沢田研二の出演映画 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

沢田研二の出演映画 その2

引き続き、沢田研二である。
74年末に、沢田個人としては初の主演映画である「炎の肖像」が日活系で公開されている。監督は藤田敏八である。当時の日活はロマンポルノが主軸であったが、たまに一般映画が制作されることもあった。
沢田が演じる主人公・鈴木一郎ならぬ鈴木二郎は人気ロック歌手で愛称はジュリーである。つまりは虚構と現実が混在しているような作風となっている。共演は秋吉久美子、地井武男、大門正明、中山麻里、原田美枝子、悠木千帆(樹木希林)、朝丘雪路、佐野周二などで、加えて内田裕也や井上堯之バンド(井上、大野克夫、岸部一徳など)の面々も顔を見せている。
75年にはザ・ピーナッツの姉の方伊藤エミと結婚。年齢は伊藤が7歳上で、妹のユミの方は生涯独身だった。きっかけは不明だが同じ渡辺プロに所属しており、出会う機会は多かったであろう。また沢田はタイガース時代から作詞や作曲を行っており、他の歌手にも提供していた。ザ・ピーナッツにも曲の提供を行っていたので、そこからより親しくなっていったことも考えられる。提供曲のほとんどがアルバムの中の一曲とかであるが、アン・ルイスの「ラ・セゾン」はシングル曲として大ヒットした。ちなみにその作詞は三浦百恵(山口百恵)である。
その結婚直後にスタートした沢田主演ドラマが「悪魔のようなあいつ」である。全17回で原作は「同棲時代」の上村一夫。68年に発生した三億円強奪事件だが、この75年12月に時効が成立することになっていた。その犯人こそが沢田演じる可門良という設定だ。妹役の三木聖子は渡辺プロ入社2カ月での抜擢で、もちろんデビュー作。歌手としても同時期に「まちぶせ」でデビューした。「まちぶせ」は81年に石川ひとみがカバーシングルとして発売し、大ヒットした。
他の出演者は藤竜也、荒木一郎、安田道代、篠ヒロコ、金田龍之介、ディック・ミネ、伊東四朗、尾崎紀世彦、樹木希林、細川俊之、そして若山富三郎など。岸部修三(一徳)、大口広司、デイブ平尾といったGS仲間も出演している。岸部はこの時期に井上堯之バンドを脱退し、俳優に転向していく。また本作の主題歌として使用された沢田の「時の過ぎゆくままに」が大ヒットしている。
翌76年は映画「パリの哀愁」に主演。制作は所属の渡辺プロ(配給は東宝)で、フランスを舞台にしている。相手役のフランス人女優クローデーィヌ・オージェは「007サンダーボール作戦」(65年)ではボンドガールを演じている。他の共演者は浅野真弓、大口広司、大滝秀治など。
一方で、この76年は暴行事件(不起訴処分)を起こし、賞レース等を辞退しているが、翌77年の「勝手にしやがれ」が大ヒットし、日本レコード大賞、日本歌謡大賞を独占している。ここから、ヒット曲連発の歌手としては一番の充実期に入ったこともあり、77~78年の演技仕事は「七人の刑事」のゲスト出演くらいである。