印刷技術 散り汚れ | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

先日、「高感度UV機での、散り汚れで困っている」と言う質問を、またまた頂いて

しまいました。とても遠方の方だったので、汚れた部分が判る様に写真を撮って

メールで送って下さいと、お願いしたら、早速送って下さったんですが・・・。

 

まぁ、それはそれは、とっても哀れな汚れ方だったんですよ~。

 

咬から始まって、7~8cm位までですかねぇ、黄色と紅の、淡い散り汚れがね、

モヤ~っと(と言うか、ケッコウ濃い目に)出てしまってたワケですよ。写真では

分かり辛いんですが、きっと墨と藍にも、同じ様に汚れが出ていると思います。

まぁ、これじゃ~ねぇ、全く刷り出せないでしょうねぇ~。

 

「毎回、この汚れで困っています」って、おっしゃるんですが、写真だけではねぇ、

なかなか正確な判断が出来ないんですが、たまたま、その写真の中に測色用の

ベタパッチが写っていたんですよ。・・・正直ね、それを見てビックリですわ~。

 

これ、濃度は、いくつで刷ってます?「え?濃度って測った事が無いんですが」

でも、その印刷機って濃度計が付いてて、その数値で色調管理が出来るヤツ

ですよねぇ。「そうなんですが、どんな数字が正しい濃度かとか分からないので、

使った事が無いんですよ」・・・ハハハ、そのレベルでオレに質問するか~(怒)

 

4色カラーの印刷をやってるんだよね。しかも高感度UVなんて言う、難易度が

高い物を扱ってるんだよねぇ。それなのに、適正濃度の数値すら知らないの?

それってさぁ、足し算が出来ないのに、割り算に挑んでるようなもんだよ。

 

まず、濃度ってものから勉強してごらん。例えば、藍の適性濃度は、1.50くらい

なんだけど、高感度UVの場合は、油性の様なドライダウンが無いから・・・。

ドライダウンって言葉も、当然、知らないんだよねぇ。ん~と、「乾いたら淡く成る」

って覚えておけばイイよ。んで、それが無いから、1.50では濃過ぎてしまうから

藍は1.45位までに抑えた方がイイって覚えておいて。

 

んでね、今の君の印刷物は、藍が1.70以上も有るのさ。「それって濃いって話

ですかねぇ?」・・・え~ッと、濃いとか言うレベルじゃなく、メッチャ濃過ぎてモノが

言えん!って言うレベルなんだわぁ~。これじゃ汚れが出るのが当り前だわなぁ。

 

「ええッ?汚れるのって、水が少ないからじゃないんですか?」・・・あのさぁ、君、

PSA成田の印刷技術ブログって、読んだ事有る?「いや、ないです」 だろうね。

インキが多過ぎたら、どれだけ水を上げたって汚れは取れんだろうがッ!

 

本当に、1+1が分かってないんだねぇ。それで高感度UV機を使うって言うのは、

こりゃかなりキツイよ。刷るたびにトラブルだらけで、刷り直しやクレームとかもさぁ、

ケッコウ出しちゃってるんじゃない?「どうして、そこまで分かっちゃうんですか!」

・・・いや、そりゃ分かるだろう~。足し算を出来ない人が、割り算をやっちゃってる

んだからさぁ、まともな回答を出せるワケが無いもんなぁ~。

 

誰か、シッカリ教えてくれる先輩とかは居ないの?「ウチは伝票専門の軽オフ屋で

自分が後を継ぐので4色機を購入したって感じなので、先輩とかは居なくて、誰も

教えてくれるような人は居ないんですよ」・・・そっか~。

 

とりあえず、このままでは話に成らんからさぁ、何かの機会に、1度行くよ。とは言え

簡単に行ける場所じゃないから、1度、自分の印刷機を停止して、1日分の仕事を

外注さんで刷ってもらいなさい。印刷立会いって言う名目で、外注さんの刷り方を

シッカリ見て、どんなやり方で、どんな色調で刷られてるのかを勉強しなさいな。

 

それで次の日、自分の印刷機で、それと同じ物を刷る。枚数は少しでもイイから、

同じ色調で刷れるように、外注さんの印刷物を見本にして、試行錯誤してごらん。

それも難しいと思ったら、最低でも半年くらい、どこかの印刷現場へ修行に行って

来た方がイイよ。とにかくね、印刷技術をナメちゃいかん。とても難しい技術なん

だから、シッカリ勉強せんとアカン!って事だけは、シッカリ覚えておいて欲しい。