お宝映画・番組私的見聞録 -14ページ目

西郷輝彦の出演映画 その3

引き続き、西郷輝彦である。66年の続きからだ。
66年は、やはり日活でもう1本あり、「傷だらけの天使」である。「傷だらけの天使」というと、どうしてもショーケンと水谷豊のコンビを思い出してしまうが、そのドラマとは何の関係もない。天使は「エンジェル」と読むのだ。これも西郷のシングルのタイトルであり、本作の主題歌でもある。ちなみに作詞・我修院建吾、作曲・銀川晶子となっているが、これはどちらも西郷のペンネームである。つまあり自作の歌なのだ。我修院健吾名義で「明星」に同タイトルで西郷の自伝が連載されており、その映画化ともいえるようだ。
主演はもちろん西郷で、ヒロインは松原智恵子。日活ではほぼ西郷の相手は松原であった。共演は荒木道子、永田靖、楠田薫、五月女マリ、塚本信夫、草薙幸二郎、高須賀夫至子などで、あまり若いキャストはいなかったりする。
67年は、何故か映画出演は1本のみ。日活の「恋人をさがそう」である。今までと同様のスタイルで、シングルタイトルでもあり主題歌でもある。西郷は予備校生(早稲田学院)で、毎日新聞社でバイトをしているというとても具体的な設定。共演はやはり松原智恵子、和田浩治、五月女マリ、浜田寅彦、奈良岡朋子、花沢徳衛などだが、注目は梓英子。後の「どてらい男」(73~78年)で、その妻役を演じることになる梓とここで初共演しているのである。ちなみに、この後大映と契約するので、日活作品を本作と「不死身なあいつ」くらいしか出演していない。そして、もう一人は新聞記者役の吉田豊明。東映のニューフェイスであり、この時代も東映に在籍していたはずだが、何故か本作に出演。どうやら日活は本作だけのようである。ただ、東映ではほぼテレビ出演であり、映画にはほとんど出演していないようである。代表作はやはり「特別機動捜査隊」の石原刑事役で、番組後期の主役である青木義朗(三船主任)と同じ回から初登場。ラストまでほぼ8年間出演している。
68年は東映の「あゝ予科練」。久々の東映出演である。主演は鶴田浩二で、予科練生を演じるのが西郷の他、谷隼人、太田博之、長沢純、宮土尚治(桜木健一)などで、みんな坊主頭にして撮影に臨んだ。西郷は約40日間、他の仕事を入れないで本作に専念していたという。共演は丹波哲郎、千葉真一、山城新伍、梅宮辰夫、大原麗子、藤純子、伴淳三郎、伊丹十三、池部良など、何気に豪華キャストなのだが、作品の評判はあまり芳しいものではなかったようだ。
もう一本は松竹の「釧路の夜」。井上梅次監督によるアクション映画で主演は栗塚旭。栗塚と言えば、当時既に栗塚=土方歳三のイメージがあるくらいに時代劇の人という印象が強いが、松竹の映画ではこうした現代劇にも数本出演している。ちなみに本作での役名は矢吹丈ではなく矢吹丈二だったりする。共演は城野ゆき、美川憲一で、タイトルの「釧路の夜」は美川のシングルのタイトルでヒットもしている。美川はここでも歌手の役だが、実は大映ニューフェイスに合格していたという経歴がある。本作はクラウンレコードが制作に関わっており、そのエース格である西郷が本人の役で出演している。他に朝丘雪路、小林勝彦、渡辺文雄、今井健二などが出演しているが、松竹作品でありながら城野、今井は東映、小林は大映と一見するとどこの映画だかわからない。最後に豆知識を一つ。釧路市の隣には釧路町があり、別々の自治体である。
 

西郷輝彦の出演映画 その2

引き続き、西郷輝彦である。65年の日活作品からだ。
「涙をありがとう」は、西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。クレジット上は西郷がトップ扱いだが、実質的には高橋英樹が主役のアクション映画のようである。西郷の姉が山本陽子、GFが和泉雅子で、その姉が久保菜穂子で、その夫・二本柳寛は沢島組の組長だ。組の幹部が藤岡重慶、宮部昭夫などで、雇われた殺し屋が深江章喜だ。高橋の殺された父(刑事)を演じたのは中村歌門。名前の通り歌舞伎役者で、詳しくはわからないが13年生まれで、33年から市川菊之助、55年に中村歌門(二代目)を襲名したようだ。
「星と俺とできめたんだ」も西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。「決めたんだ」と漢字にしたくなるところだが、平仮名が正解だ。こちらは名実ともに西郷が主役のアクション映画。西郷は大学の剣道部員で、クラブで歌手のバイトをしているが、技術者の兄(弘松三郎)が殺され、その仇を討つというお話。十朱幸代はその兄の婚約者で、松原智恵子は西郷の居候先の娘。黒幕は西郷がバイトしているクラブの経営者(神田隆)で、その愛人が香月美奈子。渡哲也が西郷の助っ人として登場するが、香月は実の姉である。神田の妻が奈良岡朋子で、神田の部下が高品格、野呂圭介など。弘松三郎の詳しいプロフィールは不明だが、54年に再開した日活にその初期から末期まで大部屋俳優として在籍していたと思われる。悪役が多いが、ドラマ「ハレンチ学園」では教師の一人を大辻伺郎、井上昭文らと演じていた。
66年の西郷は日活作品が続く。「この虹の消える時にも」も同様に西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。挿入歌の「星娘」の方が有名ではないだろうか。西郷はメンズウェアの店で働いているが、前に働いていたクリーニング店において過失で店主を死なせていまい少年院に入っていた過去がある。
その少年院仲間が荒木一郎で、出所してもチンピラである。松原智恵子が盲目のヒロインで、他に山内賢、山本陽子、東山明美、深江章喜、玉川伊佐男、大滝秀治など。前述の二作では西郷のクレジットに付いていた(クラウン)がなく、代わりに東山明美に付いている。ちなみに東山の役名は飯島真理だ。
「涙になりたい」も今までと同様。当時の人気歌手は月1枚のペースでレコードを出していたのである。本作はアクションではなく、家族関係ドラマとでも言うのだろうか。共演は松原智恵子、山本陽子、芦田伸介、大塚国夫、奈良岡朋子、丹阿弥谷津子、西本雄司、伊藤寿章(澤村昌之助)などで、市村正親が西本の仲間の不良学生役で出演しているらしい。当時17歳の高校生だが、出演の経緯は不明。プロフィールにはないが、児童劇団にでも入っていたのだろうか。
「遥かなる慕情 星のフラメンコ」。西郷の曲では、最も有名ではないかと思われるのが「星のフラメンコ」だが、恋愛ものではなく、西郷が台湾から日本に帰ることが出来なかった母親の生涯を巡る話。実際に台湾でロケをしたようで、向こうの役者も多く出演している。藍芳とクレジットされている台湾人姉妹の妹役の人は後の光川環世である。実際に台湾の生まれで、5歳の時に日本に移住し、小学生の頃から子役として活動。当時は井上清子を芸名にしていたはずだが、台湾で公開される映画では藍芳や李玲香といった中国名を名乗っていた。光川環世を名乗るのは70年代になってから。共演は松原智恵子、川地民夫などで、ノンクレジットで奈良岡朋子が母親役で声のみ出演しているらしい。

西郷輝彦の出演映画

今回からは、西郷輝彦である。「大岡越前」の休止期間に放送されていたのが「江戸を斬る」で、その主役遠山金四郎を演じていたのが西郷ということで彼にした。知っての通り、歌手としてデビューし、橋幸夫、舟木一夫と共に「御三家」と言われた人気者だ。「どてらい男」とかテレビのイメージが強いと思うが、橋や府木もそうだが、特にデビュー時は多くの映画に出ているのだ。
西郷輝彦は47年生まれ。本名は今川盛揮で、鹿児島の出身。鹿児島と言えば薩摩、薩摩と言えば西郷隆盛ということで、その芸名が名付けられている。高校時代(鹿児島商業)は、映画俳優にも憧れていたので、各社のニューフェイスに応募しているが、全て落選だったという。
62年、高一の時点で中退して上京。バンドボーイをしていた時に龍美プロに誘われて入社(マネージャーは後のサンミュージック社長・相澤秀禎)し、64年に「君だけに」に歌手デビューするが、これが大ヒット。同年の4枚目シングル「十七才のこの胸に」もヒットし、同タイトルの東映映画にて役者デビューした。タイトル通り十七才だったわけである。
主演は西郷と本間千代子。二人は鹿児島の高校に通う優等生だったが、ひょんなことから停学処分となる。千代子は一人東京へ行ってしまい、西郷はその後を追う。というような青春映画で、西郷の母が沢村貞子、千代子の母が笠置シヅ子。同級生役が長沢純、新井茂子で、千代子の入院中の親友に園まり、その主治医が波島進だ。本間はこの頃、西郷だけでなく舟木一夫の相手役もしていた。
二本目は65年になり、同じ東映の「あの雲に歌おう」である。こちらは主演は本間千代子で、西郷は友情出演となっている。もちろん高校が舞台で、千代子の同級生に長沢純、新井茂子は同じだが、加えて優等生の太田博之、島かおり、不良の岡崎二朗、そして剣道部主将の西郷だ。新任の先生が千葉真一で、彼に千代子は憧れるが、結局は西郷の姉で同校教師である宮園純子と結ばれることになる。本作には元祖ジャニーズの四人(あおい輝彦、真家ひろみ、中谷良、飯野おさみ)も出演している。
65年はあと4本あり、まず松竹「我が青春」。西郷が主演で、その兄役が三上真一郎だ。その三上が当初歌手として成功しスターになり、西郷はそのマネージャーを務めていた。それを妬んでいるのが先輩の手塚しげおで、三上は彼の雇った愚連隊により負傷する。代わりに舞台に立って歌ったのが西郷で、結果は大成功で彼が大スターにのし上がっていくというような話。他の出演者は菅原謙次、夏圭子、ロミ山田、五月女マリなど。
ここまでは青春映画だが、大映「狸穴町0番地」はコメディである。ちなみに狸穴は「まみあな」と読む。あらすじを見てもすぐに理解できなかったが、要するに狸穴町の住人の正体はたぬきなのだということのようだ。クレジットのトップは高田美和で、次に西郷、川崎敬三、そして花菱アチャコで、(吉本興業)付である。他に丸井太郎、春川ますみ、玉川良一、左卜全、坂本スミ子、田端義夫など。
東映、松竹、大映と来たら日活である。これが二本あるのだが、長くなってきたので次回に続く。

加藤剛の出演映画 その5

加藤剛のラストである。
72年はまず「子連れ狼 死に風に向かう乳母車」。岸田森の時に書いたが製作・勝プロ、配給・東宝、主演若山富三郎による映画版の「子連れ狼」でシリーズ第2作である。
共演は浜木綿子、水島道太郎、浜村純、名和宏など。今回の悪役は山形勲で、その用心棒が草野大悟、和崎俊哉だ。加藤剛の役は渡り従士・孫村官兵衛。若山扮する一刀は彼を真の武士と見て、序盤では対決を避けるのだが、ラストで一刀の前に姿を現す。そういえば、翌73年にテレビシリーズ「剣客商売」で山形勲、加藤剛は主演の秋山父子を演じることになる。
72年のもう一作は「忍ぶ川」。原作は三浦哲郎の小説で、発表された60年には東宝が映画化権を獲得していた。日活の助監督だった熊井啓が映画化しようと脚本を書きあげていた。熊井は当初、吉永小百合を予定していたが、劇中のシーン(恐らくヌードシ-ン)を巡って吉永の親族と揉め、彼女の出演は実現せず、映画化自体も実現に12年待つことになる。当初に映画化権を持った東宝と俳優座で製作することになり、ヒロインには俳優座の栗原小巻が選ばれた。ちなみに、吉永小百合と同い年で、誕生日が1日違いである。その相手役が加藤剛であり、役名が哲郎となっている。原作では「私」となっているが、三浦哲郎の私小説と言われているので「哲郎」としたのだろう。共演は山口果林、永田靖、井川比佐志、岩崎加根子、滝田裕介、鹿野浩四郎など。山口はNHKの朝ドラ「繭子ひとり」のヒロインをやっていた時期である。鹿野は78~84年にかけてNHKの「600こちら情報部」のキャスターとして月~金の生放送をこなした。鹿野はその後も地方局でキャスター、司会者などで活躍した。
73年は「忍ぶ糸」。「忍ぶ川」と同じ東宝、俳優座の製作で、主演も同じ栗原小巻と加藤剛のコンビである。タイトルが似ているが関連性はなく、こちらの原作は北泉優子「忍ぶ糸 伊賀の女の物語」である。伊賀と言うとつい時代劇を想像してしまうが、現代劇である。共演は真野響子、渡辺美佐子、河原崎長一郎、中野誠也、中谷一郎、成瀬昌彦、松本克平など。
「日本侠花伝」は東映の任侠映画のようなタイトルだが、東宝作品である。主演は真木洋子、渡哲也で、あらすじを見た限りでは(未見)、任侠というよりラブストーリーという感じか。真木洋子の相手が村井国夫、曾我廼家明蝶、そして渡へと変わって行く。真木は渡と共演できると聞いて出演を承諾したという。共演は北大路欣也、安部徹、藤原釜足、園佳也子、富田仲次郎、任田順好など。加藤剛は賀川という役だが、あらすじにも名が出てこないので、顔見せ的な出演だろうか。
74年「砂の器」は、加藤剛が出演している映画としては最も有名かもしれない。原作は松本清張で結構な長編。主演扱いは刑事役の丹波哲郎、森田健作で、人気作曲家の加藤剛が犯人だ。という基本情報は知っていたが、その他は詳しくは知らなかった。被害者となるのが緒形拳で、元警察官で評判も頗る良い人物。そんな彼が何故殺されたかと言えば、自分の過去を知っているからということになろうか。加藤剛の父親役が加藤嘉でハンセン病に犯されているという設定。その為、剛の少年期に彼を連れ各地を旅をしていたのだが、原作ではこの一行で書かれた部分を脚本の橋本忍が大きくしたらしい。橋本に加え、山田洋次が共同脚本として参加しているが、山田は「これが映画になるとは思えません」と当初は言っていたようだ。その反応は各社も同じで集客が見込めないと松竹、東宝、東映、大映すべてに断られたらしい。結局は橋本が橋本プロダクションを設立し、監督は野村芳太郎が務めるため、所属の松竹との共同制作に落ち着いた。脚本を見た黒澤明はこれを酷評しアドバイスを送ったが、橋本は無視。フタを開けてみれば、大ヒットとなったのであった。他の出演者は佐分利信、島田陽子、山口果林、笠智衆、渥美清などである。

加藤剛の出演映画 その4

引き続き、加藤剛である。
70年、あの「大岡越前」がスタートする。99年の第15部まで加藤剛が大岡越前守忠相を演じ続けることになり、すっかり大岡越前=加藤剛のイメージが定着した。イメージ的にはずっと「水戸黄門」と交替で放送していたように感じていたが第4部が74~75年、第5部は78年、第6部が82年というにように放送されていない年も結構あるのだ。ちなみに、5部と6部の間は「水戸黄門」と「江戸を斬る」が交替で放送されていた。同シリーズを1部から15部までまで通して出演したのは加藤剛の他、竹脇無我(榊原伊織、出演していない部もある)、山口崇(徳川吉宗)、高橋元太郎(すっとびの辰三)がいる。
映画に戻ると70年は日活「戦争と人間 第一部 運命の序曲」に出演。三部作であり、合わせると九時間半に及ぶ超大作である。この第一部では昭和3年の3・15事件から昭和7年の上海事変までが描かれている。出演者クレジットがアイウエオ順なので、それを見ただけでは誰が主役なのかはわからない。トップにくるのが青木富夫だったりするのだ(大道芸人の役)。日活の大部屋俳優だが、子役時代は「突貫小僧」の名で主役だったこともある。石原裕次郎、丹波哲郎、二谷英明、松原智恵子などの名もあるが、主役ではない。伍代一族(滝沢修、芦田伸介、高橋悦史、浅丘ルリ子、中村勘九郎、佐藤万里)が話の中心で、高橋英樹、三國連太郎、高橋幸治辺りがメインとなるようだ。加藤剛は服部という医師の役である。中村勘九郎(後の勘三郎)は当時15歳で子役としての出演。
「戦争と人間 第2部 愛と悲しみの山河」は翌71年の公開。本作は昭和10年2月から2・26事件を経て昭和12年の日中戦争開戦までを描いている。伍代一族は勘九郎から北大路欣也に子役の佐藤万里が吉永小百合にそれぞれ交代となった。主に高橋英樹と浅丘ルリ子、北大路欣也と佐久間良子、山本圭と吉永小百合という三組の男女が話の中心となろようだ。栗原小巻、三國連太郎、江原真二郎、山本学、地井武男、そして加藤剛などは前作から引き続き同じ役で出演。山本圭や和泉雅子、佐久間良子は第2部からの登場である。
今回の出演者クレジットのトップは岩崎信忠、次が井川比佐志で、一瞬何の順かわからないのだが、「い」の次が「は」で始まる人なので、イロハ順であることがわかった。男優キャストの後に女優キャストがくるのだが、佐久間良子のみ特別で(東映)付で最後にクレジットされている。なお、本作公開の2か月後に日活は一般映画製作を停止し、ロマンポルノ中心に転向することになる。
第3部の完結編は73年に公開されるが、加藤は出演してない。
話が前後するが、70年はもう一作、松竹「影の車」で主演となっている。松本清張原作のサスペンスだが、実は「影の車」というのは短編集のタイトルであり、本作はその中の一編である「潜在光景」が原作となっている。共演は岩下志麻、小川真由美、滝田裕介、近藤洋介、芦田伸介など。子役の岡本久人は翌年のドラマ版にも同じ役で出演している。
71年、松竹「黒の斜面」は菊島隆三原作のサスペンスで、やはり加藤剛と岩下志麻が主演となっている。どちらも加藤剛が浮気をする話だったりするのだが、こちらの相手は市原悦子。共演は山口果林、滝田裕介、近藤洋介、永井智雄など。本作は映画に先んじて「火曜日の女」シリーズで「オパールとサファイア」のタイトルでドラマ化されており、市原悦子が主演扱いとなっている。見比べてないのでわからないが、おそらく同じ役なのではないだろうか。

加藤剛の出演映画 その3

引き続き、加藤剛である。
「ヒロシマ一九六六」(66年)は、独立プロによる作品で、タイトルから推測できると思うが、終戦から21年後の被爆者母娘の生活を中心に描いている。映画サイトなどでは「未公開」とされている所もあるが、封印作品とかではなく、大手に配給されなかったということのようだ。上映会などで陽の目を見ることもあるようだが、ソフト化はされていないので、基本的には見ることが困難なようだ。主演は望月優子だが、その娘役の鈴木宏子は彼女の実の娘らしい。この母娘とは別に加藤剛と松本典子の恋愛模様も描かれているようだ。松本典子と言っても80年代アイドルとして活躍した方ではなく、同姓同名(共に芸名だが)の女優の方である。加藤の役名が田岡一夫となっているが、それだと某組長と同名(正確には一雄)だろうと思ってしまった。ヤクルトの笘篠と結婚後は引退状態だった元アイドルの松本典子は今年、芸能活動を再開したらしい。
さらに余談になるが、同年に同じ題材で公開されたのが日活の「愛と死の記録」である。渡哲也演じる被爆青年と吉永小百合との悲恋もの。元々は浜田光夫が主演のはずだったが、ケンカに巻き込まれ眼を負傷し失明の危機にさらされた為、渡が代役に立てられたのである。浜田の復帰を待つべきという意見が多く、吉永や渡もその考えだったようで、撮影開始までは多少揉めたらしい。
67年は、ウィキペディア等では日活の「喜劇 東京の田舎っぺ」という東京ぼん太主演の映画に加藤剛が出演したことになっているが、これは加藤武の誤りのようである。出演作に挙げられている中で、一際違和感があったが、やはり間違いだった。
同じく67年東宝の時代劇「上意討ち 拝領妻始末」に出演し、三船敏郎と親子の役を演じる。享保年間の会津藩が舞台で、城主・松平正容(松村達雄)の側室下がりとの結婚を命ぜられる笹原与五郎(加藤剛)。藩命には逆らえず嫁として迎えることになったいち(司葉子)は、思いのほか良妻であった。二人の間には娘とみも生まれ、しばらくは幸福な時間を送っていた笹原家であったが、世継ぎの子が病死したことから、いちとその娘のとみを城に戻せという。その理不尽さに怒る父・伊三郎(三船)と与五郎、いち。藩と対立し斬り合いとなり、笹原父子、いちも命を落とすと言うような話だ。他に神山繁、青木義朗、山形勲、そして仲代達矢など。ラストは黒澤映画のように三船対仲代の構図になるようだ。「いち」は実在の人物らしいが、あの「お市の方」とは別人。200年程時代が違う。
なお、92年にドラマとしてリメイクされているが、与五郎を演じた加藤剛が父・伊三郎を演じている。与五郎は船越英一郎、いちは渡辺典子である。
69年は大映の「天狗党」に出演。主演は仲代達矢だが、大映での主演は珍しい。東宝出演が断然多いので東宝所属のようなイメージだが、実はフリーなので、五社協定に縛られず各社に出演している。共演は若尾文子以外のメインはほぼ大映の俳優ではない。十朱幸代、中谷一郎、神山繫、亀石征一郎、山田吾一、中村鴈衛門などで、メインキャスト以外はお馴染みの大映脇役陣が並んでいる。加藤剛の役は天狗党のリーダー格である加多源次郎。

加藤剛の出演映画 その2

引き続き加藤剛である。
64年の出演映画は松竹作品が2本。まずは有吉佐和子原作の「香華(こうげ)」である。脚本・監督は「死闘の伝説」と同じく木下惠介だ。上映時間3時間20分という大作である。舞台は明治から大正にかけて、主演は岡田茉莉子で当時31歳。彼女演じる朋子の少女時代から60代まで描かれるので、幼少期は子役の子が演じるだろうが、いつの時代から本人が演じたのだろうか(未見なので)。まあ女優が30過ぎて10代の女学生を演じることは珍しくはない。その母親役が当時40歳の乙羽信子。岡田と9歳しか違わないが、乙羽はどちらかというと老けて見えるタイプだと思う。岡田も若く見えるタイプではないけれども。さらにその母親、つまり岡田から見て祖母の役が田中絹代(当時54歳)である。岡田演じる朋子は17歳で芸者になり、やがて士官学校の学生である江崎(加藤剛)に出会いって恋に落ちる。多分、加藤の方が年上の役だと思うが当時26歳で、岡田より若い。結局、二人は結婚できず別れ加藤演じる江崎は奈良岡朋子と結婚。二人の間の息子役が田村正和と松川勉である。他の出演者は杉村春子、岡田英次、宇佐美淳也、菅原文太、長山藍子、三木のり平等である。「香華」って初めて聞いたタイトルだったが、映画化はこれ1回だが、テレビ化は過去に3度もされている作品だった。
もう1本は山本周五郎原作の「五瓣の椿(ごべんのつばき)」。天保年間の江戸で連続殺人事件が起きる。現場には椿の花びらが落ちており、若く美しい娘が目撃されていた。というようなお話で、主演は岩下志麻。どうやら一人で五役を演じるようである。この事件を追う奉行所の与力が加藤剛である。他の出演者は早川保、左幸子、西村晃、伊藤雄之助、小沢昭一、田村高廣など。本作も映画化はこれ1回のようだが、テレビドラマ化は過去に3度されている。
65年になり、松竹映画がもう1作。文芸作品への出演が続く加藤剛だが、「獣の宿」は娯楽時代劇の部類である。監督・脚本が五社英雄(柴英三郎が共同脚本)で、主演は平幹二朗だ。五社、平、加藤とくれば、「三匹の侍」の顔ぶれである。
話が前後するがドラマ「三匹の侍」の第1シリーズは63年10月~64年4月にかけて放送。この時のメンバーは丹波哲郎、平幹二朗、長門勇であったが、64年10月からの第2シリーズから丹波に代わって加藤が入ったのである。「獣の剣」は64年9月、つまり1、2シリーズの間に公開されたわけで、加藤剛起用の予告みたいなものだったかもしれない。共演は岩下志麻、天知茂、東野英治郎、田中邦衛、菅貫太郎、木村俊恵、加藤武などで、カトウタケシ対決があるかもしれない(加藤剛の本名の読みはタケシ)。「三匹の侍」の映画版も64年5月に公開されているが、こちらはまだ丹波が出演している。
「三匹の侍」は第6シリーズ(68~69年)まで放送され、加藤剛をこれで認識した人も多いと思われる。
65年はもう1本、東映の「逃亡」である。これが初の東映ということになるのだろうか。戦時中、上官の命令で捕虜の処刑に立ち会ったことで、戦犯裁判を受けることになった加藤は裁判が正当性を欠いていることなどを聞かされて千葉真一や原田清人らと逃亡。その間に婚約者だった佐久間良子と結婚する。開拓村に逃げ、一時は平和な時を過ごすが、原田や千葉が捕まり、夫婦の元にも警察の手が迫っていた、というような話。加藤剛が出演するとどの作品も社会問題を提起するような内容になる気がする。共演は江原真二郎、東野英治郎、西村晃、亀石征一郎、北村和夫など。
 

加藤剛の出演映画

今回からは、前回までの石立とは俳優座養成所の同期にあたる加藤剛である。
加藤剛は38年生まれ。本名は「ごう」ではなく「たけし」と読む。そのままだと加藤武と混同してしまうので「ごう」にしたと推測する(未確認)。七人兄弟の六番目(次男)で、姉4人と兄、弟がいる。その姉のうちの誰かの息子が植田峻(現うえだ峻)である。加藤とは違って三枚目であり、「人造人間キカイダー」の服部半平役が有名だろうか。実年齢で5歳しか違わないが、加藤は叔父にあたるのだ。「大岡越前」の最終シリーズとなった第15部(98~99年)では、うえだもレギュラー出演している。
加藤剛と言えば「大岡越前」のイメージだが、本人も生真面目であり、酒、タバコ、ギャンブル一切やらず、怒って声を荒げることもないという、まさにイメージ通りの人物だったようだ。
高校時代は柔道部だったが、先輩に言われ演劇部を手伝ったのが芝居に興味を持ったきっかけだった。早大の演劇科に進み、4年の時に俳優座養成所に入所した。
62年、まだ養成所に在籍していたが、テレビドラマ「人間の條件」の主役に抜擢される。ドラマは2クールであったが、加藤は1年間休学した。大映テレビ室の製作だったが、加藤演じる梶の妻役には藤由紀子が選ばれた。藤は当時松竹に在籍していたが、本作への出演を強く望み松竹との間で揉めて松竹を退社する(当時19才)。フリーの形で「人間の條件」出演後に大映へ移籍。そこで田宮二郎と出会い結婚するのである。因みに、他の共演者は根上淳、中野誠也、石井竜一、三木裕子、北村和夫など。テレビドラマデータベースには出演者として大鶴義英という名があるが、これは唐十郎の本名である。当時は大学を卒業したばかりで、劇団青年芸術劇場に在籍していた頃と思われる。ゲスト出演と思われるが、DVDが発売されているようなので、確認できる人は探してみたらどうだろう。
加藤はドラマの後、養成所に復帰したので13期生として修了し、俳優座入りしている。つまり実際は12期生として入所したようである。
初の映画出演は63年の松竹「死闘の伝説」で、木下恵介の監督、脚本である。あらすじを見るとホントに木下恵介なのか?というようなバイオレンス映画だ。太平洋戦争末期、北海道の寒村に疎開してきた園部家。祖母(毛利菊枝)、母(田中絹代)、長女(岩下志麻)、次男(松川勉)で、そこに長男(加藤剛)が戦場から帰還。そこに村長の息子(菅原文太)と岩下との縁談が起きる。加藤は文太の戦場での残虐行為を目撃していたため、その縁談を断った。すると村中の園部家への迫害が始まるが、猟師(加藤嘉)とその娘(加賀まりこ)だけは味方だった。ある日、岩下は文太に森の中で襲われる。そこに加賀が通りかかり、岩下を助けようとする。三人で揉みあう内に岩下が文太を撲殺してしまう。その死が伝わると村人は岩下を引き渡せと迫るが加賀が猟銃を構え寄せ付けない。加藤嘉が娘二人を山奥の小屋に逃がすと村人は暴徒と化し、毛利、松川、加藤嘉らが殺されてしまう。そこへ加藤剛が駆け付けるのだが…。というようなお話。
当時、岩下志麻は22歳、加賀まりこは20歳で松竹期待の若手スターだった。本作には岩下の父である野々村潔も出演している。松竹時代は不遇だった菅原文太だが、こういった役なら合っていたと思う。

石立鉄男の出演映画 その5

石立鉄男のラストである。
70年は「若者の旗」以外に「君が若者なら」という作品がある。タイトル通り「若者たち」っぽい映画ではあるようだが、監督は深作欣二なのである。アクションか時代劇みたいなイメージなので、こういう青春映画は珍しい気がする。東映に在籍しているはずだが、本作は松竹の製作である。調べるとたまに松竹の作品も撮っている。そう言えば「必殺仕掛人」(72年松竹)のテレビシリーズ1話~2話の監督は深作である。
五人の集団就職の若者(石立鉄男、前田吟、峰岸隆之介(徹)、河原崎長一郎、林秀樹)が主役で、キャストのトップクレジットは石立である。五人の務めていた工場がつぶれ、団結して独立しようと誓うのだが、河原崎は盗みを手伝い逮捕され、林はホステスと結婚して離脱。峰岸はストライキのピケ破りに参加して、警官に警棒で殴られて死亡する。残る二人の元に脱走した河原崎が逃げ込んできて…というような展開のようだ。他に小川真由美、大地喜和子、寺田路恵など。林秀樹は文学座の役者で、舞台が中心であり映画やテレビ出演は非常に少ない。
「こちら55号応答せよ!危機百発」はタイトル通りコント55号が主演の松竹映画。萩本欽一、坂上二郎の二人が刑事に扮し、ヤクザの石立を追うのである。共演は倍賞美津子、長山藍子、珠めぐみ、ピーター、フランキー堺など。「黒猫のタンゴ」をヒットさせていた皆川おさむや「大岡越前」役で加藤剛も顔を出したりしている。
「俺は眠たかった」は萩本欽一が製作、監督、脚本、音楽、主演と一人五役を担当する。タイトルは「ねむたかった」ではなく「ねたかった」と読む。役名はそのまま萩本欽一だが、本人設定ではなくサラリーマンである。相方の坂上二郎も警官、欽一の母など役者として一人五役を演じている。共演は左とん平、南利明、前田武彦、青島幸男、伴淳三郎などである。石立は萩本の隣人である革命家志望の男の役。下ネタ嫌いで知られる萩本だが、ここでは石立が彼にSEXを説いたりするのだ。
この70年、石立はドラマ「おくさまは18歳」に出演する。石立は岡崎友紀の通う高校の教師だが、実は二人は(秘密の)夫婦であるというコメディ。本作で石立はブレイクする。
翌71年にはその映画版である「おくさまは18才 新婚教室」が製作される。テレビの方は大映テレビ室の製作だが、当時の大映は経営危機で映画製作が不可能な状態であったので、東宝が代わりに製作を請け負ったのである。そのため岡崎、石立以外の出演者はテレビ版と変更になっており、宍戸錠、塩沢とき、藤村有弘、渚まゆみ、高橋厚子、笠置シヅ子などが、寺尾聰、富士真奈美、森川信、うつみ宮土理などに代わって出演している。
本作では製作に本木荘二郎の名が約15年ぶりに登場。初期の黒澤明作品のプロデューサーだが、予算の私的流用などで契約を解除されていたのである。森岩雄(当時東宝副社長)の指示だったらしいが、興行的には成功せず、本作と桜木健一主演の「柔の星」の二本だけに終わっている。
この71年にはドラマ「おひかえあそばせ」がスタート。石立主演で製作ユニオン映画というシリーズが続くことになるのである。

石立鉄男の出演映画 その4

引き続き、石立鉄男である。
68年は松竹作品が2本。まず藤岡弘のところで紹介した「ミニミニ突撃隊」。主演は西野バレエ団5人娘「レ・ガールズ」(金井克子、由美かおる、原田糸子、奈美悦子、江美早苗)で、五人は女子大生の役。大雑把に言うと江美を除く四人が男と知り合う。金井は入川保則、由美は石立で、原田は藤岡弘、奈美が山本紀彦である。江美が省かれているのは、67年11月から加わった新メンバーだからであろうか(本作は68年3月公開)。石立とはドラマで度々共演することになる山本紀彦(トシヒコと読む)とは、ここが初共演(だと思われる)。当時のポスターに山本の名はない。
「天使の誘惑」と言えば、黛ジュンの大ヒット曲で、この年のレコード大賞を受賞することになるが、本作は発売から二カ月後の公開である。主演はもちろん黛で、相手役が石坂浩二である。共演は田中邦衛、生田悦子、芦野宏、花沢徳衛、中山千夏などである。黛は石立に憧れるのだが、同僚の生田の恋人とわかり失恋するのだ。黛は64年、16歳で本名の渡辺順子でデビューしているがパッとせずに、67年に石原プロに移籍。芸名を黛ジュンとした。「黛」はファンだったという黛敏郎から取ったもの。作曲家の三木たかしは実兄であるが、次のシングルである「夕月」で初めて曲提供を受けている。ちなみに、「天使の誘惑」のB面である「ブラック・ルーム」の編曲渡辺たかしは三木の変名である。改名第1弾の「恋のハレルヤ」が大ヒットし、人気歌手となった。芦野宏は本業がシャンソン歌手だが、当時は人気ドラマ「コメットさん」に出演していた。映画出演は本作だけのようである。
石立に戻るが、68年のもう一作は「若者たち」である。テレビで人気だった「若者たち」の映画版で、スタッフ、出演者はテレビ版とほぼ同じ。俳優座主導で制作されるが、自主上映という形で公開されている。監督の森川時久はフジテレビのディレクターで、ドラマの演出も担当していたが、本作で映画監督デビューとなった。主演の佐藤五人兄弟は田中邦衛(太郎)、橋本功(次郎)、山本圭(三郎)、佐藤オリエ(オリエ)、松山省二(末吉)。松山が四郎でなく末吉なのは、最後の子供と決められたからだろう。佐藤オリエは役名と同じだが、役名を芸名にしたわけではない。俳優座養成所で石立と同期であり、そのまま俳優座に入団し、63年には映画・ドラマデビューしているので、役名の方を本人の名に合わせたのである。共演は小川真由美、栗原小巻、大滝秀治、江守徹、井川比佐志などで、いずれもドラマ版に出演している(同役がどうかは不明)。石立は戸坂という被爆者で足が不自由な青年を演じており、オリエが彼に惹かれていくということになるようだ。おそらく映画版のオリジナルキャラと思われる。自主上映という形でありながら観客動員は150万人を突破したという。
続編の「若者はゆく-続若者たち-」(69年)は松竹の配給で、続く「若者の旗」(70年)は若者たち全国上映委員会の配給となっており、違う形態となっている。五兄弟と石立は引き続き出演しているが、他は木村夏江、大塚道子、夏圭子などになっている。