1級技能士・成田の印刷技術 -4ページ目

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

4月ですね。新卒の新人さん達が入社された会社さんも、多少は有る事かと

思います。いつの時代も、そうだと思うんですが、ワケの分からん、初めての

仕事を、全くワケが分からんままに、命じられた通りにやらされるってのはねぇ、

こりゃ、奴隷と同じようなものなので、こんな事が続けば、イヤに成りますよね。

 

社会人1年生に、即座に全てを理解しろ!と言ったって、こりゃ無理ですわね。

でも、少しだけでも理解できる内容の仕事なら、こりゃ、チョッとは、やる気が

湧いて来ます。また、仕事全体の流れが分かってて、今、自分がやらせてもら

ってる仕事が、どんな位置の仕事かが理解出来ると、少し楽しく成ります。

 

要するにね、現場に出す前に、最低限の知識に関しては、教えてあげる事が

大切なんですわ。・・・中小零細の会社だと、教える人が居なかったり、教える

人が居ても、その人にヒマが無かったりで、なかなかウマく行かないんですが、

社会人1年生を、突然、現場に出してしまったりしたら、かなり高い確率で、

長続きせずに、5月か8月頃までには、辞めてしまいます。

 

例えば、今回のタイトルである、「用紙の規格」ってヤツ。印刷用紙には様々な

規格が有りますよね。何の予備知識も無く、現場に出されると、そこの先輩から

「A全のコート紙を、2束もらって来てくれ」なんて言う、指示を受けるワケです。

 

現場の先輩にとっては、普段から使ってる普通の言葉なんですが、新人君に

とっては、全くワケの分からん異国語ですわね。まず「A全」ってのはナニモノ?

「コートし」って、何県の、どこに有る市?「ニソク」ってのはナンジャソリャ???

 

今の若い人達でも、「A4」とか、「B5」って言葉は知ってるんですよ。文房具の

ノートとかのサイズですもんね。A4より、B5の方が小さいって事も知ってます。

でもね、A4と「B4」では、どっちが小さいか?って言われても、答えられる人は

ほんのわずかしか居ないんですよ。

 

規格サイズの基本を理解していないから、A4とB4の差が分からない。これは、

この業界に居なきゃ分からん事です。こりゃね、我々が教えてあげなきゃアカン

事です。・・・サイズですら理解出来てないんですから、「目なり」だとか「連量」

なんて事が、分かるはずがありませんよね。シッカリ教えなきゃ成りません。

 

「現場で慣れながら、順番に覚えて行って下さい」・・・これダメです。他人に物を

教えるのにはね、「時間」と「場所」が必要なんですよ。仕事の「合間」ではなくて、

例えば、「今日の13時~14時までは勉強の時間」とかってのを、シッカリ作って、

他事をやりながら、ではなく勉強に集中する時間を作ってあげなきゃアカンです。

 

これってね、教える側も同じなんですよ。自分の仕事をやりながら教えてたって、

そんなの、仕事半分、教えるの半分で、意識が散漫に成ってしまいますよね~。

場所もね、例えば、印刷機の隣とかでは無く、キッチリ、机と椅子が有る会議室

みたいな場所がイイんですわ。いつもの現場ではなく、環境を替えて、勉強に

集中する場所で行う。これだけで、教わる側も、教える側も集中力が上がります。

 

印刷機の横とかで勉強会をやってるとね、ワケが判っていない、営業の人とか、

生産管理の人とかが、「急ぎなんだけど、チョッとイイかな?」とか言って平気で

割り込んで来るんですわ。「良くねぇ~わッ、バカヤロウッ!こっちは大切な勉強

をしてるんだ。おまえも終わるまで、そこに座って聞いて行けッ!(笑)」なんて

言える様な関係ならイイんですが、まぁ、それも難しいですよね(笑)。

 

新人さん達には、まず最初に、勉強の場が必要です。それをシッカリやって

おくのとおかないのでは、離職率に大きな差が出るんですわ。「新卒を何人

入れても、みんなすぐに辞めてしまうから」と嘆く前に、まず勉強の場を作って

みて下さい。理解が出来れば、印刷ってね、おもしろい仕事なんですよ。(^^)v

そろそろ、各地で、選挙が行われる季節ですかねぇ~。選挙と言えば、

ユポのポスターですよね。何度か、このブログでも書いて来たんですが、

今まで油性の印刷機を使って来て、初めて高感度UV機を導入したって言う

方が、高感度UV機で初めてユポの選挙ポスターを刷るってケースも有ろう

かと思います。そんな場合に気を付けなければ成らない事が有ります。

 

油性機で、ユポの選挙ポスターを刷るのであれば、こりゃ迷わず選ぶのが、

「スーパーユポ」ってヤツですよね。普通のユポを刷る場合にはユポ専用の

インキを使わなければアカンのですが、スーパーユポは普通紙用のインキ

で刷る事が出来ますもんね。ただし、このスーパーユポは片面刷り専用の

ユポですから、裏面に刷ってはアカンですね。

 

油性機でポスター刷るなら絶対にスーパーユポ!って言う固定観念が有って、

高感度UV機に変わっても、ユーパーユポを購入して準備してしまった~って、

これ、実はアカンのです。ユポコーポレーションさんのホームページで調べて

頂ければ分かるんですが、スーパーユポはね、UV印刷、NGなんですよ。

 

なんでNGかって言うと、「エッジピック」が発生してしまうんです。エッジピック

って言うのは、文字やベタ絵柄の咬尻に、ピッキング(インキのムシレ)が出て

しまうって言うトラブルです。これが出てしまうとクレームの対象に成ります。

 

油性機の場合、エッジピックが出ると、インキを軟らかくして対応してる人が

多いんですが、ユポの場合は、この方法もNG。まぁ、もともとエッジピックの

対応方法として、インキを軟らかくするってのは、あまり正解とは言えないん

ですが、ユポの印刷でインキを軟らかくしてしまうと、汚れが出まくります。

 

油性機に比べて、非常に水幅が狭い高感度UV機。そこへ、これまた水幅が

超狭いユポ。そんな状態のところで、インキを軟らかくしてしまったら、こりゃ、

地汚れやら、乳化やらのオンパレードで、何とも成らなくなってしまいます。

 

んじゃ、どうするのか。スーパーユポは、UV印刷NGである。であるならば、

こりゃ紙(ユポ)を替えるしか無いんですわ。ウルトラユポってのが有ります。

これも通常の油性インキで刷れるユポなんですが、スーパーユポと違って、

両面、刷る事が出来ます。これね、UV印刷OKなんですよ。

 

ウルトラユポでも、少しエッジピックが出易い傾向が有りますが、その点は、

ブランケットの選択で回避する事が出来ます。私的には、硬めのブランで

紙離れが良い物ほど、エッジピックが出にくいと解釈しています。それとね、

ブランの張りが弱いとアカンです。エッジピックが出たら、まず、ブランを、

チョッと強めに張り直してやって下さい。

 

油性機では最高だったスーパーユポが、高感度UV機では使えない。

これ、意外な盲点だったりします。高感度UV機でユポを刷る場合は、

ウルトラユポを選択する事。 シッカリ覚えておいて下さいな。

アテ飛び、針飛び、なんて言う話を私が書くってのは、本当に珍しい話ですね~。

まぁこれも、印刷技術の中の一つではあるんですが、こんなのは初歩の初歩の

内容ですわ~。いつも言う、印刷技術の1+1以前の、1とは何であるか?って

言う事が分かっていないって言う、超低レベルな状態の話です。

 

1が何なのか分かっていないのに、1+1なんて言う計算が出来るワケが無い

ですよね。・・・つまりね、アテ飛び、針飛びを出す様なオペレータは、印刷機を

操作する資格が無い!って言うレベルの話なんですよ。通販印刷のバイトの

オペレータや、超初心者のオペレータでも、アテ飛びや針飛びは出さんですよ。

 

いや、何でこんな話を書いてるかって言いますとね、他の方のブログでね、

「アテとびを出す人、出さない人」って言う記事が有ったんですよ。そんなもん、

私に言わせれば、アテ飛びを出すオペレータは、こりゃ何があろうとも失格!

なんですわ。アテ飛び、針飛びってね、それくらい低レベルな問題なんです。

 

その記事を書かれた方は、おそらく大手の印刷会社の方でしょうね。我々の

様な中小零細の印刷屋がね、大手の下請けで、1枚でもアテ飛びを出そう

もんなら、即座に呼び出されて、その場で全数検査をやらされますわ。

 

もう10年以上前ですが、大手の下請け仕事で、10万枚刷って納めたんです。

それを半切にした時点で、1枚だけ、紙の咬側の角が曲がっている物が発見

されて、それがアテ飛び状態に成ってしまっていました。2丁付けですからね、

それを半才にしてるので、もう1枚、混入してしまってるワケですよ。

 

即座に呼び出されましてね、先方の加工現場で、20万枚の全数検査ですわ。

納期が無いからと、5人で行って徹夜で検査しました。・・・角折れした紙がね、

センサーに検知されず、スルーして印刷されてしまったワケですから、こりゃね、

どうあがいたって、印刷したウチが悪いんですから、仕方ないですわね。

 

たった1枚のアテ飛びでも、下請けってのは、これほどの重責を負っています。

そんなアテ飛びを出しても、「印刷機が悪いから仕方ない」なんて言ってる様な

オペレータはね、オレ達、下請け屋では、即座にクビにしなきゃ成らんのです。

 

アテ飛び、針飛びなんてのは、印刷トラブルの中でも、本当に初歩の初歩です。

だからこそ、1枚でも出してしまえば、著しく信用を失う事と成ります。印刷機が

悪いとか言ってるような、そんな悠長な話じゃないんですわ。信用を失えばね、

仕事がもらえなく成ります。そうすれば、印刷機は停止。そのオペレータも当然、

仕事を失ってしまうので、辞めざるを得なく成るんですわ。

 

アテ飛びや、針飛びを、デリバリィ(排紙部)で発見すると、フィーダー係りの

若い人に、「しっかり見とれッ!」とか、「あいつは使い物に成らんッ!」とか

言うオペレータが居ます。私は、そう言うオペレータからは、フィーダー係りを

即座に外します。「使い物に成らんヤツ、信用が出来んヤツを使うくらいなら、

何もかも全部、自分一人でやれッ!そうすればアテ飛びや針飛びは絶対に

出ないんだろッ!人を育てる事が出来ない者は、全て一人でやれッ!」

 

アテ飛び、針飛びって言うのは、100%、機長の責任です。フィーダー係や

補助の後輩達を育てられない機長が悪いんです。人を育てられない機長に

若い者を付けたら、その若い人達が辞めてしまうんですよ。

 

アテ飛び、針飛びは機長の責任。そして1枚たりとも、そんな初歩的な不良を

出してしまっては、本当に仕事が無く成ってしまう。絶対に出してはいけない

超初歩的なミスだと、肝に銘じていおて下さい。

先日、「高感度UV機での、散り汚れで困っている」と言う質問を、またまた頂いて

しまいました。とても遠方の方だったので、汚れた部分が判る様に写真を撮って

メールで送って下さいと、お願いしたら、早速送って下さったんですが・・・。

 

まぁ、それはそれは、とっても哀れな汚れ方だったんですよ~。

 

咬から始まって、7~8cm位までですかねぇ、黄色と紅の、淡い散り汚れがね、

モヤ~っと(と言うか、ケッコウ濃い目に)出てしまってたワケですよ。写真では

分かり辛いんですが、きっと墨と藍にも、同じ様に汚れが出ていると思います。

まぁ、これじゃ~ねぇ、全く刷り出せないでしょうねぇ~。

 

「毎回、この汚れで困っています」って、おっしゃるんですが、写真だけではねぇ、

なかなか正確な判断が出来ないんですが、たまたま、その写真の中に測色用の

ベタパッチが写っていたんですよ。・・・正直ね、それを見てビックリですわ~。

 

これ、濃度は、いくつで刷ってます?「え?濃度って測った事が無いんですが」

でも、その印刷機って濃度計が付いてて、その数値で色調管理が出来るヤツ

ですよねぇ。「そうなんですが、どんな数字が正しい濃度かとか分からないので、

使った事が無いんですよ」・・・ハハハ、そのレベルでオレに質問するか~(怒)

 

4色カラーの印刷をやってるんだよね。しかも高感度UVなんて言う、難易度が

高い物を扱ってるんだよねぇ。それなのに、適正濃度の数値すら知らないの?

それってさぁ、足し算が出来ないのに、割り算に挑んでるようなもんだよ。

 

まず、濃度ってものから勉強してごらん。例えば、藍の適性濃度は、1.50くらい

なんだけど、高感度UVの場合は、油性の様なドライダウンが無いから・・・。

ドライダウンって言葉も、当然、知らないんだよねぇ。ん~と、「乾いたら淡く成る」

って覚えておけばイイよ。んで、それが無いから、1.50では濃過ぎてしまうから

藍は1.45位までに抑えた方がイイって覚えておいて。

 

んでね、今の君の印刷物は、藍が1.70以上も有るのさ。「それって濃いって話

ですかねぇ?」・・・え~ッと、濃いとか言うレベルじゃなく、メッチャ濃過ぎてモノが

言えん!って言うレベルなんだわぁ~。これじゃ汚れが出るのが当り前だわなぁ。

 

「ええッ?汚れるのって、水が少ないからじゃないんですか?」・・・あのさぁ、君、

PSA成田の印刷技術ブログって、読んだ事有る?「いや、ないです」 だろうね。

インキが多過ぎたら、どれだけ水を上げたって汚れは取れんだろうがッ!

 

本当に、1+1が分かってないんだねぇ。それで高感度UV機を使うって言うのは、

こりゃかなりキツイよ。刷るたびにトラブルだらけで、刷り直しやクレームとかもさぁ、

ケッコウ出しちゃってるんじゃない?「どうして、そこまで分かっちゃうんですか!」

・・・いや、そりゃ分かるだろう~。足し算を出来ない人が、割り算をやっちゃってる

んだからさぁ、まともな回答を出せるワケが無いもんなぁ~。

 

誰か、シッカリ教えてくれる先輩とかは居ないの?「ウチは伝票専門の軽オフ屋で

自分が後を継ぐので4色機を購入したって感じなので、先輩とかは居なくて、誰も

教えてくれるような人は居ないんですよ」・・・そっか~。

 

とりあえず、このままでは話に成らんからさぁ、何かの機会に、1度行くよ。とは言え

簡単に行ける場所じゃないから、1度、自分の印刷機を停止して、1日分の仕事を

外注さんで刷ってもらいなさい。印刷立会いって言う名目で、外注さんの刷り方を

シッカリ見て、どんなやり方で、どんな色調で刷られてるのかを勉強しなさいな。

 

それで次の日、自分の印刷機で、それと同じ物を刷る。枚数は少しでもイイから、

同じ色調で刷れるように、外注さんの印刷物を見本にして、試行錯誤してごらん。

それも難しいと思ったら、最低でも半年くらい、どこかの印刷現場へ修行に行って

来た方がイイよ。とにかくね、印刷技術をナメちゃいかん。とても難しい技術なん

だから、シッカリ勉強せんとアカン!って事だけは、シッカリ覚えておいて欲しい。

出張から帰って来ました~。

ブログを再開させて頂きますので、また、宜しくお願い致します。

 

先日、「ロングランの印刷で汚れが出やすいので、エッチ液を増量した方が

イイのでしょうか?」って言う質問を頂きました。・・・オレに、こんな事を聞いちゃ

アカンですわねぇ~(笑)。汚れが出やすいからエッチ液を増量するなんてのは、

こりゃねぇ、最悪にアカン事!なのですよ。そう言う発想自体がアカンですわ。

 

エッチ液ってね、活性剤です。活性剤って、要するに台所洗剤と同じです。この

台所洗剤って、油汚れを落とす為に使う物ですよねぇ。・・・水と油の反発を利用

して、インキの着く所と着かない所を仕分けしているオフセット印刷においてね、

「油」ってのは、インキなんですよ。活性剤は油を溶かす。つまり、エッチ液はね、

インキを溶かしてしまう能力を持っているんです。

 

そんな物を、必要以上に大量に入れてしまったら、こりゃインキ、溶けまくりです。

溶けたインキは、濃度が出ませんから、適正濃度を得る為には、必要以上に

インキを盛る事と成りますわね。インキが多過ぎれば、汚れが出やすく成ります。

つまりね、多過ぎるエッチ液は、汚れを増長させる!と解釈しておいて下さい。

 

ですから、冒頭の質問に対する回答は「エッチ液を増量するなんて、絶~ッ対に

ダメですッ!」と言う事に成ります(笑)。とにかくね、想定外の汚れが発生したら、

まず1番にやる事は、ローラーニップの確認なんですわ。例えば、水ローラーに

インキが絡んで汚れが出てたとしても、それを掃除する前に、とにもかくにも、

まずはローラーニップの確認なのですよ。

 

正常な状態ならば、水ローラーがインキで過剰に汚れてしまう事は有りません。

(インキを出し過ぎてる。なんて言う基本の基本がダメなら話に成らんですが)

 

ローラーニップが悪くて(細くて)インキの搬送が正常に出来てないから、インキの

濃度がなかなか上がってくれない。そんな時にも、まず1番にローラーニップの

確認が必要なんですが、それをせずに、淡いからと言って、ただ闇雲にインキを

盛ってばかりいたら、そこに余剰なインキが発生し、余計に汚れが出たり、水系の

ローラーを汚してしまいやすく成るんですわ。

 

今回の質問者さんにも、それを伝えたんですが、ローラーニップを正常にしても、

ロングランだと、両端から汚れが出て来てしまうのだとか。まぁ確かに、両端の

制御ってのは難しいんですが、それでも、それほど困る事では無いはず…。

仕方ないので、その質問者さんの現場を見に行って来ました。

 

そこで分かったのは、インキ壺のゼロ点調整の甘さでした。絵柄が無い、両端の

インキ壺部分のゼロ点が狂ってて、絵柄が無いにも関わらず、常にインキを出し

続けている状態。こりゃ、ロングランをやれば、両端のインキが余って、両端から

汚れ出すのは当たり前ですわねぇ。

 

ここのゼロ点調整、やってるの?「ええッ?ゼロ点って狂うものなんですか?」

おいおい、そこからかい。狂います。メッチャ狂います。毎日のように見てても、

狂う印刷機は狂うんです。特に、この両端部分は注意して見て下さい。絵柄が

無い、この端の部分のゼロ点が甘くて、インキが出続けた状態でロングランを

刷れば、当然の様に両端のインキが余り、両端から汚れます。

 

ゼロ点を絞り過ぎて、インキ壺の元ローラー(金属製)を、削ってしまう様な事が

有っては、こりゃ話に成らんのですが、出来るだけ絞ってやる事が、ベターだと

思います。不要な部分にインキが過剰供給されるってのは、トラブルの原因に

成る以外、何の良い事も有りませんわね。

昨日から、関東地方に出張です~。

コロナの本場、関東で週末まで

過ごします~。


申し訳有りませんが、今週は、

ブログを、お休みさせて頂きます。



今年の桜~、と言っても、毎年同じ所で

撮影してるので代わり映えしないんですが、

今年は天気が良かったので、(^_^)v です。




私は、何でもアップで撮ってしまうので、
全体の雰囲気とかが、分からんですね(汗)。



相変わらずの、伏見城です。京都の住まいから
車で10分くらいですね。天気がイイと青空が
映えますね。


歴史的な建物ではなく、いわゆる作り物の
お城なんですが、まぁ堂々たるものです。



今年は、天気の良い土曜日に満開!と、
なかなかのチャンスに恵まれました(^_^)v

ここにアップすると、写真のピントが
甘く成りますねぇ~。本当はピント、
パッチリなんですけどねぇ~(^_^)v

ずっと以前にも書きましたが、自分の印刷機の「ダブリ」に気付いていない人って、

実はケッコウ多いんですよ。もう10年以上も前の話ですが、紙が大きくて自社では

刷れない印刷物が有りまして。それを外注へ出してたんですよ。

 

その時も、その印刷物の増刷が来たので、当然の様に、前回、刷って下さった

外注先さんへ依頼する事と成りました。外注先で印刷してもらう場合は、自社内の

管理担当者が、必ず立会いに行く事!と言う決まりが有りましたので、当たり前の

様に、担当者が外注先の印刷会社さんへ、立会いに行ったんですわ。

 

しばらくすると、その担当者から私に、電話が入りました。「どうしても、背景写真の

空の色が、前回より青く成ってしまうんですが、このまま刷ってもイイですかねぇ?」

・・・咬尻に有る、青空の部分が前回よりも青く出てしまう。その空の色を合わせよう

と藍を絞ると、咬の商品の色が、青味が足らず、淡く成り過ぎてしまう。との事。

 

オペレータは、何て言ってるの?・・・「この絵柄は前回も自分が刷ったから覚えてる

けど、前回、保存しておいたデータで、前回と同じ濃度で刷ってて、この空の色だけ

異常に青く出てるから、データ修正して空だけ青く成る様に変更したんじゃないの?

って言ってるんですが、別に変更なんてしてないんですけどねぇ~。」

 

それって、まだ納期は大丈夫だったよね。今日の印刷は一旦、中止して、空が青く

出てしまってる印刷物を持って、会社に帰って来なよ~。・・・咬尻の絵柄ですから、

多分、ダブリだろうと思ったんですが、「前回の色調に合わせろって言うんならば、

その部分の藍の網点を小さくしてもらわないと出ないよ。」等とオペレータから言わ

れてしまった様なので、こりゃオレの目で確かめた方がイイと思い、その印刷物を

持って帰って来るように指示をしたと言うわけです。

 

持って帰って来た印刷物を見たら案の定、咬尻、空の絵柄の部分の藍がダブって

いました。・・・おもえもさぁ、こんなダブリくらい、発見出来なきゃダメだよ~。25倍の

ルーペで空の部分の藍の網点を見てごらん。網点が二重に成ってしまってるのが

明確に分かるから。データで、そこの網点を小さくしろとか言われる前にさ、「これ、

ダブってますから、印刷機のメンテを、すぐにやって下さいッ!」って言えるように

成らないと、印刷の立会いなんて出来ないと思った方がイイぞぉ~。

 

立会いに行った彼は、管理の人間ですから印刷機を扱った経験は一切有りません。

でもね、下請けのオペレータ君は、前回も同じ物を刷ってるんでしょう。自分で刷った

物の増刷をするワケだよねぇ。んで、咬の色はイイのに、咬尻の空の色だけが濃く

成った。こんなのさぁ、即座に「ダブリだッ!」って気付かなきゃダメだよねぇ。自分の

技術の未熟さを棚に上げて、データを修正しろとは、こりゃ恐れ入っちゃうよねぇ~。

 

今回は私が気付いて指摘したので、すぐに爪調整をして、ダブリを解消させたとの

事なんですが、このダブリが発生してた間に印刷した物が、ケッコウな種類、有るん

ですよね。そいつらは、咬尻にダブリが出て、藍が濃く成ってしまってるワケですよ。

その濃く成ってしまった物が次の増刷時には、前回見本と成ってしまうんですわ~。

 

そんなねぇ、ダブって局部的に濃く成ってしまった物なんて、ダブリを直した後で

「その色調を忠実に再現しろ」と言われたって、こりゃまず不可能ですわねぇ~。

 

ダブリってヤツはね、常に気を付けていなければ成りません。早目に気が付けば、

爪の掃除くらいで解消する事も出来るんですが、ダブったまま印刷を続けてしまうと、

爪先が偏摩耗して、爪交換って言うところまで行ってしまうかも知れません。これは

ケッコウ高額な修理に成りますから、本当に要注意なんですよ。

多くの印刷現場から、「ウチの色調見本はダメだ!」と言う声を聞きます。

色調見本が、インクジェットで出力された物だったり、いわゆる、トナー方式の

カラーコピー機の様な物で出力されていて、それらを見て、お客さんの方が

「んじゃ、この色調でヨロシク」なんて言われてしまうと、こりゃ本当にダメです。

 

そうした、いわゆる「デジタル・校正機」のような物ってね、最初に導入する時

には、印刷機との色調合わせをシッカリやるんですが、数か月、数年って言う

時間が過ぎて行くと、最初に設定した色調とは変わって行ってしまうんですよ。

 

まぁ、そりゃそうですわねぇ。我々が使っている、1億円もする印刷機だって、

何の補正もせずに、1万枚印刷したら、刷り出しの1枚目と、刷り終わりの

1万枚目とでは色調が変わっている事と思います。この色調差を出さない様、

我々オペレータが、随時、調整をしているワケですもんね。

 

インクジェットにしても、トナー方式にしても、多くの場合、無調整のまま月日が

過ぎて行ってしまうのが普通だと思います。そんなもんねぇ、狂ってしまうのが、

当り前だと思いません?本来なら、そのインクジェット等の管理者が、狂った

事に気付いて補正するべきなんですが、そんな事はしないのが普通ですね。

 

それにね、インクジェットにしてもトナーにしても、我々のオフセット印刷機に

比べたら、こりゃ、かなり安易な造りと言えますから、例えばインクジェットで、

同じ絵柄の物を連続して10枚出力したら、その10枚とも全て、全く同じ色調

なのか?って言われたら、こりゃチョッとキツイだろうと思いますよ。それを、

もっとシビアに、1日おきに1枚づつ、同じ物を10日間も出力したら、こりゃ、

本当に、全ての色調がバッチリ!なんて事は有る得ないでしょうね。

 

そんな不確かな物を、色調見本にして、お客さんにOKを頂いてしまう事が、

こりゃもうアカンと思うんですよ。「これはインクジェットですから、絵柄見本

くらいに思って頂いて、色調はアテに成らないと思って下さいね」くらいの事を

営業が、お客さんに伝えなければアカンですよね。

 

「いや、それじゃ困る。正確な色調見本を出してくれ」って言う、お客さんも居る

事と思いますが、そう言う場合は別途の料金を頂いて、印刷機で「本機校正」

ってのをやるべきなんですよ。・・・刷版も紙も、校正用に使うワケですからねぇ、

こりゃ、無料でやるってのは、難しいと思いますが、後々のトラブルを防ぐため

だとか、信頼を得るためとかの理由で、無料でやってる所も多いんですよ。

 

実際にやってみると分かるんですが、濃度計の付いた印刷機を使ってるとね、

この本機校正ってヤツ、意外に簡単なんですわ。だってねぇ、何か他の見本に

合わせるってワケじゃなく、全く何の見本も無い状態で刷るんですからねぇ、

適正濃度内に納まるように、普通に刷ればイイだけの事ですもんね。それで

もし色調が悪くて修正が入ったら、こりゃ印刷側の問題じゃなく、製版での修正

とかに成るワケですから、印刷側は気楽なもんですよ~。(^^)v

 

とは言え、再校正や、三校なんかが入って来た場合はチョッとだけ大変ですよ。

再校正等の場合、全面的に変わるって事は、あまり無いかと思います。例えば

パンフとかで、商品が10個並んでたとして、その内の3つに色修正が有るとか

ってのが普通ですよね。3つは修正が入ったから、色が変わるのは、当たり前

ですが、変更の無い残り7つの商品に関しては、初校と全く同じ色で刷らなきゃ

こりゃ、校正刷りに成りませんわね。

 

例えばね、初校を刷った時の印刷機のコンディションが悪くて、その後メンテを

して正常な状態に戻った。なんて場合、初校は悪い状態で刷ってしまったワケ

ですから、その悪い状態を、もう一度、正確に再現しろって言われても、こりゃ

かなり難しいですよね。・・・逆に考えれば、印刷機のメンテ等が常に良好である

ならば、再校や三校が来ても、お茶の子さいさい!って事なんですわ。

 

何度でも、(増刷が来ても)常に同じ色調で刷る事が出来る!ってのが、印刷に

求められる最も重要な要素の一つですから、そうした事を確立して行くためにも、

メンテの能力を向上させるってのは重要なんですよ。その向上を確かめる意味

でもね、本機校正ってのは、とても有効なんです。是非、挑戦して下さいませ。

プロ野球シーズンが始まりますね。関西地方は、圧倒的に阪神ファンが多い

ので、トラッピングの「トラ」と言うだけで、反応を示す方が多いようですわ~。

私は名古屋出身なので、トラではなく、「ドラ」で反応してしまいますが(笑)。

 

「トラッピング」って言うのは、印刷の専門用語です。一般的には、先刷りの

インキの上に、後刷りのインキが、どれだけ乗っかるか?なんて事を示したり

する時に、「トラッピング量〇〇%」なんていう言い方をして使ったりします。

 

一番簡単なのが、藍⇒紅のトラッピングですよね。普通の場合、藍は2胴目で

印刷して、紅が、その次の3胴目で刷りますから、藍ベタを刷った上に、後刷り

の紅ベタが、どれだけ乗っかるか?って言う話に成るワケですわ~。

「ええッ!そんなの、全部(100%)乗っかるんじゃねぇの?」って言う人も多い

かも知れませんが、これがねぇ~、そうは行かないんですよ。

 

例えばね、先刷りの藍ベタの上に、紅のベタが100%乗っかったとしましょう。

この時の色は、藍100+紅100ですから、紫色ですよね。 先刷りの藍はね、

白い紙の上に刷られるベタですから、こりゃ当然の様に、100%のベタです。

その上に、紅のベタが、例えば50%しか乗らなかったとしたら、こりゃ標準の

紫色よりも、青っぽい紫色に成ってしまうって事ですよね。

 

実はね、この、藍⇒紅のトラッピング量、全国平均で、60%くらいなんですよ。

100%乗るなんて事は、まず有りません。・・・そりゃそうですよねぇ、だってさ、

2胴目で藍を刷って、それから3胴目の紅を刷るまでに、何秒間の間隔が

有ると思います?例えば、1万2千回転で刷ってたとして、これは時速です

から、60で割ると、1分当り200枚刷ってる事に成りますよね。

 

200枚を60で割ると、3.33・・・ つまり、1秒間に3枚以上、刷ってるって計算。

って事は、藍ベタを刷ってから、約0.3秒後には紅ベタを刷る事に成る訳です。

0.3秒後なんてねぇ、そんなもん、先刷りの藍インキが、乾燥するヒマなんて、

こりゃ全く無いですわね。乾燥せずに、ドロッとしたままの、藍インキの上に

乗っかるのが、紅インキですから、こりゃケッコウ難しいって分かりますよね。

 

このトラッピング量ってヤツは、その日の気温だとか、各胴の温度だとか、

インキや湿し水の状態などでも、ずい分、変わってしまう事も有るんですよ。

例えばね、その藍100+紅100の色が、お客さんの会社のコーポレートカラー

だったとしたら、こりゃ、日によって色が変わるなんて事は絶対にNGです。

 

コーポレートカラーって言うのは、その会社さんの社章なんかに使われる、

とっても重要な色です。例えばトヨタ自動車なら、トヨタマークは赤ですよね。

三菱のスリーダイヤモンドも赤ですが、トヨタの赤とは、微妙に色調が違っ

てたりします。こうした微妙な色彩が、少しでも違えばクレームですわね。

なので、こうした大切な色の場合は、特色1色で刷る事も有りますよね。

 

トラッピングってのは、湿し水の量でも大きく変わります。例えば、先刷りの

藍の湿し水が多いと、藍インキが軟らかく成ってしまうんですよ。軟らかい

物の上に、硬い物を乗せるのは難しいんです。いつも言うように、食パンを

焼いて、トーストを作って、そこにバターとジャムを塗りたいとしましょう。

 

硬いバターを塗って、その上に、軟らかいジャムを塗る事は出来ますが、

先に軟らかいジャムを塗ってしまったら、ジャムの上に、硬いバターを塗る

ことは出来ませんよね。・・・湿し水ってね、こんな事にも影響するんですよ。

極限まで湿し水を絞る!って言う基本は、本当に大切な事なんですよ。