当社は、建設用資材を量産しているが、これに取り付ける部品Pも自製している。
最近、部品Pについて外部購入してはどうかという意見が出ており、これに関連
して各種の代替案が提出された。そこで次の<資料>に基づいて、下の設問に答
えなさい。
なお、計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では四捨五入せず、最終数値
の円未満を四捨五入すること

1.部品Pの月産2,000個に対する製造原価明細は次のとおりである。
直接材料費7,000,000円
直接労務費13,000,000円
製造間接費10,000,000円(うち、固定費5,200,000円)
合計30,000,000円
(注)製造間接費は直接作業時間を基準に配賦している。
・・・・まず、製造原価を変動費と固定費に分類する。直接材料費と直接労務費
については、全体が変動費。製造間接費については、うち固定費が5,200,000円
とあるので、(10,000,000-5,200,000=4,800,000円)が変動費。
固定費は、埋没原価となるので無視できる。
外部購入する場合と比較する製造原価は、直接材料費7,000,000円+直接労務費
13,000,000円+製造間接費10,000,000円-固定費5,200,000円=24,800,000円

2.部品Pの購入単価は13,000円であるが、外部購入を行うと新たに検収担当者
が必要となる。検収担当者を雇用していくための費用は月額1,800,000円と予想
される。
・・・・外部購入する際の製造原価明細を検討。
新たな追加費用:(部品Pの購入価格)購入単価13,000円×2,000個=26,000,000
円、(検収費用)1,800,000円

3.部品Pの製造を中止した場合、直接労務費は他に有効に転用しうる。また、
製造間接費には機械減価償却費1,200,000円が含まれており、かかる機械は修繕
部に転用でき、この場合、転用先では同種機械の賃借料月額1,300,000円が節約
できる。
・・・・自社製造に伴う変動費のうち、外部購入しても、引き続き負担せざるを
得ないものが無いか確認。
変動費のうち直接材料費については、当然、負担なし(0円)となる。
変動費のうち直接労務費については、与えられている条件次第である。(正社員
(月給)を支払っているか、雇い止めができるか等)。「直接労務費は他に有効
に転用しうる」とあるので、負担なし(0円)となる。
固定費については、通常、埋没原価となるので無視するだけでよいのだが、転用
できる(すなわち費用の節約できる)ため、その分を外部購入する場合の製造原
価から差し引く。
計算式:(部品Pの購入価格)26,000,000円+(検収費用)1,800,000円-(転
用による節約額)1,300,000=26,500,000円

問3
自製する場合の原価24,800,000円-外部購入した場合の原価26,500,000円=
-1,700,000円。(Y:1,700,000円)

問4
部品Pと同じ設備を用いて製品甲(売上高32,770,000円)を生産できるものとす
る。製品甲を生産する場合、部品Pを生産するのに比べ直接材料費は25%、直接
労務費は20%、直接作業時間は20%増加する。部品Pを外部購入し製品甲を生産
するほうが、部品Pを生産する場合に比べて、月間総額でいくら有利または不利
かを答えなさい。有利な場合は、「X」、不利な場合は「Y」を解答用紙の所定
の欄に記入すること。
・・・・製品甲の月産2,000個に対する製造原価明細を計算する。
直接材料費(変動費)7,000,000円×1.25=8,750,000
直接労務費(変動費)13,000,000円×1.20=15,600,000
製造間接費(変動費)(10,000,000円-5,200,000円)×1.20=5,760,000
製品甲の製造に関する収支
32,770,000円-(8,750,000+15,600,000+5,760,000)=+2,660,000
部品Pの外部購入に伴う製造原価
(部品Pの購入価格)26,000,000円+(検収費用)1,800,000円-(製品甲の製
造に関する収入)2,660,000=25,140,000
※製品甲の製造のため、転用による節約額1,300,000が発生しないことに注意。

「製品甲の製造とP部品製造」と「P部品自家製造」の比較
25,140,000-24,800,000円=340,000円(Y:340,000円)