お宝映画・番組私的見聞録 -16ページ目

加藤剛の出演映画 その3

引き続き、加藤剛である。
「ヒロシマ一九六六」(66年)は、独立プロによる作品で、タイトルから推測できると思うが、終戦から21年後の被爆者母娘の生活を中心に描いている。映画サイトなどでは「未公開」とされている所もあるが、封印作品とかではなく、大手に配給されなかったということのようだ。上映会などで陽の目を見ることもあるようだが、ソフト化はされていないので、基本的には見ることが困難なようだ。主演は望月優子だが、その娘役の鈴木宏子は彼女の実の娘らしい。この母娘とは別に加藤剛と松本典子の恋愛模様も描かれているようだ。松本典子と言っても80年代アイドルとして活躍した方ではなく、同姓同名(共に芸名だが)の女優の方である。加藤の役名が田岡一夫となっているが、それだと某組長と同名(正確には一雄)だろうと思ってしまった。ヤクルトの笘篠と結婚後は引退状態だった元アイドルの松本典子は今年、芸能活動を再開したらしい。
さらに余談になるが、同年に同じ題材で公開されたのが日活の「愛と死の記録」である。渡哲也演じる被爆青年と吉永小百合との悲恋もの。元々は浜田光夫が主演のはずだったが、ケンカに巻き込まれ眼を負傷し失明の危機にさらされた為、渡が代役に立てられたのである。浜田の復帰を待つべきという意見が多く、吉永や渡もその考えだったようで、撮影開始までは多少揉めたらしい。
67年は、ウィキペディア等では日活の「喜劇 東京の田舎っぺ」という東京ぼん太主演の映画に加藤剛が出演したことになっているが、これは加藤武の誤りのようである。出演作に挙げられている中で、一際違和感があったが、やはり間違いだった。
同じく67年東宝の時代劇「上意討ち 拝領妻始末」に出演し、三船敏郎と親子の役を演じる。享保年間の会津藩が舞台で、城主・松平正容(松村達雄)の側室下がりとの結婚を命ぜられる笹原与五郎(加藤剛)。藩命には逆らえず嫁として迎えることになったいち(司葉子)は、思いのほか良妻であった。二人の間には娘とみも生まれ、しばらくは幸福な時間を送っていた笹原家であったが、世継ぎの子が病死したことから、いちとその娘のとみを城に戻せという。その理不尽さに怒る父・伊三郎(三船)と与五郎、いち。藩と対立し斬り合いとなり、笹原父子、いちも命を落とすと言うような話だ。他に神山繁、青木義朗、山形勲、そして仲代達矢など。ラストは黒澤映画のように三船対仲代の構図になるようだ。「いち」は実在の人物らしいが、あの「お市の方」とは別人。200年程時代が違う。
なお、92年にドラマとしてリメイクされているが、与五郎を演じた加藤剛が父・伊三郎を演じている。与五郎は船越英一郎、いちは渡辺典子である。
69年は大映の「天狗党」に出演。主演は仲代達矢だが、大映での主演は珍しい。東宝出演が断然多いので東宝所属のようなイメージだが、実はフリーなので、五社協定に縛られず各社に出演している。共演は若尾文子以外のメインはほぼ大映の俳優ではない。十朱幸代、中谷一郎、神山繫、亀石征一郎、山田吾一、中村鴈衛門などで、メインキャスト以外はお馴染みの大映脇役陣が並んでいる。加藤剛の役は天狗党のリーダー格である加多源次郎。

加藤剛の出演映画 その2

引き続き加藤剛である。
64年の出演映画は松竹作品が2本。まずは有吉佐和子原作の「香華(こうげ)」である。脚本・監督は「死闘の伝説」と同じく木下惠介だ。上映時間3時間20分という大作である。舞台は明治から大正にかけて、主演は岡田茉莉子で当時31歳。彼女演じる朋子の少女時代から60代まで描かれるので、幼少期は子役の子が演じるだろうが、いつの時代から本人が演じたのだろうか(未見なので)。まあ女優が30過ぎて10代の女学生を演じることは珍しくはない。その母親役が当時40歳の乙羽信子。岡田と9歳しか違わないが、乙羽はどちらかというと老けて見えるタイプだと思う。岡田も若く見えるタイプではないけれども。さらにその母親、つまり岡田から見て祖母の役が田中絹代(当時54歳)である。岡田演じる朋子は17歳で芸者になり、やがて士官学校の学生である江崎(加藤剛)に出会いって恋に落ちる。多分、加藤の方が年上の役だと思うが当時26歳で、岡田より若い。結局、二人は結婚できず別れ加藤演じる江崎は奈良岡朋子と結婚。二人の間の息子役が田村正和と松川勉である。他の出演者は杉村春子、岡田英次、宇佐美淳也、菅原文太、長山藍子、三木のり平等である。「香華」って初めて聞いたタイトルだったが、映画化はこれ1回だが、テレビ化は過去に3度もされている作品だった。
もう1本は山本周五郎原作の「五瓣の椿(ごべんのつばき)」。天保年間の江戸で連続殺人事件が起きる。現場には椿の花びらが落ちており、若く美しい娘が目撃されていた。というようなお話で、主演は岩下志麻。どうやら一人で五役を演じるようである。この事件を追う奉行所の与力が加藤剛である。他の出演者は早川保、左幸子、西村晃、伊藤雄之助、小沢昭一、田村高廣など。本作も映画化はこれ1回のようだが、テレビドラマ化は過去に3度されている。
65年になり、松竹映画がもう1作。文芸作品への出演が続く加藤剛だが、「獣の宿」は娯楽時代劇の部類である。監督・脚本が五社英雄(柴英三郎が共同脚本)で、主演は平幹二朗だ。五社、平、加藤とくれば、「三匹の侍」の顔ぶれである。
話が前後するがドラマ「三匹の侍」の第1シリーズは63年10月~64年4月にかけて放送。この時のメンバーは丹波哲郎、平幹二朗、長門勇であったが、64年10月からの第2シリーズから丹波に代わって加藤が入ったのである。「獣の剣」は64年9月、つまり1、2シリーズの間に公開されたわけで、加藤剛起用の予告みたいなものだったかもしれない。共演は岩下志麻、天知茂、東野英治郎、田中邦衛、菅貫太郎、木村俊恵、加藤武などで、カトウタケシ対決があるかもしれない(加藤剛の本名の読みはタケシ)。「三匹の侍」の映画版も64年5月に公開されているが、こちらはまだ丹波が出演している。
「三匹の侍」は第6シリーズ(68~69年)まで放送され、加藤剛をこれで認識した人も多いと思われる。
65年はもう1本、東映の「逃亡」である。これが初の東映ということになるのだろうか。戦時中、上官の命令で捕虜の処刑に立ち会ったことで、戦犯裁判を受けることになった加藤は裁判が正当性を欠いていることなどを聞かされて千葉真一や原田清人らと逃亡。その間に婚約者だった佐久間良子と結婚する。開拓村に逃げ、一時は平和な時を過ごすが、原田や千葉が捕まり、夫婦の元にも警察の手が迫っていた、というような話。加藤剛が出演するとどの作品も社会問題を提起するような内容になる気がする。共演は江原真二郎、東野英治郎、西村晃、亀石征一郎、北村和夫など。
 

加藤剛の出演映画

今回からは、前回までの石立とは俳優座養成所の同期にあたる加藤剛である。
加藤剛は38年生まれ。本名は「ごう」ではなく「たけし」と読む。そのままだと加藤武と混同してしまうので「ごう」にしたと推測する(未確認)。七人兄弟の六番目(次男)で、姉4人と兄、弟がいる。その姉のうちの誰かの息子が植田峻(現うえだ峻)である。加藤とは違って三枚目であり、「人造人間キカイダー」の服部半平役が有名だろうか。実年齢で5歳しか違わないが、加藤は叔父にあたるのだ。「大岡越前」の最終シリーズとなった第15部(98~99年)では、うえだもレギュラー出演している。
加藤剛と言えば「大岡越前」のイメージだが、本人も生真面目であり、酒、タバコ、ギャンブル一切やらず、怒って声を荒げることもないという、まさにイメージ通りの人物だったようだ。
高校時代は柔道部だったが、先輩に言われ演劇部を手伝ったのが芝居に興味を持ったきっかけだった。早大の演劇科に進み、4年の時に俳優座養成所に入所した。
62年、まだ養成所に在籍していたが、テレビドラマ「人間の條件」の主役に抜擢される。ドラマは2クールであったが、加藤は1年間休学した。大映テレビ室の製作だったが、加藤演じる梶の妻役には藤由紀子が選ばれた。藤は当時松竹に在籍していたが、本作への出演を強く望み松竹との間で揉めて松竹を退社する(当時19才)。フリーの形で「人間の條件」出演後に大映へ移籍。そこで田宮二郎と出会い結婚するのである。因みに、他の共演者は根上淳、中野誠也、石井竜一、三木裕子、北村和夫など。テレビドラマデータベースには出演者として大鶴義英という名があるが、これは唐十郎の本名である。当時は大学を卒業したばかりで、劇団青年芸術劇場に在籍していた頃と思われる。ゲスト出演と思われるが、DVDが発売されているようなので、確認できる人は探してみたらどうだろう。
加藤はドラマの後、養成所に復帰したので13期生として修了し、俳優座入りしている。つまり実際は12期生として入所したようである。
初の映画出演は63年の松竹「死闘の伝説」で、木下恵介の監督、脚本である。あらすじを見るとホントに木下恵介なのか?というようなバイオレンス映画だ。太平洋戦争末期、北海道の寒村に疎開してきた園部家。祖母(毛利菊枝)、母(田中絹代)、長女(岩下志麻)、次男(松川勉)で、そこに長男(加藤剛)が戦場から帰還。そこに村長の息子(菅原文太)と岩下との縁談が起きる。加藤は文太の戦場での残虐行為を目撃していたため、その縁談を断った。すると村中の園部家への迫害が始まるが、猟師(加藤嘉)とその娘(加賀まりこ)だけは味方だった。ある日、岩下は文太に森の中で襲われる。そこに加賀が通りかかり、岩下を助けようとする。三人で揉みあう内に岩下が文太を撲殺してしまう。その死が伝わると村人は岩下を引き渡せと迫るが加賀が猟銃を構え寄せ付けない。加藤嘉が娘二人を山奥の小屋に逃がすと村人は暴徒と化し、毛利、松川、加藤嘉らが殺されてしまう。そこへ加藤剛が駆け付けるのだが…。というようなお話。
当時、岩下志麻は22歳、加賀まりこは20歳で松竹期待の若手スターだった。本作には岩下の父である野々村潔も出演している。松竹時代は不遇だった菅原文太だが、こういった役なら合っていたと思う。

石立鉄男の出演映画 その5

石立鉄男のラストである。
70年は「若者の旗」以外に「君が若者なら」という作品がある。タイトル通り「若者たち」っぽい映画ではあるようだが、監督は深作欣二なのである。アクションか時代劇みたいなイメージなので、こういう青春映画は珍しい気がする。東映に在籍しているはずだが、本作は松竹の製作である。調べるとたまに松竹の作品も撮っている。そう言えば「必殺仕掛人」(72年松竹)のテレビシリーズ1話~2話の監督は深作である。
五人の集団就職の若者(石立鉄男、前田吟、峰岸隆之介(徹)、河原崎長一郎、林秀樹)が主役で、キャストのトップクレジットは石立である。五人の務めていた工場がつぶれ、団結して独立しようと誓うのだが、河原崎は盗みを手伝い逮捕され、林はホステスと結婚して離脱。峰岸はストライキのピケ破りに参加して、警官に警棒で殴られて死亡する。残る二人の元に脱走した河原崎が逃げ込んできて…というような展開のようだ。他に小川真由美、大地喜和子、寺田路恵など。林秀樹は文学座の役者で、舞台が中心であり映画やテレビ出演は非常に少ない。
「こちら55号応答せよ!危機百発」はタイトル通りコント55号が主演の松竹映画。萩本欽一、坂上二郎の二人が刑事に扮し、ヤクザの石立を追うのである。共演は倍賞美津子、長山藍子、珠めぐみ、ピーター、フランキー堺など。「黒猫のタンゴ」をヒットさせていた皆川おさむや「大岡越前」役で加藤剛も顔を出したりしている。
「俺は眠たかった」は萩本欽一が製作、監督、脚本、音楽、主演と一人五役を担当する。タイトルは「ねむたかった」ではなく「ねたかった」と読む。役名はそのまま萩本欽一だが、本人設定ではなくサラリーマンである。相方の坂上二郎も警官、欽一の母など役者として一人五役を演じている。共演は左とん平、南利明、前田武彦、青島幸男、伴淳三郎などである。石立は萩本の隣人である革命家志望の男の役。下ネタ嫌いで知られる萩本だが、ここでは石立が彼にSEXを説いたりするのだ。
この70年、石立はドラマ「おくさまは18歳」に出演する。石立は岡崎友紀の通う高校の教師だが、実は二人は(秘密の)夫婦であるというコメディ。本作で石立はブレイクする。
翌71年にはその映画版である「おくさまは18才 新婚教室」が製作される。テレビの方は大映テレビ室の製作だが、当時の大映は経営危機で映画製作が不可能な状態であったので、東宝が代わりに製作を請け負ったのである。そのため岡崎、石立以外の出演者はテレビ版と変更になっており、宍戸錠、塩沢とき、藤村有弘、渚まゆみ、高橋厚子、笠置シヅ子などが、寺尾聰、富士真奈美、森川信、うつみ宮土理などに代わって出演している。
本作では製作に本木荘二郎の名が約15年ぶりに登場。初期の黒澤明作品のプロデューサーだが、予算の私的流用などで契約を解除されていたのである。森岩雄(当時東宝副社長)の指示だったらしいが、興行的には成功せず、本作と桜木健一主演の「柔の星」の二本だけに終わっている。
この71年にはドラマ「おひかえあそばせ」がスタート。石立主演で製作ユニオン映画というシリーズが続くことになるのである。

石立鉄男の出演映画 その4

引き続き、石立鉄男である。
68年は松竹作品が2本。まず藤岡弘のところで紹介した「ミニミニ突撃隊」。主演は西野バレエ団5人娘「レ・ガールズ」(金井克子、由美かおる、原田糸子、奈美悦子、江美早苗)で、五人は女子大生の役。大雑把に言うと江美を除く四人が男と知り合う。金井は入川保則、由美は石立で、原田は藤岡弘、奈美が山本紀彦である。江美が省かれているのは、67年11月から加わった新メンバーだからであろうか(本作は68年3月公開)。石立とはドラマで度々共演することになる山本紀彦(トシヒコと読む)とは、ここが初共演(だと思われる)。当時のポスターに山本の名はない。
「天使の誘惑」と言えば、黛ジュンの大ヒット曲で、この年のレコード大賞を受賞することになるが、本作は発売から二カ月後の公開である。主演はもちろん黛で、相手役が石坂浩二である。共演は田中邦衛、生田悦子、芦野宏、花沢徳衛、中山千夏などである。黛は石立に憧れるのだが、同僚の生田の恋人とわかり失恋するのだ。黛は64年、16歳で本名の渡辺順子でデビューしているがパッとせずに、67年に石原プロに移籍。芸名を黛ジュンとした。「黛」はファンだったという黛敏郎から取ったもの。作曲家の三木たかしは実兄であるが、次のシングルである「夕月」で初めて曲提供を受けている。ちなみに、「天使の誘惑」のB面である「ブラック・ルーム」の編曲渡辺たかしは三木の変名である。改名第1弾の「恋のハレルヤ」が大ヒットし、人気歌手となった。芦野宏は本業がシャンソン歌手だが、当時は人気ドラマ「コメットさん」に出演していた。映画出演は本作だけのようである。
石立に戻るが、68年のもう一作は「若者たち」である。テレビで人気だった「若者たち」の映画版で、スタッフ、出演者はテレビ版とほぼ同じ。俳優座主導で制作されるが、自主上映という形で公開されている。監督の森川時久はフジテレビのディレクターで、ドラマの演出も担当していたが、本作で映画監督デビューとなった。主演の佐藤五人兄弟は田中邦衛(太郎)、橋本功(次郎)、山本圭(三郎)、佐藤オリエ(オリエ)、松山省二(末吉)。松山が四郎でなく末吉なのは、最後の子供と決められたからだろう。佐藤オリエは役名と同じだが、役名を芸名にしたわけではない。俳優座養成所で石立と同期であり、そのまま俳優座に入団し、63年には映画・ドラマデビューしているので、役名の方を本人の名に合わせたのである。共演は小川真由美、栗原小巻、大滝秀治、江守徹、井川比佐志などで、いずれもドラマ版に出演している(同役がどうかは不明)。石立は戸坂という被爆者で足が不自由な青年を演じており、オリエが彼に惹かれていくということになるようだ。おそらく映画版のオリジナルキャラと思われる。自主上映という形でありながら観客動員は150万人を突破したという。
続編の「若者はゆく-続若者たち-」(69年)は松竹の配給で、続く「若者の旗」(70年)は若者たち全国上映委員会の配給となっており、違う形態となっている。五兄弟と石立は引き続き出演しているが、他は木村夏江、大塚道子、夏圭子などになっている。

石立鉄男の出演映画 その3

引き続き、石立鉄男である。
67年はまず日活の「愛の渇き」に出演。原作は三島由紀夫で、脚本の藤田繁夫は後の藤田敏八である。主演は浅丘ルリ子で未亡人の役である。共演が山内明、中村伸郎、楠侑子、小園蓉子、小高雄二などで、石立の役は彼女の家に出入りする園丁。わかりやすく言うと庭師である。大雑把に言うと、ルリ子は石立に惹かれるのだが、彼はお手伝いさん(紅千登世)を妊娠させてしまう。ルリ子は彼を鍬で撲殺するのであった。というような話だが、原作を読んだことはないので違いはわからない。三島自身は本作をよい出来栄えであると評価していたようだ。実は66年の春には完成していたのだが、当時の日活は青春・アクション路線が中心であり、内容も難解であったため公開は1年延期されている。紅千登世は他に武智鉄二監督の「黒い雪」や「戦後残酷物語」等に出演していた。
この年は他に松竹作品三本に出演している。まずは「恋をしようよ・カリブの花」。主演は三田明、早瀬久美で、他に田辺靖雄、中村晃子、田代みどり、ケン・サンダース等で、石立は三田のかつての少年院仲間で、その兄貴分が菅原文太である。三田はすっかり更生しているのだが、石立はまだワルであるというような設定だ。文太はポスターに名が載っていないようで、脇役だった松竹時代の立ち位置が見える。「カリブの花」は三田の最新シングルのタイトルでB面が「世界の街で恋をしよう」であった。
「さそり」と言えば、東映で梶芽衣子のイメージだが、これは松竹であり主演は石立とは俳優座養成所での同期生である佐藤友美だ。佐藤はこれが映画デビューになるらしい。石立は、その彼女の相手役なのである。ちなみに彼女は養成所卒業後は劇団三期会に所属、そして松竹の専属となったのだ。
共演は伊藤雄之助、露口茂、加藤武、菅井きん、加賀まりこ、何故かクレージーキャッツの桜井センリ、石橋エータローのピアノコンビがチョイ役で登場する、当時のポスターにはセクシーな佐藤の背後により大きな加賀まりこの姿が。しかし加賀の役は「飲み屋の女」 であり、さほどストーリーには絡まないと思われる。露口は山村ならぬ山下刑事の役だが、「山さん」と呼ばれているかどうかは不明だ(未見)。
「智恵子抄」と言えば、高村光太郎の詩集だが、その映画化である。「詩集の映画化?」と思ってしまうが、テレビドラマ化、ラジオドラマ化、戯曲化などされている題材なのである。正直、しっかりと読んだことがないのでイメージが沸きにくいが。
映画化は57年に東宝で山村聰、原節子のコンビでされているが(プロデューサーは東宝特撮でお馴染みの田中友幸)、今回は二度目となり、佐藤春夫の「小説智恵子抄」も原作として使用されているという。この松竹版の主演は丹波哲郎(光太郎)と岩下志麻(智恵子)。文芸作品とは思えないコンビだが、岩下は当時26歳で、もちろん「極妻」ではない。前年に結婚して「人妻」ではあったが。共演は佐々木孝丸、中山仁、加藤嘉、岡田英次、平幹二朗、島かおり、南田洋子、金子信雄など。石立は「犬吠の太郎」という役だ。
もう一本は東宝(宝塚映画)の「父子草」。主演は渥美清だが、松竹作品ではない。共演は淡路恵子、星由里子、大辻伺郎、浜村純など。石立の役は渥美の年の離れたケンカ友達といった感じだろうか。登場人物は少ないが、準主約的な役柄だ。脚本は木下恵介だが、監督は丸山誠治である。、

石立鉄男の出演映画 その2

続けて石立鉄男である。前回書き忘れたが、石立が「夜明けの刑事」の相馬課長役を降板した際、翌週から課長代理として登場したのは「仇討」でその兄を演じた神山繁(石田警視)であった。あくまでも代理なので、四回のみの登場だったが、その後正式に課長となったのは「血とダイヤモンド」で石立を含む四人組強盗のリーダーを演じた佐藤允(柴田警部)だった。故意か偶然か石立が映画デビュー時に関わった役者だったのである。
話を戻して65年の出演映画はまず石原プロ製作、日活配給の「城取り」がある。日活では少なく、裕次郎自身も出演は多くない時代劇で本作が初でもあるようだ。主演はもちろん石原裕次郎。その仲間となるのが千秋実、中村玉緒、芦屋雁之助、そして石立鉄男だ。石立が演じるのは伊賀の抜け忍である木こりの彦十。タイトル通り彼らが伊達家の多聞山城を奪取するというお話。彼等にとって敵方となるのが近衛十四郎、今井健二である。他に松原智恵子、藤竜也、藤原釜足、鈴木やすし、内藤武敏、滝沢修らが出演。ちなみに中村玉緒は(大映)、近衛十四郎は(東映)、藤原釜足は(東宝)、芦屋雁之助、雁平には(劇団喜劇座)と名の横にクレジットされている。石原プロだから実現したキャスティングなのだろう。これらにまだ無名だった石立が主要キャストで混じっていたわけである。
本作は当初の予定から変更されたキャストが何人かおり、今井健二の役が宍戸錠、松原智恵子の役が緑魔子となっている映画サイトもある。またwikiではノンクレジット出演とされている郷鍈治、上野山功一は実際に出演しておらず、それぞれ柴田新三、河瀬正敏に変更されているようだ。やはりノンクレジット扱いになっている榎木兵衛は普通にクレジットされているが、巻頭ナレーターの二谷英明はノンクレジットのようだ。裕次郎映画に詳しいサイトに実際のクレジット画像が載っており、キャスト解説もあったりするので、前述の解釈で正しいと思う。
65のもう一本は松竹の「ぜったい多数」である。曽野綾子原作の青春もので、主演は桑野みゆき、田村正和で、早川保、中村晃子、伊藤孝雄、吉村実子、北村和夫、内藤武敏らが共演。いしだあゆみや倍賞千恵子も「女リーダー」の役で出ていたりする。吉村実子の(同棲)相手役は石立ではなく早川である。
66年に入ると、大映の「殺人者」に出演。通算五本目の映画出演なのだが、配給をみると東宝、東映、日活、松竹、そして今回の大映と五本で大手五社を制覇しているのである。まあ専属俳優でないからこそ、できるワザである。まあ狙ったわけではないだろうが。
さて「殺人者」だが、舞台は北海道で(ほとんど室内劇だが)、小樽郊外の別荘に厳格な父(有馬昌彦)に「幽閉」された安田道代(後に大楠道代)の元に隣の別荘で殺人を犯した石立が逃げ込んでくる(殺されたのは江波杏子)。やがて二人は惹かれ合うようになるが、そこに警察(宇津井健)の手が迫るといったお話。個人的なことを言えば、中学だか高校生だったか忘れたが、日曜の夕方くらいに地上波でやっていたのを見た記憶がある。もちろんアフロではない二枚目な石立の印象が残っていたりするのだ。他に早川雄三、神田隆、藤山浩二など。「恋する年ごろ」(松竹)は三田明、早瀬久美主演の歌謡映画。三田はR大音楽部のリーダーで交際相手が早瀬。三田のライバルがS大の音楽部リーダー石立で、その相手役が市川瑛子である。他に久保浩、柳沢真一、牟田悌三、佐野周二など。市川瑛子は61年のミス平凡(当時15歳)。65~66年に松竹映画数本に出演。歌手活動も行っていたようで、70年に「夜のヒットスタジオ」にも出演したらしいが、それ以降の活動記録は見当たらない。
 

 

石立鉄男の出演映画

今回からは、鈴木ヒロミツと「事件狩り」「夜明けの刑事」で共演した石立鉄男である。
石立は、ホームコメディドラマの主演俳優というイメージが強いが、映画も数は少ないが出演している。
石立鉄男は42年生まれで本名である。男五人兄弟の四男で、弟の和男も一時期俳優だった。19歳の時に役者志望の友人が俳優座養成所を受けると聞き、興味本位で受けたところ約35倍の狭き門をくぐって合格してしまったという、付き添いで行ったら合格したというアイドルのようなエピソードがある。特に役者になるつもりはなかったが、合格発表を見に来ていた佐藤オリエを見かけて、「こんなきれいな子が入るなら」と入所を決めたという。
61年俳優座養成所13期生として入所。同期は佐藤オリエ、佐藤友美、真屋順子、結城美栄子、加藤剛、勝部演之、新克利、横内正、細川俊之などがいた。中では細川、笹岡勝治と3人で民家の四畳半を間借りして過ごした時期があるという。63年のテレビドラマ「愛情の系譜」でデビュー。続く「まごころ」では早くも主演に抜擢されている。同年の「夏」というドラマでも主演で、後に結婚することになる吉村実子はその相手役であった。吉村によれば、汚い格好で現れた石立の第一印象は最悪だったが、本読みで一気に印象が変わりその才能に惹かれたという。まもなく押し切られる形で交際が始まったと語っている。
64年、養成所卒業後は文学座に進んだ。この年宝塚映画(東宝)「血とダイヤモンド」で映画デビューを果たしている。神戸税関からダイヤモンドの原石が四人組の強盗によって奪われる。佐藤允がリーダーで、藤木悠、砂塚秀夫、そして石立がその仲間だ。田崎潤率いる一味もその原石を狙っており、それらの計画を察知していたのが悪徳探偵の宝田明で彼が本作の主役だ。刑事役が夏木陽介、内田朝雄で、医者役に志村喬、他に水野久美、中川ゆき、伊藤久哉などが出演している。東宝の人気俳優が並ぶが、石立はオーディションで最後に決まったという。余談だが、本作ではガレージのセット(宝塚撮影所)から火災が発生。けが人などはなかったらしいが、そのステージは燃え尽きてしまった。別のステージにセットは立て直されたが、燃えたステージは再建されず、撮影所が縮小されたという。
64年はもう一本、東映の「仇討」に出演。主演は中村錦之助で、ひょんなことから上役だった神山繁を斬ってしまい、その弟・丹波哲郎に勝負を挑まれこれも斬ってしまう。その末弟が石立で、慕っていた錦之助を仇討しなければならなくなる。その仇討には六人の助太刀が手配されていた、というようなストーリー。他に田村高廣、進藤英太郎、小沢昭一、加藤嘉、佐々木愛、三田佳子など。そういえば、錦之助も石立と同じく男五人の中の四男だ(正確には女五人を含む10人兄弟)。前述のドラマ「まごころ」で石立の相手役が佐々木であった。
65年、NHKの単発ドラマ「ふりむくなマリー」で、吉村と再び共演。共に日米のハーフという設定で石立と吉村の二人だけの会話劇ドラマだったようである。「横浜港にて録画」とサブタイのようなものが付いている。二人が交際中と知っていてのキャスティングではないと思うがどうだろうか。ちなみに、吉村の姉は芳村真理である。

鈴木ヒロミツの出演映画 その4

鈴木ヒロミツのラストである。
80年代前半は、それまでに比べると何故か映画出演本数が多くなる。
まず、81年は「スローなブギにしてくれ」「ねらわれた学園」という2本の角川映画に出演している。
「スローなブギにしてくれ」は片岡義雄原作、監督は藤田敏八。主演は浅野温子で、共演は古尾谷雅人、山崎努、原田芳雄、竹田かほり、赤座美代子、伊丹十三など。鈴木の役は室田日出男のスナックの常連という役で、前回取り上げた「さらば映画の友よ」と同じ構図になっている。他の常連役が岸部一徳、きくち英一。敬子役は浅野裕子という人だが、ゆうこではなくひろこであり、勿論浅野ゆう子とは別人。映画出演はこれ1本だけであり、モデル出身だが主に作詞家として活動していた。79年「蘇える金狼のテーマ」の作詞が彼女であり、その縁での出演だろう。そういえば「あさのあつこ」という作家もいるが、本名(浅野敦子)だから仕方ない。南佳孝の主題歌が印象に残っている。
「狙われた学園」は眉村卓原作のSFで、監督は大林宣彦。主演は薬師丸ひろ子で、本作はSFというより薬師丸の「アイドル映画」として構想されたという。相手役は一般公募で慶応義塾高の高柳良一が選ばれた。その最終候補には同校一年先輩の中川勝彦もいた(同級生役で出演)。マルチタレントとして活躍するが、白血病で32歳の若さで急逝した。彼の遺児が中川翔子である。
他の出演者は、長谷川真砂美、手塚真、峰岸徹、ハナ肇、山本耕一、赤座美代子、三浦浩一、大石悟郎、岡田裕介など。大山のぶ代、青木和代といったダミ声が特徴の声優が主婦役で出演。原作の眉村卓は校長先生役、鈴木ヒロミツは店員役で登場する。松任谷由美の主題歌「守ってあげたい」が大ヒットした。
81年はもう1本「日本フィルハーモニー物語 炎の第五楽章」に出演している。タイトル通り日本フィルハーモニー交響楽団をドキュメント的に描いた描いた映画で、出演は風間杜夫、田中裕子、浜田光夫、内藤武敏、中野誠也、長塚京三、長谷直美、志村喬などで、鈴木は楽団員の一人(多分)で出演。志村は本作が遺作となっている。
82年は三本。「ロングラン」はサンリオフィルム製作で、配給は東宝。日本人青年がローラースケートで米大陸7000キロを横断したという実話を基にした映画。主演は永島敏行で、彼に同行するライターが鈴木で、カメラマンがかとうかずこ。日本人出演者は他に宇田川智子くらい。映画ではチョイ役がほとんどの鈴木だが、本作ではメインの一人だ。監督を務めたのは本来はフォトジャーナリストの吉田ルイ子。本作の評判は芳しくないようで、吉田の映画監督作品はこれのみである
「えきすとら」(松竹)の主演は武田鉄矢、石田えり。タイトル通り、二人はスターを夢見ながらエキストラをしている。鈴木はその友人の助監督役で、ポスター上は三番手に名前がある。他に乙羽信子、田中邦衛、宮下順子に加え、清水アキラ、アパッチけん(中本賢)の「ハンダース」コンビや岸部一徳、シローの岸部兄弟も出演している。
「三等高校生」(東宝)は製作にジャニー喜多川の名がある、ということはジャニーズ映画で主演は「たのきんトリオ」の野村義男。失礼ながら彼が単独主役の映画ってあったんだなって思ったりする。他に田中邦衛、岡田奈々、樹木希林、川崎麻世、早見優、荒井注、西村晃などで、シブがき隊(薬丸裕英、本木雅弘、布川敏和)が特別出演。鈴木は先生の役である。

鈴木ヒロミツの出演映画 その3

続けて、鈴木ヒロミツである。70年代後半は話題作に出演していることが多いが、大きな役はないという感じである。
75年の続きだが、東映「トラック野郎・御意見無用」に出演。人気シリーズの第1作である。元々は穴埋め的に作られた作品でシリーズ化の予定もなかったが、まさかの人気で急遽シリーズ化が決定。結局79年まで全10作が作られた。
説明不要だと思うが、主演の菅原文太、愛川欽也の他、中島ゆたか、夏純子、佐藤允、夏夕介、湯原昌幸、春川ますみ等がメイン。鈴木はトラック野郎の一人で「さすらいの童貞」の異名を持つ。張摩良治が本名らしい。
松竹ドリフの最終作「正義だ!味方だ!全員集合」。67年から続くシリーズで、東宝の5作品と合わせると通算16作目になる。荒井注は74年に脱退したので、既に志村けんが正メンバーとなっている。ドリフターズ以外の出演者は榊原るみ、ミヤコ蝶々、金子信雄、伊東四朗、財津一郎、笑福亭鶴光、キャンディーズなど。鈴木はポスターに名前はあるが、顔は出ていない。石毛という役だが詳細は不明だ。
76年は「夜明けの刑事」「火曜日のあいつ」といったテレビドラマに専念したのか映画出演はなく、77年に飛び「人間の証明」に出演している。本作は76年の「犬神家の一族」に続く角川映画第2弾。大量のテレビCM、映画と音楽、出版によるメディアミックス戦略によって観客を動員したのである。配給は東映洋画で、名前通り東映の1セクションで主に洋画を配給していた(今は廃止)。
主演は松田優作、岡田茉莉子、ジョージ・ケネディで、他に坂口良子、高沢順子、范文雀、夏八木勲、岩城滉一、ハナ肇、加えて特別出演で三船敏郎、脇役は20年ぶりという鶴田浩二、「コンバット」のリック・ジェイソンなんかも出演している。また原作の森村誠一、社長の角川春樹や露木茂、小川宏、深作欣二といった俳優ではない面々も顔を出している。鈴木ヒロミツだが、喫茶店のボーイ役で、同ウェイトレスがアイドル歌手のシェリーである。シェリーはどう見てもハーフだが、フランス人の父親は彼女の生後まもなく死去。まもなく母は日本人と再婚し、安部玲子として育ったため、本人はハーフだと知らなかったらしい。ちなみに、主演は当初渡哲也を考えていたというが、スケジュールの都合などで松田優作が選ばれた。角川春樹の意向が大きかったらしい。
79年の「戦国自衛隊」も角川映画。主演である千葉真一の芸能生活20周年記念作品でもある。21名の自衛隊員がヘリや戦車ごと戦国時代にタイムスリップしてしまうという半村良原作のSF。速水亮の項で取り上げたので、簡単に書くが鈴木は自衛隊員の一人で、中ではにしきのあきらと親しいが、割合早い段階で死んでしまう役である。
79年はもう1作あり、キティ・フィルム製作「さらば映画の友よ インディアンサマー」。主演は川谷拓三で、共演は重田尚彦、浅野温子、山口美也子、トビー門口、石橋蓮司、室田日出男、原田芳雄など。予告だけ探してみたが、ヒロインの浅野は当時18歳のはずだが大人びている。重田は19歳の浪人生という設置らしいが、そうは見えない(当時24歳)。鈴木ヒロミツはどうやら室田がやっているコーヒーハウスの常連客らしいが、さほど話には絡まないようだ。