つい最近まで医学のターゲットは、感染がメインでした。

ほんの少し前まで結核は不治の病でしたし、贅沢病と言われる痛風などは昭和30年代までの日本では

皆無であり、痛風患者に遭遇すると学会発表されていたそうです。

 

しかし、寿命の延びとともに癌や心筋梗塞、脳卒中などが治療対象となることが増えてきました。

これは生物学的寿命の延長の必然とも言えます。

因みにホルモン感受性の癌(乳がん、前立腺癌)も激増しております。

またこれはいつか、書きたいのですが明らかにこれは肉食をの増加と因果関係あると私は考えております。

食肉が早く成長するよう様々なホルモン剤が投与されており、これを間接的に摂取している影響を強く疑っています。

 

またアトピーなどの慢性疾患も現代を象徴する病気と考えます。

微小循環障害に伴う、皮膚のバリアー破綻から難治化しているアトピー性皮膚炎。

これは冷えとも強く因果関係あると考えます。

実際アトピー性皮膚炎の患者さんの手を握ると冷たく感じます。

血流阻害と冷えは密接に関係しており、私は少しぬるめのお湯で1日数回入ることを勧めます。

ただし、この際皮膚の離脱や強いかゆみを伴うので、治療としてとても辛いものです。

これは私を治療してくれた恩師の教えであり、その頃は「これを乗り越えれば治る」と神の如く信じ続けて乗り越えました。

また、一時的に感染を伴っていた時期もあり、この時は一時的に関東の有名湯治場へ滞在しておりました。

その温泉はpH2以下の強酸であり、本当に辛かった。

この湯治で体重は5kg以上落ち(59kg→54kg)辛い辛い記憶です。

ただドイツのベルツ博士も称賛した、この湯治をきっかけにアトピーは完治へと向かいました。

最近ノーベル賞受賞が免疫システムの解明と癌治療薬だったこともあり、免疫の働きにまた光が当たってます。

しかし、医学生理学賞の利根川進先生も抗体多様性解明という免疫に関する研究で受賞され、ノーベル賞に近いと言われ亡くなられた多田富雄先生も免疫研究者でした。

 

しかし、免疫のメカニズムが解明されてもアトピーの根源治療無いのが現状です。

 

また、免疫システムと自律神経は密接に関与しており、交感神経優位と好中球優位、副交感優位とリンパ球優位の関係は分かり易くこれを示しています。

 

以前、書いたのですが好中球は不特定の敵と戦う道具としてフリーラジカルを産生します。

これは敵(細菌感染等)が来たときの短期決戦では極めて有効です。

敵が分からないのですからマシンガンを乱射するイメージです。

 

しかし、交感神経優位つまり過度のストレス状態が長期に持続すると生体へも悪影響があります。

腸管の粘膜障害である潰瘍性大腸炎などは、その好例と考えます。

少し飛躍しますが、パーキンソン病や突発性難聴なども私は、交感神経優位の過剰継続と関係あると私は考えます。

 

脳外科医として時にパーキンソン病の投薬行う場合もあるのですが、とても生真面目で几帳面な性格職歴の方が多いと感じます。

突発性難聴とストレスは、医療に携わる者には常識です。

 

アトピー、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、突発性難聴と病態は様々ですが、様々なストレスの個々人の多様な表現型と

考えます。こうした病気に対処療法でなく東洋医学的アプローチは極めて有効と私は考えます。

これは、ステロイドによりアトピー難治化した頃の写真です。

 

ステロイドは、短期的に使用する分には問題ないと私も考えます。

例えば咳喘息と呼ばれる、風邪を引いたあと咳症状のみ残っている場合を経験された方も多いかと思います。

これは、気道の過敏性と炎症の残存であり、短期の吸入ステロイドにより症状が改善します。

例えるなら火がくすぶっているので、火事になる前に消火するというイメージです。

 

アトピーの根源が微小循環障害と捉える、東洋医学的見地からするとアトピーにステロイドは、真逆の治療です。

ステロイドの作用にプロスタグランジンの合成阻害があります。

簡単に言えば、血流を悪くする方向の作用です。

当然、ステロイドにより一時的に炎症が治まっても、難治化していきます。

アトピー患者の特徴に冷え性の方が多いのも、そのせいと私は考えます。

実際、アトピーで重症の方の手を握ると冷えてます。

 

身体をどの様に温めていくか、漢方以外にも様々な方法あり書いていきたいと思っています。

アトピーで苦しんでいられる方に少しづつ私の経験と知識を共有できればと考えております。

潰瘍性大腸炎(以降はUC:ulcerative colitisと略)は、首相の持病としても少し認知が上がった病気です。

 

腹痛や下痢を繰り返し、首相の例でも高いストレスと相関がある病気です。

私の先輩も非常に厳しい病院で勤務していた頃にUCに罹患し、時に症状で苦しんでおりました。

 

以前、書きましたがストレスにより好中球増えると、これは組織障害を起こす場合があります。

これが、腸管の粘膜がターゲットとなった場合にUCが発症すると私はは考えます。

もちろんこれ以外にも様々なシステムが作用し発症すると考えますが、、、

なので当然治療薬はこうした免疫応答を抑制する薬が使われます。

 

しかし潰瘍性大腸炎にも漢方が著効する場合があるようです。

私自身、漢方の勉強のため公休や研究日を駆使して、週1回ほど漢方で有名な医院に診療しながら勉強させて頂いた期間が1年ほどありました。

その際に、本当にUCに漢方が劇的に効く姿を見て、本当に東洋医学の奥深さを実感しました。

 

また、免疫システムやストレスなどアトピーと共通する病気であり、病気とは身体が発する様々な信号と考えらる契機となった経験でもありました。

 

いつか、こうした病気を漢方で治すもしくは手助けする仕事もしていきたいと考えながら、日々の業務や手術に忙殺される日々です。

 

昨日は免疫と病気の関係について少し書かせて頂きました。

 

以前も書きましたが、ストレス下では末梢循環は抑制されます。

とても緊張すると手足が冷たくなるのは誰しも経験あることかと思います。

アトピーの本質が皮膚のバリアー障害であり、その原因としてとりわけ成人難治例では微小循環障害がベースにあると考えます。

何より私が、まさにそうでした。

受験で悪化し、ステロイドで難治化という非常のアトピー難治化の王道をいくものでした。

これは消化管のストレス潰瘍にも当てはまるのは、とても分かり易いかと思います。

 

では、癌とストレスの関係について。

癌の発生は様々な因子によるものであり、単一で説明する民間療法は危ういと考えるべきです。

しかし、癌の抑制に免疫と深く関わりあると共に、発生にも深く関与していると私は考えます。

昨日、書かせて頂いた交感神経優位(身体が戦闘状態)=好中球優位という状態は、身体に利益と不利益をもたらすものです。

好中球の免疫機能での働きは、敵の顔を見ずに攻撃する=非特異的免疫応答です。

これにはフリーラジカルを発生させるという手段もあります。

フリーラジカルは、まさしくマシンガンの様に生物に作用します。

これは、敵だけでなく自身の身体へも長期間晒される遺伝子変異をきたす可能性があると考えます。

 

いま思うと、ストレスの身体の反応がアトピーという病気でよかったと考えてます。

多分、あの頃の食事習慣、心のありよう等を変えていなかったら、きっと命にかかわる病気になってたと考えてます。

 

次回はステロイドによる難治化機序を書いてみようかと思います。

 

長く取り留めない文章ですが、写真は自宅近く秋谷海岸の夕焼けです。

 

免疫と病気関係について

 

最近 ノーベル賞を受賞された本庶先生のお仕事は、抗体の多様性を説明する画期的なお仕事でした。

私の大学の免疫学の授業は非常に大変で私の前年に免疫学のみで留年が19人という凄い数字をだし、学生時代の勉強で

本気度ベスト3に入るものでした。

 

アトピー性皮膚炎は、まさしく免疫と深くかかわりがある病気です。

そしてアトピーが心の状態とも深くかかわりがあるのは、アトピーで苦しんだ人なら皆共感できることかと思います。

受験、仕事など様々なストレスがアトピー増悪因子と断言できるでしょう。

 

そして、免疫仕組みと心も密接に関係があります。

身体を守る白血球という細胞には、さらに好中球、リンパ球など役割に応じて様々な種類が存在します。

そして、この好中球にはアドレナリンという物質のアンテナ、リンパ球にはアセチルコリンという物質のアンテナが存在することを

証明したのも日本人免疫学者です。

この先生は安保徹先生であり、免疫革命など代替療法に関する啓蒙をその後行われるようになりました。

 

話はそれましたが、アドレナリンとはまさしく人が攻撃準備状態=ストレス下におかれると多くなります。

これに呼応して好中球も増え、実際クモ膜下出血などで搬送されてくる患者さんの採血で白血球分画では好中球が異常高値を示します。

逆にインターフェロンという薬を使うとリンパ球分画が上がります。

 

この辺りは、もう少し詳しく書きたいと思っております。

 

写真は今日駅から見えた富士山です。

こうした風景は、僕の心を非戦闘状態にしてくれます。

 

写真は、昨年ホノルルトライアスロンに出場した後に、翌日ハワイ島へ渡り3000越えの山登った時の写真です。

 

思春期後半のアトピーを経験したことは、今でも非常に辛い記憶です。

しかし、この時ほど食生活や身体のことを考えた時期はありません。

多分、アトピーを経験してなければ本当にもっと大変な病気に罹っていただろうと思います。

 

近年、病気について発生学的(お母さんのお腹にいる時期)に理解を進める研究が多いようです。

皮膚という外胚葉系の疾患で身体不調の警告頂き、いかに健康が大切であるかを骨身に染みさせて頂いたと思ってます。

これが、内臓筋肉など内胚葉、中胚葉などの病気(癌、脳卒中など)で、警告受けたら本当に大変でした。

 

また、アトピーによって医師という天職に出会わせて頂き、身体をフィットすることの重要性にも気づかされました。

おかげでフルマラソン、トライアスロンを楽しみ、富士山も体調崩した女性を背負って下山できるくらい体力も充実してます。

本当に心からアトピーに感謝しております。

 

そして、正しいアトピー性皮膚炎の理解と治療について少しづつ、綴っていこうと思います。

 

乳幼児におけるアトピー性皮膚炎は、成人難治性と異なるので切り離して考えるべきと思ってます。

主に成人例難治例おいて話を進められたらと考えてます。

 

食事とアトピーの関係だけでなく、様々な慢性疾患と食事は密接な関係にあります。

生活習慣病とは、名前の通り食事習慣と強くリンクします。

 

では、アトピーにおける避けるべき食事とは。

東洋医学的に「おけつ」=微小循環障害を引き起こしやすい食事として代表的な食べ物に白砂糖が挙げられます。

白砂糖などの単糖類は、吸収されやすく微小循環障害を惹起するようです。

私の恩師が、毛細血管レベルで視覚化しており、とても納得できました。

哺乳類の動物性脂肪も同様です。

但し、魚類は問題ありません。

牛や豚の体温は我々より、高く当然低い温度ではネンチョウ度が上がります。

魚類は当然我々より、体温低いので問題ないです。

 

但しこれを完全に除去した食事は、現代の食生活を継続できなくなります。

極端な食事療法を強いる、アトピー治療もまた治療としてはかなり危ういと感じてます。

これを飲めば治る、これは絶対にダメという偏向そのものが、少しアトピー気質の方に多い印象を持ちます。

なにより、アトピーに苦しんで頃の私がそうでした。

私自身、以来甘いなぁと感じる食べ物は、摂らない傾向です。

だからといって、たまに少しリッチな食事の時のデザートを断ることはありません。

しかし、コーラーなどの飲み物は27年間口にしてませんし、自分の意思でアイスやケーキを買う行為もないです。

コーヒーや紅茶には、黒糖ないしはちみつです。

 

私は毎朝パン食ですが、ホームベーカリーの自家製パンを毎朝食べてます。

写真はホームベーカリーで捏ねた生地をヘルシオで焼いたパンです。

とてもナッツやベリー入れ放題でとても美味しいのに、多分コストは数十円です。

しかも、とても健康的なパンです。

アトピー性皮膚炎においては、時に急性増悪する場合があります。

 

特に、漢方などで治療中などでも、皮膚のターンオーバーが著しく高い状態などにおいても起こります。

こうした場合、アトピーの増悪以外に感染が起こっている場合も要注意です。

 

非常に悪化した状態のアトピーは、皮膚の状態はヤケドと同じ病態と考えた方が適切です。

重症熱傷では、皮膚のバリアーが破綻し感染管理が重要なのと一緒です。

採血で白血球、好酸球の増加はこれらの鑑別になるかと思います。

僕自身も一時的に感染起こした時期があると考えてます。

これは、後から考えると感染だったなぁ という感じなのですが。

 

実際、医師として働くようになってICUなどでアトピー性皮膚炎の患者さんが敗血症で治療されていることに

時々遭遇します(敗血症とは、血液中で細菌が繁殖する命に係わる感染です)。

 

アトピー性皮膚炎の辛さや怖さは、経験した人分からないことも悲しい病気です。

アトピー性皮膚炎の治療は、小児例に関しては成人難治例とまた異なる病態とも考えております。

ここでは、成人例に関して述べさせて下さい。

 

私自身が、アトピーに苦しめられた経緯からプレアトピー時代、ポストアトピー時代と折につけ、様々なアトピー治療の本や、ネットでの情報は見聞きしております。

 

恐らく様々な根治療法に共通するのは、皮膚再生にてバリヤー機能の正常化であろうという感想を持っております。

私自身は漢方にて治癒させたのですが、その治癒過程はかなり大変でした。

「おけつ」という病態を、分かり易い言葉で説明するなら微小循環障害でしょうか。

私を治療してくれた恩師がそう語っておりました。

実際、恩師は微小循環障害を視覚化する機器を作成しておりました。

その値段は、小さめのワンルームマンション買える程のお値段でした。

その当時は既に保険診療でなく、自費診療に切り替えておられたので成立したのかもしれません。

また治るまでの期間は、ステロイドの使用期間に依存するようです。

私自身は約3年の使用で、治癒に1年弱かかりました。

 

話はそれましたが、治る過程での皮膚再生に伴うターンオーバーは凄まじく、痒みと滲出物でまともに寝れない期間が何か月も続いたのを覚えています。

 

恩師は残念ながら2015年に他界され、その時もアトピーに関して何か発信しなければ考えていましたが、多忙を理由に時間が過ぎてしまいました。

写真は皮膚の再生が起こり始めた頃の写真です。