お宝映画・番組私的見聞録 -15ページ目

橋幸夫の出演映画 その3

引き続き、橋幸夫である。
62年は、あと1本あり、初の東映出演となる「花の折鶴笠」である。橋の29枚目のシングルのタイトルでもある。実は大映との契約はまだ残っていたというが、ここらで将来のため他社の作品に出て見ようということになったらしい。橋の曲の多くの作詞を担当する佐伯孝夫の親族が東映にいるということで、今回の出演となった(企画に佐伯明の名がある)。
大川橋蔵主演の喜劇チックな時代劇で、「両橋」共演と言われた。他の出演者は北条きく子、桜町弘子、品川隆二、多々良純、佐藤慶、千秋実、吉田義夫などである。東映は結局、この1作だけであった。
翌63年は日活の「いつでも夢を」に主演。ご存知、橋と吉永小百合のデュエットによる大ヒット曲の映画化である。これは吉永と橋のビクターレコードでのディレクターが同じであるところから実現した企画だった。橋にとっては27枚目のシングルで、前述の「花の折鶴笠」がその2か月後の発売だったが、どうしても「いつでも夢を」の陰に隠れてしまった感があったという。吉永が日活の所属なので、橋も初の日活出演という形になった。共演は浜田光夫、松原智恵子、信欣三、内藤武敏、野呂圭介、子役時代の市川好郎など。本作では挿入歌として橋の「潮来笠」や「おけさ唄えば」なども使用されている。日活への出演も結局、この1本だけのようである。
話が前後するが、62年の後期に橋はテレビドラマ「若いやつ」の主演を務めている。どうやら橋が扮する主役の浪人生?が上京して、その慣れない都会での生活を描いている話らしい。共演は左とん平、舟橋元、山東昭子、瀬戸麗子、朝霧鏡子など。
そのドラマ「若いやつ」が、終了から3カ月後に松竹で映画化されたのである。橋のシングルとしては23枚目にあたる。以降、橋は松竹での出演が続くことになった。ドラマの映画化と言っても橋が演じる主人公の名前(浅倉哲夫)が一緒であること以外、関係性はない。出演者も橋以外は違っており、設定も大学卒業を控えているということになっている。ヒロイン役は倍賞千恵子で、以降も彼女との共演が多くなる。他の共演者は山本豊三、小坂一也、瞳麗子、沢村貞子、河津清三郎、志村喬など。
続く「舞妓はん」も橋と倍賞千恵子の主演で、橋は流しであり板前の修業中でもある青年、倍賞はタイトルにある「舞妓はん」だ。橋のシングル31枚目にあたる。二人は愛し合うのだが、結局は結ばれないという悲恋ものである。共演者は志村喬、千之赫子、五月女マリ、万代峯子、浪花千栄子、細川俊夫など。
「月夜の渡り鳥」も橋・倍賞コンビが主演の時代劇である。長谷川伸の「瞼の母」が原作になっており、橋は番場の忠太郎を演じる。共演は高峰三枝子、香山美子、名和宏、志村喬などである。

橋幸夫の出演映画 その2

引き続き、橋幸夫である。61年の続きだ。
出演6作目は「すっとび仁義」で、橋の11枚目のシングルタイトルでもある。本作はシングルリリースと同時に映画製作も開始されており、橋が二役を演じる主演作品である。相手役は一般公募されることになり、「橋幸夫の相手役・姿美千子コンテスト」が開かれた。つまり、芸名が先に決まっていたのである。これで選ばれたのが札幌の高校1年生橘郁子だった。そのままでも芸名っぽいが、有無を言わず姿美千子としてデビュー。無論学校も日大二高へと転校している。実妹の橘和子は後に日活からデビューする。共演は中村玉緒、小林勝彦、鶴見丈二、真城千都世、益田喜頓など。
7作目は「明日を呼ぶ港」で、橋の12枚目のシングルのタイトルでもある。今までの6作は全て時代劇であったが、本作は初の現代劇出演となった。主演は橋と本郷功次郎で、兄弟の役である。本郷の務める海運会社に潜む陰謀を兄弟で暴くというような話である。ヒロイン役は叶順子、姿美千子で、姿は前作で橋の相手役としてデビューしたこともあるので、共演が続く。他に北条寿太郎、十朱久雄、三国一郎、八波むと志、大辻伺郎などで、悪役として藤山浩二、三角八郎、橋本力などが出演。橋本は後に大魔神を演じることになる役者だが本作では「地獄の政」という役名だ。
8作目は再び時代劇で「花の兄弟」。橋の16枚目シングルのタイトルでもある。主演は「おけさ唄えば」でも共演した市川雷蔵で、橋と兄弟役を演じる。この二人は顔が似ていると言われており、兄弟役が合っているという評判だった。共演は水谷良重、姿美千子、森川信、若水ヤエ子、茶川一郎、千葉敏郎、石黒達也、伊達三郎など。
62年に突入する。61年は大映で8本もの映画に出演した橋だが、この年は本業が忙しくなったせいか、全部で4本に出演。引き続き大映で3本出演している。
その1作目が「江梨子」であり、17枚目シングルのタイトルでもある。今までは全て大映京都製作であったが、本作は大映東京製作である。当時、各社で流行った青春歌謡路線と言われる作品だ。主演は橋で、ヒロイン江梨子を演じるのは新東宝から移籍してきた三条魔子である。覆面をしているわけでもないのに「シークレットフェイス」の名でデビューした女優だ。本作のヒットにより、三条江梨子に改名するのだが、この時点では魔子である。共演は船越英二、渚まゆみ、岩崎加根子、浦部粂子、村田知栄子など。
次は「悲恋の若武者」で、再び大映京都に戻っている。橋の18枚目シングルのタイトルでもある。今までの時代劇と違い本作は西南戦争の頃が舞台となっている。橋の相手役は前作から引き続きの三条江梨子と「江梨子」には出ていなかった姿美千子である。共演はやはり新東宝から移籍の天知茂で、他に中村豊、浜田雄史、伊達三郎など。
そして「あした逢う人」は、25枚目シングルのタイトルでもある。これも青春歌謡路線の作品で「明日を呼ぶ港」でも共演した本郷功次郎、叶順子、そして三条江梨子らがメインだ。本郷と三条、叶と橋がそれぞれ兄弟で、三条と橋が本郷と叶を結びつけようとする話だ。他に大瀬康一、潮万太郎、中条静夫、早川雄三、広瀬みさ(当時小牧洋子)など。橋の大映出演は本作までで、以降は他社に移ることになる。

橋幸夫の出演映画

今回からは、御三家繋がりで橋幸夫である。
橋幸夫は43年東京生まれで、本名は橋幸男。ほぼ本名である。芸能人は「夫」を使うケースが多い。
学生時代はボクシングに熱中し、それを心配した母親が遠藤実の歌謡教室に通わせたのが歌手になったきっかけだとか。
60年に「潮来笠」でデビューしたが、これがヒットし、同年のレコード大賞新人賞を受賞したのである。
あっという間に人気歌手となり、翌61年からは映画に進出しており、この年だけで8本もの映画に出演している。いずれも大映作品である。
映画デビュー作となるのが、歌手デビュー曲タイトルでもある「潮来笠」。橋は当初「潮来」を知らず「シオクル」と読んだそうな。本作の主演は橋ではない。潮来の伊太郎役は小林勝彦で、共演は近藤美恵子、小桜純子、丹羽又三郎、藤原礼子、香川良介など。橋は「川千鳥の新助」という役名はあるが、ストーリーに絡むわけでもなく、ラストの方に現れて「潮来笠」を歌うだけのようである。小林勝彦は本郷功次郎の時に触れたが、当初は主演、準主演もあったが、次第に脇に回り、大映を離れてからは専ら時代劇の悪役として活動した。また、声優としても多くの作品に出演しており、洋画における三船敏郎を吹き替えたりもしている。
続く「木曽ぶし三度笠」は、橋の5枚目のシングルのタイトルでもある。
こちらも主演は小林勝彦で、共演が三田村元、井上明子、伊達三郎、藤原礼子、杉山昌三九など。橋は渡世人ではなく飛脚の参平という役。ストーリーには絡むようだ。
続く「おけさ歌えば」は、橋の3枚目のシングルのタイトルでもある。
こちらの主演は市川雷蔵で、橋はその弟分である「おけさの半次」を演じており、準主役と言える。クレジットも2番目だ。共演は水谷良重、三木裕子、小桜京子、島田竜三、中村鴈治郎など。雷蔵は橋を気に入り、何かと面倒を見ていたという。前述の「潮来笠」に出ていたのは小桜純子で、こちらは小桜京子だ。京子の方は金語楼劇団出身の女優で、当時29歳。柳家金語楼は叔父にあたる。後に引田天功(初代)と結婚する(後に離婚)。純子の方は詳細不明だが、60年代前半に大映で活躍していた女優だ。
「喧嘩富士」は、橋の4枚目シングルのタイトルでもある。
こちらの主演は勝新太郎で、橋は早々と大映時代劇の2大スターとの共演を果たした(勝とは本作のみ)。ヤクザに憧れる勝と橋、小林勝彦が石黒達也の一家に世話になり、山路義人の一家を倒すというような話。本作も橋はクレジット2番手だ。共演は浦路洋子、宇治みさ子、弓恵子、小桜純子など。
「磯ぶし源太」は、橋の6枚目シングルのタイトルでもある。
橋はタイトルにもある源太役で、初の主演作ということになるが、上映時間は64分と短い。共演は鶴見丈二、三田村元、弓恵子、小桜純子、近藤恵美子、須賀不二男など。鶴見は川口浩、品川隆二、川崎敬三と同様に「京浜東北線」の駅名を芸名にするくらいに期待されていたが、主演となることはほぼなかった。

西郷輝彦の出演映画 その5

西郷輝彦の最終回である。
70年代に入り、前回の「東京⇔パリ 青春の条件」以降は、映画出演がとぎれる。まあ日活や大映が潰れたことも影響しているのだろう。かと言ってヒマだったわけではない。本業の歌の方でヒット曲がそれなりにあり、また72年には辺見マリと結婚している。
そして、73年あのドラマの前に「まごころ」という大映ドラマに出演。この枠(金曜21時)は「シークレット部隊」「燃える兄弟」という宇津井健主演のアクションドラマが続いた後で、本作の」主演である竹脇無我の役は刑事なので、アクションと思いきやホームドラマの部類に入るらしい。西郷はその弟で社会部記者という設定。父が伴淳三郎、母が加藤治子(途中から風見章子に交代)、他に大原麗子、富士真奈美、前田吟、吉沢京子、進藤英太郎など。番組主題歌は西郷が歌っていた。
で、このドラマが終了した翌週からスタートしたのが「どてらい男(やつ)」である。本作は人気を呼び、約3年半全180回まで続くことになる。これ以降は歌手の副業というよりは、俳優イメージの方が強くなっていった印象がある。
この間に約4年ぶりの映画出演があった。74年松竹の「狼よ落日を斬れ 風雲篇、激情篇、怒涛篇」である。
何とか篇というのが3つ付いているが、昔の様に3回に分けて上映したわけではなく、160分一挙上映である。テレビの1時間ドラマ3回分といったところだ。原作は池波正太郎で、四人の幕末志士を中心に描かれた時代劇だ。高橋英樹(杉虎之助)、緒形拳(中村半次郎)、近藤正臣(伊庭八郎)、西郷輝彦(沖田総司)である。杉は架空の人物だが、後の三人は実在した人物。西郷の演じた沖田は説明不要だろうが、中村半次郎は後に桐野利秋を名乗り、明治の新政府では陸軍少将を務めている。伊庭八郎は隻腕の剣客として知られる人物だ。他の出演者は辰巳鉚太郎(西郷隆盛)、和崎俊哉(近藤勇)のような実在人物もいれば、松坂慶子、田村高廣、佐野浅夫などは創作の人物を演じている。監督は三隈研次だが、翌75年にガンで亡くなった為、本作が映画での遺作となった。54歳の若さであった。
75年に入り、人気放送中だった「どてらい男」が東宝で映画化された。西郷演じる猛造が16歳で丁稚入りした初期のエピソードを描いているようだ。ちなみに西郷も当時28歳で16歳役はどうかと思うが、余程子供時代でなければ、過去エピソードは本人が演じるのが普通ではあった。本作は西郷と幸夫役の田村亮以外はテレビシリーズとは異なる役者が演じている。正直、映画もドラマもほとんど見ていないので資料を見比べての突合せだが、前者がテレビ版、後者が映画版である。前戸弥生役:由美かおる→小柳ルミ子、竹田一夫役:高田次郎→津川雅彦、前戸文治役:沢本忠雄→曾我廼家明蝶、岡田弥太郎役:大村崑→内藤武敏、糸路役:扇千景→浜木綿子、芋生役:岸部シロー→田中邦衛、大石善兵衛役:笑福亭松鶴→伴淳三郎といった具合である。監督はクレージー映画などで知られる古澤憲吾である。
また、この75年からは「江戸を斬る」シリーズがスタート。西郷初のテレビ時代劇主演で南町奉行遠山金四郎を演じた。「遠山の金さん」と言えば桜吹雪の刺青だが、本作では差別化の為か、めったに刺青を見せない金さんである。
「どてらい男」が終了した翌78年には東映の大型時代劇「柳生一族の陰謀」「赤穂城断絶」に出演。前者は駿河大納言忠長、後者は浅野内匠頭とそれぞれ著名な人物を演じている。、
 

西郷輝彦の出演映画 その4

引き続き、西郷輝彦である。69年の作品からだ。
まずは、松竹「霧のバラード」。これは前項の「釧路の夜」と同じ栗塚旭主演のアクションものである。この「霧のバラード」も美川憲一のシングル曲のタイトルであり本人も出演しているので、所属のクラウンレコードが制作に関わっている。その関係で西郷と笹みどりも本人役で出演しているのだ。笹みどりは美川と同期の演歌歌手。「下町育ち」などテレビ主題歌を多く歌っており、当時は「テレビ主題歌の女王」と呼ばれていた。76年にクモ膜下出血で倒れるが、83年にカムバックを遂げている。スナックのママ役の朝丘雪路も当時はクラウンの所属だった。
本作は主人公の栗塚が朝丘雪路に頼まれ、吉田輝雄と佐藤友美の密航を助ける。栗塚と佐藤は過去に関係があった。彼等の密航計画は土方弘率いるやくざたちに知れ、死闘が繰り広げられるというような話だ。西郷は本人役と言っても、栗塚たちの手助けをするようだ。美川の役は小松方正演じる医師の息子。他に砂塚秀夫や堀田真三も出演している。堀田は東映のニューフェイスであり、当時も東映所属のはずなので、おそらく初の松竹出演ではないだろうか。この年は大映作品にも顔を出している。余談だが、当時のポスターを見ると栗塚が加山雄三に見える。一瞬、間違える人も多いのではないだろうか。
69年のもう一本は松竹「海はふりむかない」。こちらは西郷の主演映画だ。悲恋映画であり歌謡映画でもある。松竹の薄幸のヒロインと言えば尾崎奈々、他に中山仁、森次浩司(康嗣)、夏圭子、有川由紀、勝部演之など。勝部は西郷の兄役だが、エリート意識が強く冷淡であるという勝部にピッタリの役。西郷はもちろん同タイトルの主題歌、由美かおる、美川憲一、高田恭子も顔を出し、それぞれの曲が挿入歌として流れる。西郷と尾崎のデュエットもある。高田はこの年に「みんな夢の中」でデビューした新人だが、レコード大賞の新人賞を受賞している。
本作は後半から広島が舞台となるが、尾崎奈々演じるヒロインが白血病であることが明かされる。被爆者二世であり、残留放射能の影響で発病したのでは…というような重い話になってくるのである。本作の監督である斎藤耕一は西郷の妹を演じた有川由紀と74年に結婚している(17歳差)。
70年に突入する。この年の出演映画は1本のみで、松竹「東京⇔パリ 青春の条件」である。本作は橋幸夫のデビュー10周年記念映画であり、舟木一夫、西郷輝彦の御三家が揃って出演している唯一の映画なのである。加えて三田明、黛ジュン、森田健作、ピーターなども顔を出している。御三家に三田明を加えて「四天王」という言い方をすることもある。この中では橋が一番年長でデビューも早く、三田が一番年下だが、どうやら西郷よりデビューは早かったようである。
本作は橋の10周年記念なので、当然橋が主役だ。役名も西郷は「西条」で、舟木は「船田」だが、橋は「風間史郎」といういかにも主役っぽい名前で、橋がつかない。ちなみに橋幸夫はほぼ本名(幸男)。他の出演者だが、小川ひろみ、山形勲、加藤嘉、左卜全、藤村有弘、曾我町子などで、三田明、ピーター、アン真理子は本人の役で登場。アン真理子は「悲しみは駈け足でやってくる」が有名だろうか。元々は「ユキとヒデ」というヂュエットだった。ヒデとは出門英のことであり、解散後にロザンナと組み「ヒデとロザンナ」となり、ユキは藤ユキからアン真理子に改名したのである。

西郷輝彦の出演映画 その3

引き続き、西郷輝彦である。66年の続きからだ。
66年は、やはり日活でもう1本あり、「傷だらけの天使」である。「傷だらけの天使」というと、どうしてもショーケンと水谷豊のコンビを思い出してしまうが、そのドラマとは何の関係もない。天使は「エンジェル」と読むのだ。これも西郷のシングルのタイトルであり、本作の主題歌でもある。ちなみに作詞・我修院建吾、作曲・銀川晶子となっているが、これはどちらも西郷のペンネームである。つまあり自作の歌なのだ。我修院健吾名義で「明星」に同タイトルで西郷の自伝が連載されており、その映画化ともいえるようだ。
主演はもちろん西郷で、ヒロインは松原智恵子。日活ではほぼ西郷の相手は松原であった。共演は荒木道子、永田靖、楠田薫、五月女マリ、塚本信夫、草薙幸二郎、高須賀夫至子などで、あまり若いキャストはいなかったりする。
67年は、何故か映画出演は1本のみ。日活の「恋人をさがそう」である。今までと同様のスタイルで、シングルタイトルでもあり主題歌でもある。西郷は予備校生(早稲田学院)で、毎日新聞社でバイトをしているというとても具体的な設定。共演はやはり松原智恵子、和田浩治、五月女マリ、浜田寅彦、奈良岡朋子、花沢徳衛などだが、注目は梓英子。後の「どてらい男」(73~78年)で、その妻役を演じることになる梓とここで初共演しているのである。ちなみに、この後大映と契約するので、日活作品を本作と「不死身なあいつ」くらいしか出演していない。そして、もう一人は新聞記者役の吉田豊明。東映のニューフェイスであり、この時代も東映に在籍していたはずだが、何故か本作に出演。どうやら日活は本作だけのようである。ただ、東映ではほぼテレビ出演であり、映画にはほとんど出演していないようである。代表作はやはり「特別機動捜査隊」の石原刑事役で、番組後期の主役である青木義朗(三船主任)と同じ回から初登場。ラストまでほぼ8年間出演している。
68年は東映の「あゝ予科練」。久々の東映出演である。主演は鶴田浩二で、予科練生を演じるのが西郷の他、谷隼人、太田博之、長沢純、宮土尚治(桜木健一)などで、みんな坊主頭にして撮影に臨んだ。西郷は約40日間、他の仕事を入れないで本作に専念していたという。共演は丹波哲郎、千葉真一、山城新伍、梅宮辰夫、大原麗子、藤純子、伴淳三郎、伊丹十三、池部良など、何気に豪華キャストなのだが、作品の評判はあまり芳しいものではなかったようだ。
もう一本は松竹の「釧路の夜」。井上梅次監督によるアクション映画で主演は栗塚旭。栗塚と言えば、当時既に栗塚=土方歳三のイメージがあるくらいに時代劇の人という印象が強いが、松竹の映画ではこうした現代劇にも数本出演している。ちなみに本作での役名は矢吹丈ではなく矢吹丈二だったりする。共演は城野ゆき、美川憲一で、タイトルの「釧路の夜」は美川のシングルのタイトルでヒットもしている。美川はここでも歌手の役だが、実は大映ニューフェイスに合格していたという経歴がある。本作はクラウンレコードが制作に関わっており、そのエース格である西郷が本人の役で出演している。他に朝丘雪路、小林勝彦、渡辺文雄、今井健二などが出演しているが、松竹作品でありながら城野、今井は東映、小林は大映と一見するとどこの映画だかわからない。最後に豆知識を一つ。釧路市の隣には釧路町があり、別々の自治体である。
 

西郷輝彦の出演映画 その2

引き続き、西郷輝彦である。65年の日活作品からだ。
「涙をありがとう」は、西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。クレジット上は西郷がトップ扱いだが、実質的には高橋英樹が主役のアクション映画のようである。西郷の姉が山本陽子、GFが和泉雅子で、その姉が久保菜穂子で、その夫・二本柳寛は沢島組の組長だ。組の幹部が藤岡重慶、宮部昭夫などで、雇われた殺し屋が深江章喜だ。高橋の殺された父(刑事)を演じたのは中村歌門。名前の通り歌舞伎役者で、詳しくはわからないが13年生まれで、33年から市川菊之助、55年に中村歌門(二代目)を襲名したようだ。
「星と俺とできめたんだ」も西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。「決めたんだ」と漢字にしたくなるところだが、平仮名が正解だ。こちらは名実ともに西郷が主役のアクション映画。西郷は大学の剣道部員で、クラブで歌手のバイトをしているが、技術者の兄(弘松三郎)が殺され、その仇を討つというお話。十朱幸代はその兄の婚約者で、松原智恵子は西郷の居候先の娘。黒幕は西郷がバイトしているクラブの経営者(神田隆)で、その愛人が香月美奈子。渡哲也が西郷の助っ人として登場するが、香月は実の姉である。神田の妻が奈良岡朋子で、神田の部下が高品格、野呂圭介など。弘松三郎の詳しいプロフィールは不明だが、54年に再開した日活にその初期から末期まで大部屋俳優として在籍していたと思われる。悪役が多いが、ドラマ「ハレンチ学園」では教師の一人を大辻伺郎、井上昭文らと演じていた。
66年の西郷は日活作品が続く。「この虹の消える時にも」も同様に西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。挿入歌の「星娘」の方が有名ではないだろうか。西郷はメンズウェアの店で働いているが、前に働いていたクリーニング店において過失で店主を死なせていまい少年院に入っていた過去がある。
その少年院仲間が荒木一郎で、出所してもチンピラである。松原智恵子が盲目のヒロインで、他に山内賢、山本陽子、東山明美、深江章喜、玉川伊佐男、大滝秀治など。前述の二作では西郷のクレジットに付いていた(クラウン)がなく、代わりに東山明美に付いている。ちなみに東山の役名は飯島真理だ。
「涙になりたい」も今までと同様。当時の人気歌手は月1枚のペースでレコードを出していたのである。本作はアクションではなく、家族関係ドラマとでも言うのだろうか。共演は松原智恵子、山本陽子、芦田伸介、大塚国夫、奈良岡朋子、丹阿弥谷津子、西本雄司、伊藤寿章(澤村昌之助)などで、市村正親が西本の仲間の不良学生役で出演しているらしい。当時17歳の高校生だが、出演の経緯は不明。プロフィールにはないが、児童劇団にでも入っていたのだろうか。
「遥かなる慕情 星のフラメンコ」。西郷の曲では、最も有名ではないかと思われるのが「星のフラメンコ」だが、恋愛ものではなく、西郷が台湾から日本に帰ることが出来なかった母親の生涯を巡る話。実際に台湾でロケをしたようで、向こうの役者も多く出演している。藍芳とクレジットされている台湾人姉妹の妹役の人は後の光川環世である。実際に台湾の生まれで、5歳の時に日本に移住し、小学生の頃から子役として活動。当時は井上清子を芸名にしていたはずだが、台湾で公開される映画では藍芳や李玲香といった中国名を名乗っていた。光川環世を名乗るのは70年代になってから。共演は松原智恵子、川地民夫などで、ノンクレジットで奈良岡朋子が母親役で声のみ出演しているらしい。

西郷輝彦の出演映画

今回からは、西郷輝彦である。「大岡越前」の休止期間に放送されていたのが「江戸を斬る」で、その主役遠山金四郎を演じていたのが西郷ということで彼にした。知っての通り、歌手としてデビューし、橋幸夫、舟木一夫と共に「御三家」と言われた人気者だ。「どてらい男」とかテレビのイメージが強いと思うが、橋や府木もそうだが、特にデビュー時は多くの映画に出ているのだ。
西郷輝彦は47年生まれ。本名は今川盛揮で、鹿児島の出身。鹿児島と言えば薩摩、薩摩と言えば西郷隆盛ということで、その芸名が名付けられている。高校時代(鹿児島商業)は、映画俳優にも憧れていたので、各社のニューフェイスに応募しているが、全て落選だったという。
62年、高一の時点で中退して上京。バンドボーイをしていた時に龍美プロに誘われて入社(マネージャーは後のサンミュージック社長・相澤秀禎)し、64年に「君だけに」に歌手デビューするが、これが大ヒット。同年の4枚目シングル「十七才のこの胸に」もヒットし、同タイトルの東映映画にて役者デビューした。タイトル通り十七才だったわけである。
主演は西郷と本間千代子。二人は鹿児島の高校に通う優等生だったが、ひょんなことから停学処分となる。千代子は一人東京へ行ってしまい、西郷はその後を追う。というような青春映画で、西郷の母が沢村貞子、千代子の母が笠置シヅ子。同級生役が長沢純、新井茂子で、千代子の入院中の親友に園まり、その主治医が波島進だ。本間はこの頃、西郷だけでなく舟木一夫の相手役もしていた。
二本目は65年になり、同じ東映の「あの雲に歌おう」である。こちらは主演は本間千代子で、西郷は友情出演となっている。もちろん高校が舞台で、千代子の同級生に長沢純、新井茂子は同じだが、加えて優等生の太田博之、島かおり、不良の岡崎二朗、そして剣道部主将の西郷だ。新任の先生が千葉真一で、彼に千代子は憧れるが、結局は西郷の姉で同校教師である宮園純子と結ばれることになる。本作には元祖ジャニーズの四人(あおい輝彦、真家ひろみ、中谷良、飯野おさみ)も出演している。
65年はあと4本あり、まず松竹「我が青春」。西郷が主演で、その兄役が三上真一郎だ。その三上が当初歌手として成功しスターになり、西郷はそのマネージャーを務めていた。それを妬んでいるのが先輩の手塚しげおで、三上は彼の雇った愚連隊により負傷する。代わりに舞台に立って歌ったのが西郷で、結果は大成功で彼が大スターにのし上がっていくというような話。他の出演者は菅原謙次、夏圭子、ロミ山田、五月女マリなど。
ここまでは青春映画だが、大映「狸穴町0番地」はコメディである。ちなみに狸穴は「まみあな」と読む。あらすじを見てもすぐに理解できなかったが、要するに狸穴町の住人の正体はたぬきなのだということのようだ。クレジットのトップは高田美和で、次に西郷、川崎敬三、そして花菱アチャコで、(吉本興業)付である。他に丸井太郎、春川ますみ、玉川良一、左卜全、坂本スミ子、田端義夫など。
東映、松竹、大映と来たら日活である。これが二本あるのだが、長くなってきたので次回に続く。

加藤剛の出演映画 その5

加藤剛のラストである。
72年はまず「子連れ狼 死に風に向かう乳母車」。岸田森の時に書いたが製作・勝プロ、配給・東宝、主演若山富三郎による映画版の「子連れ狼」でシリーズ第2作である。
共演は浜木綿子、水島道太郎、浜村純、名和宏など。今回の悪役は山形勲で、その用心棒が草野大悟、和崎俊哉だ。加藤剛の役は渡り従士・孫村官兵衛。若山扮する一刀は彼を真の武士と見て、序盤では対決を避けるのだが、ラストで一刀の前に姿を現す。そういえば、翌73年にテレビシリーズ「剣客商売」で山形勲、加藤剛は主演の秋山父子を演じることになる。
72年のもう一作は「忍ぶ川」。原作は三浦哲郎の小説で、発表された60年には東宝が映画化権を獲得していた。日活の助監督だった熊井啓が映画化しようと脚本を書きあげていた。熊井は当初、吉永小百合を予定していたが、劇中のシーン(恐らくヌードシ-ン)を巡って吉永の親族と揉め、彼女の出演は実現せず、映画化自体も実現に12年待つことになる。当初に映画化権を持った東宝と俳優座で製作することになり、ヒロインには俳優座の栗原小巻が選ばれた。ちなみに、吉永小百合と同い年で、誕生日が1日違いである。その相手役が加藤剛であり、役名が哲郎となっている。原作では「私」となっているが、三浦哲郎の私小説と言われているので「哲郎」としたのだろう。共演は山口果林、永田靖、井川比佐志、岩崎加根子、滝田裕介、鹿野浩四郎など。山口はNHKの朝ドラ「繭子ひとり」のヒロインをやっていた時期である。鹿野は78~84年にかけてNHKの「600こちら情報部」のキャスターとして月~金の生放送をこなした。鹿野はその後も地方局でキャスター、司会者などで活躍した。
73年は「忍ぶ糸」。「忍ぶ川」と同じ東宝、俳優座の製作で、主演も同じ栗原小巻と加藤剛のコンビである。タイトルが似ているが関連性はなく、こちらの原作は北泉優子「忍ぶ糸 伊賀の女の物語」である。伊賀と言うとつい時代劇を想像してしまうが、現代劇である。共演は真野響子、渡辺美佐子、河原崎長一郎、中野誠也、中谷一郎、成瀬昌彦、松本克平など。
「日本侠花伝」は東映の任侠映画のようなタイトルだが、東宝作品である。主演は真木洋子、渡哲也で、あらすじを見た限りでは(未見)、任侠というよりラブストーリーという感じか。真木洋子の相手が村井国夫、曾我廼家明蝶、そして渡へと変わって行く。真木は渡と共演できると聞いて出演を承諾したという。共演は北大路欣也、安部徹、藤原釜足、園佳也子、富田仲次郎、任田順好など。加藤剛は賀川という役だが、あらすじにも名が出てこないので、顔見せ的な出演だろうか。
74年「砂の器」は、加藤剛が出演している映画としては最も有名かもしれない。原作は松本清張で結構な長編。主演扱いは刑事役の丹波哲郎、森田健作で、人気作曲家の加藤剛が犯人だ。という基本情報は知っていたが、その他は詳しくは知らなかった。被害者となるのが緒形拳で、元警察官で評判も頗る良い人物。そんな彼が何故殺されたかと言えば、自分の過去を知っているからということになろうか。加藤剛の父親役が加藤嘉でハンセン病に犯されているという設定。その為、剛の少年期に彼を連れ各地を旅をしていたのだが、原作ではこの一行で書かれた部分を脚本の橋本忍が大きくしたらしい。橋本に加え、山田洋次が共同脚本として参加しているが、山田は「これが映画になるとは思えません」と当初は言っていたようだ。その反応は各社も同じで集客が見込めないと松竹、東宝、東映、大映すべてに断られたらしい。結局は橋本が橋本プロダクションを設立し、監督は野村芳太郎が務めるため、所属の松竹との共同制作に落ち着いた。脚本を見た黒澤明はこれを酷評しアドバイスを送ったが、橋本は無視。フタを開けてみれば、大ヒットとなったのであった。他の出演者は佐分利信、島田陽子、山口果林、笠智衆、渥美清などである。

加藤剛の出演映画 その4

引き続き、加藤剛である。
70年、あの「大岡越前」がスタートする。99年の第15部まで加藤剛が大岡越前守忠相を演じ続けることになり、すっかり大岡越前=加藤剛のイメージが定着した。イメージ的にはずっと「水戸黄門」と交替で放送していたように感じていたが第4部が74~75年、第5部は78年、第6部が82年というにように放送されていない年も結構あるのだ。ちなみに、5部と6部の間は「水戸黄門」と「江戸を斬る」が交替で放送されていた。同シリーズを1部から15部までまで通して出演したのは加藤剛の他、竹脇無我(榊原伊織、出演していない部もある)、山口崇(徳川吉宗)、高橋元太郎(すっとびの辰三)がいる。
映画に戻ると70年は日活「戦争と人間 第一部 運命の序曲」に出演。三部作であり、合わせると九時間半に及ぶ超大作である。この第一部では昭和3年の3・15事件から昭和7年の上海事変までが描かれている。出演者クレジットがアイウエオ順なので、それを見ただけでは誰が主役なのかはわからない。トップにくるのが青木富夫だったりするのだ(大道芸人の役)。日活の大部屋俳優だが、子役時代は「突貫小僧」の名で主役だったこともある。石原裕次郎、丹波哲郎、二谷英明、松原智恵子などの名もあるが、主役ではない。伍代一族(滝沢修、芦田伸介、高橋悦史、浅丘ルリ子、中村勘九郎、佐藤万里)が話の中心で、高橋英樹、三國連太郎、高橋幸治辺りがメインとなるようだ。加藤剛は服部という医師の役である。中村勘九郎(後の勘三郎)は当時15歳で子役としての出演。
「戦争と人間 第2部 愛と悲しみの山河」は翌71年の公開。本作は昭和10年2月から2・26事件を経て昭和12年の日中戦争開戦までを描いている。伍代一族は勘九郎から北大路欣也に子役の佐藤万里が吉永小百合にそれぞれ交代となった。主に高橋英樹と浅丘ルリ子、北大路欣也と佐久間良子、山本圭と吉永小百合という三組の男女が話の中心となろようだ。栗原小巻、三國連太郎、江原真二郎、山本学、地井武男、そして加藤剛などは前作から引き続き同じ役で出演。山本圭や和泉雅子、佐久間良子は第2部からの登場である。
今回の出演者クレジットのトップは岩崎信忠、次が井川比佐志で、一瞬何の順かわからないのだが、「い」の次が「は」で始まる人なので、イロハ順であることがわかった。男優キャストの後に女優キャストがくるのだが、佐久間良子のみ特別で(東映)付で最後にクレジットされている。なお、本作公開の2か月後に日活は一般映画製作を停止し、ロマンポルノ中心に転向することになる。
第3部の完結編は73年に公開されるが、加藤は出演してない。
話が前後するが、70年はもう一作、松竹「影の車」で主演となっている。松本清張原作のサスペンスだが、実は「影の車」というのは短編集のタイトルであり、本作はその中の一編である「潜在光景」が原作となっている。共演は岩下志麻、小川真由美、滝田裕介、近藤洋介、芦田伸介など。子役の岡本久人は翌年のドラマ版にも同じ役で出演している。
71年、松竹「黒の斜面」は菊島隆三原作のサスペンスで、やはり加藤剛と岩下志麻が主演となっている。どちらも加藤剛が浮気をする話だったりするのだが、こちらの相手は市原悦子。共演は山口果林、滝田裕介、近藤洋介、永井智雄など。本作は映画に先んじて「火曜日の女」シリーズで「オパールとサファイア」のタイトルでドラマ化されており、市原悦子が主演扱いとなっている。見比べてないのでわからないが、おそらく同じ役なのではないだろうか。