今日3/10と明日の11日ポートメッセナゴヤで
光文堂新春機材展に出展しています~。
繁忙期で、お忙しいかもですが、是非、見学に
いらして下さいませ~。
なかなか厳しい時代に成ってしまったので、新しい印刷機の増設とか、
古い印刷機を更新して、新しい印刷機に替えるなんて事も、ケッコウ難しく
成ってしまっている事と思いますが、例えば、それが可能だったとしてです、
次の新台には、普通の油性機を選びますか?それとも高感度UV機ですか?
考え方は様々かと思いますが、「速乾」と言う利を活かして、高感度UV機を
選択する場合が、圧倒的に多く成っているように見受けます。しかしながら、
先日も書いたように、高感度UVってのは、油性に比べたら、難しい点が多々
有るんですわ。その点を把握して、シッカリ勉強しないと、せっかくの新台が
活かされる事無く、終わってしまうので、充分な心構えが必要なんですよ。
特に、印刷品質と言う点では、ベタの再現性で困っているオペレータを多く
見掛けます。・・・あ、チョッと言い方が、優し過ぎたかも。「困ってる」と言う
自覚症状が有れば、まだマシなんですが、過半数以上のオペレータ君達は
自分の印刷物のベタ品質が最悪な状態である事も知らずに刷っています。
ガサガサしてて、非常にツブレの悪いベタ。魚のウロコの様に、波々の様な、
細かな濃淡が出てしまっているベタ。こんなヒドいベタが、高感度UVには、
メッチャ多いんですよ。・・・油性でも、そんな粗悪なベタを時々、見る事が有り
ますが、油性機ですら、そんな低レベルなベタしか刷る事が出来ない人が、
高感度UV機を使うなんてね、こりゃもう、10年早いッ!と言うか、まぁ、
まともな物は刷れんでしょうね。
高感度UV機を使って、自分自身で自分のベタが悪い事に気付いてる人は、
まぁ、いろいろ試行錯誤してますわ~。インキを、より軟らかい物に替えてみ
たりとか、ブランもソフトな仕立てにして、ベタを少しでも良くしようとしたりね。
でもさ、軟らかいインキを使ったり、ソフトな胴仕立てにしたりしてたら、その
時の網点は、どうよ?ベタ重視で資材を選んだら、肝心な網点がアカンよね。
網点再現がダメなら、色調再現もダメダメだわね~。私は、網点重視派です。
まずとにかく、キレイな網点再現が出来る事。それが出来なきゃ、カラー印刷
なんて、まともな物が刷れませんわ。ですから、必要以上に軟らかいインキを
使う事は嫌いです。ブランの仕立ても、ソフトな方向に振る事は有り得ません。
ベタ品質ってね、パッと考えれば、湿し水に影響される事なんて無いと思う
かも知れませんが、実はねケッコウ影響を受ける場合が多いんですわ~。
例えばね水を使わないベタ、ブラインド・ベタ(めくらベタ)を刷ってみて下さい。
この時は、おそらく綺麗なベタを刷る事が出来るだろうと思います。
次に、同じ色で、版と水を使ったベタを刷ってみる。(ただ単なるベタよりも、
文字や網点が入ってる絵柄の方が判別しやすいと思います) この時の
ベタ品質と、水を使わなかった時のベタ品質を見比べてみて下さい。もしも
水無しの時のベタ品質の方が良かったとしたら、ベタが、湿し水の影響を
受けてしまっているって言う証拠ですよね。
この、湿し水の影響って言うのは、本当に様々です。湿し水が多過ぎるとか、
エッチ液濃度が濃過ぎる、エッチ液との相性が悪い等々。また、例えばね、
ローラーがグレイジングしてしまっている場合。これね、水無しの時にはね、
グレイジングしてても、ほとんど影響が出ないんですよ。でも湿し水を使うと
一気にグレイジングの悪影響が現れて、ベタ品質を劣化させてしまいます。
まぁ、こうしたグレイジング除去等、メンテがシッカリ出来てるとした場合は、
水無しと、水有りで大きな差が出る事は無いと思いますが、その両方共で、
ベタ品質がイマイチだとしたら、今度は、ブランの選択です。印刷機の差、
工場環境の差等、様々な条件変化が有るので、このブランが絶対にイイ!
とかって言うのは、一概に言えないのですが、バッチリとマッチした資材を
探すって言うのも、オペレータの大切な仕事の一つなんですわ~。
良好な網点再現は、色調を再現する為の必須項目である。また、良好な
ベタ再現は、オフセット印刷の基本中の基本である。どちらも決して妥協
する事が出来ないものなんですわ。これを妥協したら、印刷品質を語る事
など出来なく成ってしまいますわね。
その両方に神経を注ぎ、ベターで諦めるのではなく、必ずベストを求める事。
・・・これね、印刷機オペレータにしか、出来ない仕事なんですよ。もちろん、
管理者の方と一緒に考えるのはOKですが、ブランや、エッチ液等の資材を
替えたりとかだけでは、なかなか良好な結果を得る事が出来ません。
オフセット印刷の基本である、確実な機械メンテ(ローラーニップ調整等)と、
極限まで湿し水を絞る!と言う点を、完璧に実行出来てないと、どんなイイ
資材を使ったところで、その資材の良さは出て来ません。印刷機や資材を
実際に使う、オペレータの技量を高めなければ、良好な結果を得る事が
出来ないんですよ。是非とも、自分が刷った、網点とベタの品質に対して、
真剣に向き合い、技量を高め、理想を求め続けて行って下さい。
各地の印刷現場に、お邪魔させて頂いていて、「何これ?なんで??」と、
首を捻りたく成る様な場面に出会う事が、しばしば有ります。私にとっては、
その行為が、メッチャ非常識なんですけど、その現場さんにとって、それは
普通にやっている、超~常識的な事だったりしてしまうんですよ。
例えばね、4色カラー刷りの印刷物が有って、朝からずっと、カラー刷りが
続くとしましょう。紙は大小様々です。菊全が有って、A全が有って、四六の
半切が有って、てな感じ。この場合、既に全ての版や紙が揃ってるとしたら、
大きな紙から順番に刷って行って、小さな紙にして行くのが普通ですよね。
小さな紙を先に刷ってしまったら、紙が通らない部分の圧胴が汚れてしまう
かも知れないし、ブランケットに小さな紙の、紙端の跡が付くのもイヤですし、
何よりも、小さな紙の場合は、ローラー両端の印刷を行わない部分ってのが
多いワケですから、その部分のインキが消費されず、どんどん劣化します。
だだでさえ普通に刷っていても、両端部分ってのは、制御が難しいですよね。
小⇒大の順で刷ったら、その両端の劣化したインキで、大きな紙の両端の
絵柄を制御しなくては成らなく成ってしまう。こりゃね、かなりキツいですよ。
だから、大きな紙を先に刷って、小さな紙にして行くのが普通なのですが…。
先日、ある工場さんで、特色3色刷りの物が有りまして、まず四六半切の紙で
それを印刷したんですよ。そして、その後、同じ特色なんですけど、版と紙を
替えて菊全で、刷り出しが始まったんですわ。特色の色も同じ、絵柄も大小は
有るんだけど、ほぼ同じ様な絵柄です。・・・何で大きい紙から刷らないの?
「小さい紙の方が、通し枚数が多いので、安定させるのが楽かな?と思って。
大きい紙は500枚刷って終わりだったので、安定させるのが難しいですよね。」
あ~、なるほどね~。一応、理屈は有るワケだ~。小さい紙の方が、5千枚通し
だから、それで安定させて、同じ特色の印刷なので、500枚通しの方を、その
安定した状態で刷り上げてしまおうってワケだ。なるほどねぇ~。・・・ん!でもさ、
小さい紙で5千枚刷った後、同じ特色なのに、大きな紙に成る前に、ローラーを
洗浄してたよねぇ。「えッ?それが何か問題有ります?ウチは版を替える前に、
ローラー洗浄するのが、普通なんですが。」 ・・・はい?
いや、それ、問題、有り過ぎでしょう。版を替える前には、必ずローラー洗浄を
する事に成ってるの? 「はい。」 例えば、4色カラーの印刷が続いたとしても、
版を替える前には、1回1回、ローラー洗浄をするの? 「はい。」
そんな事してる現場って、他には無いって知ってる? 「えッ?そうなんですか」
だってさ、朝からずっと、4色カラーの印刷をするワケでしょう。ならば最後まで、
ローラー洗浄をする必要なんて無いじゃん。何で、そんな無駄な事をしてるの?
「乳化したインキが、ローラーに残ってるから、版替えごとにローラー洗浄を行う
って言うのが、ウチのルールに成ってて、そう指導されてるので何の疑いも無く
そうして来たんですが」 ・・・なるほどね、モルトン水棒から連続給水に成った時、
ヘタクソなオペレータが居て、その人がトラブルばかり出したんで、そのルール
が出来上がったんだろうね。でもね、それは、基本的に間違ってるよ。
乳化したインキが残ってるって考える事が、まずアカン。それより、インキを乳化
させない方法を考える事が基本だよね。それにね、頻繁なローラー洗浄ってのは
実は、良くないんだよ。洗浄すれば少なからず、ローラー上に洗浄剤が残るよね。
残った洗浄剤が、次のインキを溶かして、汚れを出やすくしてしまうんだよ。
昔に居た一人のヘタクソ君。その為に出来上がってしまった、間違った対応策。
大なり小なり、こんなバカげた事が、勉強を怠っている印刷現場には、平気で
存在してしまう事が多いんですわ。基本をキッチリ勉強していないから、平気で
間違った方策が出来上がってしまう。この版替えごとのローラー洗浄ってヤツ、
実は私の知る限り、2社の現場で遭遇しました。
何年もの間、全く疑う事無く、当たり前の様にやって来た「常識」かも知れんけど、
基本が分かってる者が見れば、滑稽で笑いが止まらん様な「非常識」だったり
してしまうんですよ。今一度、基本ってヤツと、じっくり向き合ってみて下さい。
基本から逸脱した非常識な行為は、必ず、大きな破綻を生む事と成りますよ。
昨日もチョッとだけ触れましたが、4色カラー刷りの印刷で、「写真の色調が淡い
から、濃い目にしてくれ~」なんて時。無理矢理インキを盛って濃く刷るってのは、
こりゃ決して良い事ではないんですよ。・・・油性ならね、チョッと無理しても、まだ
何とか成る場合も有りますが、高感度UVとかは、アカンですよ~。
油性インキと比べた場合、LED-UV等、いわゆる、高感度UVインキってヤツは、
「水幅が狭い」等と言われるように、あらゆる面で許容範囲が狭いと思った方が
イイんですよ。なので、そんなインキを無理して盛ってしまうと様々なトラブルを
発生させてしまう原因を作る事に成ってしまうんですわ~。
例えば、高感度UVインキで、無理して盛って刷ったとしましょう。まぁ、そりゃねぇ、
刷るのが、500枚位ならね、無理してでも刷れるかも知れんですよね。でもね、
その無理した状態で、1万枚刷ったら多分、まともな状態では刷れんと思います。
無理してインキを盛ってるって事は、許容範囲を越えた、余剰なインキが存在し
てしまっているって事です。インキが多過ぎれば当然の様に汚れます。汚れれば
湿し水を多くしますわねぇ。水幅が狭い高感度UVインキは簡単に乳化し、まずは
水の調量ローラーなどゴム系(樹脂含む)の、水ローラーにゴテゴテと、こびり付い
て行きます。これらのローラーが、超ゴテゴテに成ると今度は金属系の水ローラー
を侵します。水を運ぶ為のローラーにインキが付着すれば、水を運ぶ事に支障が
出て、まともに機能しなく成ってしまうんですわ。
まぁ、こう成ってしまえば、まともな印刷じゃないですよね。「ええッ!そうなのッ!
ウチでは、水のローラー系は、すぐにインキでゴテゴテに成るから、それが普通で、
その度に洗浄作業(手拭き等)をするのが当り前だと思って使ってるけどねぇ~」
実はね、高感度UVを使ってる人で、平気で、こういう事を言う人、ケッコウ多いん
ですよ。「水ローラーが、ゴテゴテに成ったら、すぐに手入れをする!」なんてのが
スローガンの様に成ってる所も、ケッコウ有るんですわ。「なんで?? ゴテゴテに
成ったら手入れしなきゃアカンでしょう。そのままで刷ってちゃダメですよねぇ」
またまた平気で、そういう事を言う。そりゃね、ゴテゴテに成ったら絶対に手入れ
しなきゃアカンよ。でもね、ゴテゴテに成ってしまう事が、当たり前なんだ!と思っ
てちゃ、こりゃ最悪にアカンのだよ。ゴテゴテに成ってしまう前に、ゴテゴテに成ら
ない方法ってのを考えなきゃダメだよね。それが、印刷の基本だと思わない?
例えばさ、水道のホースから水漏れが発生してて、あたりの床をビショビショに
してしまっていたとしようか。普通ならさ、ホースの水漏れ部分を修理するとか、
ホースを新品に替えるとかって言う対応策を取るよね。これは誰が考えたって
水漏れ対応の基本だと思うんだけど、どうかな? その基本的な対応をせず、
ただただ、濡れ続ける床を拭きまくる人って、見てて、チョッと滑稽でしょ。
私に言わせれば、ゴテゴテに成るローラーを手入れしまくるって人も、これと同じ
なんですわ~。・・・ホースが破れて、水が漏れてるのに、それには目もくれず、
ただただ必死に、濡れた床を拭きまくる。主原因であるホースの不具合を改善
しなきゃ、一生、床を拭きまくる事に成ってしまいますわね。
水ローラーがインキでゴテゴテに成ってしまうのにもね、必ず、その原因が有る
んですわ。まぁ、ホースが破れてるなんて言う様な単純な話ではないんですが、
必ず、何か基本から外れた、無理な使い方をしてしまっているから、ゴテゴテに
成ってしまうと言う不具合が発生してるんですわ。ですから基本は、その原因を
確実に突き止め、適切に対処するって事に成るワケなんですよ。
高感度UV機のオペレータって、多くの場合、油性から転向して来た人ですよね。
油性の時の様な、「少々の無理なら大丈夫!」って言う考えでは、高感度UVは
使えません。超シビアに設定し超繊細にメンテをして行かなきゃ、それこそ一生、
ビショビショに成り続ける床を、拭きまくるハメに成ってしまうんですわ。
「高感度UVを油性並みに、楽に刷れる様に成るのが、ボクの目標です!」なんて
言ってたヘタクソ君が居ましたけど、高感度UVをナメちゃアカンです。油性並みに
楽に刷ろうと思ったら、エッチ液の選択、インキ、ブラン、仕立て、ローラー等々、
ありとあらゆる物の選択から始まって、メッチャ細かな変化にまで、コダワリ続ける
事が必須なんですわ。・・・ヘタクソ君の目標ってのは、エッチ液とアルコールを
ドバッと入れて、インキもドバッと盛って刷るって言うのを称して、油性並みと言っ
てるのであって、そんな深い事までは考えてないんですよ。
高感度UVは、油性よりも、はるかにシビアな管理、調整が必要である。この事を、
決して忘れちゃアカンです。エッチ液の増量や、アルコール(代替含む)添加を
しなきゃ刷れないようでは、刷り方の基本が間違ってると思って、初歩の初歩から
印刷の仕方を勉強し直す様にしないと、永遠にウマくは成りませんよ。
名古屋の私の家に行くと、印刷の専門書が、書棚にズラ~リと並んでいます。
印刷業界に就職して、40歳位までに買い集めた書籍です。ほとんどの物が、
1冊、5千円か、それ以上の値段です。そんなのが、何十冊、有るのかなぁ~。
どれもこれも、もう古過ぎる技術書です。版を、フィルムで焼いていた時代の
解説ですから基本的な部分でズレてしまっていますよね。モルトン水棒の話
だとか、ソリッドブラン(エアーブランは無かった)の仕立て方とかね。
「オフセット印刷は、アラビン酸と脂肪酸の闘いである。」なんて、有史以前の
話か?と思わせるような事柄が延々と書かれていたりして、歴史書としては、
まぁ、それなりに、おもしろいかも知れませんが、今の技術に応用する事は、
こりゃ不可能です。機械も資材も大きく進歩しているので、こんな古い理論は、
現在の印刷技術の基本にすら、もう成り得ません。
本は他人や、会社から貰うと、まず読まない。本当に勉強しようと思うのなら、
必ず、自分の金で本を買え!と言うのが、私の師匠からの教えでしたので、
印刷の展示会に行くたびに、その片隅で売られている専門書を、2万円以内
で買えるだけ買う!ってのが、私の恒例行事の様に成っていました。唯一の
自慢は、師匠(故・鎌野亮二氏)、直筆サイン入りの本くらいですかね(笑)。
まぁ、今時ね、5千円以上もするような、仕事の本を、自腹で買う若者なんて、
そんなに多くは居ないでしょうね。んじゃ、どうやって印刷の勉強をするの?
今はインターネットを使えば、無料で勉強出来ますよね。印刷用語だとか、
資材等の話は、かなり詳しく紹介されていたりします。
でもね今時の若者が、自分の余暇の時間を費やしてネットで印刷の勉強を
するか?って言ったら、これもまた、ごく限られた人達のみに成ってしまう事と
思います。・・・オフセット印刷技術ってね、とても難しい技術なんですよ。何も
勉強せずに、ただ印刷機のボタンを押してるだけでは、永遠に理解出来ない
ような理論ばかりだし、基本すら覚える事も出来ないんですよ。
本は買わないし、読まない。ネットで勉強する事も無い。んじゃ、どうやって、
正しい印刷技術を習得して行くのか?・・・これね、やはり、社内勉強会って
ヤツが、絶対に必要だと思うんです。毎日やれとは言いません。週に1回、
または、月に1回でも、イイですから、定期的に継続して行く事が必要です。
時間もね、30分程度でもイイんですよ。
「いや簡単に言うけど、誰が先生でやるの?教科書は?内容はどうする?」
古い言葉ですけど、「勉強は、『教師』と『教室』と『教材』が有れば出来る。」と
言われています。印刷の場合で言うならば、『教師』は、一番うるさい、お客様。
『教室』は印刷現場。『教材』は実際の仕事。・・・ほら、もう全部揃ってますよ。
「明日の印刷で、前回、色調クレームが有ったお客さんのパンフを刷らなきゃ
成らないんだけど、今回はどうやって対応して行くべきか、皆で考えてみよう」
・・・ほら、既に、お客さんと言う『先生』から課題が出てますよね。明日刷ると
言う『教材』も目の前に有る。『教室』は、もちろん印刷現場。たったこれだけで、
既に、勉強をするための全てが揃ってるんですわ。あとは『やる気』だけです。
「前回は、色調が浅いと言う事でクレームに成ったけど、これ以上、インキを
盛って濃くしたら、汚れるし、乾燥不良に成るし、後加工の折りでも擦れ傷が
出てしまえばクレームに成ると思います。印刷機で、これ以上インキを盛る
のは非常に危険だと思うのですが、何か他の方法は無いですか?」
「インキを替えるとか、ブランやエッチ液を替えるとかの対応でもダメだろうか」
「確かにそれも一つの手段かも知れませんが、資材を替えるに当たっては、
様々なテストをしないと安心して使えません。今回は、明日の印刷の話なので
資材を取り寄せる時間も、テストをする時間も無いので、それ以外の方法で、
対応する方が、安全だと思います」
「後加工の方はどう?これ以上インキを盛ると、やはり辛いか?」「あのパンフは
マットコート紙なので、ただでさえ乾きも悪いし擦れ汚れも出やすいから、インキ
を盛って濃く刷るって言うのは辛いですねぇ」 「・・・何かイイ方法は無いかなぁ」
「今、ネットで検索してみたら、『PSA成田の印刷技術』ってヤツで、いろいろ出て
ますねぇ。濃く刷る為には、無理にインキを盛るより、版のトーンカーブで3%程、
カーブを持ち上げて対応するべきだとか、マットコート紙の擦れ汚れ防止の為に、
耐摩ニスのベタ刷りを、薄くやれとか、だそうですわ~」
「それを試してみるか。刷版チームの方は、トーンカーブを3%持ち上げるって、
やり方、分かるのか?」 「いや分かりません」 「じゃすぐにCTPメーカーに電話
して、やり方を教わってみてくれ。耐摩ニスは、オレの方で手配してみる」
・・・こんな勉強会が出来ると、その現場内に、どんどん、ノウハウが溜まって行き
ますよね。印刷技術は難しい。だから勉強しなければ成らない。でも一人で勉強
していても、つまらんし、分からん事だらけで、なかなか先に進めない。現場の
みんなで知識を共有しながら、分からん事は、その場で明確にする。それでも、
分からん事は、次回までの宿題やね。ワクワクしながら、みんなで学習をして行く
と言う風土を作ってしまえば、メッチャ楽しいし、凄く理解も深まるんですよ。
例えば、アスリートでも、超一流と呼ばれる人達は、自分の技量に満足を
する事って、おそらく無いんでしょうね。タイムを、あと 0.3 秒縮めるには
どうすれば良いのか?あと20cm、遠くまで飛ぶ為には何が必要なのか?
4回転半のジャンプを成功させるためには、どうしたら良いのか?
常に貪欲に、進化する事を考えているから、超一流で居続ける事が出来る。
少しでも油断すれば、ライバル達に置き去りにされてしまう。そんな過酷な
世界の中で闘っているのが、超一流アスリートと呼ばれる人達なんだろうと
思うのですよ。まぁ、アスリート等という言葉とは完全に無縁な私に、その
神髄など、理解のしようも無い話なのですけどね(汗)。
日本中の印刷現場さんに、お邪魔させて頂いてると、ほんの一握りですが、
超一流アスリートの様な印刷オペレータに出会う事が有ります。例えばね、
ゴーストと言うトラブル。この印刷機で、この程度のゴーストに抑えているの
なら充分だろう。と思って見ていると、そのオペレータにとっては、そんなの
では全く気に入らない。ほぼ完全に消し去る方法を探し求め、実際に消し
切ってしまうのですから、こりゃ、見てるこっちが驚きます。
まぁ、多くの場合は、この逆ですわね。ハデなゴーストが出てるので、こんな
状態で刷り出してしまって大丈夫なの?って聞くと、「こんな印刷機では、
これが限界。ゴースト防止のローラーを買ってくれって、上に言ってるのに、
全然、取り合ってくれないから、まぁこれで行くしかないですわ~」なんてね。
この印刷機が悪い。上が言う事を聞いてくれない。・・・悪い事は全て、他の
せいなんですよね。事実上、あの、超一流アスリートの様なオペレータは、
君と同じ印刷機を使って、特殊なローラーも使わず、君よりも数段、難しい
絵柄で、ゴーストを発生させる事無く、刷ってるんだけどなぁ~。
自分の技量(ヘタクソさ)が分かっていない人ほど、トラブルの要因を自分
以外の「何か」のせいにしてしまいます。「前のエッチ液が良かったのに、
値段が高いとか言う理由で、エッチ液を替えられてしまって、汚れが止まら
なくて、メッチャ苦労してるわ」とか言うので、検証してみると・・・。
彼の言う前のエッチ液ってのも、3%も入れて刷ってたようで、今回の物を
2%で使うよう指示され、それで汚れるのが気に入らないので、また3%に
まで濃度アップをさせようと、ああだ、こうだと文句を付けているようです。
たまたま、この印刷機は二交替で使っている物でね。一人のオペレータは、
今回のエッチ液の方が断然イイ!これは、1.5%で充分使える!と言って
るんですが、ヘタクソ君の方は、自分のやり方を見直そうと言う気が、一切
無いので、自分以外の「何か」のせいにして愚痴ばかり言ってるって訳です。
同じ印刷機で、ほぼ同じ様な印刷物を刷っているのに、自分自身の技量に
対する姿勢の違いで、こんなにも大きくオペレータとしての、成長の度合に
差が出来てしまうものなんですよ。昼勤、夜勤の違いが有って、同じ時間に
集まって話し合うって事が難しいかも知れませんが、これは絶対にしなきゃ
アカン重要なコミュニケーションですよね。
「ええッ!新しいエッチ液 1.5%で刷り易いってかッ!オレは、それじゃ全く
刷り出せんけど、何か、やり方が違うのか?」・・・なんてね、最初からそんな
建設的な話合いが出来れば苦労はしないんですけど、己の技量を知らない
ヘタクソさんは、ケッコウ頑固者が多いですから、愚痴ばかりが先行して、
なかなか、前向きな話し合いには成らないでしょう。
20年前の、成田工場長なら、そんな頑固者は即座に配置転換なんですが、
まぁ今時は、そう言うワケにも行きませんよね。であるならば、徹底的に話を
する事が重要なんですわ。自分の技量をシッカリと、納得させる事。それが
出来ないとね、良い方のオペレータ君も、腐って行ってしまうんですよ。
3月10~11日に、ポートメッセナゴヤで開催される予定の、
光文堂・新春機材展に、私も行く事と成りました~。
両日とも、ウチ(コスモテック)のブースにおりますので、もし
お越しの節は、是非とも、お立ち寄り下さいませ~。
本当は1月末の開催だったんですが、コロナの影響で延期に
成ってしまいましたね。・・・と言うか、中部地方も関西地方も、
緊急事態宣言が解除されましたから、この延期は、大正解
だったって感じがします。
展示会ってね、出展する側は1日中、ブース内で突っ立ってる
ワケですから、ここに、お客さんが来ないと、こりゃまぁ、本当に
ただただキツイだけなんですわ~。無駄話だけでもイイので、
お客さんに来て頂けると、本当に助かります。
今回の会場は、いつもやってる吹上ホールではなくて、港区の
ポートメッセナゴヤですから、名古屋市内や、北の方の方達に
とっては、チョッと遠いですよね~。んでもまぁ、すぐ隣に、あの
レゴランドってのが有りますから…(有っても、しゃ~ないか w)
3月の繁忙期で、お忙しい事とは思いますが、印刷系の展示会
ってのは、どんどん少なく成ってしまっています。情報収集の場
ってのが少なく成るってのは、決して良い事では無いですよね。
お待ちしていますので、諸事お繰り合わせの上、是非ともお越し
下さいませ。普段の、お困り事など、何でも、ご相談下さい。
ずーっと昔に書いた覚えが有るんですが、久々に稼働率の話をしましょう。
印刷現場の稼働率ってヤツはねぇ、難しく考えると、メチャ難しく成ります。
見当合わせや、色合わせ、ブラン洗浄、版替え等の時間を、稼働時間と
して、その中に含むのか?とか、後片付けの時間は?とかね。
これね、シンプルに考えた方がイイんですよ。印刷機の稼動時間ってのは
文字通り、「印刷機が稼いでいる時間」なんですわ。つまりですね、チンタラ、
ノンビリと、色合わせ等をやってる時間は、稼いでいる時間には入れません。
印刷機が実際に稼いでいる時間ってのは、「実際に印刷をしている時間」
しか無いですよね。例えば、5,000 枚の印刷物が有ったとしましょう。それを、
何分で仕上げるか?って話に成るんですが、例えば、1万回転で印刷を
すれば、30分で終わりますよね。8千回転なら、約40分掛かります。もし、
1万5千回転で印刷したら、20分で刷り上がる計算です。
速い回転数で印刷機を回して刷れば、5千通しの物を、8時間で10台以上、
刷り上げる事が可能かも知れません。でも8千回転なら、7台程度を刷る
のが精一杯ってところですよね。ですからね、「実際に印刷をしている時間」
って言う考え方で稼働率を計算してやれば印刷速度も、ある程度反映され
るんですわ。(メッチャ速い場合は、チト難しいのですが)
さて、では実際の計算です。1日の就業時間を8時間としましょう。8時間は、
480分ですよね。例えばです。5千枚の印刷物を、1日で5台、印刷する人が
居たとしましょう。1台を刷るのに、40分掛かったとして、5台×40分=200分
って言う計算です。つまり、この人の稼動時間は1日、200分って事ですね。
午前中に、2台刷り上げて、昼から3台刷り上げる。まぁ、こんな感じの人、
ケッコウ多いんじゃないでしょうか。でもね、実際に稼働してるのは200分。
1日が480分ですから、稼働している200分を引くと、280分、つまりですねぇ、
4時間半以上もの間、この印刷機は稼いでいないって結果に成るんですわ。
稼動時間の200分を、全体の480分で割ると、0.416 って成ります。つまり、
この人の稼動率は約 42%って事ですよね。1日の半分以上も稼ぎの無い
時間を費やしてしまっているって事に成ってしまいますね。先日チョッと紹介
した、午前中に、5千枚を1台しか仕上げられない工場さんの場合だと・・・。
ここは、午前中1台、午後2台の、合計3台が1日の限界なんですよ。1台、
40分計算だと、1日の稼動時間は 120分です。120÷480=0.25 ですから、
稼働率は 25%って事で、480 -120 =360分 =6時間ですから、1日8時間
の内、6時間もの間、印刷機を稼がせていないって計算に成ってしまいます。
逆に言うなら、2時間しか仕事をしていない。って話にも成りますね。
この計算方式で、稼働率50%以上にするのは、かなり難しと思いますが、
5千枚平均の稼動率は、全国平均で 35%程度なのだそうです。(菊全機)
それよりも多いか少ないかで、自身の稼動率を評価してみて下さい。まぁ、
枚数とかも、いろいろ変わりますし、色替え、サイズ変更、紙質変更など、
様々な要因で準備時間に差が出ますので、細かい物の多い、菊半切機の
場合だと、全国平均が 28%程度にまで落ち込むのだそうです。
・・・印刷機って、朝から晩まで、ロングランの物を刷ってれば、稼働率も稼ぎ
易いんですが、細かい台数物ばかりやってると、なかなか稼げないですね。
だからこそ、通し枚数が多い程、生産単価が安く、細かい物程、高いって言う
単価設定に成っているってワケです。
本来はね「生産高」で考えて行くのが間違えなく、最も正しいと思うんですよ。
その印刷機が、今月ナンボ稼げたか?って言う評価ですよね。そうすれば、
「これだけ稼げてるなら、増員して後継者を育てるか」とか、「こんなに稼ぎが
少ないんなら、この印刷機は破棄して外注製作に切り替えるか」なんて言う、
経営計画も、容易に立てる事が出来ますもんね。
でもね、金額を別にしたとしても、印刷機ってヤツは、1日の内の半分しか
稼げていないんだって事を、理解してやって下さい。我々オペレータはね、
印刷機が停止した、準備時間こそが「勝負の時」 その準備時間を、いかに
短く終わらせ、いかに速く、次の印刷物を刷り出せるかが、勝負なんですわ。
高価な印刷機を、活かすも殺すも、我々オペレータ次第。印刷機と向き合う
姿勢が、メッチャ大切だって事を理解してやって下さいませ。
例えば上質紙に、紺藍系の特色1色で刷る様な取扱説明書の印刷が有りますよね。