業務連絡で~す。
本日、個人のスマホを自宅に忘れて来て
しまいました~(汗) 緊急の連絡等は、
私の、会社スマホの方へ、どうぞ。
業務連絡で~す。
本日、個人のスマホを自宅に忘れて来て
しまいました~(汗) 緊急の連絡等は、
私の、会社スマホの方へ、どうぞ。
久々に、印刷技術の話ではなく、単なるブログで~す。 (かな?(笑))
最近、腕時計にツキが有りません。もともと、機械式時計(自動巻き)とか
オートマチックとか言われてる物が好きなんですが、これ今時の、いわゆる
クオーツ時計と比べたら、メチャメチャ精度が悪いんですよ。1日に10秒位、
平気で狂います。(クオーツ時計なら、ひと月単位でも、そんなに狂わない)
機械式時計は、腕に付けて、腕を動かす事でネジが巻かれる機構ですから、
机の上に置きっ放しだと、二日ほどで止まってしまいます。今時はソーラ機構
とか言って太陽光で動く物や、電波時計とか言って電波を拾って時刻合わせ
を自動的にする物まであるのに、何でこんなに不便な機械式時計を・・・?
まぁ、要するに腕時計マニュアなんですね。もともと機械物が好きだってのも
有るんですが手間が掛かるから楽しいんですわ。ロレックスとかの超高級な
腕時計は、全部、この機械式時計ですもんね。・・・んでもねぇ、この機械式の
腕時計、磁気に弱いんですよ。磁石の近くとかで、時計が磁気を帯びてしまう
とね、時計内の小さな部品が磁石に成ってしまって、大きく狂う様に成る。
最近はねぇ、スマホのスピーカーとか、パソコンのスピーカーとか電化製品の
ほとんどに磁気が使われてますから、「磁気に近付けるなッ!」ってのが無理
なんですよね~。私のタ〇ホイヤーって言う腕時計も、磁気にやられてしまい、
1日で1時間以上、進む様に成ってしまいました。まだ保証期間内だったので、
メーカーに送って修理したんですが、「強い磁気を帯びています」との事。
1ヶ月の修理期間を要して手元に戻って来たんですが、この時すでに、2時間
進んでしまっていました。・・・ん?これダメなんじゃないの?と、時計店に電話で
問合わせると、「もう一度、メーカーに修理に出します」と。 おい、おい、おい!
ふざけるんじゃないよッ!この時計のプロである、メーカーの修理人が直した
のに、直す前と同じ状態で、オレの手元に返って来るって、どう言う事ッ!
タ〇ホイヤーって言うメーカーの職人は、プロとしての意識が無い連中なのか!
・・・などと、成田節の大炸裂です~(笑)。今現在、再修理中ですが、プロ意識が
欠如したメーカーは信頼出来ないので、もう、タ〇ホイヤーは買いません(笑)。
んで、タ〇ホイヤーと同じ、スイスの時計メーカーで、モーリスラ〇ロアってのが
有るんですよ。値段設定が低く、大人しい感じの時計なので、仕事用にと、つい
買ってしまったのですが…。これがまた、非常に造りが、お粗末。まぁ安いからね
仕方ないんですが「これがスイス時計職人の仕事かッ!」って言いたく成ります。
スイスと言えば、ロレックスを筆頭に、超高級時計のメッカなんですが、最近は
スイスでも、良い時計職人の育成が出来てないのかなぁ~。等と考えてしまい
ます。職人ってヤツは、簡単に育成出来るもんじゃないですもんね。
スイスが、揺るぐ事の無い、世界一の腕時計王国であるのと同じでね、日本は、
誰が何と言おうとも、印刷技術、印刷品質では、間違いなく世界一なのですよ。
グーテンベルクのドイツや、オフセット印刷誕生のアメリカなんぞ、そんな所とは、
大~きく差を付けて、世界一!なんですわッ。
でもね、その日本の印刷技術ってヤツも一昔前と比べたら、ずい分、質が落ちて
しまっています。これは本当に何とかせんと、アカンのです。「・・・そう言うけどさぁ、
印刷って、ネットとかに取られて、どんどん仕事が減って行ってるじゃない。今更、
若手の技術者を養成とかしても、それって、どうなのかなぁ??」
いやいや、今だからこそ、優秀な技術者が必要だと思うんですよ。
今の時代、腕時計だって同じですよ。スマホが有れば、腕時計なんて無くても、
時間も日付も分かる。腕時計を持つ意味なんて無いんです。でもね全世界的に
見ても、多くの著名人達は、100万円も、300万円もする様な腕時計をしている。
スイス製の機械式・高級腕時計ってヤツはね、一つの「ステータス」と言う地位を
獲得し、本来なら不必要かも知れない物を、素晴らしい物へと昇華させています。
印刷だって同じです。需要は少なく成るかも知れない。しかし、本当に良い物は、
未来永劫、「紙媒体」として、他の物には代えがたい「ステータス」を築いて行ける
物だと思うんです。その時に、優秀な技術者が居なければ、それを超高級品へと
昇華させる事が出来ないんですよ。
機械式腕時計ってヤツは「古き良き時代の遺物」かも知れません。でもね、本当に
良い物は、永遠に生き残り、その地位を、いつまでも高めて行く事が出来るんです。
印刷物も同じ。使い捨てられる物ではなく、本当に良い物、捨てられない印刷物を
造り、印刷物と言う地位を高めて行ける可能性を持っているのです。そうした事を
実現させて行く為には、機械式腕時計の世界でも、我々、印刷の世界でも、本物の
技術者って人の存在が必要不可欠なんですわ。
物事に対する、コダワリってのは、本当に人それぞれですよね~。
私の場合だと、ギター、腕時計、カメラなんてのが好きですから、こいつ等は、
少しでも触れたら、指紋一つ残さないよう、即座にピカピカに磨き上げます。
でも、それとは逆に、スマホへの思い入れは無いので、スマホの画面が指紋
で汚れてても、こりゃ全く、何も気に成らないんですよ~(笑)。
そんな人間ですから、現役の印刷機オペレータだった時は、コダワリだらけで、
本当に凄かったですよ(笑)。まずフィーダー(給紙)。自称「フィーダーの神様」
って言ってるくらいですから、朝一から最後の仕事まで、フィーダー停止なんて
ことは絶対に許しません。紙ってのは止まらずに出て行くのが当り前なんです。
それを、一度でも止めるなんて事は、こりゃ有っては成らんのですよ~。
んで、デリバリィ(排紙)。板取板なんて物は持ってませんので、油性の厚紙でも、
ユポでも、何でも、とにかく棒積み(ユポ・FGSは3千枚が限界でした)。パウダー
で白く成るのは大嫌いなので、パウダーは極少しか吹かない。んでもって、紙の
揃いが悪いのは、これまた大嫌いなので、デリバリィに積み上がる紙は断裁機で
切った直後の様な状態で、ビッシリと揃える。私が刷った印刷物は、どんな薄い
紙でも、あえて揃え直す必要は無く、そのまま断裁機に突っ込んで断ってました。
紙を意のままに扱うって言うのは、印刷オペレータとして、最低限の条件だと、
初心者の頃から考えてましたので、給紙と排紙部分に関するコダワリはメッチャ
厳しかったんですよ。 ・・・50歳を過ぎて、工場長として赴任した印刷工場。
菊半才の印刷機。デリバリィで、グッチャグチャに積み上げられて行く印刷物。
パウダーを鬼の様に振って、それでも尚、超少量づつ、板取りをして行く。
今時、こんなヘタクソが居るのか~と、感動しましたわ。しかも、そんなヤツが、
今日から私の部下に成るワケですよ。これが高齢者なら、即座に配置転換して
たと思うんですが、私より、はるかに若い子なんですよ。こりゃ、工場長としては
何とかせにゃ成らんワケですわ。とりあえずは、話を聞いてみようと、徹底的に
会話をする事から始めたんですが、まぁ、ヘタクソなヤツは、とにかく「言い訳」
が多いですなぁ。「あれが、こうだから、しょうがない。あれもアカンからダメだ」
・・・違うだろ。他の何かが悪いなんて事はな、一つも無いんだよ。全ておまえが
ヘタクソだから、アカンってだけの事だ。おまえは、おまえなりに努力したって
事だけは認めてやるよ。あそこにも、ここにも工夫の跡が伺える。でもな、全て
間違った工夫なんだよ。最初の基本が間違ってるから、どんな応用をしたって、
決してウマく行かない。これじゃ、全く話に成らんよ。
「どうしたらイイですか?」・・・せめて、オレと対等に話せるところまで勉強しろ。
専門用語を覚えろ。と言うより、1級技能検定試験に合格しろ。「ええッ!」
オレは、技能検定試験の先生だぞ。そのオレと毎日、顔を合わせるんだから、
おまえは、超~恵まれてる。次の試験で、一発合格してみせろ!
何度かは質問攻めに合いましたが、彼は本当に自分の力で一発合格しました。
自分自身が、国家資格を持った印刷技術者なのだ!と言うコダワリを持つとね、
走破しなきゃ成らない、様々な道が、目の前に広がって来るんですわ。それらを
一つ一つ、踏破して行く事で、人は飛躍的に成長して行きますね。
もう、数年間、彼に会っていませんが、次に会うまでに、どれほどの腕にまで
成長しているのか、とても楽しみに思っています。 頑張れッ!Y 君!
最近ね、高感度UVインキを使う時に、一番、軟らかいインキを使うだとか、
それでも気に入らないので、一番軟らかいインキを、更に軟らかくして使うだとか
言う話を、ちょくちょく耳にする様に成ったんですわ。まぁ、工場環境とか、様々な
条件の違いは有るかと思うんですが、それってね、決して良い事ではないですよ。
前にも書きましたが、高感度UV機のオペレータさんってね、油性機出身の方が、
ほとんどかと思うんですよ。長年、油性のインキだけを触って来た人が、初めて
高感度UVのインキを触ると、「なんやコレッ!メッチャ硬いやんけぇ~ッ!」って
成るかと思います。そんな時に、ピッキング(紙剥け)とか、ヒッキーとかが頻発し
てしまうと、「やっぱ、コイツ硬過ぎやでぇ~」と、成ってしまいますわねぇ。
「ヘラ当り」っていう言葉が有ってね。インキをヘラで触った時、触ったオペレータが
硬い!と感じるか、軟らかい!と感じるかは、この「ヘラ当り」って言う、手触りの
感覚で決められてしまう場合が多いかと思うんですよ。油性インキと高感度UVの
インキを比べた時、一番大きな違いは、フロー(流れやすさ)なんですわ。
例えて言うなら、油性インキは「蜂蜜」の様に、ドロドロと流れる感じ。それに対して、
高感度UVインキってヤツは、マーガリンかバターの様に、ボソッとした感じで、流れ
難いですよね。この流動性の良し悪しが、ヘラ当りに対して、メッチャ影響してしまう
ので、油性インキに比べて、高感度UVインキは「硬い!」って言うイメージを持って
しまいがちなんですが、実はね、それはチョッと違うんですわ~。
一般的に、硬いインキってのは、イコール、ピッキングが起きやすい。って成るかと
思うんですが、実は、ピッキングを起こす一番の要因は、インキの「タック」(粘り気)
なんですよ。このタックってのは、全体的なインキの硬さとは無関係だって言う話は、
以前にも書いたんですが、油性インキと高感度UVインキってのは、まさに、コレなん
ですわ。ヘラ当りで軟らかいと感じる油性インキでも、けっこう、タックが高かったり、
ヘラ当りで硬いと感じる、高感度UVインキでも、タックの低い物も有るんですわ。
油性インキは「油」で作られてるから流動性が良い。それに対して、高感度UVインキ
ってのは、「硬化開始剤」って言う「粉」が多目に入ってます。「油」対「粉」ではねぇ、
こりゃ、ヘラ当りに大きな差が出るのは当たり前ですよね。ですから、ヘラ当りだけで
判断してしまうと、軟らかめの高感度UVインキを選択する事と成ったり、それだけじゃ
まだ気に入らないので、添加物を入れて、より軟らかくしてしまったりって具合です。
でもね、再三書いている様に高感度UVってヤツは、水幅が狭く、良好な許容範囲が
本当に狭いんですよ。そんな状態なのに、軟らかめのインキや、それを、より一層、
軟らかくして使ってしまったら、こりゃ簡単に汚れが出てしまいます。その汚れを防ぐ
ために、湿し水が多目に成ってしまう。多目の水で、網点の素抜けが出たりだとか、
チリ汚れが止まらなく成ってしまったりとか、こりゃ、負のスパイラルへの扉を、自ら
開けるようなものなんですわ。
「いやでも、高感度UVはインキを軟らかくしないと、ベタのツブレが悪いし、ヒッキー
も出やすいから、やっぱり軟らかめを使うべきじゃないの?」 ・・・う~ん、確かにね、
高感度UVのベタって、あまり良くない物が多いですよね。でも、それって、ブランの
問題も大きいんですよ。高感度UVは、UV用のブランを使いますよね。
油性のブランで刷ると膨潤して(インキが乗った部分だけ、ブランが膨らんでしまう)
から、UV専用のブランを使う事に成るんですが、このブラン、油性の物と比べたら、
こりゃやっぱり印刷品質的には落ちます。実際に高感度UV機に、膨潤覚悟の上で
油性のブランを使ったら、ベタも網もキレイだったりしますもんね。
でもね、ブランよりも何よりも、基本的には、やはり、湿し水の使い方なんですよ。
UV用のブランでもね、湿し水をシッカリ絞ってやれば、ベタも良く成りますし、何より
ヒッキーの出方等は、メッチャ良好に成ります。高感度UVは水幅が狭いですから、
油性よりも、メッチャ、シビアに湿し水を絞ってやる事が必須なんですわ。
その、水を絞ると言う事の為にも、硬めのインキを選択しなくちゃアカンのですわ。
軟らかいインキ使って「咬両端が汚れる~」とか言う前に、一度、硬めって言うか、
普通の硬さのインキで刷ってみて下さい。そんな汚れなんて、出やしないから。
自分が長年経験して来た油性と、高感度UVは、全く違うんだ!って言う発想を
出発点にして、とにかく、油性よりも、超~シビアに湿し水を絞るんだ!と言う
強い信念を持って、高感度UVを扱ってやって下さい。
「目を鍛える」ってな話で、書いたかと思うんですが、今、印刷している、その
印刷物のデキが良いのか悪いのか?ってのは、我々、印刷オペレータが自ら
判断するべきものなんですよ。だってねぇ、自分の印刷物の評価くらい、正しく
出来ない様では何を目標に、どう改善するべきなのか皆目分からんですよね。
「ああ、今のオレの印刷物は、ベタのツブレが悪いなぁ」とか、「諧調再現が、
全くアカンわ~」とかって事が自分で分かれば、それを改善する為に、何を
するべきか?って事を勉強して実行すればイイだけの話です。ところがねぇ、
何が悪いのか全く分からん。とか、これって何か悪いのかなぁ?なんて言っ
てるようでは、改善の第一歩すら、踏み出す事が出来ませんわね。
「印刷物A」と、「印刷物B」を並べて、どっちのデキがイイですか?なんて言う
判別はね、シロウトさんでも出来るんですよ。我々プロは、印刷物A だけを見て
「濃度が不足している。ドットゲインが激しい。10%に素抜けが目立つから水を
多く出し過ぎてしまっている」 なんて事を判別出来なきゃアカンのですわ。
例えばね、有名な画家が描いた本物の絵と、それに似せて描いた贋作の絵の
2枚を並べて、どっちが本物か?と言われても、絵に詳しくない私が見たって、
こりゃ正直、どっちが本物なのか分かりません。でもプロの絵画鑑定士ならば、
そのどちらか1枚だけを見て、それが本物なのか、贋作なのかを確実に判別し
なければ成りませんよね。それを見抜けず、贋作を高値で買ってしまったらねぇ、
こりゃ、プロとして飯を食って行く事が出来ませんわね。
先日、20年来の付き合いが有る印刷オペレータから、色調が悪いんだけど、どう
したらいいかなぁ?と言う相談を、電話で受けました。私が知る限り、彼は非常に
優秀なオペレータなので、その彼が、あえて相談して来るのであればと、かなり
高度なアドバイスして、彼も充分に納得してくれたので、そのアドバイスを反映
させて刷り上げた印刷物を、後日、実際に見せてもらったのですが…。
正直なところ、ビックリしました。・・・まぁねぇ、彼の腕前ですから、ベタは最高に
キレイですし、小さな網点の再現もバッチリですわ。でもね、4色カラーの写真の
再現性が最悪。諧調(グラデーション)が全くダメダメ。人の顔写真で言うならば、
ハイライト(一番明るい所)と、シャドー(一番暗い所)の再現はイイんだけどさぁ、
中間調がすっ飛んでしまってオバケの様な顔に成ってしまっている。
こんなヒドイ再現の印刷物を、本当に君が刷ったのッ!これがダメだって事、
君の実力なら分かるよねぇ!これ、100点満点中、20点だよッ!って言ったら、
私の印刷仲間から、「そりゃ成田さん、知り合い割り増しの点数だよ。これは、
0点の印刷物でしょ。」 などと言われてしまう程の、デキだったんですよ。
自分で刷った、この印刷物の、50%の網点、自分自身の目で見た?見てないよね。
もし見て確認してたら、50%の網点が45%に成ってしまっている事くらい、君なら、
絶対に分かるよね。50%を思いっ切りロス(細く)してしまってるから写真の中間調
が全く再現出来ていない。こんな状態で刷り出しちゃ話に成らんよねぇ。
「いや~、製版の画像処理や、刷版の出力カーブとかは、全く分からんからさぁ~」
百歩譲って、そんな事は分からんでもいいよ。だけどね、白い紙に、自分の印刷機で
色を付けた、50%の網点、その再現性は印刷オペレータである君に全責任が有ると
思わんか?その50%がシッカリ再現出来ていなければ、まともな色調再現なんて、
出来る訳が無いよねぇ。君の印刷技術が未熟だとは言わん。でもな、1級技能士と
して、このまま刷り出してしまった、君の判断は確実に間違ってるよ。
50%が50%で再現されていない。自分の印刷技術には、自信が有るだろうから、
まず刷版を疑うべきだろ。刷版係の人と相談して、それでも分からないなら、CTPの
メーカーさんに相談してみればいいだけの事だ。「いや~、ウチのプルーフ(色見本の
出力機)が悪くて、まともな色が出てないのに、それで営業が、お客さんから、OKを
もらって来ちゃうから、いろいろと苦労してるんですわ~」
おい、おい、おい、おい!おまえは、一番下っ端の新米社員かッ!そんなセリフは、
退職間際のクソオヤジか、リストラ寸前のダメオペレータが言うセリフだろうがッ!
1級技能士と言う、国家資格を持った者が、そんな事を言ってて、どうするッ!
版がダメなら、版の勉強をしろ。製版がダメなら、製版の勉強をしろ。プルーフが
ダメなら、プルーフの勉強をして、最善の方法を会社に提案する。それが国家資格
を持った者の、最低限の仕事じゃないのか?
あれが悪い、これがダメとか言っていられる立場じゃないだろ。印刷の仕事が入る、
その瞬間から、製品として出荷されて納められるまで、その印刷物の品質に関して
全ての責任を負うのが、国家資格を持った者の仕事だろ。そこまで会社に貢献する
事が出来るから、有資格者としての価値が有るんじゃないのか。
刷版係が無能だとか、営業が何も考えてないとか、そんな事は当たり前だと思え。
1級技能士の君が居るんだから、他の人達は当然の様に、君を頼るさ。君自身が
全てを仕切るんだよ。それが国家資格を持った者の責務だと思って学びなさい。
君なら、絶対にそれが出来るはずだ。
この印刷物の不出来さは、他の誰かの責任ではなく、国家資格者としての君が、
全ての責任を負うべき物なんだよ。あの印刷会社には、1級技能士が居るから、
やっぱりイイ物を刷ってくれる。本当は値段の安い印刷通販さんに出したいん
だけど、このパンフだけは、ウチの会社の顔だから、良い品質じゃないとダメ
なので、値段が高くても1級技能士が居る印刷会社に頼む事にした。
そう言う印刷物が有るからこそ、オレ達の技術力が活かされる場が有る。
そうした、お客さんの要望に応えるのが我々、国家資格者の仕事なんだよ。
これまた、ずい分昔に書いた話なんですが、私の師匠から伝授された話です。
「いいか、成田。生まれて初めて、『塩』と言う物に出会う人間が居たとしよう。
その人間に、砂糖を出して『この甘いのが塩だ!』と教えたら、その人間は、
その後、一生、塩は甘い物だと思い込んで生きて行く事と成ってしまうわなぁ」
いやいや、先生、チョッと待って下さいよ。いくら何でも、砂糖と塩が分からん
人間なんて居ないでしょう。そりゃチョッと飛躍し過ぎですよ。「じゃ聞くがなぁ、
おまえが初めて、印刷会社に入社した時、おまえは印刷に関する知識を少し
でも持っていたか?」・・・いや、デカい印刷機を見るのも初めてで、ましてや、
印刷の知識どころか、紙の知識すら皆無でした。
「だろ。その時にな、紙の話をされて、『A判四つ切の事を、A4と言う。』と教え
られたら、どうだ?」・・・何も知らない状態ですから、そりゃ信じるしかないです。
(本当はA判四つ切は、A3ですよね)「ほらみろ、砂糖を塩だと、間違った事を
教えられても、何も知らないのだから、信じるしか無いって、分かるだろ。」
・・・なるほど。
「我々、教える側の講師はな、絶対にこうした事を起こしては成らん。砂糖を
塩だと思い込んでいる人を、正しい方向に導くのが我々の仕事であって、その
我々が、砂糖と塩と胡椒を、ごちゃ混ぜに教える様な事が有ってはイカン。」
私が二十歳の時、工業指導所さん主催の、中期研修会って言うのに参加させ
て頂いていました。三か月間、毎週1回の授業で印刷全般の勉強をさせて頂い
ていたのですが、今から考えると、まぁ間違いが多かったですわ。当時、先生を
して下さったのは、役職名は忘れましたが、いわゆる、業界内のお爺ちゃん達
です。・・・当時のお年寄りは、カタカナに弱かった~(笑)。
その当時は、刷版が「PS版」に成って間もない頃でした。「PS版とは、ポスト・
センシタイズド版の略で・・・」なんて言う解説を、工業高校・印刷科の教諭の
方から教わったんですが、これは完全な間違い。「プレ・センシタイズド」って
言うのが正解なんですよ。和訳では「すでに塗布された」と成ります。
あと、おもしろかったのが、「スターターゲット」。単純に和訳すれば、星形標的
って感じですかね。「スター」で切って「ターゲット」ならば、そう言う訳に成るの
ですけれども、お爺ちゃん先生は、「スターター」で区切ってしまったんですよ。
「印刷をスタートさせる時、汚れやインキ盛り等の目安に成る指標で、この指標
が良好であれば、印刷を開始出来る。印刷のスタートをゲット出来るので、そう
呼ばれています」 なんつって語っておられましたわ。(あ、これ間違いですよ。
星の様な形をした、指標なので、スター・ターゲットです)
私自身、二十歳の時に、「塩と砂糖」を、逆に教えられてしまっている事が沢山
有ったワケです。これは21歳で、2級技能検定の勉強をしている時に気付いて
「なんや、あのジジイどもは、間違いばかり教えやがってッ!」と成ったんですが、
専門の講師や、学校の先生までもが、塩と砂糖を、教え間違ってしまっていた。
当時の印刷業界ってね、その程度のレベルだったんですよ。
専門講師や、現役の高校教諭が間違う時代ですからね、現場の先輩さん達が
間違って、塩を砂糖だと教えてしまうくらい、そんなの日常茶飯事ですわねぇ~。
一番の問題はね、間違って教えられた事に、何の疑問を持たず、信じ込んで
しまって、何年も何年も、間違いを続けてしまう事なんですよ。
例えばね、中途採用で、それまで他所の印刷現場で働いていた人が、そんな、
間違いだらけの現場に入って来たとしましょう。この人は、塩と砂糖を正しく把握
出来てる訳ですから、「なんじゃ君らはッ!何でこれを塩と、言っとるんじゃッ!」
って話に成って、正しく是正するキッカケに成り得ますよね。
ところが、新卒者しか採用しない。中途採用は一切行わない。講師等の指導も
全く受けない。と言う現場では、永遠に、砂糖と塩を間違ったまま、時が流れて
行ってしまうんですよ。・・・何度となく引き合いに出していますが、ヤレ紙千枚の
現場さんが、その典型です。
普通、印刷の立ち上げの時って、試し刷りで20枚刷って、チョッと多目で50枚
刷って見当や色調を合わせて行くじゃないですか。まぁ、ヤレ紙を100枚通して
色調の変化を見るって人も居るでしょうが、精々、その程度ですよね。
ヤレ紙千枚の現場さんは、本当に毎回、ヤレ紙を千枚通して、見当や色合わせ
をして行くんですよ。そんな事を5回も繰り返せば、既に5千枚も刷り込んでいる
事に成るのですが、何度も印刷してインキで真っ黒、パウダーで真っ白に成った
ヤレ紙を、そんな大量に通したら、こりゃ最悪ですよね。
そんな事をしてるのは日本中でも、この現場だけだよ。と、忠告しても、この現場
の人達は、長年、これを「砂糖」だッ!と信じ込んでやって来た訳ですから、今更、
「いや、これは砂糖ではなく、塩だよ。」と言われても、簡単には直りません。
「輪転機は、水を多目にしないとパイリングする」 「汚れやすかったらエッチ液を
多目に入れろ」 「インキは軟らかめの物を使った方が良い」 ・・・どれもこれも、
私に言わせれば、砂糖と塩を間違えてしまっている考え方なんですわ。皆さんも、
自分自身の手法等を、今一度、見直して、砂糖と塩を間違えてしまっていないか、
じっくり考えてみる機会を作ってみて下さいな。
ずっと昔に書いた話ですが、先日、久し振りに同様の事例を聞きました。
今後の注意の為にも、再度、書き残しておきたく思いましたので、お付き合い
下さいませ~。もしこのトラブルが発生してしまうと、大変な事に成りますので、
知っておいて、損の無い知識だと思います。
問題は、屋外貼りのポスターで発生しました。今時、屋外貼りのポスターと言えば
ユポを使うのが普通かと思うのですが、時には、コート紙に刷って、PP貼りなどの、
表面加工をする場合も有るかと思います。・・・実は、これが大問題なんですよ~。
私が経験したのは、10年以上前の話なんですが、男性で現職の年配議員さんの
選挙ポスターだったんですわ。下請け仕事だったので、発注者である他社の印刷
会社さんからの指示に、全て従わざるを得ない訳です。
コート紙に4色カラーで印刷して、その上からPP貼りをして納めると言う仕事です。
季節は真夏。屋外貼りだから、耐光インキの使用は絶対だろうと思ったのに、その
指示が記されていない。担当営業に確認してみると、予算が無いし、貼り出し期間
が短いから、耐光インキではなく、通常のインキで良いとの事。
指示通りに刷って、納めたところ、その1週間後に、大クレームが発生したんですよ。
「大至急、見に来いッ!」と言うので、その選挙ポスターが貼ってある掲示板の所へ
行ってみると、まぁ、こりゃビックリしました。選挙ポスターですからね、立候補者さん
の写真が、デカデカと載ってる訳なんですが、その立候補者さんの顔の、半分以上、
2/3位の部分の紅色が、無く成ってしまっていたんです。
耐光インキを使っていませんでしたから、紅が退色してしまうのは、ある程度、覚悟
していたのですが、普通は紅より黄色の方が弱いですよねぇ。でも、黄色の方はね、
何ともなかったんです。しかも、紅に関しても、全ての部分が、退色しているのでは
なくて、部分的な退色と言うより、部分的に全く、紅色が無く成ってしまっているッ!
と言う何とも、理解不能な状態だったんですわ。
チョッと想像してみて下さい。立候補者さんの顔のほとんどから、紅だけが抜けて
しまった写真。全ての部分で抜けてしまっていれば、まだマシだったかも知れない
んですが、顔部分の2/3が抜けてて、あとの1/3部分は、紅が残っているんですよ。
この写真、病人と言うより、もう、オバケの様な写真に成ってしまっていました。
「これで選挙に落選したら、この写真のせいだからなッ!」・・・そりゃ、そう言いたく
成りますわねぇ。オバケの様な顔した写真の人に投票する人なんて、居ませんわ。
ま、しかし、写真のデキに関わらず、名前で当選されたので、事なきを得ました。
さて、こんな状況に成ってしまった原因なんですが、こりゃ私も初体験で分からない
ので、インキメーカーさんに聞いてみました。「ああ、それやっちゃいましたか。我々
の注意喚起が不足していたので申し訳ないんですが、それは起こるんですよ。」
とにかくダメなのは、「水分と紫外線」なのだそうです。水分が残っていて、そこに、
強烈な紫外線が当たると、紅の顔料が防爆(?)してしまって、色が全く無く成って
しまうのだそうです。耐光性インキでもダメで、ましてや普通インキでは話にも成ら
ないとの事。そこで「耐候インキ」と言うのを出してるのだが、それでも完全に防ぐ
事は難しいのだと言う説明を受けました。
季節は夏。屋外貼りで、野ざらし状態のポスター。夏特有の強烈な夕立が降り出し、
ポスターを濡らす。PP貼りがしてあるので、正面からの雨を弾く事は出来るのだけど、
貼ってあるポスターの、側面から侵入する強烈な雨を防ぐ事は不可能。側面側から
侵入した雨が、裏側からポスターの紙を濡らす事と成る。
夏の昼間の夕立は、一気に辺りを水浸しにしたかと思うと、雲が通り過ぎれば今度は
太陽が顔を出し、強烈な紫外線を浴びせまくる。・・・この時、PP貼りがしてなければ、
強烈な紫外線と真夏の温度で、濡れたポスターを一気に乾かす事も可能なんだけど、
PP貼りのおかげで、裏面から侵入した雨水を乾燥させる事が出来ない。
これで紅顔料にとって最悪な、水分と紫外線の出来上がりです。水分が残ってしまった
部分だけ、本当に部分的に、紅の顔料が消えて無く成ると言う、不思議な状態が出来
上がってしまうんですわ。これが起ってしまった印刷物ってね、本当に異様ですよ。
印刷物を発注して下さる、お客さんやデザイナーさんは、こうした事を知らずコート紙に
PP貼りをした屋外貼りポスターを依頼される事も有ろうかと思いますが、これは本当に
ヤバいです。そのポスターを使用される状況を、シッカリお伺いして、ユポを使うなどの
提案をされた方が、お客さんも、我々もハッピーかと思います。
プリンティング・スーパー・アドバイザーってのをやっていて、一番寂しいのは、
そのアドバイスが届かない事なんですよ。・・・人って、おもしろいもんでしてね、
「今現在、迷いながらやってる」って言う事柄を、「あッ!それは正しいですよ!」
と肯定してさしあげると、「そうですかッ!成田さんからOK頂ければ自信持って
やれます!」なんて話になるんですわ~。
その逆に、迷いながらやってる事を、「あッ!それでも悪くはないですが、例えば、
こんなやり方に替えたら、その方が楽ですよね」とか言うと、これも、すんなりと、
受け入れてもらえます。「迷いながらやってる事」ですから、自分でも疑問を持って
いるワケですよね。疑問の部分を解説してあげて、納得すれば、迷わずに判断が
出来て、それまでとは違うやり方も、簡単に受け入れて頂く事が出来ます。
アカンのはね、実際に目の前に様々な問題が有るのに、その問題に対して、
「何も悩んでいない人」、「何も考えていない人」達なんですよ。
裏移りが止まらないから指導して欲しいと経営者さんから依頼され、現場に行って
みると、まぁ湿し水がドボドボに上がってて、インキはドバドバに出されてて、こりゃ
もう、「どうぞ、好きなだけ裏移りして下さいッ!」って感じの刷り方だったんですよ。
こんな刷り方してちゃ、裏移りは止まらんでしょう。「・・・次はもっと、パウダーを多く
する様にします」 いやいや、そうじゃなくてさ、湿し水を、もっと絞らんとアカンよ。
「・・・汚れます」 だからさ、インキが多過ぎなのさ。もっとインキを少なくすればさ、
汚れは出ないから、そんなに水を上げなくても刷れるよ。「・・・淡く成ります」
キッチリ湿し水が絞れてれば、インキの量が、もっと少なくても淡くは成らないよ。
今のやり方だと、インキを 1/3減らして、水を絞れば、充分な色調が出せるよ。
「・・・汚れます」 いやだからさ、汚れやしないって!「・・・先輩から、絶対に汚れは
出すな!それで裏移りするようならもっと細かく板取りするかパウダーを増やせ!
と教えられたので」 そっか、自分自身じゃ何も試していないし、何も考えては、
いないんやね。古い先輩の、間違った教えだけが、君の全てなんやなぁ~。
「・・・よく分からんですが、先輩から教わった方法で10年以上やってますんで」
悲しい話ですが、このレベルのオペレータが、全体の半数を占めているんですわ。
「水を上げても、汚れが止まらん様なら、エッチ液の濃度を増やせ!」 なんて言う
先輩からの間違った指示には従うのに、私の理論は一切、受付けようとしない。
先輩の教えが悪くて失敗するのならば、それは先輩が悪いのであって、自分が
悪いと言う思いが少なくて済む。だけど、私が新しい事を教えて、それを実行して
失敗したら、部外者の私のせいにはし難い。だから、全て、今まで通り。
愚痴は人一倍言う。「上に言っても、ローラー交換させてくれないから、成田さんの
方から上に言ってやって下さいよ」 って、そんな事までオレに頼むんなら、せめて
オレの言う事を全て実行してからにせいやッ!って、言いたく成りますよね(笑)。
この、何も試していない、何も考えていないオペレータ君に、印刷の仕方を教えた
「先輩」って方もね、決して間違いを教えた訳ではないと思うんですよ。先輩さんに
とっては、その時代における、ベストな方法を伝授されたんだと思うんです。でもね、
もう、先輩さんの時代とは違うんですわ。印刷機の機構も資材も材料も、全て進化
していて、印刷技術に対する考え方そのものも、変わって来ているんですよ。
いつまでも、先輩に頼ってちゃアカンです。今の時代が求める、今の時代に合った
印刷技術ってヤツを、自分自身で構築しなきゃアカンのですわ。何事も徹底的に
「試す!」。それで失敗したら、その原因を必死に成って「考える!」 それがねぇ、
いつの時代にでも、最も重要な、オペレータの仕事なんだと思いますよ。
試す事。チャレンジし続ける事。考える事。・・・そうした事を放棄した印刷機担当者
の事をね、技術者とは呼ばないんですよ。それは、ただ単にね、印刷機のボタンを
押してるだけの「作業者」なんですわ。作業者だと割り切るのであれば、そんな所に
給料の高い正社員を配置する必要は有りませんわね。パートさんで充分ですわ。
または、日本語を話す事が出来ない様な、海外研修生さんでもイイですわね。
印刷技術ってね、本当に難しくて、本当に複雑なものなんですよ。それを正しく制御
して行く為に、何よりも必要なのが、優秀な技術者なんですわ。失敗を恐れずに試し、
メッチャ面倒だけど、どんな事にでもチャレンジし、とにかく、必死に成って考える事。
たったそれだけが出来れば、技術者としての道を開く事が出来るんです。
これってね、どんな職業でも同じだと思うんです。誰にでも出来る様な事であるなら、
低賃金な人達に任せておけばいい。でもね、どんな職種にだって、その根幹に成る
部分が有りますわね。その部分に関しては、どうしたって、それなり以上のスキルを
求められるのが当然で、誰にでも出来ると言う事では済まなく成ります。
印刷機オペレータってのも、決して誰にでも出来る分野のものではなく、その会社の
根幹に成る部分の仕事なんですよ。オペレータが作り出す印刷物の品質一つで印刷
会社の未来が大きく変わってしまう。そんな責任を背負ってるのが印刷オペレータの
仕事なのだと言う事を、充分に認識して欲しく思う次第です。
光文堂新春機材展、多くの方に、お越し頂き、ありがとうございました。
私の地元の名古屋での開催ですので、古い印刷仲間が多くて、話が弾みました。
そんな中でも一番、私の興味をひいたのが、高感度UVでの、咬両端に発生する
薄っすらとした、チリ汚れです。
実は私自身も、初めて高感度UV機を使った時、この咬両端の薄汚れには、随分
苦労をしました。おそらく、経験の有る人が多いと思いますが、咬両端の部分に、
咬から、1~2cm くらい、モヤ~っとした薄い汚れが出るんですわ。「チリ汚れ」と
言ってる現場さんが多いのですが、これの解消には、本当に苦労します。
咬側に余裕が有る絵柄なら、多少、汚れが出ても、製品に成る時には断裁されて
しまうので問題は無いんですが、断ちトンボの中にまで、この汚れが入って来てし
まうと、これはアウトなので、何としても消さなければ成らないんですよね。
まぁね、消すのは簡単です。湿し水を多目に出してやればイイだけの話なんです。
でもね、この薄汚れを止める為だけに、湿し水を多くすると言うのは、決して良い
事では無いんですよ。だってね、他の絵柄部分とかには、全く汚れが出ていない
状態なんですよね。と言うことは決して湿し水の量が少ない訳ではないんですわ。
この、薄汚れを取り去る為だけに、湿し水を多くしなければ成らない。って事は、
他の絵柄部分に関しては、湿し水が過剰な状態に成ってしまうって事なんですよ。
過剰な湿し水は、インキの濃度を下げてしまいます。そこで、淡く成ってしまう絵柄
の濃度を解消する為に、全体的にインキを盛ると言う事に成ってしまう。・・・多過ぎ
る水と、多過ぎるインキの組み合わせは、最悪である。ってのは、何度も解説して
来ましたよね。
オフセット印刷の1+1は、極限まで湿し水を絞る事である。特に許容範囲が狭い
高感度UVの場合は、この1+1がシッカリ出来てないとウマく行かないんですわ。
一番最初の、1+1が出来ていないのに、かけ算だとか、割り算が出来るはずも
有りませんわね。難しい印刷物では、割り算どころか、連立方程式を解くような事
も必要に成って来ます。そん時に1+1が出来てなければ手も足も出ませんわね。
ですからね、この高感度UVでの、咬両端の薄汚れに関しては、その解消について、
徹底的に向き合って下さい。「チョッと、ここだけ汚れるんだよね~」とか、そんなね、
悠長な事を言っててはアカンのですよ。そんな事を言ってるってのはね、「オレは、
1+1の回答が出来ないんだよね~」って言ってるのと同じなんですよ。
問題は、その解消方法なんですが、絶対にやってはアカンのが、湿し水を多くする。
と言う対処方法です。これは1+1の基本から外れますよね。それと、エッチ液の
増量ってのも最悪です。前にも書きましたが、エッチ液は最大で2%まで。2%で、
良好に刷れないエッチ液は粗悪品です。(まぁ多くの場合は、エッチ液が粗悪と言う
よりも、オペレータの技術力が粗悪な場合の方が多いんですけどね(笑))
エッチ液や、オペレータの技術力が粗悪な状態で、エッチ液を、どんどん増量して
行くと、インキを侵し濃度や粘度を低下させてしまうので、気が付けば、咬両端以外
の部分にワケの分からんチリ汚れが出て来てしまうとか、インキが乳化して汚れが
止まらない等のトラブルが発生し出してしまいます。
であるならば、正しい対処法は?・・・まず最初に、粗悪な技術力の方を改善しましょう。
ローラーがグレイジングしているのならば、徹底的にキレイにする事。程度にもよります
けど、ローラーを印刷機から外して、1本1本、手で磨く事も必要かと思います。その後
でローラーニップをキッチリと出してやる事。これ、メッチャ重要です。
そして、そうした事がキッチリ出来た後で、エッチ液の選択です。・・・正直なところ、ここ
までキッチリとメンテをしてやると、今まで使っていたエッチ液でも、咬両端の薄汚れが
止まる事も有ります。って言うかね、メンテや使い方が良好でないと、エッチ液を替えて
みても、その違いが出て来ないんですよ。エッチ液ってね、魔法の液体ではないので、
粗悪な技術力をカバーする程の能力は持っていないんですわ。
ただね、勘違いしちゃアカンのは、決して、「スゴい技術力を身に付けろ!」と言っている
訳ではないんですよ。「オフセット印刷技術の基本、1+1をキッチリやれ」と言っている。
ただ、それだけの事だと理解して下さい。・・・ここがシッカリ出来ると、自分にマッチした
エッチ液を、確実に選び抜く事が出来るように成ります。
基本をシッカリ踏まえて、メンテをシッカリやって、相性の良いエッチ液と巡り会えるとね、
何の苦労も無く、咬両端の薄汚れは消えて無く成ります。いくら水を絞っても、そんな汚れ
は出ません。こう成ると、もう、難しい刷り物でも楽勝です。是非、試してみて下さい。
おはようございます~。
本日は展示会、二日目です。
繁忙期で、お客さんが少し
少ないのが残念ですわ~。
ネットの印刷仲間さん達と
数人でワイワイやってます。
今日は大勢の方と、お会い
出来ると良いのですが。
(^_^)v