過去問集の解説を読み、記載されている数式を見て、確かにこの金額(回答)になるけれど、「なぜ、この数字を使うのか。」「なぜ、この計算式になるのか。」等が、腑に落ちない方、もやもやしている方向けに、これ以上詳しく書けない解説を書いてみます。

問題文
当社におけるM資材の購入と現場搬入に関する次の<資料>に基づいて、下の設問に答えなさい。なお、副費配賦差異については、月次ではそのまま繰り越す処理をしている

問題文の補足
「M資材の購入」、「現場搬入」の各段階に分けて整理すること。副費はどの段階で配賦するのか、注意すること。「副費配賦差異」との記載があるので、この段階で副費の予定配賦が確定する。「月次ではそのまま繰り越す」との指示があるので、前月分までの差異との差し引き計算を忘れないように。ただし、問題文の指示によっては、当月分のみを回答するケースもあるので気を抜かないこと。

問題分の指示・条件
1.M資材の当月購入額(送り状価額) ¥8,400,000・・・・送り状価額であるから副費は加算されていない。
2.M資材の当月現場搬入額(送り状価額ベース) 鉄筋工事用¥7,700,000 共通仮設工事用¥655,000。なお、当月中にすべて現場で利用されている。・・・・「鉄筋工事用」と「共通仮設工事用」に分けられている趣旨は、賦課(直課)分として直接工事費に算入する分と製造間接費に算入後、配賦基準により配賦される分に分類するため。この時点では、副費分をどう扱うのか確定していないため、今後の条件に注目。
3.M資材に関する当月副費実際発生額¥393,750・・・・予定配賦された副費
との比較により副費配賦差異を算出。
4.前月末におけるM資材の棚卸高(材料副費を含む) ¥304,500・・・・当月
購入額(送り状価額)¥8,400,000は、副費を含んでいないため違いに注目。
5.M資材に対する副費の配賦方法購入時に送り状価額に対して5%を予定配賦
する。・・・・重要な条件が示されている。①副費は購入の段階で予定配賦する。
②送り状価額の5%である。
6.前月末におけるM資材に対する副費配賦差異の次月繰越高¥2,950(借方残
高)・・・・当月分の配賦差異との差し引き計算をするのに必要な情報。

問1 直接工事費に算入されるM資材費を計算しなさい。
「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費」は、間接工事費であるため、直接
工事費に算入してはいけない。
なお、副費については、購入段階で加算されており、鉄筋工事用¥7,700,000にかかる分は、工事現場と直接紐づけられるため、工事直接費に併せて算入する。(副費は、全て製造間接費であるが、その中で、直接工事費となるもの間接工事費になるものに分けられる。)
また、資材倉庫から出庫(搬入)されるだけでなく、「当月中にすべて現場で利用されている。」
ため、全額(¥7,700,000×1.05)を直接工事費に算入する。
計算式:7,700,000×1.05=8,085,000

問2 次月に繰り越すM資材の金額を計算しなさい。
購入時に副費は加算されるから、当然、次月に繰り越すM資材も副費を含んでい
なければいけない。
次月に繰り越すM資材=前月末におけるM資材の棚卸高(材料副費を含む)+当
月購入したM資材-当月利用したM資材
前月末におけるM資材の棚卸高¥304,500は、材料副費を含んでいるのでそのま
ま利用。
当月購入したM資材¥8,400,000は、送り状価額で副費5%を含んでいないため、
1.05を掛けて¥8,820,000
当月利用したM資材も送り状価額ベースなので、1.05を掛ける必要がある。
計算式:(7,700,000+655,000)×1.05=8,772,750
注意:655,000円分のM資材も共通仮設工事用として使用済みであるので、月末
の在庫から除くのは当然。(直接工事費ではないが・・・)
次月に繰り越すM資材=304,500+8,820,000-8,772,750=351,750

問3 M資材について当月の副費配賦差異の勘定残高を計算し、借方差異の場合
は「A」、貸方差異の場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。
「当月の副費配賦差異の勘定残高」=前月の副費配賦差異の勘定残高(¥2,950
借方残高)+当月発生した副費配賦差異
副費は、「購入時に送り状価額に対して5%を予定配賦する。」との記載が、問
題文の条件5にある。
今月に購入したM資材の5%が当月発生した副費(8,400,000×0.05=420,000)
当月副費の実際発生額¥393,750との差額が当月発生した副費配賦差異(420,000
-393,750=26,250貸方差異)
当月の副費配賦差異の勘定残高=-2,950+26,250=23,300(貸方差異B)