪路に頼まれ、吉田輝雄と佐藤友美の密航を助ける。栗塚と佐藤は過去に関係があった。彼等の密航計画は土方弘率いるやくざたちに知れ、死闘が繰り広げられるというような話だ。西郷は本人役と言っても、栗塚たちの手助けをするようだ。美川の役は小松方正演じる医師の息子。他に砂塚秀夫や堀田真三も出演している。堀田は東映のニューフェイスであり、当時も東映所属のはずなので、おそらく初の松竹出演ではないだろうか。この年は大映作品にも顔を出している。余談だが、当時のポスターを見ると栗塚が加山雄三に見える。一瞬、間違える人も多いのではないだろうか。
69年のもう一本は松竹「海はふりむかない」。こちらは西郷の主演映画だ。悲恋映画であり歌謡映画でもある。松竹の薄幸のヒロインと言えば尾崎奈々、他に中山仁、森次浩司(康嗣)、夏圭子、有川由紀、勝部演之など。勝部は西郷の兄役だが、エリート意識が強く冷淡であるという勝部にピッタリの役。西郷はもちろん同タイトルの主題歌、由美かおる、美川憲一、高田恭子も顔を出し、それぞれの曲が挿入歌として流れる。西郷と尾崎のデュエットもある。高田はこの年に「みんな夢の中」でデビューした新人だが、レコード大賞の新人賞を受賞している。
本作は後半から広島が舞台となるが、尾崎奈々演じるヒロインが白血病であることが明かされる。被爆者二世であり、残留放射能の影響で発病したのでは…というような重い話になってくるのである。本作の監督である斎藤耕一は西郷の妹を演じた有川由紀と74年に結婚している(17歳差)。
70年に突入する。この年の出演映画は1本のみで、松竹「東京⇔パリ 青春の条件」である。本作は橋幸夫のデビュー10周年記念映画であり、舟木一夫、西郷輝彦の御三家が揃って出演している唯一の映画なのである。加えて三田明、黛ジュン、森田健作、ピーターなども顔を出している。御三家に三田明を加えて「四天王」という言い方をすることもある。この中では橋が一番年長でデビューも早く、三田が一番年下だが、どうやら西郷よりデビューは早かったようである。
本作は橋の10周年記念なので、当然橋が主役だ。役名も西郷は「西条」で、舟木は「船田」だが、橋は「風間史郎」といういかにも主役っぽい名前で、橋がつかない。ちなみに橋幸夫はほぼ本名(幸男)。他の出演者だが、小川ひろみ、山形勲、加藤嘉、左卜全、藤村有弘、曾我町子などで、三田明、ピーター、アン真理子は本人の役で登場。アン真理子は「悲しみは駈け足でやってくる」が有名だろうか。元々は「ユキとヒデ」というヂュエットだった。ヒデとは出門英のことであり、解散後にロザンナと組み「ヒデとロザンナ」となり、ユキは藤ユキからアン真理子に改名したのである。