2011/11/4
【セシウム133原子の基底状態の2つの超微細構造準位の間の遷移に
対応する放射の周期の91億9263万1770倍の継続時間】
時間の単位「秒」の定義です。
時間(S)は、長さ(m)、質量(kg)、電流(A)、熱力学的温度(K)、
物質量(mol)、光度(cd)とともに、国際単位として世界で共通に
通用する単位です。
平方メートル、坪、アール、エーカー、ドゥナム、甲・・・。
広さを表わす単位は世界共通というわけではありません。
日本国内ですら、平方メートルや坪、畳、町、ヘクタールなどが混在
し、適宜使い分けているのが実情です。
坪を平方メートルに換算するのには3,3058を掛け、その逆の場合には
0,3025を掛けるなどいちいち計算しなければなりません。
1町は何平方メートルかを即座に答えられる人など、ほとんどいないで
しょう。
最初に世界共通の単位となったのは「メートル」です。
「メートル」は1795年フランス革命の中で革命政府が作り出しました
が、欧州各国での「メートル条約締結」に至ったのは1875年。実に
80年を要してようやく世界共通単位第1号が誕生したのです。
(『面白くて眠れなくなる数学』桜井進著より)
さらに130年以上をかけて世界共通単位となっているのは先にあげた
7つだけということになります。
国境や文化を越えて共通の価値基準を持つことが、どれほど困難な
ことなのかを示す証拠と言えるでしょう。
当初【地球の北極から赤道までの子午線の長さの1000万分の1】と
定義されていたメートルは、現在【1秒の2億9979万2458分の1の時間
に、光が真空中を進む距離】と変更されています。
原子時計など、テクノロジーの進歩によって単位の精度は格段に高く
なりましたが、世界共通単位の数を増やすスピードはいっこうに上が
りません。
円高だのユーロ安だの、めまぐるしく変わる為替相場に翻弄される
仕組みが解消され、通貨にも安定的な世界共通単位が使用されるよう
な日がやってくるなどというのは、しょせん子供じみた夢にすぎない
のでしょうか。