印刷技術 用紙の規格 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

4月ですね。新卒の新人さん達が入社された会社さんも、多少は有る事かと

思います。いつの時代も、そうだと思うんですが、ワケの分からん、初めての

仕事を、全くワケが分からんままに、命じられた通りにやらされるってのはねぇ、

こりゃ、奴隷と同じようなものなので、こんな事が続けば、イヤに成りますよね。

 

社会人1年生に、即座に全てを理解しろ!と言ったって、こりゃ無理ですわね。

でも、少しだけでも理解できる内容の仕事なら、こりゃ、チョッとは、やる気が

湧いて来ます。また、仕事全体の流れが分かってて、今、自分がやらせてもら

ってる仕事が、どんな位置の仕事かが理解出来ると、少し楽しく成ります。

 

要するにね、現場に出す前に、最低限の知識に関しては、教えてあげる事が

大切なんですわ。・・・中小零細の会社だと、教える人が居なかったり、教える

人が居ても、その人にヒマが無かったりで、なかなかウマく行かないんですが、

社会人1年生を、突然、現場に出してしまったりしたら、かなり高い確率で、

長続きせずに、5月か8月頃までには、辞めてしまいます。

 

例えば、今回のタイトルである、「用紙の規格」ってヤツ。印刷用紙には様々な

規格が有りますよね。何の予備知識も無く、現場に出されると、そこの先輩から

「A全のコート紙を、2束もらって来てくれ」なんて言う、指示を受けるワケです。

 

現場の先輩にとっては、普段から使ってる普通の言葉なんですが、新人君に

とっては、全くワケの分からん異国語ですわね。まず「A全」ってのはナニモノ?

「コートし」って、何県の、どこに有る市?「ニソク」ってのはナンジャソリャ???

 

今の若い人達でも、「A4」とか、「B5」って言葉は知ってるんですよ。文房具の

ノートとかのサイズですもんね。A4より、B5の方が小さいって事も知ってます。

でもね、A4と「B4」では、どっちが小さいか?って言われても、答えられる人は

ほんのわずかしか居ないんですよ。

 

規格サイズの基本を理解していないから、A4とB4の差が分からない。これは、

この業界に居なきゃ分からん事です。こりゃね、我々が教えてあげなきゃアカン

事です。・・・サイズですら理解出来てないんですから、「目なり」だとか「連量」

なんて事が、分かるはずがありませんよね。シッカリ教えなきゃ成りません。

 

「現場で慣れながら、順番に覚えて行って下さい」・・・これダメです。他人に物を

教えるのにはね、「時間」と「場所」が必要なんですよ。仕事の「合間」ではなくて、

例えば、「今日の13時~14時までは勉強の時間」とかってのを、シッカリ作って、

他事をやりながら、ではなく勉強に集中する時間を作ってあげなきゃアカンです。

 

これってね、教える側も同じなんですよ。自分の仕事をやりながら教えてたって、

そんなの、仕事半分、教えるの半分で、意識が散漫に成ってしまいますよね~。

場所もね、例えば、印刷機の隣とかでは無く、キッチリ、机と椅子が有る会議室

みたいな場所がイイんですわ。いつもの現場ではなく、環境を替えて、勉強に

集中する場所で行う。これだけで、教わる側も、教える側も集中力が上がります。

 

印刷機の横とかで勉強会をやってるとね、ワケが判っていない、営業の人とか、

生産管理の人とかが、「急ぎなんだけど、チョッとイイかな?」とか言って平気で

割り込んで来るんですわ。「良くねぇ~わッ、バカヤロウッ!こっちは大切な勉強

をしてるんだ。おまえも終わるまで、そこに座って聞いて行けッ!(笑)」なんて

言える様な関係ならイイんですが、まぁ、それも難しいですよね(笑)。

 

新人さん達には、まず最初に、勉強の場が必要です。それをシッカリやって

おくのとおかないのでは、離職率に大きな差が出るんですわ。「新卒を何人

入れても、みんなすぐに辞めてしまうから」と嘆く前に、まず勉強の場を作って

みて下さい。理解が出来れば、印刷ってね、おもしろい仕事なんですよ。(^^)v