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1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

コロナ禍で、出歩く事もまま成らず、休みの日は朝から晩までギター三昧です。

歌無し、ピック無し、指弾きのみのクラシックギターの様なフィンガーピッキング

と言う分野ですので、一曲をマスターするまでに、1ヶ月とか平気で掛かってし

まいます。(まぁ、私がヘタクソって事なんですけね~(笑))

 

チョッと難しい曲に成ると、「こんなフレーズ弾けるかッ!」ってな箇所が必ず

出て来ます。何度も何度も練習するんですが「人差し指でここを押さえたまま、

小指でそこを押さえるって、そんなん、どうあがいても届かんやろッ!」ってな

感じで、まさしく、楽譜(タブ譜)と格闘ですわ~。

 

でも不思議なもんで、何十回やっても今日は出来なかった事が、次の日には、

「あれッ!出来るじゃんッ!」って成るんですわ。ギターで弦を押さえるのはね、

左手なんですが、この歳(60過ぎ)に成っても、指って伸びて行きます。必死に

広げて伸ばし続けてると、伸びるんですわ。私の場合だと、右手の指に比べて

左手の中指、薬指、小指は、それぞれ5mm位、長く成っています。

 

苦手だからと、避けて通っていれば、永遠に出来ないままですよね。こいつを

何とか出来る様に成ってやろうッ!と努力を続けていれば、必ずウマく成って

行きます。これはね印刷技術も同じだと思うんですよ。

 

この紙は給紙が難しくて、止まってばかりだから嫌いだとか、デリバリィの方でも

全く揃わないから、もうこの紙はやりたくない!と言って、避けてばかりではねぇ、

こりゃいつまで経っても出来る様には成りませんわね。苦手だからこそ徹底的に

やる。必死に成って、そればかり積極的にやってみる。

 

それまで避けて通っていた苦手な物と真剣に向かい合ってみると、そこから発見

出来る事ってイッパイ有ったりするんですよ。「そっか、こう言う紙は、こう調整した

方が安定するんだ。って事は、あの紙も、この調整の方が絶対にイイよなぁ~。」

とか、「届いたばかりの紙より、三日前から在庫してる紙の方が安定してる。これ

って何かで読んだ、紙を工場環境に慣れさせるってヤツか。であるならば、紙の

発注時期を考えて、計画的に紙を保管した方がイイって事か~」なんてね。

 

「汚れ」なんてのも同じです。「この印刷機は汚れが出易いから、水を多目にして

刷らないと何とも成らん」と考えてしまえば、それで全て終わりで、そこから成長

する術は有りませんよね。汚れってヤツと徹底的に向き合って「水を多目にする

事無く解消させる方法」ってヤツを、必死に追及してみるんですわ。

 

ローラーニップは、どう成ると汚れが出易いのか。それが解れば、その逆の方向に

制御するようにしてやれば、必ず良い方向に向かいますよね。全く解からない事

って言うのはね、まず真逆の事をやってみるんですわ。汚れを出さない方法が全く

解らないのであれば、汚れが出易いと思われる方法を試してみる。それで本当に

汚れが出易く成るのであれば、その逆の制御が正解だって理解出来ますよね。

 

ローラーニップの正解が、ある程度解れば、今度はインキの量です。まずメッチャ

多目にインキをローラーに撒いて刷り出してみる。インキが多過ぎれば湿し水も

多目にしないと汚れが止まらないって事が理解出来ると思います。

 

今度は、逆にメッチャ少な目にインキを撒いて刷り出してみる。・・・これ中途半端

はダメです。本当にメッチャ少な目のインキ量で試してみるんですわ。超少な目な

インキだと、湿し水を、かなり絞っても汚れが出ません。それでも、汚れが出る所

まで目盛りを絞って、「まだ淡い(濃度が足らない)けど、汚れが出てる」って言う、

そんな状態を作ってみて下さい。

 

そこから、本当に少しづつ、湿し水を多くし、これまた本当に少しづつインキの量も

多目にして行く。これを慎重にやってみるとね、意外なくらい少ない水でも汚れが

出ない、しかも濃度もバッチリ!って言う状態が作れます。「ええッ!こんな水の量

でも汚れないのかよう!しかもインキも、こんなに少なくても充分に濃いじゃん!」

ってな所がつかめたら、こりゃ、湿し水の使い方、免許皆伝!ですわ。

 

いつも言う様に、インキも水も、出来るだけ少な目がイイんです。これをマスター

するとね、ほとんどの印刷トラブルが無くなります。「汚れ?なにそれ(笑)」って

感じです。少な目での技術を身に付けると、色調の安定性が抜群に成ります。

「色ムラ?なにそれ」。ベタの中の細い抜き文字の埋まりとか、ブランの汚れ等も

凄く楽に成るので、ブラン洗浄の回数が圧倒的に減ります。

 

まぁねぇ、大忙しの時に、こんな練習みたいな事は、なかなか出来ませんよね、

少し暇に成って、余りの紙が有ったりしたら、自分の技術を見直す為に、是非、

挑戦してみて欲しいんですよ。これね、難しい技術をマスターしろと言っている

ワケじゃなくて、今一度、オフセット印刷の基本に立ち返れって話なんですわ。

 

いつもやらない、こんな事から発見出来る事って、意外に多いんですよ。(^^)v

私は、お酒が全く飲めません。前にも書きましたが、27歳までは、大好きで、

ワインだとか、ウイスキーだとかを好んで飲んでたんですよ~。そんなある日、

工場の床の塗装をし直す事と成り、シンナーで薄めた塗料を柄の長いブラシ

(ブラシがローラー状の物)で、2時間程掛けて塗装していました。

 

結構な重労働で、汗をかきながら、ハァハァ言って塗ってました。って事はです。

第二種有機溶剤でるシンナーを、大量に吸い込んでしまっているわけですよね。

まぁ、ジクロルメタン等、強い溶剤を普通に使ってた時代ですから、それほど気に

は成らなかったんですが、おそらく、かなり、ラリってた状態だと思います。

 

塗り終えた頃に昼休みに成り「お疲れさん!」と、先輩が栄養ドリンクをくれたん

ですよね。呼吸も荒く、けっこうシンドイので大喜びで飲んだんですが、これがね、

最悪でした。物にもよるとは思うんですが、栄養ドリンクってね、ケッコウ強くて、

胃を荒らしてしまう物が有るんですよ。先輩がくれたのが、そんな物でした。

 

栄養ドリンクを飲んで、さぁ昼飯を食べようとすると、もう気持ち悪くてねぇ、箸で

食べ物を口元まで運んでも、そこでストップ。食べ物を口の中に入れる事が全く

出来ないんですわ。結局、その日から、1週間の、お粥生活です。

 

でもま、2週間目からは普通に何でも食べられる様に成ったので、こりゃ酒も

飲めるかも!と、ワインを一口飲んだんですが、そこから七転八倒ですわ~。

もう、胃がムカムカして、今にも吐きそうで、一瞬で完全な悪酔い状態です。

 

印刷の仕事で、長年使って来た強い有機溶剤が、私の体内に蓄積していて、

・・・モルトンを洗うのはホワイトガソリン。ジクロルどころか、トルエンだとかも

普通に素手で扱う様な作業を、18歳から8年以上は続けてましたもんねぇ~。

印刷現場に有機溶剤規制なんて言うのが、全く無かった時代なんですよ。

 

今時は、有機溶剤の規制が出来、第二種は使わないと言う事で、ジクロルや

IPAも使わなく成りました。これね、作業をする我々にとっては、本当に良い事

だと思います。私は、お酒が飲めなく成った程度で終わっていますが、非常に

強い溶剤を長年、使い続けた為に、胆管癌に成った等の報道も有りました。

 

私の場合は、酒類が全く飲めなく成った事と、あと有機溶剤系に対しては、

異常な程、敏感に身体が反応する様に成ってしまいました。第二種の匂いが

立ち込めた場所には、3分も居られず、すぐに抜け出してもフラフラに成って

しまって、まともに動く事が出来ません。

 

強い有機溶剤は、知らぬ間に我々の身体を蝕んで行きます。自分の健康を

守るために、第二種の使用は、絶対に避けるよう、今度とも、ご注意下さい。

ローラーストリッピングって書くと、なんかカッコイイんですが、日本語では、

「ローラー・はげ」って言う、まぁ、高齢男性に対するセクハラの様な言葉に

成ってしまいます。・・・こっちだってなぁハゲたくてハゲてる訳じゃないぞ(笑)

 

先日、印刷工場さんで枚葉機の印刷状況を見てたら、端っこの藍の絵柄に

筋状の着肉不良を見付けたんですよ。咬から咬尻に掛けて一直線状態で

着肉不良が発生していました。なんじゃこりゃ?と、いろいろ推測してみた

んですが、この場合、最も怪しいのは、ブランケットの凹みですよね。

 

A全判の紙を印刷していて、その着肉不良が、四六半切判の紙端の位置と

ピッタリだったので、紙端の紙粉がブランに蓄積して、ブランを凹ませてしまう

ってヤツだと思ったワケです。印刷機を停止してブランを見てみると、やはり、

その位置に、筋状の凹み跡が有りました。こりゃ即、ブラン交換ですわね。

 

んで、ブランを新品に替えたんですが、これがね、直らないんです。なんで?

「このまま刷るの?」って訊くと、「これくらいなら、全く大丈夫な印刷物なので、

このまま行きます」との事。んじゃまぁ、ゆっくり原因を探ってみようと、まずは

水回りのローラーから見てみました。・・・暗いから懐中電灯は必須ですね。

 

水系のローラーには、その位置にトラブルが発見出来なかったので、順番に

上の方に向かって、インキローラーを確認して行ったんですよ。そしたらね、

水ローラーのすぐ上の、金属製のインキ移しローラーの端に、インキハゲが

起ってしまっている事を発見しました。これって、これが正常な状態か?

 

あまり詳しくは知らない印刷機なので、それが正常な状態かどうかが私には

分かりません。でももし、ローラーハゲであるならば、確認方法は簡単です。

そのハゲてしまっているローラーの部分に、自分の口から息を強く吹き掛け

てやるんですわ。息を吹き掛けた瞬間だけ、ハゲた部分にインキが正常に

付着して、吹き掛けるのを止めれば、またハゲる。こんな状態が起ればね、

こりゃ、ローラーストリッピング決定なんですよ。

 

その旨を機長さんに伝えると「ああ、そうだったんですか」と、印刷機ユニット

の脇に置いてあった、小型扇風機を持ち出して、そのハゲた部分に風を当て

だしたんですわ。そしたらね、着肉不良だった部分が、キレイにインキが乗る

ように成ってしまったんです。・・・コイツ、しょっちゅうやってるな~(笑)。

 

本当はね、こんな、邪道な対処方法ではアカンですよ。ローラーハゲが発生

したら、印刷機を止めて、そのローラーを外し、手でシッカリ磨いてやるって

言うのが正しい対応方法です。・・・どうして、そこまでしなけりゃならないの?

 

ローラーハゲって、おもしろくてね。ローラー上にインキだけしか無い場合だと、

ハゲないんですよ。さぁ印刷を開始しようと、水のローラーやインキのローラー

を、版面にタッチさせた瞬間、インキローラーにインキハゲが発生するんです。

 

つまりね、インキローラーにも湿し水が送り込まれた瞬間、ローラーがハゲる

って具合なんですわ。インキローラーの中でも、金属や樹脂で作られた物に

発生しやすいんですよ。これ何が原因かって言うとね、インキローラーに、

水と仲良しな成分が、こびり付いてしまう事で起こってしまうんですわ。

 

インキローラーは、インキを運ぶ為の物ですから、インキ(油)と仲良しじゃ

ないとアカンですよね。ところが、そこへ、水と仲良しな成分、例えば刷版の

保護に使ってるガム成分だとか、紙の表面に有る、炭酸カルシウムなんて

言う、水と仲良しな成分がインキローラーに、こびり付いてしまうと、こんな

ローラーストリッピング(ローラーハゲ)って言う状態が発生してしまいます。

 

ローラーに余分な成分が、こびり付いてしまう事を、ローラーグレイジングって

言います。グレイジング除去剤なんてのを使って、こまめにグレイズを落として

やらんとアカンのですが、頑固に、こびり付いてしまった物は、ローラーを外し、

手で一生懸命に磨いてやらんと、元には戻りません。

 

特に、UVや、高感度UVは、紫外線硬化剤のせいか、グレイジングが非常に

激しいので、頻繁にグレイズ除去をやってやる必要が有ります。今回の様に

ローラーハゲが起ってしまうと、正常にインキを運ぶ事が出来ませんからね、

ハゲた部分だけ、版面までインキが届かず、淡い絵柄に成ってしまいますね。

 

何の対応もせず、放置しておくだけでは、決して直らないトラブルですから、

ストリッピング(ハゲ)が発生してしまう前に、ローラーグレイジングが起きない

よう、日々の手入れをして行く事が重要なんですよ。

例えば、「今日は傘を持って行った方がイイよ!」って言われて、外の様子を

見てみると、雲一つ無い快晴。それなのに、傘を持って行けって「どうして?」

って聞きたく成りますよねぇ。「昼過ぎには低気圧が来て、雨が降り出すって、

さっき、天気予報で言ってたから」 あ、なるほど。

 

どうして?⇒ なるほど。と、一発で納得が行けば即実行ですわね。何の迷い

もなく、傘を持って出掛ける事が出来ます。でもね、なかなか、そう簡単には

行かないのが、印刷業界なんですわ~。・・・まぁ、どの業界でも、ある程度は、

そうなのかも知れんですが、私は印刷業界しか知らないので(笑)。

 

私が育った古い印刷現場は、この「どうして?」に対する回答が、非常に曖昧な

世界でした。私が二十歳の時「おい、成田。その紺色は少し青めに刷っとけよ」

え?どうして?「いいから、言う通りにやっとけ!」・・・って、そんな言われ方じゃ、

どの程度、青めに刷ったらイイのか、ワケが判らんですよねぇ~。

 

その当時、私は、同じ職場の諸先輩達(と言っても30歳位上)から、メチャクチャ

煙たがられていました。大先輩達の言う事を、自分が納得するまで、最低でも、

「どうして?」を3回は繰り返してたんですよ。どうして?と3回訊いて、3回とも

シッカリ答えられる先輩は、解っている人だから素直に言う事を聞く。

 

1回目の、どうして?で、何も答えられない人は、解っていない人だから、こりゃ

最初っから相手にしない。2回目まで答えられた人は、まぁまぁ解ってるけど、

全て信用するには値しないから、その本当の理由は必ず自分で考えるか、又は

徹底的に自分で調べてから判断する。・・・そんな勝手な法則を作っていました。

 

新米の頃の自分が、そう言うモノサシで、先輩の知識の真偽を測っていたので、

自分が教える側に回った時には、必ず、3回の「どうして?」に答えられるように

していました。「紺色を青めに刷れ」 ⇒ どうして? ⇒ 「乾燥すると赤が浮くから」

⇒ どうして? ⇒ 「紺色の特色は乾燥して次の日の朝とかに見ると赤味が出て

真っ赤な紺色に成ってしまうんだ。それを防ぐ為に少し青めに刷っておくワケだ」

 

どうして乾燥すると赤く成るんですか? ・・・さて、3回目の「どうして?」です。

これに答える事が出来ますか?実際に、経験値では、解っているんですよね。

上質紙に紺色の特色で刷って、刷ってる時はバッチリだと思ってたのに次の日

の朝、見てみると、真っ赤な紺色に成ってしまってて、刷り直した~、とかね。

 

刷ったばかりの、まだ乾燥していない状態ではイイんだけど、これが乾燥すると、

赤い顔料だけが、乾燥したインキ表面に頭を出してしまう。赤い顔料が角張った

ような感じで、その出っ張った角が乾燥時に表面に出て来るので、赤い紺色に

成ってしまうって言うイメージだ。

 

そう言う事が原因で赤く見えているのだから、その原因を緩和してやれば直る

場合が有る。全て刷り直す前に、赤浮きしてしまった紺色と、同じ絵柄の版で

マットニスを、薄~く、オーバープリントしてみてごらん。出っ張った赤の顔料を、

マットニスで抑えてやれば、赤浮きが直ってしまう事が有るから試す価値はね、

充分に有るよ。それでもダメなら刷り直すしかないけどね。

 

3回目の「どうして?」に答えるためには、ケッコウな知識量が必要です。でもね、

それに答える事が出来れば、若手君達は迷わず、信用する事が出来ますよね。

・・・まぁ、最近は3回目の「どうして?」どころか、1回目すら訊いてくれない若手君

達の方が、多かったりしてしまうんですけどね(笑)。

 

今回の、紺色の赤浮きに関しては、乾燥後に、どれくらい赤く成ってしまうかが、

印刷中に分かれば、どれくらい青めに刷るかが、判断出来ますよね。その点に

関しては、皆さん、いろんな方法を駆使しておられますよね。一番よく見るのは

ヘアドライヤーで印刷物を加熱して、強制乾燥させ色調の変化を見るってヤツ

ですかねぇ。私は電気ストーブを使ってました。

 

印刷した裏面から電気ストーブで過熱し(印刷面から少し煙が出る程度の過熱)

その後、充分に冷ましてやると、指で印刷面を触っても大丈夫な程度にまで、

乾燥が進み、その時点で、乾燥後の赤浮きも確認する事が出来ます。電気店で

電気ストーブを買うとヘアドライヤーより安いし、広範囲を素早く乾燥させる事が

出来るので、ケッコウ有効な方法だと思っています。

「許容範囲」っていう言葉が有りますよね。これくらいの範囲内に収まってれば

大丈夫だよ~(^^)v。なんて言う、良好な範囲の広さを示したりする場合に使う

事が多いかと思います。またその逆に、これに関しては超厳しいから、メッチャ

狭い許容範囲内に収めなきゃ、OKが頂けない!ってな場合も有りますわね。

 

許容される幅が狭い程、シビアな管理が求められ、幅が広い程、ラフな管理

でもOKって話なんですが、我々、印刷の世界でも、この許容範囲ってヤツは、

いろんな場面で出て来ます。色調の管理なんて、まさにそのものズバリって

感じですよね。・・・前回見本と、バッチリ同じ色調にしたいんだけど、チョッと

ベタ部分の赤味が足らない。でも紅を盛ると、写真が真っ赤に成ってしまうし。

まぁこれなら許容範囲ギリギリだから、OKにしようか。なんて感じですね。

 

湿し水の量ってヤツにも、その許容範囲ってのが有ります。湿し水の場合は、

それを指して、「水幅」なんて呼んで、水幅が広いとか、狭いとか言う表現を

しますよね。要するに、湿し水を、汚れが出るギリギリまで絞った状態から、

その逆に、これ以上、湿し水を多くすると乳化してしまうって言う、その良好な

範囲内の幅が広ければ、水幅が広い。って言ってるわけです。

 

普通の油性印刷を経験して、高感度UVに替わった人には、よく分かる話だ

と思うんですが、油性に比べると、UVって、メッチャ水幅が狭いですよね。

水が少ないと、変な「散り汚れ」が出たり、その逆に水がチョッと多いだけで、

すぐに濃度ダウンしてしまったり乳化してしまったり。油性から高感度UVに

転向した人を、まず悩ませるのが、この水幅の狭さですよね。

 

私ね、最近よく思うんですよ。油性 ⇒ 高感度UV で、水幅の狭さに悩む。

であるならば、高感度UVの狭い水幅に慣れた人が、もう一度、油性機に

戻ったら、こりゃさぞ素晴らしい品質の印刷物を造り上げられるのではない

だろうか!って。これね、輪転機だと、もっと明確に差が出るんですよ。

 

輪転機ってね、版面が湿し水で、テカテカに光るほど、メチャクチャに多い

水上げをしても、何とか刷れてしまうんです。・・・ん~違うな。まともな物は

刷れてないな。何とか、紙にインキを着けてるって言うレベルだろうなぁ。

でもね、輪転は、そんなメチャクチャな事をやっても、紙にインキを着ける

事が出来てしまうんですよ。もしも枚葉機で、こんな水上げをしたら、こりゃ

まともにインキが着きません。まともな印刷物を作る事が出来ません。

 

ですから、ある意味、枚葉機よりも輪転機の方が、圧倒的に水幅が広い

っていう言い方が出来ます。と言う事はですよ、UV ⇒ 油性の時の様に、

枚葉 ⇒ 輪転に替わったら、水を絞る事に慣れてる枚葉オペレータなら

輪転機でも、シッカリ水を絞る事が出来て、印刷品質の圧倒的な向上が

望めるってワケなんですよ。

 

その逆も有りますよね。水をダバダバに上げる癖が付いてしまっている

輪転オペレータが枚葉機を使ったら、そんな水上げじゃ全く刷れないから、

必然的に水を絞る方法を覚える事が出来る。・・・これね、実際にやってる

工場さんが有ります。3ヵ月交替で、枚葉と輪転の機長をローテーション

しているんですわ。ここの輪転機の水絞りは本当にキレイです。

 

許容範囲とか、水幅ってのはね、狭ければ狭いほど、様々な技術力が

必要に成ります。逆に言うなら、技術力を磨くためには、広い許容範囲、

広い水幅ってやつが、邪魔に成ってしまう場合が有るんですよ。

 

輪転機オペレータさんでも、ウマい人は沢山居ます。でもね、7割以上の

輪転オペレータは、ド!ヘタクソです。この人達の技術向上が出来れば、

大幅な品質向上が望めるし、刷り出し損紙の削減や、インキの削減等、

輪転会社さんにとっては、即座に利益に繋がる改善が出来るんですよ。

 

数億円もする高価な輪転機を、インキまみれにして平気で居られる様な、

そんな古い考え方のオペレータは、もう不要なんです。技術力の向上に

意欲を示さないオペレータが生き残って行く術は、もう無いんですよ。

これからの印刷業界ってのは、そんな甘い人を雇っておく余裕は無いと

言う事をシッカリ認識しなければ、会社そのものが傾きますよね。

コロナの時代ですから、人を集めてのセミナーが出来ませんので、

昨日の午後、初めて、Zoom でセミナーをさせて頂いたんですよ~。

Zoom なんですが、短時間なセミナーなので、視聴して下さってる

皆さんの画像や音声は、全てOFFの状態だったんですよね…。

 

これねぇ、やっぱり寂しいですわ~。いつもは、皆さんが居る目の前で

しゃべらさせて頂いてるワケじゃないですか。皆さんの顔も見えてるし、

皆さんのリアクションも、全て考慮しながら話を進める事が出来ます。

 

誰も居ない所で、カメラだけに向かって、しゃべるのって、何だかねぇ、

延々と、独り言を言っているようで、本当に寂しいですよ~(笑)。

 

 

 

 

ずい分、昔の話ですが、一応、元役者で、舞台にもテレビにも出てたん

ですが、私は圧倒的に舞台の方が好きでした。お客さんの反応がね、

ダイレクトに聞こえますから、演じててもメッチャ楽しいんですよね。

 

それに比べて、テレビって、お客さんの反応が分からないし、目の前に

有るのは、無機質なテレビカメラと、コワモテなディレクターさんとか、

カメラさんとか、音声さんとかなんですよ。なんかね、そんな人達の為に

演技をしてる様な錯覚に陥ってしまって、本当に好きじゃなっかった~。

 

あとね、テレビって、「ハイ!NG!撮り直しです!」ってのが有るんですよ。

誰かがセリフを間違えたとか、段取りを間違えたりすると、即NGが掛かって

そのシーンを最初っから撮り直すんですわ。これ、ナマの舞台じゃ出来ない

ことですよね。誰かがセリフを間違えても、それを補って、何事も無かったか

の様に進めて行かなければ成りません。私はその緊張感が大好きでした。

 

あとテレビってね、そのシーン毎に、まとめて撮って行くんですわ。例えばね、

断崖絶壁でのシーンが、物語の最初と中間と最後に有ったら、その三つの

シーンを、同じ場所で続けて撮ってしまうんですよ。これね、芝居する方は

ケッコウ大変です。最初と中間と最後なんですから、物語の流れとか様々な

シチュエーションとかが違うじゃないですか。その流れを寸断して撮影して

行くので、どんなテンションで演技してイイのか、分からなく成ってしまう~。

 

・・・まぁねぇ、そんな事を言ってるから、プロの役者には成れなかったんです

けどね(笑)。まぁ芝居にしても、セミナーにしても、私はやっぱり、皆さんの

前で、皆さんの顔を見ながら進めて行きたいなぁ。早くコロナが終息する事を

心から祈るばかりですわ~。

今日の午後、Zoomを使って、私がセミナーをやります~。

Zoomなので、参加人数の制限が有るみたいなんですよ。

参加募集のメールを送ったら、すぐに定員に成ってしまい

早々に応募締め切りに成ってしまいました~。

 

内容的には、「新入社員向け・紙のお話」です。

私が初心者向けのセミナーをやるのは珍しいんですが、

紙の大きさ、紙はどうやって作るか、紙の目なり、連量、

紙の種類なんて言う、紙の基礎の解説をします。

 

ベテランの方達にとっては、知ってて当たり前の様な話

なんですが、新人さん達には、これだけは最低限でも

理解しておいて欲しいって言う内容です。

 

セミナーが終わった後、数日後には、動画でご覧頂ける

ように計画していますので、動画配信されたら、ご報告

させて頂きます。

 

1時間程度の内容ですが、動画を使って新人さん達の

勉強に役立てて頂ければ幸いです~。

 

 

例えば自社の営業さんが、今までやった事の無い仕事を取って来たとしましょう。

それが現在も、他社で増刷が続いている印刷物だったとします。製版のデータも、

もらって来たので、あとは、増刷物に色調を合わせればOKなんですが・・・。

 

いざ印刷してみると、全く色調が合わない。それどころか、インキの色そのものが

全く違うような感じ。プロセスカラーの4色刷りではなく、特色4色刷りなのかなぁ?

いや、製版データは、CMYKで出来上がっていたしなぁ~。なんで色が合わない?

 

今時、こんな経験をされた方は少ないかも知れませんが、10年位前頃には、私の

所へよく、こんな相談が来ていました。・・・今まで、他社さんで刷っていた印刷物を

見せて下さい。と言って、それをルーペで覗いてみると…。こりゃアカンですわ~、

今まではフレキソで刷っていた物ですから、オフセットじゃ色が出ませんよ~。

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印刷方式には、4つの版様式が有ります。凸版、凹版、平版、孔版ってヤツですね。

最近は、これに無圧版とか言う、インクジェットやトナー方式の物が加わって5つの

版様式って言うべきかも知れませんね。・・・凸版方式の代表選手は、活字を使った

「活版印刷」だったんですが、最近は「フレキソ印刷」ってのが代表でしょうね。

 

凹版は「グラビア印刷」です。ペットボトルの飲料水等のラベルは、ほとんどがこの

グラビア印刷ですね。あと菓子パンの袋もそうですね。平版は我々のオフセットが

代表選手で、孔版は、Tシャツ等にプリントされた絵柄等を刷る「スクリーン印刷」が

有名ですよね。それぞれに特徴が有り、適した用途が有るんですが、冒頭の話の

様に他社で刷った物が、どんな印刷方式で刷られた物かを、確実に判別する事が

出来なきゃ、飛んでも無い事に成りかねませんよね。

 

これね、それぞれの版の形態を理解していれば、その印刷物を25倍のルーペで

覗いてやる事で、判別する事が出来ます。・・・例えば、社内のコピー機で刷られた

写真とか、インクジェットで刷られた写真とかの判別って簡単ですよね。

ええッ!そんな物、ルーペで覗いた事が無いですか? んじゃ手始めに、こいつら

をルーペで覗いて、オフセットと、どんな差が有るのかを確認してみて下さいな。

 

では、まず「グラビア印刷」です。私の目の前に「お~い お茶」のペットボトルが有る

んですが、このラベルはグラビアです。グラビアは凹版なので、マス目の様に四角く

切られた凹部分にインクが入って印刷されるのですが、最も特徴が出るのが文字

なんですよ。文字の輪郭部分が、ギザギザに汚く成ってたら、こりゃグラビアですわ。

 

フレキソの印刷物を探すのは、チョッと難しいかもですが、小ロットのフィルム印刷

にはケッコウ使われています。オムツのパンパース・特別バージョンとかに使われ

ていたのを見ました。フレキソは樹脂凸版です。凸版の特徴は、マージナルゾーン

って言って、版の構造的に、小さなベタ部(網点でもOK)の、輪郭部分に圧が強く

掛かるので、輪郭が濃く、真ん中あたりが淡く成ると言う特徴で判別する事が出来

ます。こんな事、オフセット印刷じゃ、絶対に起きませんからねぇ。

 

スクリーン印刷は、インクの膜厚が、オフセットの20倍も有るので、Tシャツに印刷

して、洗濯しても大丈夫なほど、非常に強い印刷ですね。でもその代わり、繊細な

グラデーションを再現する事は困難なので、カラー写真の印刷とかは無理です。

 

我々の、オフセット印刷ってヤツはね、他の版様式に比べたら、圧倒的な、諧調

(グラデーション)再現性を持った印刷方式なんですよ。他の印刷方式には絶対に

真似の出来ない、美しいカラー写真を印刷する事が出来る。それこそがオフセット

印刷が誕生した理由なのです。ですから、品質で劣るなんて事は、オフセットには

絶対に許されない事であり、オフセットで刷る意味が無く成ってしまうんですよ。

 

写真のみならず、文字も同様です。例えば「伊藤さん」の「藤」など、字画が多くて

しかも小さな漢字を、インクジェットやトナープリンターで刷ったら、文字が潰れて

しまいます。文字の輪郭部分のキレが悪いんですよね。だけどオフセットなら・・・

 

って、胸を張りたいんですが、最近のトナープリンターって、文字のキレが、メッチャ

良いんですよね~。水を上げ過ぎたオフセットよりも、はるかに綺麗だったりします。

これじゃ~ねぇ、本当に、オフセットが生き残れなく成ってしまうんですよ。

 

トナープリンターとかってね、まず版が不要ですよね。版を出力する手間や余分な

資材費が省ける。そして、刷り出しの予備紙も、不要ですわね。刷り出した1枚目

から製品として使えてしまう。特別な技術も不要。誰がボタンを押しても同じ品質

で印刷が出来てしまいます。例えば名刺の印刷なんてオフセットで刷る意味は全く

無いと言っても、決して過言では無いだろうと思います。

 

版を使って、刷り出しの予備紙使って、特殊な技術を駆使して刷るのがオフセット。

それでも、オフセット印刷で刷って欲しい!と、お客さんに言って頂くためにはねぇ、

トナープリンターには絶対に負けない、圧倒的な高品質である事が必須条件なん

ですわ。・・・私が、品質至上主義な理由は、こんな所にも有るんですよ。

「印刷する紙によって、湿し水の上げ方が変わると思うのですが、

 そうした点に関して、成田さんは、どの様な指標を、お持ちですか?」

・・・と言う、質問を頂きました。

 

以前、湿し水ではなく、インキの盛り量に関して、紙質が変わってもインキを盛る

量を変えない。と言う話を伺った事が有りましたが、私はこれ、紙質が変われば、

インキの盛り量を変えるのは、当たり前だ!と考えています。

 

例えば、コート紙を刷る時と同じインキ盛り量で同じ絵柄を、上質紙に刷ったら、

こりゃ、アホみたいにスカスカな、淡い絵柄に成ってしまいますよね。まぁそれが

上質紙に刷った時の質感だ!と、言えなくもないんですが、私は違うと考えます。

お客さんが求める品質がね、どうなのかにもよりますがコート紙と同等の質感で、

上質紙にカラー印刷が出来る事を望むお客さんの方が多いと思っています。

 

極端な話、コート紙と同じインキ盛り量で同じ絵柄を、ユポに刷ったらどう成るか。

これね、コテコテのインキ盛りに成ってしまいます。「えッ?ウチでは普通にコート

と同じ感じで刷れてるけど」 ・・・それ、湿し水が多過ぎです。ユポ用に、キッチリ

湿し水を絞ったら、コートと同じインキ盛りで、ユポなど刷れませんよ。

 

コート紙は、ある程度インキを吸い込みます。上質紙は、もっとインキを吸い込み

ますよね。それに比べて、ユポは全くインキを吸い込みません。これほどまでに、

異なる表面を持った用紙に対して、同じインキ盛りでイイわけがないですよねぇ。

でも、コートとユポで同じインキ盛りをしている。そりゃ水が多過ぎるからであって、

多過ぎる水が乾燥を遅らせ、裏移りや、色調不良の原因に成っているんですわ。

 

紙によって、インキの盛り量が変わる。インキの量が変われば、湿し水の量が

変わってしまう事も当たり前。しかも、水を吸い込みやすい紙も有れば、水を

全く吸い込まない紙も有る。シビアに見れば、その日の湿度や温度によっても、

水の上げ量は当然の様に変わる。紙質の変化だけではなく、様々な要因で

水の制御が変わって来る。だから私は、水目盛りと言う物に興味が無い。

まぁ、当然の事ながら、参考程度には見ますけどね。

 

私の基本は、まず、湿し水を極限まで絞る事です。どんな場合でも、極限まで、

湿し水を絞った状態が、スタート地点なんですわ。そしてそのスタート地点を、

水目盛りの数値で決めると言う事を一切しません。例えばコート紙なら最初は

15の水目盛りとか、上質紙なら20、ユポなら5からスタート。なんて考えは、

私には無いんですわ。常に、極限・最少の水出し量を探っています。

 

ですからね、「紙質と湿し水の関係」なんて言う概念が、私には無いんですわ。

昔ね、「絵柄が少ない印刷物は、版面上に湿し水が必要な部分が多いから、

湿し水は多目に出せ。それに対して、ベタの多い印刷物は、版面上にも水を

必要とする部分が少ないから、水を絞れ」と、解説していた講師が居ました。

 

これダメだって分かりますよねぇ。絵柄が少ない印刷物ってヤツはインキの

消費量が少なく、ただでさえ乳化しやすいですよね。そこへ湿し水を多目に

してしまったら、こりゃ、どうぞ乳化して、トラブルを起こして下さい!って言っ

てるようなもんですわ。・・・講師の先生が、自分で考えた、さも正しそうな、

素晴らしい理論に聞こえるかも知れませんが、実務経験の無い講師さんは、

時々、飛んでも無い事を言いますから要注意なんですよ~。

 

絵柄が少なかろうが、多かろうが、とにかく必死に湿し水を絞れ!ってのが、

一番の基本だって分かりますよね。だから、紙が変わった場合も同じなんです。

上質紙だろうが、コート紙だろうが、ユポだろうが、とにかく極限まで水を絞れ!

それが、オフセット印刷の基本じゃッ!って事なんですわ。

例えば、和食のレストランで料理を食べるとしましょう。私は偏食家で、

海老、蟹、貝が嫌いなんですよ。特に、海老と蟹の匂いは最悪に嫌いです。

でもね、野菜の天ぷらとかは大好きなので、よく注文するんですが、これが

質の悪いレストランだと、油に海老の匂いが染み付いてしまってるんです。

当然の様に大好きな野菜の天ぷらにも海老の匂いがプンプン。最悪です!

 

嫌いな食べ物の匂いって最悪ですよねぇ。私は大丈夫ですが、納豆が嫌い

って言う関西の方、ケッコウ多いですよね。出張先のホテルの朝食で納豆を

食べてると、「うわぁ~、腐ったもんの匂いがするやんッ!」とか言われます。

あと、鯖の匂いが嫌いな人は、徹底的に嫌いますよね。

 

これらも、「移り香」と言う物なんでしょうね。野菜の天ぷらに海老の匂いが

付いてしまう。もうこんなレストラン、二度と行きません(笑)。キッチリした

レストランだと絶対に、そんな事は無いんですが、これ、やっぱり清掃とか、

気づかいとかの問題なんでしょうか?まぁねぇ、海老を調理した直後の、

まな板で、何もせずに野菜を切ったら、匂いは付きますわね~。

 

これね、印刷も同じだと思うんですよ。例えばですよ、

 

 

 

こんなメチャクチャに汚い印刷機で、キレイな物を刷ろうっつったって、無理

だと思いません? これって何年間、掃除してない状態なんでしょうね?多分、

1年間とかのレベルじゃないですよね。ここまでの状態に成っても何もしようと

しない。その精神がね、こりゃもうアカンですわ。

 

パッと見て、明らかに「汚いッ!」って分かる所すら、全く清掃が出来ていない。

って事はねぇ、内部のローラーとか、ローラーホルダーや、その周辺も、インキで

ゴテゴテに成ってしまっている事が明らかですよね。そんな事ではイイ物は刷れ

ません。これって、野菜に海老の匂いが付くとかのレベルじゃないですね。

 

普通に正しく印刷していれば、こんなにまで印刷機が汚れる事はないんですよ。

湿し水をドバドバに多くして、インキもメッチャ大盛りして、インキを乳化させて

しまうから、ここまでの汚れに成ってしまうんです。こんな状況を見ても、清掃を

しようとしない、技術改善をしようとしない。そんな人にオペレータの資格は無い

って話ですわ。なんで、ここまでルーズな事が出来てしまうのかなぁ?

 

・・・実はね、これ決して大げさな例じゃないんです。関東地区の輪転機ってね、

まぁ、こんな状態に近いものがケッコウ多いんですよ。なんでこんなに汚いの?

って訊くと「いや~、会社が掃除の時間とか作ってくれないからさぁ~」と、口を

揃えます。いや、そうじゃなくてさ、汚さない方法を考えなよ!って言うと…。

 

「あッ!そうか!カバーの外側にまでインキが飛び散って見苦しいからカバーの

内側に紙でも貼って、インキが飛び散るのを防ぐか~!」・・・いや、そうじゃない

よねぇ~。なんで、あの手この手で、ごまかそうとするのかなぁ~。自分自身の

印刷技術ってヤツをシッカリ見直してみてごらん。水を絞る!って言う基本だけ、

キッチリやってやれば、こんな汚れは出ないんだからさぁ。

 

「水を絞ったら、いつ汚れるか分からんでしょう。あまり神経使って刷りたくない

からさぁ、水は多目の方が、気楽でイイよね」・・・関東勢は、なかなか手強い

ですわ。でもね、こんな事を続けていれば、いくら仕事が豊富な関東地区でも、

品質面でダメを出されて、他の地方に仕事が取られしまいますよ。水を絞る!

なんてのは、一番初歩の基本なんだから、シッカリやりましょうよ。