加藤剛の出演映画 その3 | お宝映画・番組私的見聞録

加藤剛の出演映画 その3

引き続き、加藤剛である。
「ヒロシマ一九六六」(66年)は、独立プロによる作品で、タイトルから推測できると思うが、終戦から21年後の被爆者母娘の生活を中心に描いている。映画サイトなどでは「未公開」とされている所もあるが、封印作品とかではなく、大手に配給されなかったということのようだ。上映会などで陽の目を見ることもあるようだが、ソフト化はされていないので、基本的には見ることが困難なようだ。主演は望月優子だが、その娘役の鈴木宏子は彼女の実の娘らしい。この母娘とは別に加藤剛と松本典子の恋愛模様も描かれているようだ。松本典子と言っても80年代アイドルとして活躍した方ではなく、同姓同名(共に芸名だが)の女優の方である。加藤の役名が田岡一夫となっているが、それだと某組長と同名(正確には一雄)だろうと思ってしまった。ヤクルトの笘篠と結婚後は引退状態だった元アイドルの松本典子は今年、芸能活動を再開したらしい。
さらに余談になるが、同年に同じ題材で公開されたのが日活の「愛と死の記録」である。渡哲也演じる被爆青年と吉永小百合との悲恋もの。元々は浜田光夫が主演のはずだったが、ケンカに巻き込まれ眼を負傷し失明の危機にさらされた為、渡が代役に立てられたのである。浜田の復帰を待つべきという意見が多く、吉永や渡もその考えだったようで、撮影開始までは多少揉めたらしい。
67年は、ウィキペディア等では日活の「喜劇 東京の田舎っぺ」という東京ぼん太主演の映画に加藤剛が出演したことになっているが、これは加藤武の誤りのようである。出演作に挙げられている中で、一際違和感があったが、やはり間違いだった。
同じく67年東宝の時代劇「上意討ち 拝領妻始末」に出演し、三船敏郎と親子の役を演じる。享保年間の会津藩が舞台で、城主・松平正容(松村達雄)の側室下がりとの結婚を命ぜられる笹原与五郎(加藤剛)。藩命には逆らえず嫁として迎えることになったいち(司葉子)は、思いのほか良妻であった。二人の間には娘とみも生まれ、しばらくは幸福な時間を送っていた笹原家であったが、世継ぎの子が病死したことから、いちとその娘のとみを城に戻せという。その理不尽さに怒る父・伊三郎(三船)と与五郎、いち。藩と対立し斬り合いとなり、笹原父子、いちも命を落とすと言うような話だ。他に神山繁、青木義朗、山形勲、そして仲代達矢など。ラストは黒澤映画のように三船対仲代の構図になるようだ。「いち」は実在の人物らしいが、あの「お市の方」とは別人。200年程時代が違う。
なお、92年にドラマとしてリメイクされているが、与五郎を演じた加藤剛が父・伊三郎を演じている。与五郎は船越英一郎、いちは渡辺典子である。
69年は大映の「天狗党」に出演。主演は仲代達矢だが、大映での主演は珍しい。東宝出演が断然多いので東宝所属のようなイメージだが、実はフリーなので、五社協定に縛られず各社に出演している。共演は若尾文子以外のメインはほぼ大映の俳優ではない。十朱幸代、中谷一郎、神山繫、亀石征一郎、山田吾一、中村鴈衛門などで、メインキャスト以外はお馴染みの大映脇役陣が並んでいる。加藤剛の役は天狗党のリーダー格である加多源次郎。