高城丈二の出演映画
今回からは、御三家とは関係のない高城丈二である。
多分再放送で、小学校の低学年だったか、ドラマ「七つの顔の男」を見ていた記憶があり、その主役が高城丈二だった。OPのテーマソングソングさえ記憶にある。80年代に入るとその姿を見ることは無くなったのだが、大病を患い引退したとのことで、その後は一切公の場に姿を見せることはなく、インタビューにも応じることはなかったという。没年不明となっており、既に亡くなっているようだ。
高城丈二は36年生まれで、本名は清水嘉美という。57年20歳の時に若杉啓二の名で歌手デビュー。曲名は「愛しのユリー」といい「エリー」ではない。サザンがこの曲を知っていたかどうかは不明だ。57~58年で十数枚のシングルを出している。遠藤実が作曲した曲もある。
改名時期は不明だが、映画初出演と思われるのが、60年松竹の「真昼の罠」である。この時は既に高城丈二になっていたようである。これが俳優デビューと思われるが、役柄は不明だ。ちなみに主演は佐々木功、岩下志麻である。佐々木も元々は歌手だが、映画での主演もあったのだ。他に安井昌二、南原宏治、植村謙二郎、沢村貞子などである。
翌61年も3本の松竹作品に出た記録がある。「渦」は井上靖の新聞連載小説が原作で、主演は佐田啓二、岡田茉莉子。他に佐分利信、岩下志麻、仲谷昇、田中晋二など。
「痛快太郎」は65分程度のアクションコメディで、主演は山下恂一郎、牧紀子。山下は後に大映に移籍する。他に柳永二郎、国景子、トニー谷、左卜全などで、高城は殺し屋の役である。
「斑女」は「マダラオンナ」ではなく「ハンニョ」である。主演は岡田茉莉子と佐々木功で、共演は芳村真理、倍賞千恵子、沢村貞子、佐野浅夫、山村聰などで、高城は芳村の恋人役で、(おそらく)初めてポスターに名前が載っている。
62年は出演記録はなく、63年の大蔵映画「社長と女秘書 全国民謡合戦」にその名がある。監督は新東宝社長だった大蔵貢の実弟である近江俊郎(本名・大蔵敏彦)で、主演の社長役が佐山俊二。内容はタイトル通り、佐山と女秘書(一条美也子、扇町京子)が全国の民謡を聞いて回るといったもののようだ。「赤胴鈴之助」で知られる梅若正二が社員役で出演している。「鈴之助」で増長し、8作目には役を降ろされてしまったのは有名。他には役名なしで島倉千代子、白根一男、コロムビア・トップ、そして高城などの名前が並んでいる。恐らく、民謡を披露する歌手として出演しているのではないだろうか。コロムビア・トップ/ライトのレコードは出ているようだが、ここでは司会者みたいな役だろうか。相方のライトは出演していないようだが、コンビ仲が悪いことで有名だった。そう噂されるコンビは多いが、この二人はガチで仲が悪かったと言われている。
高城が注目され始めるのはテレビドラマに出てからだと思うが、それについては次回。
舟木一夫の出演映画 その6
舟木一夫のラストである。
67年は日活、東映だけでなく東宝作品にも進出。「その人は昔」は、シングルではなくアルバムのタイトルであり、音楽物語(組曲)という企画レコードだ。北海道の襟裳で出会った若い男女二人が東京へ駆け落ちするが、都会の波に翻弄されていくといような話。主演の男女を舟木と内藤洋子が演じている。他に山中康嗣、金子勝美、生方壮児などで、他はほぼほぼ見たことのない名前が並んでいる。
「君に幸福を センチメンタルボーイ」も舟木と内藤洋子のコンビによる青春映画。シングルのタイトルは「センチメンタル・ボーイ」である。小鹿敦が舟木の同僚(洋菓子店)で、他に茅島成美、山岡久乃、清水将夫、浦部粂子、田島義文などで菊容子の名前もある。小鹿敦は後に小鹿番を芸名とするが、これは小鹿のバンビのもじりで、倉本聰が名付け親らしい。菊蓉子は当時17歳で、映画出演は全部で3本と少ない。75年に交際中の男性(俳優)に殺害されてしまう。内藤洋子も当時17歳だったが、70年にザ・ランチャーズの喜多嶋修と結婚して引退している。
ドラマでは日活が制作した「あいつと私」に出演。主演は松原智恵子と川口恒で、松原の妹役にジュディ・オング、小橋玲子、松井八知栄。小橋は当時14歳で「怪奇大作戦」が有名だろう。松井は当時9歳で、「河童の三平」が有名だろう。中学前には子役は引退しているようだ。82年にプロボウラーとしてデビューしている。舟木は主題歌を担当。46枚目シングル「夏子の季節」のB面に収録されている。
68年は日活が2本。「花の恋人たち」は、吉永小百合、浜田光夫のコンビが主演で、和泉雅子、山内賢、十朱幸代、岡崎二朗、川口恒、山本陽子といった若手スターが並んでいる。舟木は山本の弟役で、クレジット的にはトメ(最後)になっている。主題歌ではなく挿入歌として50枚目シングル「くちなしのバラード」が流れる。
「残雪」は51枚目のシングルタイトルでもあり、舟木と松原智恵子が主演。スキー場で出会った二人は愛し合うようになるが、実は彼女は空襲で死んだと思っていた実妹であることが判明し、二人は心中するという悲恋もの。他に和田浩治、小橋玲子、江戸家猫八、丹阿弥谷津子、山形勲など。
69年、日活「青春の鐘」も舟木と松原智恵子が主演の青春恋愛もので、他に和田浩治、山本陽子、藤竜也、小高雄二など。
この後、松竹作品が二本続く。「永訣 わかれ」は舟木が主演の戦時中を舞台にした悲恋もの。ヒロイン役が大空真弓で他に尾崎奈々、緒形拳など。
「いつか来るさよなら」も、主演は舟木で、原作が笹沢佐俣、監督が川頭義郎という悲恋もの。ヒロイン役が光本幸子で、他に勝部演之、沖山秀子、山形勲など。舟木が勝部を毒殺するなどサスペンス色もある。
70年は橋幸夫の項でも紹介した御三家の唯一の共演「東京-パリ 青春の条件」に出演した後に低迷期を迎え、70~72年に三度の自殺未遂を起こしている。映画も途絶えていたが、79年にATG「青春PARTⅡ」、東映「総長の首」に顔を出したりしている。
舟木一夫の出演映画 その5
引き続き、舟木一夫である。
66年のテレビに目を向けると、「銭形平次」がスタートしている。舟木の歌うお馴染みの主題歌はアレンジの変化はあったが18年(888話)に渡って流れることになる。舟木は第3話にゲスト出演したのを皮切りに最終話にも登場したが、全部で7回の出演と意外に少ない。特に394話(73年)の後、最終話(84年)まで出演していないようなので、10年以上の間が空いていたことになる。
平次役は宇津井健、宝田明、里見浩太朗などが候補に挙がり、本郷功次郎で決まりかけた時に、長谷川一夫がTBS系で「半七捕物帳」に出演することがわかり、対抗するには大川橋蔵しかないと急遽変更になったという。長谷川は映画版での平次を多く演じていた。橋蔵も最初はテレビ出演を嫌がっていたという説もあるが、橋蔵自身は会見で「僕のテレビ出演を願うファンレターも多く届いており、時期的にも今が一番いいと思ったので引き受けた」と語っている。制作が東映になったのは「気心が知れている方がいい」という橋蔵の希望である。
話を戻すと舟木はこの66年、石坂洋次郎原作のドラマ「雨の中に消えて」で松原智恵子と主演を務めている。映画の方は63年に日活で吉永小百合、高橋英樹、笹森礼子、十朱幸代らの出演で公開されている。ドラマの方も日活の制作で舟木、松原の他、広瀬みさ、伊藤るり子、杉浦直樹、菅原謙次、川地民夫などが出演している。菅井きんは映画とドラマ両方で同じ役を演じている。主題歌「雨の中に消えて」は「絶唱」のB面に収録されている。映画版は同タイトルの曲を吉永小百合が歌っているが、全く別の曲である。
67年の正月公開が日活「北国の旅情」だ。脚本が倉本聰で、舟木が主演で、ヒロイン役は和泉雅子に代わり十朱幸代である。最終的に十朱は山内賢と結ばれたりする。他の共演者は江戸家猫八、小橋玲子、小園蓉子、高品格、市村俊幸、東野英治郎などで、長山藍子の扱いがまだ小さい。当時の予告やポスターには橘和子(姿美千子の実妹)の姿、名前があったりするのだが、実際本編にはいないのでカットされたということだろうか。主題歌「北国の旅情」は、公開後の3月発売のシングル「星の広場へ集まれ!」のB面に収録されている。作詞は映画を監督した西河克己である。
同じ日活では「夕笛」がある。48枚目のシングルタイトルでもある。昭和初期を舞台とした悲恋もので、ヒロイン役は松原智恵子で、他に島田正吾、小高雄二、細川ちか子、波多野憲、下條正己、風見章子など。芸術祭参加作品でもある。
東映「一心太助 江戸っ子祭り」では、初の時代劇主演を得ている。舟木は太助と徳川家光の二役を演じている。太助と言えば大久保彦左衛門だが、こちらは加東大介が演じる。他に藤純子、里見浩太朗、財津一郎、花紀京、小池朝雄、品川隆二など。
そして東映では「銭形平次」の映画版がある。テレビ版と同じキャストは橋蔵と遠藤太津朗、池信一だけで、お静は水野久美(テレビ版は当時八千草薫)、八五郎は大辻伺郎(テレビ版は林家珍平)が演じている。舟木は平次と共闘する侍役で出演している。ちなみに本作が橋蔵にとって最後の映画出演となったのである。
舟木一夫の出演映画 その4
引き続き、舟木一夫である。66年の映画出演も65年同様に日活での主演作が続いていた。
「哀愁の夜」は、舟木の35枚目シングルタイトルでもある。ある夜、弁護士見習いの舟木と和泉雅子が出会うのだが、和泉の役は「Qプロダクション代表取締役」で、ちなみに当時18歳。Qとは「オバケのQ太郎」のことで、オバQのアニメやら人形やらを製作する会社という設定。当時は「オバQブーム」だったそうで、テレビアニメが65年からスタートしており原作とともに人気を呼んでいた。実際のアニメ制作は東京ムービーである。和泉の父親役が神田隆で、藤竜也が舟木の小中学校時の友人だが今はヤクザという男。その恋人がバーのマダムである山本陽子で、従業員(ホステス)が中野味和子(後に沢知美)。他に浜田寅彦、浜川智子(浜かおる)、武藤章生、大森義夫、波多野憲など。
「友を送る歌」は、舟木の36枚目シングルタイトルでもある。今回もヒロインは和泉雅子で、この辺りは彼女で固定されている。話の流れは「哀愁の夜」によく似ている。北海道から上京してきた舟木が和泉と出会うところから話は始まる。舟木は先に上京していた友人・山内賢を探すが、彼はヤクザの手先になっており、密輸品の運び屋をしていた。舟木は彼を悪事から手を引かせようとする、というのが大筋。和泉の父親役が江戸家猫八で、ヤクザの親分が土方弘、子分が野呂圭介、土方の愛人が中野味和子(沢知美)。他に二谷英明がゲスト的に登場したりする。
「絶唱」は舟木の41枚目のシングルタイトルでもあるのだが、当初は歌う予定はなかったという。何故なら本作は今までと違い、58年に浅丘ルリ子、小林旭のコンビで映画化されたもののリメイクだからで、原作は大江賢次の小説だ。再映画化に伴い、日活の宣伝部が「舟木君の主演作で彼の歌がないのはおかしい」とクレ-ムを入れ、急遽曲が作られたのである。今回のリメイク版は、舟木と和泉雅子のコンビで他に太田雅子(梶芽衣子、58年版では香月美奈子)、志村喬(58年版では三津田健)、山本勝(同・安井昌二)、花沢徳衛(同・小杉勇)、初井言栄(同・山根寿子)などである。ちなみに、75年に東宝でも三浦友和、山口百恵の黄金コンビで映画化されており、他に木内みどり、大和田伸也、辰巳鉚太郎など。花沢徳衛と初井言栄が66年版に引き続き出演しているが、花沢は別役である。
この3本以外に東映の「太陽に突っ走れ」にも顔を出している。主演が千葉真一で、このタイトルだとアクションっぽいものを想像してしまうが、これは作曲家遠藤実の自伝を映画化したもので、つまり千葉が遠藤実(劇中では進藤孝)なのだ。そう考えると凄い違和感を感じる。遠藤本人は出演こそしてないが、音楽を担当。その門下生である舟木や梶光夫、一節太郎、楽曲提供を受けた島倉千代子、こまどり姉妹、北原謙二、扇ひろ子、遠藤の名を使ったレーベル「ミノルフォン」の1号歌手である三船和子などが本人役で出演している。この中で実績では一番の島倉はノンクレジットのようだ。その島倉と北原以外は引退者はいるが、今も健在(のはず)である。
舟木一夫の出演映画 その3
引き続き、舟木一夫である。今回も堺正章の項とかぶる部分が多いかも。
65年は日活作品4本に出演。映画では助演の多かった舟木だが、この年は全て主演である。本人は若い人が多くてやりやすかったと語っていたようだ。
「花咲く乙女たち」は、舟木の18枚目シングルタイトルでもある。女性が主人公のようなタイトルだが、舟木が主演である。ヒロイン役は西尾三枝子で、二人は働きながら定時制高校に通っているという設定。西尾の同僚役に田代みどり、伊藤るり子、浜川智子(浜かおる)、岡田可愛など。山内賢、堺正章はチンピラだが、舟木と親しくなるという役。他に小池朝雄、金子信雄、菅井一郎など。谷隼人(当時岩谷肇)が不良学生役でちょっとだけ出ているようだ。谷によれば、資料などでは日活のニューフェイス(第7期)となっているが、それはウソで、高校を中退して夜の商売をやっている時に日活の人に声をかけられて、映画に出ることになったので、アルバイトのようなものだと語っている。「同期」である沖田駿一らと横並びで写っている写真も存在するので、スカウトで入ったがニューフェイス扱いになっているということかもしれない。
「北国の街」は、舟木の22枚目シングルタイトルでもある。映画公開時(65年3月)舟木は、本作を含め3枚のシングルを発売している(同時発売かどうかは不明)。映画の原作は富島健夫「雪の記憶」で、脚本が倉本聰という悲恋ものだ。ヒロインは和泉雅子で、共演は山内賢、根岸一正、岡田可愛、葉山良二など。岡田は14歳の時「キューポラのある街」(62年日活)で映画デビュー。日活と東宝で並行して出演していたが、この年青春ドラマ「青春とはなんだ」の生徒役に起用されてからは、ほぼ東宝での出演が続くことになる。根岸一正の映画デビューは舟木も出演した「学園広場」で、「非行少年」(64年)では主役の番長を演じている。本作でも番長みたいな役だ。
「東京は恋する」は、舟木の25枚目シングルタイトルでもある。舟木は美大を目指して広告会社で看板描きのアルバイトをする浪人生という役。ヒロイン役は伊藤るり子で、共演は和田浩治、葉山良二、山本陽子、杉山俊夫、桂小金治、堺正章など。「ヤングスター」という架空バンドが登場するが、メンバーは和田浩治、杉山俊夫、木下雅弘、市村博、市川好郎らだが、後に和田、杉山、木下と山内賢、杉山の実弟・杉山元による「ヤングアンドフレッシュ」が結成される。翌66年からスパイダース映画などに登場するが、杉山俊夫の姿はなかった。
「高原のお嬢さん」は、舟木の31枚目シングルタイトルでもある。ヒロイン役は二度目の和泉雅子。今回は西尾三枝子も共演している。他に山内賢、葉山良二、堀恭子、武藤章生など。堺正章は舞台となる蓼科農場の従業員として出演しているが、田辺昭知とザ・スパイダースがおそらく本人たち役で登場する。裕次郎や旭の主演作に翳りが見え始め、この年の興行収入1位は本作だったらしい。
舟木一夫の出演映画 その2
引き続き、舟木一夫である。64年の続きからだ。
まず東映での二本、堺正章のところで取り上げたているのだが、どちらも舟木が主演なので改めて。
「君たちがいて僕がいた」が初主演ということになるようだ、これまではスケジュールの都合もあり、助演に留まっていたのである。ヒロイン役は本間千代子で、共に高校三年生の役だ。舟木はここまでその名をもじった役名ばかりだったが、今回は何故か「佐藤洋」という一般的な役名になっている。堺正章や新井茂子が同級生役で、千葉真一が先生の役。他に宮園純子、須藤健、佐野周二、高峰三枝子などが出演している。
「夢のハワイで盆踊り」も舟木と本間のコンビ。今回は大学生の役である。タイトル通り長期のハワイロケを敢行しているが、実は東映初の海外ロケ映画だという。他に堺正章、高橋元太郎、大村文武、風見章子、加藤治子、笠智衆など。映画タイトルと同名曲が主題歌だが、舟木に加え本間、高橋、そして出演もしているコロムビア・ローズによって歌唱されている。
二作とも好評だったため、東映サイドは舟木・本間コンビの三作目を企画したのだが、舟木の事務所がギャラのアップを要求。実は前二本も150万円と東映生え抜きスターより高額で、これを耳にした高倉健が不満をぶちまけ、安すぎる自分のギャラも上げるように迫った。東映は仕方なく舟木の出演をあきらめ、舟木・本間のコンビは二本で終了することになり、本間の相手役は西郷輝彦にチェンジされた。
この後大映で「続・高校三年生」が製作された。主演は前作同様、姿美千子と倉石功で、舟木は倉石の友人だが、高校三年生ではなく製鉄所の工員という役柄だ。高三役には渚まゆみ、東京子で、東の母親役が根岸明美。根岸が営むバーの客が成田三樹夫だが、二人は深い関係にあるらしい。成田が青春映画に出ているのは珍しい気がする。他に滝田裕介、内田朝雄、松村達雄、早川雄三らで、工藤堅太郎や堺正章も高校生役だが、堺の役は「男子生徒A」で今回はチョイ役扱いである。東京子は倉石と同期の大映ニューフェイス16期生で、当初は高山京子を名乗っていたがこの64年に改名。東京出身かどうかは不明だ。50年代にも同名の人の出演記録があるが別人であろう。
もう一本は日活で「あゝ青春の胸の血は」に出演。主演は山内賢、和泉雅子の「二人の銀座」コンビ。舟木は和泉の幼馴染で、クリーニング店の店員という役。結局、東映の二本以外はいずれも助演のポジションであった。他の出演者は小高雄二、平田大三郎、進千賀子、二本柳寛、菅井一郎、東野英治郎などである。
ここでテレビドラマに目を向けると舟木はNHKの大河ドラマ「赤穂浪士」に四十七士のの一人、矢頭右衛門七役で出演。主演は長谷川一夫(大石内蔵助役)で、「一夫共演」は話題になったようだ。本作は大佛次郎の小説を原作としており、その主人公は堀田隼人という各空の浪人で、それを演じたのは林与一。長谷川一夫は義理の大叔父にあたる。舟木と林は年齢が近いこともあり、この共演で親しくなり、長い付き合いが続くことになったという。
舟木一夫の出演映画
西郷、橋と来たので、大方の予想通り今回からは舟木一夫である。
舟木一夫は44年愛知県生まれで、本名は上田成幸という。中学の頃から歌手を目指し歌謡教室に通っていたりしていた。高二の時、名古屋で行われた「松島アキラショー」を見に行ったところ、松島が観客に一緒に歌いたい人を募り、立候補した舟木が(実際は隣にいた友人が彼の手首を掴んで挙げたもの)松島と「湖愁」を一緒に歌いあげた。それを取材に来ていた週刊明星の記者が見ており、東京でホリプロ会長の堀威夫に話したところ興味を持った堀が、舟木に歌のテープを送らせたのだった。それを聞いた堀は翌年彼を上京させ、遠藤実のレッスンを受けさせ、橋幸夫の対抗馬として63年にデビューさせたのである。与えられた芸名は舟木和夫だったが、本人の希望で「一夫」になったという。
63年6月のデビュー曲は「高校三年生」。3月に高校を卒業していたが、学生服姿で歌うことになった。これが大ヒットし、11月には映画化もされている。これが映画デビュー作でもある。
「高校三年生」から数本の舟木が出演している映画にはほぼ堺正章も出演していたので、堺正章の項に紹介してしまっており、だぶる記述もあるが了承願いたい。これは共にホリプロ所属だったからであろう。堺は既にスパイダースに加入はしていたが、レコードデビューはしていない時期で役者として活動していた。
「高校三年生」は大映作品。主役扱いは舟木ではなく、姿美千子、倉石功である。姿は元々、ライバルである橋幸夫の相手役として公募デビューした女優である。倉石も「ミスター平凡」グランプリから大映ニューフェイスとなり、この年デビューした期待の新人であった。「ザ・ガードマン」で活躍するのは周知であろう。同級生役だが、クレジット的には二番手が高田美和で、舟木は四番手である。堺や渚まゆみも同級生の役。中条静夫が姿の家(織物問屋)の従業員役で出演している。
63年はもう一本、日活の「学園広場」がある。舟木の三枚目シングルタイトルでもある。こちらでも舟木は主演ではなく、山内賢と松原智恵子が主演扱いだ。二人は高二の役だが、舟木は勿論高校三年生の役。主題歌は「学園広場」だが、「高校三年生」も挿入歌として使用されている。ちなみに舟木の役名は二作とも船田一夫である。高校生役では堺もそうだが、かまやつひろしや田代みどり、市川好郎、西尾三枝子、谷隼人(当時岩谷肇)、沖田駿一(当時吉田毅)らが出演。舞台は東京の高尾高校となっているが、ありそうで実在しない。ちなみに谷隼人は高尾(八王子)にある高校を中退している。他に桂小金治、清川虹子、トニー谷、佐野浅夫、安部徹、殿山泰司、ミッキー安川(当時安川実)など。
64年は東映、日活、大映各社の作品に出演。「仲間たち」は日活で、舟木の4枚目シングルタイトルでもある。こちらの主演は浜田光夫と松原智恵子で、高校生ではなく、浜田はトラック運転手、松原はバスガイド、舟木は中華料理店の店員である。堺は浜田の助手で、藤竜也(新人)は運転手の一人。まだヒゲはないので、一瞬誰だかわからないが、妙に目立っている。他に松尾嘉代、内藤武敏、桂小金治など。林家三平が本人役で、かまやつひろしが「田辺昭知とザ・スパイダース」のメンバーとして歌っているが、他メンの顔はわからない。単独で「井上高之」のクレジットもある(正しくは孝之/当時、後に堯之)。、
橋幸夫の出演映画 その6
橋幸夫の最終回である。今回も全て松竹作品である。
67年の続きだが、もう一作品「男なら振り向くな」がある。石原慎太郎の「人魚と野郎」が原作だという。タイトルは珍しく橋のシングルタイトルではなく、本作用の新曲もないようだ。橋と田村正和が友人でもありライバルでもあるオートレーサーで、ヒロイン役は由美かおるが三作続いていたが、本作では初共演の加賀まりこである。他に小沢昭一、左時枝、渥美清など。ポスターにも名のある石坂浩二は、一瞬だけの登場のようだ。
68年は「夜明けの二人」一本だけのようである。橋の96枚目シングルタイトルでもある。本作は「ハワイ日本人移民百年祭記念映画」と銘打たれており、オアフ島、マウイ島、ハワイ島などハワイロケも敢行されたようである。今回のヒロイン役は黛ジュンで、日系三世の役だ。共演は竹脇無我、生田悦子、山口崇、香山美子、花沢徳衛、長門裕之、小沢栄太郎、伴淳三郎などで、他にも高見山や音楽担当の中村八大なども出演している。ちなみに本作での橋の役名は中野秀夫といい英雄ではないようだ。
69年は二本あるが、まずは「恋の乙女川」。101枚目シングル「乙女川」が主題歌となっている歌謡映画である。今回のヒロインも初共演となる尾崎奈々だが、橋の義理の妹という役柄なので、二人の恋物語というわけではないようだ。共演は永井秀和、宗方勝巳、入川保則、若柳菊、田村奈巳、松村達雄、黛ジュンなどで、ピンキーとキラーズが本人たちの役で登場するようだ。
若柳菊は本名を鹿内寛子といい、フジサンケイグループの鹿内信隆の長女である。芸名は日本舞踊・若柳流の師範でもあったことからで、翌年には菊ひろ子に改名している。父母の後押しもあり、フジテレビの番組にもよく出演していたが「社長の娘が自社の番組に出演するのはあらぬ誤解を招く」という鹿内の側近である石田達郎の進言を鹿内が受け入れ、71年に彼女を引退させた。彼女は結婚離婚を経験した後の80年に奈月ひろ子としてカムバックし、舞台やドラマで活動している。
話がそれたが、69年のもう一本は「ひばり・橋の花と喧嘩」である。タイトル通り美空ひばりとの映画初共演。この二人だとひばりが格上のようで、名前もひばりが先だ。時代劇っぽいタイトルだが、山口瞳原作の現代劇である。ひばりが三役、橋が二役を演じている。主題歌は橋の104枚目シングル「荒野のまごころ」が使われている。共演は財津一郎、長門裕之、佐藤友美、西村晃、真家宏満、左時枝、石井均、渥美清などで、エノケンこと榎本健一も顔を出している。翌70年に亡くなっているので、映画としては本作が遺作となるようだ。
70年は西郷輝彦のところでも紹介した「東京⇔パリ 青春の条件」に出演。橋、西郷、舟木一夫の御三家が揃った唯一の映画である。「橋幸夫芸能生活10周年記念映画」と銘打たれているので、橋が主役である。三田明、黛ジュン、森田健作、ピーターなども共演している。主題歌は橋の106枚目シングル「東京-パリ」。舟木が橋の「霧氷」を歌ったりする場面もある。何故か本作を最後に現在まで橋の映画出演はパッタリとなくなっている。
橋幸夫の出演映画 その5
またしても橋幸夫である。今回も全て松竹作品である。
66年に入るが、まずは「雨の中の二人」。橋の75枚目シングルタイトルでもあるのだが、本作の主演は橋ではなく、田村正和と中村晃子である。橋は橋幸夫本人として出演しているのだ。橋が主演でないのは、久しぶりである。二人が働く「魚源」(魚屋ではなく仕出し弁当屋)には多くの店員がおり、その中に藤岡弘や新藤恵美もいる。共に前年のデビューで、本作では二人で駆け落ちする役だ。やはり店員役の田中晋二は子役出身で55年木下惠介が監督した「野菊の如き君なりき」の主演だったこともある。他に曾我廼家一二三、葵京子、佐藤英夫など。
「汐風の中の二人」も、橋の80枚目シングルタイトルではあるが、主演は竹脇無我と田代美代子で、橋はやはり本人役で出演している。田代は前年にデビューした歌手でマヒナスターズとのデュエット「愛して愛して愛しちゃったのよ」が大ヒット。しかし、65年の紅白歌合戦にマヒナスターズは出場したが、田代は出場できなかった。これは、当時男女混合グループの出場ルールがなかったためである。田代のドラマや映画出演は少なく、松竹ではこの一作のようだ。共演は早瀬久美、細川俊之、柳沢真一、宇佐美淳也、ナンセンストリオなどである。
「恋と涙の太陽」は橋の81枚目のシングルでもあり、本作は橋が主演で、相手役もお馴染みの倍賞千恵子であるが、このコンビでは最終作となる。やはり橋映画お馴染みの香山美子もセットのように出演しており、この二人と初名美香、山東昭子、呉恵美子らが橋を巡る恋愛合戦を繰り広げるといったストーリーだ。他に早瀬久美、柳沢真一、待田京介など。待田はヤクザの役だ。
この年84枚目シングル「霧氷」が発売され、レコード大賞を受賞するのだが、この曲は10月の発売である。で、12月には大賞となるのだが、どうやらこの曲というよりは積み重ね実績(66年はシングル11枚)のような理由だったらしい。「霧氷」も68年には100万枚を突破したようだが、個人的には出だしから先は今だに覚えていない。
67年に入るが、まずは正月映画「シンガポールの夜は更けて」。橋の85枚目シングルでもあり、主演は橋と初共演となる由美かおるだ。ちなみに当時16歳で、映画は前年に日活で初出演を飾っている。この年の橋は由美とのコンビが続くことになる。ジャンルは歌謡ロマンスとなっているが、あらすじを見る限りではサスペンス的な面もあるようだ。共演は菅原謙次、園井啓介、金子信雄、待田京介、ロミ山田、園江梨子などで、藤岡弘も「陳」という役で出演。ポスターに名前もある。菅原文太も「丁」というバーテン役だが、こちらは名前がない。
「バラ色の二人」は、橋の88枚目シングル「夜は恋する」のB面に位置する曲のタイトル。前述のとおり、こちらも橋と由美のコンビが主演で、桑野みゆき、香山美子、岡田英次、石井伊吉(毒蝮三太夫)らが共演。由美の母親役で「カルメン故郷に帰る」の小林トシ子が顔を出している。
橋の89枚目のシングルが「恋のメキシカン・ロック」だが、映画のタイトルは「恋のメキシカン・ロック 恋と夢と冒険」となっており、ポスターを見ると「恋と夢と冒険」がメインタイトル的な扱いになっている。こちらも橋と由美が主演。メキシコではなくグアム島が舞台で、由美の役はマリコ(混血娘)となっており、現代ではハーフと書かないと怒られそうである。共演は広瀬みさ、藤村有弘、亀石征一郎、園江梨子、藤ユキなどで、前に書いたが藤ユキはアン真理子のことである。
橋幸夫の出演映画 その4
引き続き、橋幸夫である。
64年に入るが、ここから先は松竹作品となる。まずは「花の舞妓はん」。橋の48枚目シングルにあたる。
映画としては前年の「舞妓はん」の続編で、主演も橋幸夫と倍賞千恵子だ。ただ、演じる人物は前作とは別人だ。まあ、展開も前作と似たような感じで、他の出演者は香山美子、浪花千栄子、五月女マリ、水島道太郎など。このシリーズは翌65年の「月の舞妓はん」に続くのだが、これは映画ではなく舞台作品で、やはり橋と倍賞のコンビで上演されている。
64年のもう1本は「孤独」である。初めて映画タイトルが橋のシングルタイトルではない作品となっている。ちなみに本作の主題歌は54枚目シングル曲の「恋をするなら」である。ヒロインは倍賞ではなく桑野みゆきで、共演は高城丈二、早川保、菅原文太、真理明美、藤原釜足など。高城と橋が腹違いの兄弟という設定で共にボクシングに打ち込んでいる。橋はデビュー前にボクシングに打ち込んでいた時期があったりするのだ。
65年に入るが、まずは正月公開の「涙にさよならを」。橋の59枚目シングルとなるが正確なタイトルは「チェッ・チェッ・チェッ-涙にさよなならをー」である。倍賞千恵子とのコンビが復活するが、本作は橋が麻薬組織と戦うことになるアクション映画となっている。共演は香山美子、藤原釜足、入川保則、夏圭子、石黒達也、佐々木功など。
「すっ飛び野郎」は久しぶりの股旅もの。橋の64枚目のシングルにあたる。ヒロイン役は倍賞千恵子、香山美子。いつもメインが倍賞で、香山は橋の妹みたいな役が多いのだが、本作ではライバル的な存在になるようだ。丹波哲郎が初共演で、彼の演じる浪人と橋の演じる旅鴉は共にその正体が公儀隠密という設定だ。他の出演者は宗方勝巳、山路義人、菅井一郎、高野真二、明智十三郎など。本作は松竹京都撮影所最後の作品となっている。
現在も松竹京都撮影所が太秦に存在し、ややこしいのだが、この65年に閉鎖された松竹京都は75年に京都映画に譲渡され京都映画撮影所になるのだが、08年に松竹京都撮影所に再度改称しているのである。つまり、太秦の松竹京都は一旦閉鎖されたものの、また名称が復活した形になっているのだ。
話を戻すが「あの娘と僕-スイム・スイム・スイム-」は、橋の68枚目のシングルタイトルでもある。舞台は葉山マリーナで、モーターボートや水上スキーの指導にあたる橋が新入社員の香山美子に当地での想い出を語るという構成になっているようだ。香山が橋映画初のメインヒロインと言っていいのか微妙ではある。過去エピソードとして夏圭子や桑野みゆきが登場するが、悲劇色の強い桑野のメイン感が強いかもしれない。他の共演者は宗方勝巳、五月女マリ、富永ユキ、大泉滉、河津清三郎など。
「赤い鷹」は、65年の大晦日の公開。「赤い鷹」という映画タイトルは橋のシングルタイトルではなく、主題歌は「残侠小唄」が使われている。橋は新聞の社会部記者の役で倍賞千恵子がライバル記者。危険を伴う取材を行い暴力団追放キャンペーンを行おうとする。共演は菅原謙次、金子信雄、河野秋武、山東昭子、北条きく子、市川瑛子などで暴力団組長役が待田京介。イメージでは金子、待田は日活、菅原は大映、北条は東映、河野は東宝なので一見どこの映画だかわからなくなりそうな作品だ。、