新年度が始まって約2カ月が経過しました。例年より早く梅雨入りしたものの、ここ数日は初夏の陽気となっています。
この時期に社員の定期健康診断(periodic medical checkup/examination)を行っている会社も多いようです。
会社が実施する労働者への健康診断については、労働安全衛生法(Industrial Safety and Health Act)に規定されています。年齢(age)や職務内容等によって、既往歴(previous medical history)や自覚症状(subjective symptoms)等に基づく問診(medical interview)、身長(height)、体重(weight)、腹囲(abdominal girth)、血圧(blood pressure)、視力(eyesight)、聴力(audition)の測定、血液検査(blood test)、尿検査(urin analysis)、胸部X線検査(chest X-ray examination)など様々な項目の検査が行われます。
検査項目の中でも、心電図検査(electrocardiography: ECG)を受ける機会はこの定期健康診断の時だけという方も多いのではないでしょうか?
心電図(electrocardiogram:ECG)には複数の種類があり、一般的な健康診断では12誘導心電図(12-lead ECG)が用いられます。身体表面に取り付けた電極(electrode)によって、心臓が活動する際に発生する微弱な電気信号を検出し、心臓の状態を確認します。この心電図で測定する時間はごくわずかで、この間に不整脈(arrhythmia)や狭心症(angina pectoris)などの症状が現れない場合はその異常を発見することはできません。また、横になった安静状態(resting state)で測定を行うため、運動時など負荷がかかった時だけに発生する異常も検出できないことになります。
より長時間にわたって日常の活動時の心電図を測定する必要がある際は、ホルター心電図(Holter ECG)による検査を受けることになります。この場合は、病院で電極を身体表面に取り付けてもらい、その電極が接続された小型の計測機器を首から下げて一定時間(例えば24時間)生活をし、病院で機器を回収してもらい、収集した心電図のデータをコンピュータ解析した結果を後日聞きに行きます。取り付けから回収までは電極と機器がついた状態で生活を送ることになりますが、入浴/シャワー対応の機器であれば、検査中に入浴したりシャワーを浴びたりすることもできます。電極を貼付しているテープが剥がれると位置がずれたりして正確な測定ができなくなるため、たくさん汗をかく作業や長時間の入浴は控えるように指示されることもあります。また、電流を検知する機器ですので、電気毛布や携帯電話などの使用にも制限があります。
心電図のデータ収集は取り付けた機器が自動的に行ってくれるため、普段通りの生活をしながら、データ解析(data analysis)の際に重要な情報となる自覚症状の記録と行動記録のメモを行います。検査中に動悸(palpitation)、めまい(dizziness)、胸痛(chest pain)などの自覚症状があった時は、機器本体またはそれに接続されたイベントスイッチのキーを押して、その時に症状があったことを機器に記録します。また、具体的な症状や程度、持続時間などの詳細な情報を行動記録メモに記入します。その他、歩行、入浴、就寝、起床などの行動内容と時間もメモに記録します。機器の回収後、心電図のデータとこれらの行動や症状に関する情報を基に、どのような行動をした時にどのような症状が現れるかなどの関連性も含めてデータ解析が行われます。
検査中の痛みなどはないものの、寝る時も機器を肌身離さず着けている必要があり少し煩わしく感じる方もいらっしゃるかと思いますが、機器さえあれば小さなクリニックでも受けることができ、活動時の心電図も確認できるため、自覚症状のある方などには有用な検査です。
心臓は拍動するため、多くの方が自分の心臓の位置をしっかり把握していると考えているかと思いますが、心臓疾患の症状は多様で、心臓の異常が左腕や腹部に近い部位の症状として現れることもあります。腕が痛いと思っていたら実は心筋梗塞だったという話も聞きます。今はインターネット上で症状から病名などを調べることができる機会も多くなっています。しかし、同じ症状から複数の疾患が疑われる場合も多く、また、英語など他の言語のソースから翻訳した際に誤りが生じたのではないかと思われる内容が記載されているケースも見受けられます。気になる症状がある時は自己判断せず、一度病院で相談してみると良いかと思います。
コラム担当者紹介
医療機器メーカーで実際に申請・治験業務に携わった経験を生かし、申請・治験業務担当者がどれほど厳しい状況の中で即戦力となる翻訳を求めているかを身をもって知っている者として、当局に受け入れて頂ける完成度の高い訳文をお届けできるよう、医療分野や薬事動向に常に目を向け、現場の皆さまのお声を聞かせて頂いております。 また、大学で学んだ言語学の分析手法や翻訳・編集の会社での経験に基づき、自身の訳文が曖昧さのない、用語の整合性がとれたわかりやすいものとなっているか、批判的に多方向からのチェックを行い、最善の状態で納品させて頂くことを念頭に置いております。
株式会社高橋翻訳事務所
医学・薬事申請翻訳、看護・介護・医療翻訳 担当:Y.O.
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