過去問集の解説を読み、記載されている数式を見て、確かにこの金
なるけれど、「なぜ、この数字を使うのか。」「なぜ、この計算式
等が、腑に落ちない方、もやもやしている方向けに、これ以上詳し
説を書いてみます。
問題文
Z製品を製造販売している当社では、従来使用してきた設備の一部
ので、その代替として設備Aと設備Bのどちらを20X2年度期首
を検討している。次の<資料>に基づいて、下記の設問に答えなさ
なお、計算の過程で端数が生じた場合は、最終数値の段階で、製品
ては1個未満の端数を切り上げ、金額については円未満を四捨五入
た、問2以降の設問では、税金の影響を考慮して解答すること。
問題文の補足
設備取り換えに伴う意思決定の問題
「設備の一部が古くなったので、その代替として」との記述から、
却に伴う論点(売却益、評価損等)は発生しなさそう。
現行の設備との比較ではなく、新たな2種類(A、B)の設備の投
比較する問題。
問題分の指示・条件
1.設備Aの購入原価は30,000,000円、設備Bの購入原
20X1年度期末に現金で支払われる。いずれの設備も、耐用年数
ロの定額法で減価償却を20X2年度期末から行う。・・・・設備
度当初の取得であるため、割引計算には関係ない。各設備の減価償
とおり。
設備A:30,000,000円÷3年=10,000,000(
設備B:24,000,000円÷3年=8,000,000(キ
2.設備A、設備Bを使用して製造販売されるZ製品の販売価格は
円、Z製品の製造販売個数は毎年同じであり、すべて現金売上であ
「すべて現金売上である。」との記載から、すべてキャッシュ・イ
なる。
3.設備A、設備Bの使用に伴って発生する関連原価(Z製品1個
年間発生固定費)は次のように見積もられている。
設備A:変動費10,000(材料費8,000円、経費2,00
設備B:変動費12,000(材料費9,500円、経費2,50
上記の費用はすべて現金支出費用であり、固定費の中に減価償却費
ない。
・・・・「上記の費用はすべて現金支出費用」との記載から、すべ
アウト・フローになる。「固定費の中に減価償却費は含まれていな
「上記の費用はすべて現金支出費用」との記載との間に矛盾はない
4.当社は今後3年間にわたり黒字が継続すると見込まれる。実効
ある。・・・・節税効果あり、実効税率は30%ではないので注意
5.税引後資本コストは6%であり、割引計算に際しては次の年金
用すること。6%:3年2.673・・・・年金現価係数を使える
支出額が同じでないといけない。「使用Z製品の製造販売個数は毎
う記載があり、販売単価や変動費、固定費が変更されるという記載
年金現価係数は利用可能。
6.各年度におけるキャッシュ・フローは、各年度末にまとめて発
仮定する。・・・・割引計算に必要な条件。キャッシュ・フローが
発生すると2年間の割日計算になる。
問1 設備AでZ製品を製造販売する場合の次の金額を計算しなさい。・
問1なので税金を考慮しない。
(1) 製品1個当たり限界利益(貢献利益)・・・・販売価格(単価)2
備Aの変動費10,000円=10,000
(2) 企業会計において費用に計上される年間個別固定費総額・・・・設
連する年間固定費は、3,000,000だが、設定3の最後の行
いないという記述があるので、30,000,000÷3年=10
問2 設備Aを使用してZ製品2,000個を毎年製造販売するものと仮
の次の金額を計算しなさい。・・・・問2なので税金を考慮する。
(1) Z製品製造販売に関わる1年間のネット・キャッシュ・インフロー
ネット(正味)・キャッシュ・フローは、よく目にするが、ネット
インフローと表示されると?となってしまう可能性がある。グロス
キャッシュ・インフローと混同しないこと。(3)で正味現在価値
ので、その対比としてグロス〔全体〕)・キャッシュ・インフロー
させようという罠ではないか。
回答算出の計算式:Z製品の販売単価20,000×2,000個
却費10,000,000×節税率0.4-(Z製品1個当たりの
製品1個当たりの固定費原価3,000,000)×税率0.6=
(2) Z製品製造販売に関わる1年間のネット・キャッシュ・インフロー
値合計・・・・(1)の回答14,200,000×6%3年間の
600
(3) 正味現在価値・・・・(2)と(3)の違いは、設備Aの投資額を
値を答えさせるという違いに過ぎない。(2)の回答37,956
価30,000,000(20X1年度期末に現金で支払われるの
600
問3 設備Aを使用してZ製品を製造販売するものと仮定する。
(1)1年間のZ製品の製造販売個数をXとすると、1年間のネッ
インフローはいくらになるか。その計算式を示しなさい。・・・・
算した時の個数(2,000個)にXを代入すればよい。Z製品の
税率0.6+設備Aの減価償却費10,000,000×節税率0
費原価10,000×X+Z製品1個当たりの固定費原価3,00
000,000-6,000X-1,800,000=6,000
(2) Z製品製造販売に関わる1年間のネット・キャッシュ・インフロー
値合計はいくらになるか。その計算式を示しなさい。・・・・(3
X+2,200,000)×6%3年間の年金現価係数2.673
(3) 正味現在価値が正(プラス)となる(設備投資の採算がとれるよう
のは1年間何個以上のZ製品を製造販売したときからかを計算しな
(1)と(2)の計算式については、最も簡単にした式を示すこと
答16,038X+5,880,600-設備Aの購入原価30,
>X、個数Xは自然数なので1,504個。
問4 設備Bを使用してZ製品を製造販売する場合、設備Bへの投資の正
価値が正(プラス)となる(設備投資の採算がとれるようになる)
個以上のZ製品を製造販売したときからかを計算しなさい。・・・
設備Aについて計算しているが、それを設備Bに切り替えただけ。
6×2.673+(24,000,000÷3年)×0.4×2.
2.673-24,000,000>0、12,830.4X+5
18,654,000、X>1,453.8907、個数Xは自然
問5
(1)設備A、設備Bへの投資の経済性の優劣が逆転するのは、1
量が何個以上のときからかを計算しなさい。
(2) 製造販売量が、(1)の個数以上になるとどちらへの投資が有利に
しなさい。・・・・初期投資が少ない設備Bの方が投資額回収に必
は少ないが、設備Aの方が1個当たりの貢献利益が高いため製造個
と有利になっていく。問3(3)の回答16,038X+5,88
回答12,830.4X+5,346,000-24,000,0
で1,704個