石立鉄男の出演映画 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

石立鉄男の出演映画 その2

続けて石立鉄男である。前回書き忘れたが、石立が「夜明けの刑事」の相馬課長役を降板した際、翌週から課長代理として登場したのは「仇討」でその兄を演じた神山繁(石田警視)であった。あくまでも代理なので、四回のみの登場だったが、その後正式に課長となったのは「血とダイヤモンド」で石立を含む四人組強盗のリーダーを演じた佐藤允(柴田警部)だった。故意か偶然か石立が映画デビュー時に関わった役者だったのである。
話を戻して65年の出演映画はまず石原プロ製作、日活配給の「城取り」がある。日活では少なく、裕次郎自身も出演は多くない時代劇で本作が初でもあるようだ。主演はもちろん石原裕次郎。その仲間となるのが千秋実、中村玉緒、芦屋雁之助、そして石立鉄男だ。石立が演じるのは伊賀の抜け忍である木こりの彦十。タイトル通り彼らが伊達家の多聞山城を奪取するというお話。彼等にとって敵方となるのが近衛十四郎、今井健二である。他に松原智恵子、藤竜也、藤原釜足、鈴木やすし、内藤武敏、滝沢修らが出演。ちなみに中村玉緒は(大映)、近衛十四郎は(東映)、藤原釜足は(東宝)、芦屋雁之助、雁平には(劇団喜劇座)と名の横にクレジットされている。石原プロだから実現したキャスティングなのだろう。これらにまだ無名だった石立が主要キャストで混じっていたわけである。
本作は当初の予定から変更されたキャストが何人かおり、今井健二の役が宍戸錠、松原智恵子の役が緑魔子となっている映画サイトもある。またwikiではノンクレジット出演とされている郷鍈治、上野山功一は実際に出演しておらず、それぞれ柴田新三、河瀬正敏に変更されているようだ。やはりノンクレジット扱いになっている榎木兵衛は普通にクレジットされているが、巻頭ナレーターの二谷英明はノンクレジットのようだ。裕次郎映画に詳しいサイトに実際のクレジット画像が載っており、キャスト解説もあったりするので、前述の解釈で正しいと思う。
65のもう一本は松竹の「ぜったい多数」である。曽野綾子原作の青春もので、主演は桑野みゆき、田村正和で、早川保、中村晃子、伊藤孝雄、吉村実子、北村和夫、内藤武敏らが共演。いしだあゆみや倍賞千恵子も「女リーダー」の役で出ていたりする。吉村実子の(同棲)相手役は石立ではなく早川である。
66年に入ると、大映の「殺人者」に出演。通算五本目の映画出演なのだが、配給をみると東宝、東映、日活、松竹、そして今回の大映と五本で大手五社を制覇しているのである。まあ専属俳優でないからこそ、できるワザである。まあ狙ったわけではないだろうが。
さて「殺人者」だが、舞台は北海道で(ほとんど室内劇だが)、小樽郊外の別荘に厳格な父(有馬昌彦)に「幽閉」された安田道代(後に大楠道代)の元に隣の別荘で殺人を犯した石立が逃げ込んでくる(殺されたのは江波杏子)。やがて二人は惹かれ合うようになるが、そこに警察(宇津井健)の手が迫るといったお話。個人的なことを言えば、中学だか高校生だったか忘れたが、日曜の夕方くらいに地上波でやっていたのを見た記憶がある。もちろんアフロではない二枚目な石立の印象が残っていたりするのだ。他に早川雄三、神田隆、藤山浩二など。「恋する年ごろ」(松竹)は三田明、早瀬久美主演の歌謡映画。三田はR大音楽部のリーダーで交際相手が早瀬。三田のライバルがS大の音楽部リーダー石立で、その相手役が市川瑛子である。他に久保浩、柳沢真一、牟田悌三、佐野周二など。市川瑛子は61年のミス平凡(当時15歳)。65~66年に松竹映画数本に出演。歌手活動も行っていたようで、70年に「夜のヒットスタジオ」にも出演したらしいが、それ以降の活動記録は見当たらない。